事業譲渡の補助金・助成金・支援金の一覧

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経営革新計画のメリットは?仕組みと申請方法、承認率まで徹底解説!
上限金額・助成額
万円

収束の気配をみせつつある新型コロナウイルスの感染拡大ですが、社会・経済環境の変化や少子高齢化など、様々な課題を抱える中小・中堅企業の多くは厳しい経営環境を余儀なくされています。

こうした事業者を支援し、経済回復を主な目的として、政府は様々な制度を展開していますが、「経営力向上計画」と並んで実施される有力な施策に「経営革新計画」があります。

経営革新計画について詳しく解説します。

経営革新計画とは

経営革新計画は、政府・中小企業庁が主管する支援施策の一環で、中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的として策定する、中期的な経営計画書のことを指します。

この経営計画策定を通じ、対象事業者における現状の課題や目標が明確になるといった効果が期待できるほか、国や都道府県に計画が承認されると、様々な支援策の対象となります。

参照:中小企業庁

経営革新計画によるメリット

経営革新計画は、申請する事業者自身の経営改善に資する計画であり、この計画策定によって政府や公的機関が行っている各種支援を得られるため、結果的に自社の経営改善が進められます。

経営革新計画の主なメリットについて細かく具体的に解説します。

メリット1:融資や保証における様々な支援

信用保証制度における特例措置が可能

経営革新計画の承認事業を行うために必要となる資金融資の信用保証に関し、通常の保証枠とは別枠で最大2.8億円の支援が受けられます。
内訳は、1社単独の場合普通保証2億円と無担保証0.8億円となります。

日本政策金融公庫の特別利率が可能

事業者が政府系金融機関である日本政策金融公庫からの融資を受ける際に、同公庫の「新事業活動資金・新事業活動促進資金」制度を利用することによって特別利率の適用が受けられます。

高度化融資制度の利用が可能

経営革新計画の承認を受けて事業者が「高度化事業」(*)に取り組む場合に、関連する融資を無利子で利用可能です。

(*)中小・中堅企業が共同で工業団地を建設したり、商店街にアーケードを設置するなど、同じ目的をもつ企業同士で組織する中小企業組合等のグループに対して、主管する都道府県と中小企業基盤整備機構(中小機構)が協力し、当該事業計画に対する助言や施設・設備資金に対する融資について支援する事業です。

詳細は下記をご参照ください。

参照:中小機構(高度化事業)

食品流通構造改善機構による債務保証が可能

事業者が食品製造業の場合、金融機関から融資を受ける際に食品流通構造改善機構からの債務保証が受けられます。

参照:食品流通構造改善機構

メリット2:海外展開に伴う支援

「スタンドバイクレジット(信用状)制度」による支援が可能

当該中小企業者における外国関係法人が、海外の金融機関から1年以上の長期借入を行う場合に、日本政策金融公庫によるスタンドバイクレジット(信用状)の発行を受け、債務保証が可能となります。

中小企業信用保険法の特例

事業者が国内の金融機関から融資を受ける際に、海外投資関連保証の限度額が通常よりも引き上げられます。

日本貿易保険(NEXI)による支援措置の適用

外国関係法人が、日本貿易保険が設定する「海外事業資金貸付保険を活用することが可能となります。

メリット3:投資、補助金などの支援

起業支援ファンドからの投資の可能性

民間ファンドに中小機構が出資し、株式や新株予約権付社債等による資金調達といった、ファンドからの投資可能性があります。

中小企業投資育成株式会社からの投資の可能性

中小企業投資育成株式会社から、原則として資本金の額が2億円以下のところ、3億円を超える場合でも投資対象になる場合があります。

経営革新に関係する補助金受給の可能性

主管する各都道府県の中には、経営革新計画を対象とする補助金を運用している場合があります。

メリット4:販路開拓の支援

販路開拓コーディネート事業による支援が可能

中小機構による商社・メーカーOBによる販路開拓支援が可能です。

新価値創造展への出展

中小機構が行うイベントへの出展審査時に、加点の対象となります。

メリット5:その他の支援

特許関係料金の減免が可能

経営革新計画に関して事業者が出願する特許申請について、審査請求料および1~10年の特許料への半額免除制度が利用可能となります。

ものづくり補助金における加点・優遇措置

ものづくり補助金の審査上、有効期間の経営革新計画承認による加点や、補助率アップなどの優遇措置があります。

経営革新計画の仕組みと取り組み

経営革新計画の承認を受けるための計画内容は、以下の5種類に該当する新たな取り組みが必要となります。

  • 新商品の開発又は生産
  • 新役務の開発又は提供
  • 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
  • 役務の新たな提供の方式の導入
  • 技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動

詳細については下記をご参照ください。

参照:中小企業庁(経営革新計画進め方ガイドブック)

経営指標について

経営改革計画の承認にあたっては、下記に示す基準を満たす必要があります。

付加価値額または一人当たりの付加価値額

  • 事業期間が3年の場合:計画終了時に9%以上向上
  • 事業期間が4年:同12%以上
  • 事業期間が5年:同15%以上

付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費、1人あたりの付加価値額=付加価値額/従業員数

給与支給総額

  • 事業期間が3年の場合:計画終了時に4.5%以上向上
  • 事業期間が4年:同6%以上
  • 事業期間が5年:同7.5%以上 

給与支給総額に含まれる経費:従業員や役員に支払う給料、賃金、賞与、各種手当(残業手当、休日出勤手当、家族(扶養)手当、住宅手当等)といった給与所得
給与支給総額=給与賃金+専従者給与+青色申告特別控除前の所得金額

申請方法

経営革新計画の申請から承認までの流れについて解説します。

経営革新計画策定の準備

経営革新計画を策定するには、その前に自社の事業内容をよく検討し、計画策定に向けた準備を整える必要があります。自社のおかれた現状を考慮し、経営内容を刷新するために適切と思われる新規事業を策定すべきです。

経営革新計画には、上述のとおり他社との共同・協働によって複数社で実現する場合でも対象となるため、構想した新規事業に対して自社単独のリソースで対応すべきか、他社との連携の中で対応すべきか含め、幅広い視点で検討することがポイントとなります。

なお、計画立案にあたっては、申請窓口である都道府県のほか、各地域で経営革新計画策定を行う中小企業診断士などが委託されて行っているケースもあるため、こうしたチャネルを効活用することも有効です。

経営革新計画の策定

準備が整ったら、次に経営革新計画を策定します。

経営革新計画に際しては所定のフォーマットが定められているので、当該書式(申請書本文および別表1~7)で構成される計画書を作成します。その際に検討すべき事項は以下のとおりです。

計画の概要と付加価値向上目標(別表1)

経営革新計画における事業の概要、および計画実施前後の付加価値額・経常利益額の向上額を記載します。

実施計画と実績(別表2)

経営革新計画として実行する実施内容と評価基準・周期および実施時期を整理して記入します。計画が採択された後は実績欄にも記入し、進捗管理が必要となります。

経営計画および資金計画(別表3)

経営革新計画の実施による業績の進展に関する計画値を算定します。
収支計画部分と資金調達計画部分があり、経営革新計画の実施による将来の収支計画と、付加価値額・一人当たり付加価値額・経常利益額の推移および、必要な資金の調達計画を記載します。
各指標の計算方法は以下の通りです。

  • 付加価値額 = 営業利益+人件費+減価償却費
  • 一人当たり付加価値額 = 付加価値額÷従業員数
  • 経常利益 = 営業利益-営業外費用(支払利息・新株発行費用)

設備投資計画および資金計画(別表4)

経営革新計画に基づき、必要となる設備投資額および運転資金必要額について記載します。
それらを数値計画として策定するほか、研究開発に関する負担金の設定や希望する支援策に対する要望事項などを取りまとめ、所定のフォーマットに記載して提出します。

経営革新計画の承認申請

経営革新計画の承認は、基本的には事業者の本店が所在する都道府県における担当部署への申請となります。ただし、複数社で共同・協同して申請する場合には、その関係性によって申請先が異なる事があります。

経営革新計画の承認は、形式審査・内部審査を経て毎月1回の審査会での決定に基づき、通常1カ月程度で認可されます。

経営革新計画の承認率

経営革新計画の承認率について、明確な数字は公表されていませんが、概ね10%程度とみられています。

これを東京都の申請事例に当てはめると、2017年における月々の承認件数は月間平均約30件であり、採択率から逆算すると、実際に申請を行った事業者は月々約300社以上となります。

経営革新計画との違い

経営革新計画について詳しく解説してきましたが、さまざまな補助金の募集要項には、これと並んで「経営力向上計画」が記載されています。

経営革新計画と経営力向上計画の違いについて解説します。

大きな違いは計画の目的

経営革新計画と経営力向上計画いずれも、中小企業等経営強化法に基づいて実施されるものですが、計画を作成する目的が異なっています。経営革新計画は、新しい事業分野への進出や、革新的な事業を実施するための計画です。

このため、中小・中堅企業などが新しい事業活動に取り組み、経営を相当程度向上させることを目的として策定されるものです。従って、経営革新計画を申請する際には、今後自社が取り組む予定の事業がどれだけ革新性があるのかについて詳しく説明する必要があります。

一方、経営力向上計画は、現在企業が取り組んでいる事業をより一層成長させるために策定する計画です。人材育成や財務内容の分析、マーケティングの実施やITの利活用、また生産性向上のための設備投資などを通して、事業者が自社の経営力を向上することを目的に策定されるものです。

前者は新規事業展開に、後者は既存の事業改善に、それぞれ取り組む違いがあります。

計画認定機関も異なる

経営革新計画は事業者が所在している都道府県の知事が認定するのに対し、経営力向上計画は対象事業の分野を主管する大臣が認定認定します。業種で認定するか地域で認定するか、の違いとなります。

このため、前者では各地域での条件を、後者では自社事業の所属事業分野を、それぞれ確認する必要があります。

優遇制度の違い

経営革新計画が認定されると、政府系金融機関による低利融資制度や信用保証協会の保証枠の拡大などの優遇対象となります。一方、経営力向上計画が認定されれば、固定資産税の減免や金融支援の特例措置などの優遇が受けられます。

両者とも、税金の減免や金融支援・法的支援など、さまざまな優遇を受けられます。

最後に

経営革新計画について、経営力向上計画との比較も踏まえ、考え方と支援策や、計画策定内容と申請方法などについて解説しました。

支援策を活用するための実務的な側面もありますが、新事業へのチャレンジを通じて自社の経営を革新していくことが経営革新計画の大きな目的です。

自社の事業活動をしっかり分析し、計画を立案して、今後の事業の進展につなげていくことが期待されます。

全業種
ほか
公募期間:~
経営力向上計画のメリットと申請方法・仕組み、即時償却・報告義務は
上限金額・助成額
万円

ようやく収束の気配がみえてきた新型コロナウイルスの感染拡大ですが、これに伴う社会・経済の混乱や営業自粛等により、多くの中小・中堅企業は厳しい経営環境を余儀なくされています。

こうした事業者を支援し、経済回復を主な目的として、政府は様々な制度を展開していますが、経営力向上計画に関する施策もその有力なひとつです。

経営力向上計画について詳しく解説します。

経営力向上計画とは

経営力向上計画とは、政府・中小企業庁が主管する支援施策の一環で、中小・中堅企業や小規模事業者が人材育成やコスト管理のマネジメント、設備投資など、自社の経営力を向上させるために取り組む内容を記載した事業計画のことを指します。

具体的には、当該事業者が経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取組を記載した「経営力向上計画」を事業所管大臣に申請し、認定されることによって中小企業経営強化税制(即時償却等)や各種金融支援が受けられるものです。

計画の作成にあたっては、認定経営革新等支援機関でサポートを受けることが可能となっています。

参照:中小企業庁

経営力向上計画によるメリット

経営力向上計画は、国・政府による公的な中小企業支援策のひとつであり、当該計画を作成した企業には様々なメリットが享受できる仕組みが整っています。

経営力向上計画によるメリットについて解説します。

メリット1:税制に関する優遇措置

まず第一に、下記の税制優遇措置が受けられます。

新たな設備の固定資産税軽減:平成31年3月末までの取得分に限り、固定資産税を3年間にわたり1/2に軽減する
法人税の即時償却および税額控除:法人税の即時償却、または取得価額の最大10%税額控除の選択を適用する

*即時償却のメリットについては後述します。

メリット2:ビジネス拡大への金融支援

次に、当該事業者がビジネスを拡大させるための金融支援が得られます。
主な項目は下記のとおりです。

  • 商工中金や日本政策金融公庫による低利融資
  • 新事業活動限定の保証の別枠や保証枠拡大
  • 海外銀行への債務保証を日本政策金融公庫が行うスタンドバイ・クレジット
  • 中堅企業や食品製造業者に限定した債務保証

メリット3:補助金の申請が有利に

補助金の申請に際してはは審査があり、その際には厳しい条件をクリアすることが求められます。

経営力向上計画を策定した場合、補助金を申請する段階で有利になるような加点が行われ、各種補助金施策の審査が一般より有利になるメリットがあります。

認定を受けるまでの仕組み

経営力向上計画の作成から認定を受けるまでには、活動指針や認定状況、また認定の対象となる範囲などを把握する必要があります。

経営力向上計画の作成から認定までの流れについて解説します。

基本的な仕組み

申請へ向けての基本的な仕組みは、事業者が経営力向上計画書を作成し、自社事業の種類に応じて所管する主務大臣へ提出します。主管する主務大臣は、建設業の場合は国土交通大臣、衛生業務では厚生労働大臣などとなります。

留意点として、計画書の提出から認定まで1ケ月ほど時間が必要であったり、経営力向上計画に関する特典利用にはいくつかの期限があったりという点から、申請にあたっては余裕のあるスケジュール管理が必要となります。

なお、当該計画書を自社で作成するのが難しい場合には、各地域の金融機関や商工会議所、また税理士が所属する経営革新等支援機関の支援を受けることが可能です。

国が定めている指針と業種

国では、本施策申請にあたり、下記の19業種に関して経営改善のアイデア提出を求めています。
これらの業種に該当する事業者は、指針に沿って指定項目の中から数項目を選択し、計画書に盛り込んで作成します。

  • 製造業
  • 卸小売業
  • 外食中食
  • 旅館
  • 医療
  • 保育
  • 介護
  • 障害福祉
  • 貨物
  • 自動車運送
  • 自動車整備
  • 船舶産業
  • 建設
  • 有線テレビ
  • 電気通信
  • 不動産
  • 地上基幹放送
  • 石油卸燃料小売
  • 旅客自動車運送

認定の状況と傾向

中小企業庁によれば、中小企業等経営強化法の適用要件である経営力向上計画の直近の認定事業者数は2021年3月末現在で12万131件となっています。

認定事業者を各カテゴリ別・認定件数順にみると次のとおりとなっています。

業種別

  1. 製造業(46,813件)
  2. 建設業(32,223)
  3. 卸・小売業(11,020)
  4. 医療、福祉業(6,496)

地域別

  1. 関東(41,441)
  2. 近畿(25,894)
  3. 中部(17,717)
  4. 九州・沖縄(13,288)

主管省庁別

  1. 経済産業省(59,029)
  2. 国土交通省(38,614)
  3. 農林水産省(12,102)
  4. 厚生労働省(8,851)
  5. 国税庁(1,731)

参照:中小企業等経営力強化法の認定内訳

対象となる範囲

経営力向上計画を作成する際に、計画の対象となる中小企業者などの範囲と対象は下記のとおりです。

  • 個人事業主
  • 会社
  • 企業組合、協業組合、事業協同組合など
  • 生活衛生同業組合など
  • 一般社団法人
  • 医業を主たる事業とする法人
  • 歯科医業を主たる事業とする法人
  • 社会福祉法人
  • 特定非営利活動法人

なお、会社または個人事業主、医業、歯科医業を主たる事業とする法人では、次の要件が定められています。

  • 資本金が10億円以下もしくは従業員数が2,000人以下
  • 社会福祉法人や特定非営利活動法人では、従業員数が2,000人以下

申請方法

経営力向上計画の認定を受けるためには、定められた手順に沿って適切に計画書を作成する必要があります。
当該計画書作成のための事前準備から認定後までのポイントについて解説します。

事前準備

事前準備で最も大切なのは、自社が経営力向上計画の対象か否かを確認することです。

計画書の提出によって固定資産税の半減が認定されるためには「対象となる設備が新規に購入したものである」「金額についての要件」といった条件があります。

また、自社が対象の場合には、購入を決めた設備が生産性を向上させると証明するため、メーカーに対して証明書の発行を依頼する必要があります。メーカーから証明書を取得するには一定の期間が必要なので、早めの事前準備が必要です。

計画実施後の効果

事前準備が完了した後、計画実施後の効果を盛り込む作業が必要です。

経営力向上計画には、計画の実施前と実施後で生じた変化を盛り込む項目がありますが、どの項目に記載するかは、国が定めている事業分野別指針を参考にします。

例えば製造業の場合、自社の強みを直接支える項目として下記項目の記載が求められているので、事業者はこうした指針の中から、必要数とされる項目を自由選択し、計画書に記載します。

  • 従業員等に関する事項
  • 製品や製造工程に関する事項
  • 標準化や知的財産権等に関する事項
  • 営業活動に関する事項

認定後の計画実施

経営力向上計画書の作成が完了した後、事業所を所管する主務大臣に計画書を申請・提出します。

計画書が認定された場合、税制措置や金融支援を受けながら当該計画書に沿って経営力向上の取り組みを進めます。
なお、途中で経営力向上計画の変更を余儀なくされる場合には変更申請が別途必要です。変更申請の際には、資金調達額の若干の変更や法人の代表者の交代といった項目を除き、設備の取得日から60日以内に主務大臣へ提出します。

専門家のサポート

経営力向上計画書の作成にあたっては、認定要件を正しく理解した上で進める必要があります。

自社で計画書の作成が難しい場合には、認定経営革新等支援機関のサポートを受けられる制度が利用可能です。認定経営革新等支援機関には、公認会計士や税理士といった経営の専門家が所属しており、相談や計画書の作成や認定取得、その後の計画実施などをトータルで支援してくれるため、小額の負担で計画書を作成できます。

参照:経営力向上計画策定の手引き

即時償却について

設備投資を実施した際の会計処理は、設備の耐用年数に応じ、期ごとに一定額を利益からマイナスする減価償却を行うのが通常です。一方、即時償却では一括して全額を費用処理できます。簡単にいえば、即時償却とは「前倒しで経費を計上する」という意味です。

即時償却のメリットは、前倒しで経費計上することによって当該年度の利益が目減りし、法人税の課税対象所得を少なく抑えられるという点にあります。ただし、翌年度以降は償却費がなくなるため、最終的な納税額は同額となります。
即時償却によって、当該年度の節税額を増やせば資金に余裕ができるため、さらに次の投資にまわすこともできます。

今後、積極的な設備投資を予定している事業者には、即時償却が可能な上乗せ措置の利用を検討することを推奨します。中小企業投資促進税制の詳細については、下記をご参照ください。

参照:中小企業庁(中小企業投資促進税制)

経営革新計画との違い

経営力向上計画について詳しく解説してきましたが、さまざまな補助金の募集要項には、これと並んで「経営革新計画」が記載されています。

経営革新計画と経営力向上計画の違いについて解説します。

大きな違いは計画の目的

経営力向上計画も経営革新計画、それぞれが中小企業等経営強化法に基づいて実施されるものですが、計画を作成する目的が異なっています。

経営力向上計画は、現在企業が取り組んでいる事業をより一層成長させるために策定する計画です。人材育成や財務内容の分析、マーケティングの実施やITの利活用、また生産性向上のための設備投資などを通して、事業者が自社の経営力を向上することを目的に策定されるものです。

一方、経営革新計画は、新しい事業分野への進出や、革新的な事業を実施するための計画です。
このため、中小・中堅企業などが新しい事業活動に取り組み、経営を相当程度向上させることを目的として策定されるものです。

従って、経営革新計画を申請する際には、今後自社が取り組む予定の事業がどれだけ革新性があるのかについて詳しく説明する必要があります。

前者は既存の事業改善に、後者は新規事業展開に、それぞれ取り組む違いがあります。

計画認定機関も異なる

経営力向上計画は対象事業の分野を主管する大臣が認定するのに対し、経営革新計画は事業者が所在している都道府県の知事が認定します。業種で認定するか地域で認定するか、の違いとなります。

このため、前者では自社事業の所属事業分野を、後者では各地域での条件を、それぞれ確認する必要があります。

優遇制度の違い

経営力向上計画が認定されれば、上述のとおり固定資産税の減免や金融支援の特例措置などの優遇が受けられます。一方、経営革新計画が認定されると、政府系金融機関による低利融資制度や信用保証協会の保証枠の拡大などの優遇対象となります。

両者とも、税金の減免や金融支援・法的支援など、さまざまな優遇を受けられます。

最後に

経営改善と収益増大を目指す中小・中堅企業などにとっては、経営力向上計画も経営革新計画も、作成する目的や認定機関は違いますが、一度申請して認定されれば、さまざまな優遇を受けることが可能となります。

どちらの計画においても、最大の目的はあくまで自社の労働生産性や経営力を向上させることにあります。
それぞれの制度の内容・詳細をしっかりと把握し、無理のない効率的な計画を立案し、申請することがポイントとなります。

その上で、こうした制度を活用して自社の経営拡大を目指していただきたいものです。

全業種
ほか
公募期間:~
事業再構築補助金、土地建物に根抵当権が設定されている場合は受給可能?抵当権の場合、根抵当権の場合を徹底解説!
上限金額・助成額
万円

新型コロナウイルス感染拡大の影響で事業運営に大きな影響を受けた中小・中堅企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的として設定されている事業再構築補助金ですが、受給にあたって土地や建物に「根抵当権」が設定されている場合は注意が必要です。

これについて詳しく解説します。

根抵当権とは

根抵当権とは、予め上限となる極度額と被担保債権の範囲を定め、この範囲内で何度もお金を借りたり返済することが可能な約定担保物権の1つです。

根抵当権は、通常の抵当権とは異なり、借入れを返済しても自動的に抹消することは出来ず、当事者(一般的には債権者である金融機関)の合意が必要となります。

広く利用される住宅ローンの場合は抵当権を設定するのが一般的ですが、事業を運営し、所有する不動産を担保に借入と返済を繰り返す事業者にとっては根抵当権が一般的となっています。

根抵当権と抵当権と違い

根抵当権と抵当権との主な違いについて解説します。

対象となる債権

まず第一に、それぞれの対象となる債権の「明確さ」が異なります。

抵当権は対象となる債権が明確に定義されており、債務者がいつまでにいくら返済すべきか定められています。
一方、根抵当権の対象となる債権は、債務者と根抵当権者との間で範囲を設定することが可能で、元本の確定までは期日や額も確定しておらず、何度でも借り入れが可能という特徴があります。

権利の移譲

次に、権利の移譲許可に関する違いにが挙げられます。

抵当権は債務者からの移譲許可が必要ありませんが、根抵当権では元本の確定までは債務者からの移譲の許可が必要です。抵当権は返済の時期と金額が明確に定義されているのに対し、根抵当権はそれらが明確に定義されていないことによります。

根抵当権の場合、債権者が返済期日を債務者と調整する必要があるにも拘らず、勝手に権利が移譲されてしまうと債務者が困惑するためです。

連帯債務者

抵当権の場合は連帯債務者をつけることが可能で、債権者である金融機関などが連帯保証人の要不要について判断します。

支払いの時期・金額が明確なため、連帯債務者を設定することに障害はありません。これに対して根抵当権の場合は、元本確定前に連帯債務者をつけることは認められていません。

主な理由として、支払い時期や金額が確定していないことが挙げられます。どの程度のの金額をいつ支払うのか不明確な状態で連帯債務者をつけることは難しいです。ただし、これは登記法上の条件であり、実体法上では、複数の債務者に対して借り入れた個々の債権・債務を連帯債務として扱えることとなっています。

補助金での原則的な扱い

続いて、補助金における原則的な扱いについて解説します。

事業再構築補助金に関わらず、補助金適正化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)の適用下にある各種公的補助金制度では、同法(第22条)の規定により、補助金を活用して得た財産に関して、処分(売却・廃棄等)や担保に供することが禁止されています。これを財産の処分制限(規定)と呼びます。

原則:補助金を活用して取得した資産等に対しては処分等が制限される=担保設定は不可。
詳細については下記を参照願います。

参照:補助金適正化法第22条(財産の処分の制限)について

事業再構築補助金での扱い

事業再構築補助金における扱いについて詳しく解説します。

事業再構築補助金で根抵当権は設定不可能、抵当権は条件付きで承認

事業再構築補助金の公募要領に記載のとおり、根抵当権の設定を行うことは(事前に承認申請をした場合でも)認められません。
一方、(普通)抵当権の設定については、下記の3点を満たす場合に「例外的に」条件付きで認められます。

  1. 補助事業遂行のための必要な資金調達をする場合であること
  2. 事前に事務局の承認を受けること
  3. 担保権実行時に国庫納付をすることを条件とすること

事業再構築補助金での公募要領における当該項目(根抵当権の設定に関する記述)はこちら(21頁)を参照ください。

このため、補助事業の遂行にあたっては、権利者である金融機関等より建物部分に係る根抵当権を設定する義務の免除についての同意を得る必要があります。

既に根抵当権が設定されている場合

補助事業実施場所である土地や改修工事を行う既存建物について根抵当権が既に設定されている場合、その取り扱いについては、補助事業実施前に予め根抵当権を解除する必要があるか否かについては、疑義が生じています。

公募要領などをそのまま文面通りに解釈する限りでは、ここまでは言及されていないため、個別具体的に事務局に相談し、明確にしておくことが大切です。

根抵当権を抵当権に変更する方法(参考)

根抵当権を抵当権に変更する登記申請手続きは存在しないため、実務上は次の手順を取ることが現実的です。

  1. 債権者たる金融機関に相談する。
  2. 金融機関が合意した場合、既存の借入金残高について、借り換えを目的とした新たな金銭消費貸借契約を締結し、当該借入金を被担保債権とする新たな抵当権設定登記を行う。
  3. 上記2と同時に、金融機関側から根抵当権解除証書の発行を受け、根抵当権を抹消する。

金融機関が応じない場合でも、3年以上経過、かつ債務者=担保物件の所有者(根抵当権設定者)で、返済資金がある場合には、次の手順となります。

  1. 根抵当権の元本の確定請求を行う。
  2. 確定した元本について期限の利益を放棄し、全額弁済を行う。
  3. 弁済を理由として根抵当権の抹消登記を申請する。

どの場合でも、当該金融機関との良好な関係性を保つことが事業経営にとって極めて重要となるので、事前に十分相談することがポイントです。

上記参考条文:民法第398条19(根抵当権の元本の確定請求)

必要な提出書面

事業再構築補助金の補助対象経費に建物費を計上する場合に関し、 交付申請時に根抵当権に関する「宣誓・同意書」の提出が必要となります。(建物費の計上をしない場合は、提出不要。)

最後に

事業再構築補助金における根抵当権の活用が難しい状況について解説しました。


事業再構築補助金の事業の目的は、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応することであり、中小・中堅企業がそれぞれの生き残りをかけた取り組みを支援するのが趣旨です。

コロナ禍という緊急事態の中、今後は中小企業の実態にあわせて例外を政令で定めるなど、柔軟な対応が期待されます。

全業種
ほか
公募期間:2023/04/01~2024/03/31
富山県:建設業新分野進出事業等支援補助金
上限金額・助成額
200万円

経営基盤強化のための一施策として、新たな事業分野への進出や、合併等の経営革新に取り組む建設企業に対し、「新分野進出等支援補助事業」を実施するものです。

経営基盤強化を目的とする、建設企業等の合併・連携や新分野事業進出を促進するため、進出の検討・準備、事業立上げ及び事業定着のそれぞれの段階に応じて助成します。

なお、令和6年3月31日までに事業を完了し、補助対象経費を支払うことが必要となります。
※締め切りは設けませんが、採択の状況によって、募集を終了することがあります。

建設業
ほか
公募期間:2023/04/01~2024/03/31
富山県:建設業新分野進出事業定着支援補助金
上限金額・助成額
100万円

経営基盤強化のための一施策として、新たな事業分野への進出や、合併等の経営革新に取り組む建設企業に対し、「新分野進出等支援補助事業」を実施するものです。

経営基盤強化を目的とする、建設企業等の合併・連携や新分野事業進出を促進するため、進出の検討・準備、事業立上げ及び事業定着のそれぞれの段階に応じて助成します。

なお、令和6年3月31日までに事業を完了し、補助対象経費を支払うことが必要となります。
また、申請内容によっては、県が実施する「建設業経営相談」により専門家の助言を受けていただくことがありますので、お早めにお問い合わせください。

建設業
ほか
公募期間:2023/04/01~2024/03/31
富山県:令和5年度 建設業新分野進出プラン策定等支援補助金
上限金額・助成額
50万円

経営基盤強化のための一施策として、新たな事業分野への進出や、合併等の経営革新に取り組む建設企業に対し、「新分野進出等支援補助事業」を実施するものです。

経営基盤強化を目的とする、建設企業等の合併・連携や新分野事業進出を促進するため、進出の検討・準備、事業立上げ及び事業定着のそれぞれの段階に応じて助成します。

なお、令和6年3月31日までに事業を完了し、補助対象経費を支払うことが必要となります。
また、申請内容によっては、県が実施する「建設業経営相談」により専門家の助言を受けていただくことがありますので、お早めに当課へお問い合わせください。

※締め切りは設けませんが、採択の状況によって、募集を終了することがあります。

建設業
ほか
公募期間:~
事業再構築補助金でフランチャイズ事業を始めるには?条件と事例解説
上限金額・助成額
万円

新型コロナウイルスの感染拡大により、特に中小・中堅企業は大きなダメージを受けました。
今後もしばらくは苦しい経営環境が予想されますが、こうした事業者を支援するために事業再構築補助金が設定されています。
この記事では、この制度をフランチャイズ事業展開に活用する方法と事例について詳しく解説します。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、政府・厚生労働省主管により実施される制度で、上述のとおり中小企業が新分野展開や業態転換、事業・業種転換や事業再編、またはこれらの取組を通じた規模の拡大など、思い切った事業再構築にチャレンジすることを支援するものです。
今回、第3回の公募が本年7月30日から開始され、9月21日に締め切られました。

事業再構築補助金(第3回)概要

今回の事業再構築補助金では、ポストコロナ・ウィズコロナ時代における経済社会の変化に対応するため、中小企業の大胆な事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。
この趣旨に沿って、コロナ禍の影響で厳しい経営環境にある中小・中堅企業や個人事業主、企業組合などを対象としています。

詳細については下記をご参照ください。

https://biz.stayway.jp/hojyokin/1058/

事業再構築補助金申請採択への経費条件

コロナ禍で苦しむ事業者が事業再構築補助金受給を目指し、申請することは、現下の経営環境を改善するために非常に有効な手段です。
その際に利用可能な経費と、認められない経費などについて解説します。

利用可能な経費

事業再構築補助金を受給するためには、当該事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資が必要で、本事業の対象として明確に区分する必要があります。
特徴的なものとして、建物費(建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復)が補助対象経費となっています。

具体的な経費項目は次のとおりです。

  • 建物費(建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復)
  • 機械装置・システム構築費(設備、専用ソフトの購入やリース等)、クラウドサービス利用費、運搬費
  • 技術導入費(知的財産権導入に要する経費)、知的財産権等関連経費
  • 外注費(製品開発に要する加工、設計等)、専門家経費
  • 広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
  • 研修費(教育訓練費、講座受講等)

利用できない経費

一方、利用できない経費としては次のような項目があります。

  • 補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費
  • 不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費
  • フランチャイズ加盟料、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費

FC加盟料は対象外

利用できない経費項目に上げているとおり、フランチャイズ事業を展開する際に必要となる、いわゆるFC加盟料は対象外となります。

https://biz.stayway.jp/hojyo_detail/942/

https://biz.stayway.jp/hojyo_detail/1095/

https://biz.stayway.jp/hojyo_detail/1097/

https://biz.stayway.jp/hojyo_detail/943/

https://biz.stayway.jp/hojyo_detail/945/

https://biz.stayway.jp/hojyo_detail/946/

フランチャイズ展開例

事業の再構築目的だと認められれば、フランチャイズ加盟に際しての事業再構築補助金受給も可能となります。
フランチャイズに加盟して事業転換が可能となれば、自社の強みとフランチャイズのノウハウを生かした事業が可能となります。

展開可能なフランチャイズ例と採択事例について解説します。

展開可能なフランチャイズ業種例

展開可能なフランチャイズ例としては、次のような分野が挙げられます。

飲食業

今回のコロナ禍で経営上のダメージを最も大きく受けた業種の一つです。
多くの飲食店が閉店や廃業に追い込まれ、ウィズコロナの社会でも客足が戻るのか不安な面が残ります。
一方、コロナ禍で業績を大きく拡大したのが宅配・デリバリー業です。
このため、飲食店もデリバリー事業への業種転換を図ることで、売り上げの回復が見込まれます。

サービス業

サービス業も多岐にわたっていますが、コロナにより高齢者向けのデイサービスなどが特に大きな打撃を受けています。コロナ感染で高齢者へのクラスターが発生すると大きな被害が出るため、デイサービスの封鎖などが進んでいます。こうした高齢者向けデイサービスの事業転換としては、病院向け食事の提供や病院事務の受託などへの転換が可能です。

また、人が集まることで収益を上げるサービス業などでは、積極的なオンライン活用に活路を見出すことができます。
オンライン型のサービスを提供しているフランチャイズ企業も非常に多くなっているため、フランチャイズとの提携が事業転換のポイントとなります。

小売業

さまざまな販売を手掛ける小売業の中で、店頭販売型の経営を行っている企業も緊急事態宣言により外出を控えられており、売り上げは大きく減少しています。こうした事業形態でも、オンライン販売へのサービス展開に活路を見出すことができます。

大手企業などではオンライン販売が充実しており、経営ノウハウも充実していまるため、こうした企業へのフランチャイズ加盟によって回復が見込まれます。
オンライン販売が主流となれば店舗を構える必要性もなくなり、余計な固定費も圧縮できるため、非常にメリットのある事業展開が可能となります。

製造業

製造業でも、事業転換などによって事業再構築補助金の受給への道が開けます。
例えば、航空機部品を製造していたところ、コロナで需要が減少したことで、既存事業の一部である関連設備の一部廃棄等を行い、医療機器製造事業を新規に立ち上げ、全国的な販売網のフランチャイズ化する場合などが挙げられます。

その他業種

上記に挙げた事業分野以外にも、フランチャイズ化によって事業拡大を目指すことは可能です。

建設業では、自社保有の土地を有効活用してキャンプ場へと事業転換し、このビジネスモデルをフランチャイズとして全国展開したり、情報サービス業では画像処理技術を活かしてフランチャイズ店舗化を図るなど、また、サービス業ではヨガ教室のオンライン化事業を立ち上げ、フランチャイズ展開するなど、様々な業種で可能性があります。

採択事例

具体的な採択事例を取り上げます。

カテゴリ1:FC展開を企画・推進する例

①とり卓(宮城県・緊急事態宣言特別枠)

資本金:非公開

持続可能な飲食経営モデルを輩出する焼鳥店FC本部構築事業

既存の飲食事業ではコロナの影響で回復の見通しが立たない中、同社の経営者兼職人が持つ焼鳥店経営ノウハウを活かしてFCオーナー事業を展開する。小規模低リスクで開業可能なモデルを輩出し、事業再構築および拡大を目指す。

 

②株式会社L・C・V(北海道・緊急事態宣言特別枠)

資本金:1百万円

トレンドのキャッチ力を活かした「町の八百屋」への新分野展開

近隣にはない野菜や果物を扱った八百屋が運営する産地直送野菜と、その野菜を使った弁当なども販売しているお店のフランチャイズ化を推進する。

 

③株式会社シルヴァンブリーズ(岐阜県・通常枠)

資本金:3百万円

学習塾経営に革新をもたらす七色システムの開発

少子化が進む中、新型コロナの影響が追い打ちをかけ、学習塾では生徒確保に厳しさが増している。それを解決すべく、現在ニーズが増している高校生を対象とした市場にフォーカスし、七色システムを開発してFC展開を図り、事業拡大につなげる。

 

カテゴリ2:FCに加盟・参加する例

④株式会社シモン(東京都・通常枠)

資本金:490百万円

FC加盟によるリハビリ型デイサービス事業への参入および主軸事業化

コロナ後で安定さを欠く婚礼事業が唯一の事業である同社では、事業を多角化することが将来の企業存続のために必要である。堅い需要が今後も継続成長する介護事業への新規参入と主軸事業化により、環境変動に強い事業体を迅速に構築する。

 

⑤株式会社パレット(兵庫県・通常枠)

資本金:非公開

接客力と品揃え豊富さを活かした韓国化粧品販売事業

日用品の品揃えを強化し、経済ショックが起きても来店客現象を防ぐことが課題となっており、解決策として韓国化粧品の有名ブランドメーカーのフランチャイズに加盟して化粧品を販売することで、若年層を中心として集客を図る。

最後に

事業再構築補助金を活用する上で、フランチャイズは有力な手段のひとつです。
フランチャイズでは、事業を展開する前提としてブランドやノウハウをしっかりと共有する前提で開業できるため、実現可能性が高いビジネス分野です。

自社のフランチャイズビジネスを成功させるため、この補助金を有効活用していただきたいものです。

全業種
ほか
公募期間:~
最新公募要領リリース!事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用枠)を徹底解説
上限金額・助成額
万円

※記事内容は記事更新日時点の情報になります。最新の情報は必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

令和6年7月1日に、事業承継・引継ぎ補助金 10次公募の申請受付が開始となりました。

 

これまでの公募では3つの申請枠で公募が行われましたが、10次公募は「専門家活用枠」のみ実施されます。

 

そこでこの記事では、事業承継・引継ぎ補助金 10次公募(専門家活用枠)について解説します。 ※令和6年8月29日更新:10次公募採択結果が公表されましたので後述します。

事業承継・引継ぎ補助金とは?

事業承継やM&Aを契機とした経営革新等への挑戦や、M&Aによる経営資源の引継ぎを行おうとする中小企業者等を後押しすることを目的とした補助事業です。従来は以下、3つの事業で構成されています。

  1. 経営革新枠
  2. 専門家活用枠
  3. 廃業・再チャレンジ枠

ただし、10次公募においては「専門家活用枠」のみの公募となります。「専門家活用枠」では、M&Aによる経営資源の引継ぎを支援するため、M&Aに係る専門家等の活用費用を補助します。

◆「経営革新事業」「廃業・再チャレンジ枠」の詳細については、別記事で解説しております。あわせてご参照ください。

https://biz.stayway.jp/hojyokin/1536/

https://biz.stayway.jp/hojyokin/6537/

事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)10次公募の変更点

10次公募は専門家活用枠のみの実施であることから、公募要領において、他申請枠との「併用申請」に関する記述が削除されています。

そのほか、9次公募からの主な変更点は以下の通りです。

交付決定事業者の公表に関する文言変更

10次公募の公募要領では、交付決定となった事業者の公表について、以下のように変更されています。

交付決定された事業者においては、補助対象事業の特性に鑑みて事業者の特定に繋がらな
いよう配慮しながら、交付決定金額等が外部に公表される。

引用:事業承継・引継ぎ補助金 公式HP 10次公募 公募要領

変更前は「中小企業庁や事務局の設置する事業承継・引継ぎ補助金Webサイト等での個別の交付決定となった補助対象者の公表を行わない。」とされていました。

 

上記の変更によって、一部の情報が公表されることとなります。

「遂行状況の報告」の削除

9次公募の公募要領に「交付決定後の注意」として記載されていた、「遂行状況の報告」に関する以下の文章が削除されました。

(5) 遂行状況の報告
補助事業期間において、事務局より補助事業の遂行状況について確認する場合がある。事務局から指示があった場合は、jGrants を通じて「様式第 4 状況報告書」による報告を実施すること。

引用:事業承継・引継ぎ補助金 公式HP 9次公募 公募要領

補助対象経費について

補助対象経費の支払いについて、(補助対象者ではなく)補助事業者名義による「補助事業者の事業用口座からの銀行振込」または「クレジットカード 1 回払い」のみ対象である旨が明記されました。

これまで「事業用」の記載はありませんでしたが、9次公募から明記されています。なお、あわせて以下の文言が追記されています。

必ず補助事業者名義の口座から支払を実施してください。

引用:事業承継・引継ぎ補助金 9次公募 公募要領

事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用枠) 概要

続いて、専門家活用枠の概要をお伝えします。

専門家活用事業の類型

専門家活用事業の類型は、次の2つに分類されます。

■買い手支援型(Ⅰ型)
事業再編・事業統合に伴い株式・経営資源を譲り受ける予定の中小企業等を支援する類型。

■売り手支援型(Ⅱ型)
事業再編・事業統合に伴い株式・経営資源を譲り渡す予定の中小企業等を支援する類型。

どんな人が支援の対象になるの?

補助対象者の主な要件は以下の通りです。

(1)日本国内に拠点もしくは居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること。
(2)反社会的勢力との関わりがないこと。
(3)法令遵守上の問題を抱えていないこと。
(4)事務局から質問及び追加資料等の依頼があった場合は適切に対応すること。
(5)事務局が必要と認めるときは、事務局が補助金の交付申請ほか各種事務局による承認及び結果通知に係る事項につき修正を加えて再度通知することに同意すること。
(6)申請その他本補助金の交付にあたり負担した各種費用について、いかなる事由においても事務局が負担しないことについて同意すること。
(7)経済産業省から補助金指定停止措置または指名停止措置が講じられていないこと。
(8)補助対象事業に係る全ての情報について、事務局から国に報告された後、匿名性を確保しつつ公表される場合があることについて同意すること。
(9)事務局が求める補助対象事業に係る調査やアンケート等に協力できること。
(10) ファイナンシャルアドバイザー(以下、「FA」という)・M&A 仲介費用を補助対象経費とする場合は、事務局から M&A 支援機関登録制度事務局に対し情報提供すること及び登録 FA・仲介業者により、M&A 支援機関登録制度事務局に対し実績報告がなされることに同意すること。

補助対象事業

補助対象事業となる経営資源引継ぎは、被承継者と承継者の間で事業再編・事業統合が着手もしくは実施される予定、または廃業を伴う事業再編・事業統合が行われる予定であることとし、下図「経営資源引継ぎ形態に係る区分整理」で定める形態が対象です。

なお、「補助対象者」と「経営資源引継ぎの形態」によって、「交付申請類型番号」と「実績報告類型番号」が振り分けられています。申請の際は、ご自身の該当する類型番号をご確認ください。

(注 1)被承継者が法人又は個人事業主であること
(注 2)共同申請の場合
(注 3)個人事業主を含む

出典:事業承継・引継ぎ補助金 公式HP 10次公募 公募要領

補助対象経費

補助対象となる経費は、以下の通りです。

タイプ 補助対象経費の区分

買い手支援型(Ⅰ型)

謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料、廃業費:廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用

売り手支援型
(Ⅱ型)

出典:事業承継・引継ぎ補助金 公式HP 10次公募 公募要領

補助上限額、補助率等

補助金上限額に関して、「売り手支援型」には廃業費用が上乗せされます。

類型 補助率 補助上限額 上乗せ額(廃業費)
買い手支援型(Ⅰ型) 2/3以内 600万円以内 -
売り手支援型(Ⅱ型) 1/2⼜は2/3以内 +150万円以内

参照:事業承継・引継ぎ補助金 公式HP 10次公募 公募要領

手続きの流れ

【事前準備】
・補助対象事業の確認
・認定経営革新等支援機関へ相談
・gBizIDプライムの取得

【交付申請】
・交付申請
・審査の後、交付決定通知

【事業実施】
・補助対象事業実施
補助事業期間は、令和6年11月22日でです。

【事業完了】
・事業完了後に実績報告

【補助金交付】
・確定検査、補助金交付

【補助金交付後】
・事業化状況の報告等

交付申請に必要書類

補助金交付申請書(jGrants 上の申請フォーム)を jGrants にて提出してください。
交付申請類型番号毎に必要な書類が異なるため、詳細は、公募要領にてご確認ください。

なお、交付申請は jGrants での提出となるため、以下に示す必要書類は原則 PDF 形式での提出が必要です。

事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)10次公募 スケジュール

申請受付期間 令和6年7月1日(月)~ 令和6年7月31日(水)17:00まで
交付決定日 令和6年8月末~9月初頭(予定) → 令和6年8月29日(木)に公表されました。
事業実施期間 交付決定日~令和6年11月22日(金)
実績報告期間 令和6年8月29日(木)~令和6年11月25日(月)※原則
補助金交付手続き 令和6年12月中旬以降(予定)

問い合わせ先

事業承継・引継ぎ補助金 Web サイト(専門家活用枠)
https://jsh.go.jp/r5h/experts/

事業承継・引継ぎ補助金事務局(専門家活用)
050 - 3000 - 3551
受付時間:10:00~12:00、13:00~17:00 (土・日・祝日を除く)

採択率

令和6年8月29日に10次公募の採択結果が公表されました。結果は以下のとおりです。
※10次公募は専門家活用枠のみでの実施

専門家活用枠:2024年7月1日~2024年7月31日

申請 518件、採択 321件 (うち、専門家活用枠 318件、廃業・再チャレンジ枠(併用)3件)、採択率 約62.0%

公式HP:https://jsh.go.jp/r5h/adoption-result/
中小企業庁HP:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2024/240829shoukei_saitaku.html

採択事例

これまでに採択された事例の一部を紹介します。

専門家活用×買い手支援型

①卸売業・小売業:弊社は薬局の経営を行っている会社であり、昨今の新型コロナウイルスに影響で一時よりは持ち直しているものの、当初の計画より売上2割減くらいの状況が続いている。既存の薬局に関しては、新型コロナの影響が大きい耳鼻科クリニックに通院する患者をメインターゲットにしているが、引継予定である薬局は新型コロナの影響が少ない整形外科病院の患者さんがメインターゲットとなっている。引継予定となる店舗は、人口減の過疎地域に立地しており、後継者となる薬剤師がいないことから、廃業も視野に入れて別の会社で引き継いでくれる先を探していたところ、弊社と秘密保持契約を締結している仲介業者が情報を入手し、交渉を引き続き進めている。交渉中の店舗を引き継ぐことで、地域経済の活性化に貢献するのみならず、今まで店舗を利用していた患者さんが、遠くに足を運ばなくてはならないということを防ぐ点から今回の引継ぎは非常に大きな必要性を感じる。
対象会社の経営資源を引き継ぐことで、対象会社は経営課題であった薬剤師の雇用や取引先との取引を維持することができ、高い水準での売り上げの安定化を図ることができると考える。弊社についても定期的に病院患者さんからの売上が見込めることによって、既存の薬局の事業展開が可能になると考える。従来は既存の薬局は近隣のクリニックに通院している患者さんをターゲットにして、収益の安定化を図っていたが、高い水準で収益の安定が見込める店舗を引き継ぐことで、既存の店舗は近隣のクリニックのみならず、介護施設やサービス付き高齢者向け住宅への在宅訪問の事業展開を行うことができる。外来よりも在宅訪問のほうがよりお客様単価が見込めるため、利益の質の向上につながり、地域密着型の高水準のサービスを提供する薬局として拡大していく。

専門家活用×売り手支援型

②建設業:当社は戸建住宅の解体工事業を行っており、上場系企業との厚い取引を背景に安定した収益を上げている。現在設立より4期目を迎え、業容も順調に伸張しているものの中長期的な目線に立ち、当社の人員構成や事業環境等に鑑みる中で、大手他企業と提携しているみるのも一案ではないかと考え、取引行に相談をおこなった。その後、取引行より当社から車で20分程度の位置に本社を構える会社の紹介を受け、買い手候補先の社長とも面談を実施した。面談を通じ、相手先は注文住宅の建築から公共工事、高齢者向け施設の建築等を行う総合建築業者であり、当社事業との親和性も高く、相乗効果も大いに得られるのではないかと考えた。自身も仮に本事業が成就した後も社内に残り、取引先や外注先との関係性維持を図っていく予定である。

引用:事業承継・引継ぎ補助金 事例集(令和3年度当初予算 事業承継・引継ぎ補助金)

https://biz.stayway.jp/hojyo_detail/3016/

まとめ

事業承継・引継ぎ補助金 10次公募の変更点と概要を解説しました。

事業承継をお考えの方は、本補助金をぜひご活用ください。

全業種
ほか
公募期間:~
最新公募要領リリース!事業承継・引継ぎ補助金(経営革新枠)を徹底解説
上限金額・助成額
万円

※記事内容は記事更新日時点の情報になります。最新の情報は必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

令和6年4月1日に、事業承継・引継ぎ補助金/9次公募の申請受付が開始となりました。

 

そこでこの記事では、事業承継・引継ぎ補助金/9次公募について解説します。これから公募への申請を検討されている方は、ぜひこちらの記事をご参照ください!

事業承継・引継ぎ補助とは?

事業承継やM&Aを契機とした経営革新等への挑戦や、M&Aによる経営資源の引継ぎを行おうとする中小企業者等を後押しすることを目的とした補助事業です。以下、3つの事業で構成されています。

  1. 経営革新枠
  2. 専門家活用枠
  3. 廃業・再チャレンジ枠

なお、本記事で紹介する「経営革新枠」は、中小企業者が事業承継を契機として経営革新に係る取組を支援する事業です。

◆「専門家活用枠」「廃業・再チャレンジ枠」の詳細については、別記事で解説しております。あわせてご参照ください。

https://biz.stayway.jp/hojyokin/1540/

https://biz.stayway.jp/hojyokin/6537/

事業承継・引継ぎ補助(経営革新枠)9次公募の変更点

ここからは、経営革新枠の詳細を紹介します。9次公募では、前回から複数の変更内容があります。変更箇所は以下のとおりです。

賃上げ加点未達の場合に関する文言の追記

8次公募において令和6年1月26日付で削除された以下の文言が、9次公募要領に再度掲載されました。

交付申請時点から過去18ヵ月の間において、中小企業庁が所管する補助金※に申請した内容について、賃上げ加点の要件等が未達成の場合、正当な理由が認められない限り大幅に減点されることを了承した上で申請すること。

※令和6年3月時点では、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(第17次公募以降)、サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金2024公募以降)、小規模事業者持続化補助金(第15回公募以降)、事業承継・引継ぎ補助金(第8次公募以降)、成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)(令和6年度公募以降)、事業再構築補助金(第12回公募以降)、(中小企業省力化投資補助事業(第1回公募以降)を含む)

引用:事業承継・引継ぎ補助金 公式HP 公募要領

事業承継対象の始期及び期間

9次公募では、事業承継対象期間の始期が2019年(令和元年)11月23日からとなり、事業承継対象期間は令和元年11月23日から令和6年11月22日(予定含む)までとなります。

実績報告類型番号の変更

補助対象事業となる事業承継の形態のうち、「経営者交代類型(Ⅱ型)」「M&A 類型(Ⅲ型)」において、個人事業主が承継者である場合かつ個人事業主が被承継者である場合の実績報告類型番号が、「1」から「3」に変更となりました。

実績報告類型番号は、承継完了報告用の必要書類を示す識別番号です。ただし、上記変更に伴う必要書類の変更はなく、これまで同様に以下の書類が必要です。

 

①事業譲渡契約書
②移動した資産負債の一覧(事業譲渡契約書に移動した資産負債の記載がない場合)

③事業譲渡が行われたことを証する書類(領収書、検収書、開廃業届等 )

④開業届(交付申請時に開業していなかった承継者の場合)

 

上記に加えて、事業承継時から被承継者の法人名の変更、 被承継者の消滅、個人事業主における屋号・代表者氏名の変更(改名)等が実施されており、交付申請・採択時の被承継者情報と異なる場合は、被承継者の同一性が確認できる証憑(履歴事項全部証明書等)を取得の上提出してください。

 jGrantsについて

交付申請手段である「jGrants(jグランツ)」について、以下の文言が追記されました。改めましてご注意ください。

なお、本補助金を含む国の補助金の電子申請システムである jGrants では代理申請を行うための委任関係を管理する機能は提供していない。同一パソコンから大量に申請がある場合などは、個別に事情を伺う可能性がある。正当な事由なく、申請者自身による申請と認められない場合には、当該申請は不採択又は交付決定の取り消しとなる。

引用:事業承継・引継ぎ補助金 9次公募 公募要領

加点事由への該当を証する書類 に関する記述変更

補助上限額の引き上げのため、地域別最低賃金+50 円以上又は事業場内最低賃金から+50 円以上となる賃上げの実施を計画している場合について、以下の記載に変更されました。(太字部分が変更箇所)

補助上限額の引き上げのため、地域別最低賃金+50 円以上又は事業場内最低賃金から+50 円以上となる賃上げの実施を計画している場合であっても、対象となる期間など条件が異なることから、加点事由に係る賃上げを併せて申請する場合には、専用の用紙に記入の上で提出すること(求められる賃上げ条件に応じた用紙を、それぞれの提出箇所からアップロードすること)

引用:事業承継・引継ぎ補助金 9次公募 公募要領

変更前は「当該書類を加点事由の提出欄からも提出(アップロード)すること(同じ書類を 2 ヶ所から提出すること)」とされており、提出方法が変更されました。

補助金交付に際しての追記

補助金の交付に関して、以下の文言が追記されました。

※実績報告内容に不備があった場合は、期限を定めて事務局より補正依頼を実施するが、補正期限までに必要な補正がなされず適正な経理処理が確認できない場合は、当該経費について減額する可能性もあるため、留意すること。このため、公募要領及び「補助金交付のための事務手引書」、「証拠書類等の準備に係る留意点」等をよく確認し、必要となる証拠書類を適切に管理すること。実績報告書等の提出の際には、必要書類の漏れがないように確認の上、提出を実施すること。

引用:事業承継・引継ぎ補助金 9次公募 公募要領

補助対象経費について

補助対象経費の支払いについて、補助事業者名義による「補助事業者の事業用口座からの銀行振込」または「クレジットカード 1 回払い」のみ対象である旨が明記されました。

これまで「事業用」の記載はありませんでしたが、9次公募から明記されています。なお、あわせて以下の文言が追記されています。

必ず補助事業者名義の口座から支払を実施してください。

引用:事業承継・引継ぎ補助金 9次公募 公募要領

事業承継・引継ぎ補助(経営革新枠)過去変更点

続いて、大きな変更のあった5次公募以降の主な変更点について解説します。


出典:令和4年度 補正予算 事業承継・引継ぎ補助⾦ 経営⾰新事業

制度上のポイントとなる変更は、大きく4つあります。事業承継・引継ぎ補助金の公募ページに掲載されているパンフレットをもとに内容を紹介します。

 

⼀定の賃上げを実施した場合の補助上限額引き上げ

経営革新事業における補助上限額は、原則600万円です。この金額は4次公募から変わっていません。ただし、5次公募から、補助事業期間において一定の賃上げを行った場合に補助上限額が800万円まで引き上げられました。

一定の賃上げとは、以下の要件を満たすものを指します。

1. 補助事業期間終了時に、事業場内最低賃⾦が地域別最低賃⾦+30円以上の賃上げ
2. 上記を既に達成している事業者は、補助事業期間終了時に、事業場内最低賃⾦+30円以上の賃上げ

なお、補助率については補助額のうち、600万円までの部分は補助率3分の2、600万円を超えて800万円以下の部分の補助率は1/2以内となります。

⼀定条件を満たした場合の補助率引き上げ

①⼩規模企業者、②営業利益率が低下、③営業利益または経常利益が⾚字、④中⼩企業活性化協議会等からの⽀援を
受けている、のいずれかに該当する場合、補助率は2/3以内に引き上げられます。

同⼀法⼈内の代表者交代の場合は、未来の承継も補助対象に

事業承継前の取組を補助⾦の対象とすることで、後継者の早期成⻑を後押しし、事業承継の早期化・円滑化につながるものと考えられることから、⼀部要件の緩和を⾏いました。「未来の承継」として、後継者候補を主体に事業承継前における経営⾰新的な取組にかかる費⽤を⽀援します。

4次公募では、補助事業期間内に中小企業者等間における事業を引き継がせる者と事業を引き継ぐ者の間で M&A 等を含む事業の引き継ぎを行った又は行うことが補助対象事業の条件のひとつでした。

今回の変更内容である未来の承継では、以下の要件を満たす場合、事業承継対象期間以降の事業承継においても、本補助事業の対象となります。

  • 同⼀法⼈内の代表者交代による事業承継であること
  • 将来経営者となることが⼗分⾒込まれる後継者が選定できていること
  • 後継者候補が該当法⼈に在籍していること
  • 補助事業期間が終了する事業年度から5年後の事業年度までに事業承継を完了する予定である 等

審査の加点項⽬を追加

以下の項目が、審査における加点事由に追加されました。いずれも交付申請時点で該当する必要があり、該当する
ことを証する書類の提出が必要です。

  • 健康経営優良法⼈であること
  • サイバーセキュリティお助け隊サービスを利⽤する中⼩企業等であること
  • (連携)事業継続⼒強化計画の認定を受けていること
  • 申請者の代表者がアトツギ甲⼦園のファイナリストであること

あわせて、従前記載のあった「新型コロナウイルス感染症拡大以後(2020 年 1 月以降)に承継をしていること。(補助対象期間中の承継も含む)

経営革新事業の類型

経営革新事業には、以下3つの類型があります。類型によって、対象となる事業承継の要件が異なります。

創業支援型(Ⅰ型)

以下の1~2をいずれも満たすこと
1. 事業承継対象期間内における法人設立、又は個人事業主としての開業
2. 創業にあたって、廃業を予定している者等から、株式譲渡、事業譲渡等により、有機的一体としての経営資源(設備、従業員、顧客等)の引き継ぎを受けること

 

経営者交代型(Ⅱ型)
以下の1~2をいずれも満たすこと
1. 親族内承継や従業員承継等の事業承継(事業再生を伴うものを含む)
2. 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、経営等に関して一定の実績や知識等を有している者であること

  • M&A型(Ⅲ型)
    以下の1~2をいずれも満たすこと
    1. 事業再編・事業統合等のM&A(親族内承継を除く)
    2. 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、経営等に関して一定の実績や知識等を有している者であること

補助対象者

補助対象者の主な要件は、以下のとおりです。

(1)日本国内に拠点もしくは居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること。
(2)地域経済に貢献している中小企業者等であること。地域の雇用の維持、創出や地域の強みである技術、特産品で地域を支える等、地域経済に貢献している中小企業者等であること。

※(2)の地域経済に貢献している例
・所在する地域または近隣地域からの仕入(域内仕入)が多い。
・所在する地域または近隣地域以外の地域への売上(域外販売)が多い。
・地域の強み(技術、特産品、観光、スポーツ等)の活用に取り組んでいる。
・新事業等に挑戦し、地域経済に貢献するプロジェクトにおいて中心的な役割を担っている、など。

(3)補助対象者またはその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢力でないこと。
(4)法令順守上の問題を抱えている中小企業者等でないこと。
(5)事務局から質問及び追加資料等の依頼があった場合は適切に対応すること。
(6)事務局が必要と認めるときは、事務局が補助金の交付申請ほか各種事務局による承認及び結果通知に係る事項につき修正を加えて通知することに同意すること。
(7)申請その他本補助金の交付にあたり負担した各種費用について、いかなる事由においても事務局が負担しないことについて同意すること。
(8)経済産業省から補助指定停止措置または指名停止措置が講じられていないこと。
(9)補助対象事業に係る全ての情報について、事務局から国に報告された後、匿名性を確保しつつ公表される場合があることについて同意すること。
(10)事務局が求める補助対象事業に係る調査やアンケート等に協力できること。

補助対象経費

事業費(人件費、店舗等借入費、設備費等)、廃業費(廃業支援費、在庫廃棄費、解体費)など

補助上限額、補助率等

類型 補助率 補助上限額
上乗せ額
(廃業費)
創業支援型(Ⅰ型) 補助対象経費の
3分の2 又は
2分の 1以内
600 万円又は
800 万円以内

+150万円
以内

経営者交代型(Ⅱ型)

M&A型(Ⅲ型)

出典:事業承継・引継ぎ補助金 公募ページ

手続きの流れ

【事前準備】
・補助対象事業の確認
・認定経営革新等支援機関へ相談
・gBizIDプライムの取得

【交付申請】
・交付申請
・審査の後、交付決定通知

【事業実施】
・補助対象事業実施
補助事業期間は、交付決定日から最長で2024年9月16(月)でです。

【事業完了】
・事業完了後に実績報告

【補助金交付】
・確定検査、補助金交付

【補助金交付後】
・事業化状況の報告等

申請スケジュール

申請受付期間 令和6年4月1日(月)~令和6年4月30日(火)17:00まで
交付決定日 令和6年6月上旬(予定)
事業実施期間 交付決定~令和6年11月22日
実績報告期間 令和6年12月2日まで
補助金交付手続き 未定

問い合わせ先

事業承継・引継ぎ補助金 Web サイト
https://jsh.go.jp/r5h/
事業承継・引継ぎ補助金事務局(経営革新)
050 - 3000 - 3550
受付時間:10:00~12:00、13:00~17:00 (土・日・祝日を除く)

採択率

公表された採択結果のうち、直近回の結果は以下のとおりです。

■8次締切

・交付申請期間:2024年1月9日~2024年2月16日
・採択結果:
 ・経営革新枠:申請 334件、採択 201件、採択率 約60.2%
 ・専門家活用枠:申請 374件、採択 229件、採択率 約61.2%
 ・廃業・再チャレンジ枠:単独申請 1件、併用申請 21件、採択 12件、採択率 約54.5%

中小企業庁ページ:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2024/240401shoukei_saitaku.html
事業承継・引継ぎ補助金 公式HP:https://jsh.go.jp/r5h/adoption-result/

採択事例

これまでに採択された事例の一部を紹介します。

経営革新×経営者交代型

スポーツ用品卸売業:新規顧客を獲得するため新たにトレーニングルーム(予約制・非接触)を設置、トレーニング設備を購入。老舗スポーツ店を承継し自身の強みを活かした地域の子供たちに役立つお店へ。

花・植木小売業:生花・観葉植物のサブスクリプションサービス体制の構築による販路拡大事業

経営革新×経営者交代型

③旅館、ホテル:お客様への安心・安心の積極的な担保と事業拡大の両立。他の宿泊施設との差別化を図るため、築70年の昔ながらの古い和室を改装し、もとの良さを生かしつつモダンな雰囲気の和室に改装することが出来た。

参照:事業承継・引継ぎ補助金 事例集(令和3年度当初予算 事業承継・引継ぎ補助金)

https://biz.stayway.jp/hojyo_detail/3016/

まとめ

事業承継・引継ぎ補助金/9次公募の概要、5次公募以降の変更点を解説しました。

事業承継をお考えの方は、本補助金をぜひご活用ください。

全業種
ほか
公募期間:2021/09/30~2021/10/26
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