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政府(主管:中小企業庁)が運営するIT導入補助金は、主として中小企業における業務の効率化や生産性向上を目的に、販売管理や会計ソフト、勤怠管理システムなどの導入を支援する制度です。
令和5年(2023年)3月3日に「IT導入補助金2023」の公募要領が公開され、同年3月28日から初回公募の申請受付が開始されました。
その後、デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)が新設され、公募実施が続いています。こうした背景を踏まえ、本記事では、IT導入補助金の目的や概要、これまでの公募との変更点など詳しく解説します。
令和4年度第2次補正予算における事業目的と概要
令和4年度第2次補正予算は、新型コロナの長期化、原材料・エネルギー価格等の高騰により厳しい経営環境に置かれている中小企業・小規模事業者等に対する資金繰り支援や価格転嫁対策等に万全を期すことを対応の方向性と定めています。
具体的な取り組みのひとつとして、「成長分野等への挑戦に向けた投資の促進」があります。この取り組みを通じて、内外の環境変化によって既存のサプライチェーンが流動化する中、生産性向上・再構築等に向けた設備投資を積極的に行う中小企業・小規模事業者等を後押しするとともに、DX・GX推進や海外展開等による新たな市場獲得を支援します。
更に具体的な取り組みの事業として「中小企業生産性革命推進事業」を設け、2,000億円の予算を計上しています。※国庫債務負担含め総額4,000億円
①ものづくり補助金、②小規模事業者持続化補助金、③IT導入補助金、④事業承継・引継ぎ補助金といった、計4つの補助金を設け、設備投資、IT導入、販路開拓、事業承継等への補助を通じた、中小企業・小規模事業者の生産性向上等に向けた取組を支援します。
参照:中小企業庁/中小企業・小規模事業者・地域経済関係予算案等のポイント(令和4年度第2次補正・令和5年度当初)
IT導入補助金 概要
出典:IT導入補助金 サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2023』の概要
2023年4月27日に、デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)の新設が発表されたことにより、IT導入補助金は3つの申請枠、5つの申請類型で構成されることとなりました。申請類型によってはソフトウエアだけでなくパソコンやタブレット端末といったハードウエアの購入も補助対象となります。
・通常枠
-A類型
-B類型
・デジタル化基盤導入枠
-デジタル化基盤導入類型
-複数社連携IT導入類型
-商流一括インボイス対応類型
・セキュリティ対策推進枠
インボイス制度への対応も見据え、クラウド利用料を2年分まとめて補助するなど、企業間取引のデジタル化を強力に推進します。
新設された「商流一括インボイス対応類型」においては、インボイス制度に対応し、受発注機能を有するITツールが補助対象となります。なお、令和4年度第2次補正予算からは一部内容拡充が行われています。
IT導入補助金2023から実施される拡充内容
IT導入補助金の拡充内容は、次のとおりです。
通常枠(A類型)の補助下限額を引き下げ
通常枠(A類型)の補助下限額が、30万円から5万円に引き下げられました。
通常枠の補助対象経費の条件緩和
補助対象経費となっているクラウド利用料の対象期間が、1年間から最大2年間に延長されました。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の補助下限額を撤廃
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)に設けられていた補助下限額が撤廃されました。
参照:生産性向上を目指す皆様へ
IT導入補助金を活用した具体的な取組イメージ
商業集積地での消費動向等を分析するシステムを導入し、データの収集・分析を通じてデジタルマーケティングを実施することで、当該地域の来街者増や回遊性向上を図り、生産性向上につなげるイメージです。
具体的な事例は下図をご参照ください。
申請スケジュール
締切日、交付決定日等は、申請類型・公募回により異なります。そのため、詳細なスケジュールは以下のリンク先にてご確認ください。
過去の交付決定状況
IT導入補助金における直近の交付決定状況は、次の通りです。
公募期間:令和6年3月15日(金)まで
申請数:3,201者 採択数:採択数:2,734者 採択率:約85.4%
以下、内訳
通常枠 申請数:1,576者 採択数:1,189者 採択率:約75.4%
セキュリティ対策推進枠 申請数:18者 採択数:14者 採択率:約77.8%
インボイス枠(インボイス対応類型) 申請数:1,607者 採択数:1,531者 採択率:約95.3%
▼採択事業者一覧
https://it-shien.smrj.go.jp/news/20095
▼中小企業庁HP
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/gijut/2024/240424it_saitaku.html
IT導入補助金2024について
※赤字は令和5年度補正予算での拡充点
枠/ 類型 |
通常枠 | インボイス枠(インボイス対応に活用可能!) | 複数社連携IT導入枠 | セキュリティ 対策推進枠 |
||||||
電子取引類型 | インボイス対応類型 | |||||||||
補助 事業者 |
中小企業・ 小規模事業者等 |
大企業等 | 中小企業・ 小規模事業者等 |
|||||||
補助額 | 5万円 ~ 150万円 未満 |
150万円 |
インボイス制度に 対応した 受発注ソフト |
インボイス制度に 対応した会計・受 発注・決済ソフト |
PC・ タブレッ ト等 |
レジ・ 券売機 等 |
(1)インボイス枠インボイス対応 類型の対象経費(左記同様) (2)消費動向等分析経費(※1) (上記(1)以外の経費) 50万円×参画事業者数 補助上限: (1)+(2)で3,000万円 (3)事務費・専門家費 補助上限:200万円 |
5万円 ~ 100万円 |
||
~350万円 | 50万円 以下 |
50万円 超 ~ 350万 円 |
~10 万円 |
~20 万円 |
||||||
補助率 | 1/2 | 2/3 | 1/2 | 4/5 、3/4 (※2) |
2/3 (※3) |
1/2 | (1)インボイス枠インボイス対応 類型と同様 (2)・(3) 2/3 |
1/2 | ||
補助 対象 経費 |
ソフトウェア 購入費、 クラウド利用料 (最大2年分)、 導入関連費 |
クラウド利用料 (最大2年分) |
ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費、 ハードウェア購入費 |
サイバーセキュリ ティサービス利 用料(最大 2年分) (※4) |
(※1)消費動向等分析経費のクラウド利用料は、1年分が補助対象。
(※2)小規模事業者については補助率は4/5。中小企業については補助率は3/4。
(※3)補助額50万円超の際の補助率は、補助額のうち50万円以下については3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超については2/3。
(※4)(独)情報処理推進機構(IPA)「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービス
出典:IT導入補助金2024リーフレット
令和5年12月11日に、IT導入補助金2024に関する概要が公表されました。
主な変更点として、以下が挙げられます。
①支援枠の改編
これまでの申請枠から、通常枠、セキュリティ対策推進枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、複数社連携IT導入枠の全4支援枠に改編されました。
②補助率の拡大
インボイス枠(インボイス対応類型)では、小規模事業者に対する補助率を一部「4/5」へ拡大(これまでは一律3/4)
③制度変更に伴う補助対象ITツールの見直し
インボイス枠(インボイス対応類型)においては、インボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」機能を有するソフトウェアが対象となります。インボイス制度に対応していないソフトウェア及びECサイト制作は、本類型の対象にはなりませんのでご注意ください。
その他、詳細や申請スケジュールは未公表です。公開されましたら記事等更新してまいります。
最後に
「IT導入補助金2023」の概要やこれまでの公募内容からの変更点について解説しました。
ITツール導入をご検討中の方は、ぜひ、本補助金をご活用ください。
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