※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。
働き方改革をはじめ、さまざまな要因によって、建設業を取り巻く環境が大きく変化し、事業の維持・拡大に悩む事業者様が多いのではないでしょうか。
しかし、これらの解決策のひとつとなる生産性向上や人材確保などの取組には費用がかかるため、すぐには実施できないといったケースもあるでしょう。
そこでこの記事では、建設業の生産性向上や人材確保などを支援する補助金・助成金を紹介します。
中小企業省力化投資補助金
中小企業等の人手不足解消につながる、IoTやロボットなど「省力化製品」の導入を支援する制度です。
補助対象となる省力化製品は、事務局ホームページの「製品カタログ」に登録されたものです。このカタログから、自社の課題・業種・業務プロセスにあった製品を選んで導入します。
建設業で導入できる製品の一例として、トータルステーション(水平角と鉛直角を計測する経緯儀に、測距機能が内蔵された測量機)のうち、ノンプリズム、モータードライブ、遠隔操作、自動視準、自動追尾などの省力化を実現する機能を持つ測量機があります。
この導入により、作業者による遠隔操作、内蔵センサーによる追尾や視準が自動になり、ノンプリズム機能(ターゲットのプリズム不要)となるなど、省力化が見込めます。
補助対象経費は、省力化製品の設備投資における(1)製品本体価格、(2)導入経費です。
補助率・補助上限額は、以下のとおりです。なお、別途示されている「賃上げ要件」を達成した場合、括弧内の値まで補助上限額が引き上げられます。
補助率:1/2
補助上限額:従業員規模に応じて、補助上限額が異なります。
・従業員数 5名以下: 200万円 (300万円)
・従業員数 6~20名: 500万円 (750万円)
・従業員数 21名以上:1,000万円(1,500万円)
参照:中小企業省力化投資補助金 公式HP
経済産業省 ミラサポPlus 担当者に聞く「中小企業省力化投資補助金」
なお、本補助金については、以下の記事で詳しく解説しております。あわせてご一読ください。
最大1,500万円!IoT・ロボット導入を補助する「中小企業省力化投資補助金」とは
事業再構築補助金
補助金額 | 補助率 | |
1. 成長分野進出枠(通常類型) | 中小企業者等、中堅企業等ともに 【従業員数20人以下】100万円~1,500万円(2,000万円) 【従業員数21~50人】100万円~3,000万円(4,000万円) 【従業員数51~100人】100万円~4,000万円(5,000万円) 【従業員数101人以上】100万円~6,000万円(7,000万円) ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
中小企業者等 1/2(2/3) 中堅企業等 1/3(1/2) ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
2. 成長分野進出枠(GX進出類型) | 中小企業者等【従業員数20人以下】100万円~3,000万円(4,000万円) 【従業員数21~50人】100万円~5,000万円(6,000万円) 【従業員数51~100人】100万円~7,000万円(8,000万円) 【従業員数101人以上】100万円~8,000万円(1億円) 中堅企業等 100万円~1億円(1.5億円) ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
中小企業者等 1/2(2/3) 中堅企業等 1/3(1/2) ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
3. コロナ回復加速化枠(通常類型) | 中小企業者等、中堅企業等ともに 【従業員5人以下】100万円~1,000万円 【従業員6~20人】100万円~1,500万円 【従業員21~50人】100万円~2,000万円 【従業員 51 人以上】100 万円~3,000 万円 |
中小企業者等 2/3 (従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場 合は800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4) 中堅企業等 1/2 (従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場 合は800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3) |
4. コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | 中小企業者等、中堅企業等ともに 【従業員数5人以下】100万円~500万円 【従業員数6~20人】100万円~1,000万円 【従業員数21人以上】100万円~1,500万円 |
中小企業者等 3/4(2/3) 中堅企業等 2/3(1/2) ※()内はコロナで抱えた債務の借り換えを行っていない者の場合 |
5. 卒業促進上乗せ措置 | 各事業類型の補助金額上限に準じる | 中小企業者等 1/2 中堅企業等 1/3 |
6. 中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置 | 100万円~3,000万円 | 中小企業者等 1/2 中堅企業等 1/3 |
7. サプライチェーン強靱化枠 | 中小企業者等、中堅企業等ともに 1,000万円~5億円 | 中小企業者等 1/2 中堅企業等 1/3 |
※本補助金の令和6年度の公募は終了しています。令和7年度の実施は未定です。
事業再構築補助金は、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編など思い切った事業再構築にあたり、中小企業の挑戦を支援する、経済産業省主管の補助金です。
補助対象経費は、補助事業の実施に伴う建物費や機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費などです。
本補助金への申請が採択された場合、申請類型や要件によりますが、最大で1億円(中小企業の場合。中堅企業の場合は最大1.5億円)が補助されます。
採択事例として、建設事業者がアスベスト検査サービスを開始し、建築サービス事業の付加価値を創出した例が挙げられます。
参照:事業再構築補助金 第12回公募 採択案件一覧【事業計画書の概要】
掲載ページ:事業再構築補助金 採択結果
第12回公募の各類型概要や補助金額、補助率等については、こちらの記事で解説しています。ぜひ、ご参照ください!
IT導入補助金
枠/ 類型 |
通常枠 | インボイス枠(インボイス対応に活用可能!) | 複数社連携IT導入枠 | セキュリティ 対策推進枠 |
||||||
電子取引類型 | インボイス対応類型 | |||||||||
補助 事業者 |
中小企業・ 小規模事業者等 |
大企業等 | 中小企業・ 小規模事業者等 |
|||||||
補助額 | 5万円 ~ 150万円 未満 |
150万円 |
インボイス制度に 対応した 受発注ソフト |
インボイス制度に 対応した会計・受 発注・決済ソフト |
PC・ タブレッ ト等 |
レジ・ 券売機 等 |
(1)インボイス枠インボイス対応 類型の対象経費(左記同様) (2)消費動向等分析経費(※1) (上記(1)以外の経費) 50万円×参画事業者数 補助上限: (1)+(2)で3,000万円 (3)事務費・専門家費 補助上限:200万円 |
5万円 ~ 100万円 |
||
~350万円 | 50万円 以下 |
50万円 超 ~ 350万 円 |
~10 万円 |
~20 万円 |
||||||
補助率 | 1/2 | 2/3 | 1/2 | 4/5 、3/4 (※2) |
2/3 (※3) |
1/2 | (1)インボイス枠インボイス対応 類型と同様 (2)・(3) 2/3 |
1/2 | ||
補助 対象 経費 |
ソフトウェア 購入費、 クラウド利用料 (最大2年分)、 導入関連費 |
クラウド利用料 (最大2年分) |
ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費、 ハードウェア購入費 |
サイバーセキュリ ティサービス利 用料(最大 2年分) (※4) |
※赤字は令和5年度補正予算での拡充点
(※1)消費動向等分析経費のクラウド利用料は、1年分が補助対象。
(※2)小規模事業者については補助率は4/5。中小企業については補助率は3/4。
(※3)補助額50万円超の際の補助率は、補助額のうち50万円以下については3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超については2/3。
(※4)(独)情報処理推進機構(IPA)「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービス
出典:IT導入補助金2024リーフレット
※本補助金の令和6年度の公募は終了していますが、令和7年度においても実施予定です。ただし、申請枠や補助上限額等、内容の変更が生じる可能性がありますのでご注意ください。
IT導入補助金は、ITツール(ソフト・ハード)の導入を支援する制度です。そのため、建設におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の切り札となります。
建設業における採択事例として、就業・勤怠管理ソフトの導入により、建築・土木工事の現場で働く社員の勤怠・労務管理を適正化を行った例があります。
具体的には、社員のほぼ半数が日々工事現場で勤務するなか、勤怠管理を行うタイムカード打刻のためだけに、工事現場から本社への通勤が必要となっていました。
そこで、就業・勤怠管理ソフトを導入したところ、通勤不要となり、自宅と現場間で直行直帰が可能となり、その分の勤務時間の削減につながった例です。
各類型の概要や補助金額、補助率等については、こちらの記事で解説しています。ぜひ、ご参照ください!
【徹底解説】IT導入補助金2024の目的・概要・補助額・事例とは
小規模事業者持続化補助金
※本補助金の令和6年度の公募は終了しています。令和7年度の実施は未定です。
小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
令和4年第2次補正予算分から、要件を満たす場合、インボイス特例の適用により全枠一律で補助上限が50万円上乗せされるなど大きな変更が行われました。
これまでの採択事例として、建設事業者が行う子供と一緒に体験できる家具製作サービスの提供と販路開拓が挙げられます。
参照: 小規模事業者持続化補助金<一般型>【商工会議所地区】 第16回締切分採択者一覧
掲載ページ:小規模事業者持続化補助金 採択者一覧(第16回受付締切分)
小規模事業者持続化補助金の概要については、以下の記事にて解説しています。
令和4年度第2次補正予算・小規模持続化補助金の概要は?活用事例とあわせて解説
ものづくり補助金
出典:ものづくり・商業・サービス補助金 公募要領 概要版 15次締切分
※本補助金の令和6年度の公募は終了しています。令和7年度の実施は未定です。
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり、相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い生産性を向上させるための設備投資等を支援する制度です。
これまでの採択事例として、新製品の開発・製造拡大のためのオリジナル自動走行溶接システムの導入などが挙げられます。
参照:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第18次締切 採択案件一覧
掲載ページ:ものづくり補助金 公式HP 採択結果
ものづくり補助金の概要については、以下の記事で詳しく解説しています。
業務改善助成金
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。
補助対象経費は、生産性向上のための設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用です。
<補助上限金額>
コース区分 | 助成上限額 |
30 円コース | 引き上げ労働者数・事業場規模に応じて30~130万円 |
45 円コース | 引き上げ労働者数・事業場規模に応じて45~180万円 |
60 円コース | 引き上げ労働者数・事業場規模に応じて60~300万円 |
90 円コース | 引き上げ労働者数・事業場規模に応じて90~600万円 |
<助成率>
助成率は、申請を行う事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって変わります。
・事業場内最低賃金870円未満:10分9
・事業場内最低賃金870円以上920円未満:5分の4
※生産性要件を満たした場合は10分の9
・事業場内最低賃金920円以上:4分の3
※生産性要件を満たした場合は5分の4
トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者 トライアルコース)
中小建設事業主が行う若年者(35歳未満)や女性のトライアル雇用を支援する制度です。
コース名 | 概要 | 助成額 |
若年・女性建設労働者 トライアルコース |
35歳未満や女性を対象として試行雇用を行った場合 |
1人あたり4万円/月×3か月 (トライアル雇用助成金の上乗せ) |
出典元:厚生労働省 建設事業主等に対する助成金 パンフレット 建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)のご案内(建設事業主向け)令和5年度版
建設事業主等助成金(人材確保等支援助成金)
人材確保等支援助成金は、雇用した建設労働者の定着を支援する助成金です。
コース名 | 概要 | 助成額 |
建設キャリアアップシステム等普及促進コース | 建設労働者の処遇改善やキャリアパスの明確化を図り、もって若年者等の建 設業への入職・定着促進による担い手の確保、魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備及び職業能力開発の促進に資するよう、建設キャリアアップシステム等の普及促進に取り組む建設事業主団体に対して、必要な助成を行うものです。 |
中小建設事業主団体:対象経費の2/3 1団体につき1事業年度(4/1~3/31)の上限額 |
若年者及び女性に 魅力ある職場づくり 事業コース (建設分野) |
若年者及び女性労働者の入職や定着を図ることを目的とした事業を行った場合 |
中小建設事業主 1団体につき1事業年度(4/1~3/31)の上限額200万円 |
作業員宿舎等 設置助成コース (建設分野) |
作業員宿舎等の確保(被災三県のみ)や、建設現場の女性専用設備を整備した場合 | 作業員宿舎等設置 対象経費の2/3 女性専用作業員施設 対象経費の3/5<3/4> など |
出典元:厚生労働省 建設事業主等に対する助成金 パンフレット 建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)のご案内(建設事業主向け)令和5年度版
建設事業主助成金(人材開発支援助成金)
人材開発支援助成金は、建設事業主が実施する職業訓練を支援する助成金です。
コース名 | 概要 | 助成額 |
建設労働者 認定訓練コース |
認定職業訓練または指導員訓練のうち、建設関連の訓練を実施した場合 | 経費助成 対象経費の1/6 賃金助成 3,800円/人日 <1,000円/人日> |
建設労働者 技能実習コース |
若年者等の育成と熟練技能の維持・向上を図るため、キャリアに応じた技能実習を実施した場合 | 中小建設事業主(20人以下) 経費助成 3/4 <3/20> 賃金助成 8,550円/人日<2,000円/人日> 中小建設事業主(21人以上) 経費助成 7/10 <3/20> 賃金助成 7,600円/人日<1,750円/人日> |
出典元:厚生労働省 建設事業主等に対する助成金 パンフレット 建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)のご案内(建設事業主向け)令和5年度版
まとめ
この記事では、建設業の生産性向上や人材確保などを支援する補助金・助成金を紹介しました。
人手不足に悩んでいる場合、生産性向上や人材確保に取り組む場合は、ぜひ、補助金・助成金の活用もあわせてご検討ください。
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