空間自在移動の実現に向けた技術

【補助率詳細】
支援総額を300億円とし、(A)から(C)それぞれの支援規模及び支援件数は下記の通りとします。ただし、申請状況や提案内容に応じて、支援総額の範囲内で、(A)から(C)の間で支援件数や1件あたりの支援規模を調整することも可能とし
ます。
(A)軌道間輸送機の開発
1件あたり250億円(打上げ・軌道上実証費用を含む)を上限とし、1~2件程度を採択します (2件以上を採択する場合は、ステージゲート評価を通じて支援対象事業者を絞り込むことを前提とします)。
補助率は、支援の類型Cでは、大企業において1分の1、中小企業・スタートアップ等において1分の1とします。支援の類型Bでは、大企業において4分の3、中小企業・スタートアップ等において1分の1としますが、大企業においては、事業者の計画に応じて、実証機の打上げ以降の軌道上実証を含む全てに係る費用を、事業者の自己負担とすることで、補助率4分の3に代えて1分の1とすることも可能とします。なお、その場合において、実証機の打上げ、軌道上実証に至らなかった際は、JAXAは、事前に定めた計画の遂行状況に応じて、支援額の返還等の必要な対応を検討します。
(B)軌道上燃料補給のコア技術開発
1件あたり30億円を上限とし、1~2件程度を採択します。
補助率は、大企業においては1分の1、中小企業 ・スタートアップにおいては1分の1とします。
(C)宇宙ロジスティクスの研究開発
1件あたり2億円を上限とし、1~2件程度を採択します。
支援の形態を委託、支援の類型をCとします。
【対象経費】
■直接経費:
設備備品費(研究開発に必要な機器、装置、工具、器具、備品等の購入またはリース・レンタルに要する経費。)
物品費 (消耗品費 研究用試薬、実験用ガラス器具、電子部品、資材、消耗品等の購入経費。)
人件費(研究開発に直接従事した者の人件費で、具体的に研究を担当する者の経費。)
謝金 (講師謝金、専門家謝金、研究開発に必要な業務(データ整理、分析等)の補助作業に従事した者への手当(日当、時間給等)や謝金。)
旅費 (研究開発等に必要な国内・国外への出張に要する経費(交通費、宿泊費、日当、等)、災害や出張者の傷病等のやむを得ない事由で発生したキャンセル料。)
賃借料 (研究開発に必要な機器、装置、ソフトウェアなどのリース・レンタル、保守、修理に要する経費。)
外注費 (分析、検査、加工、設計など一部の業務を外部に委託(外注)するための経費。)
印刷製本費 (成果報告書、論文、特許等に関する印刷・製本に要する経費。)
会議費 (会議、打ち合わせ等に必要な会場借上料、茶菓子代、弁当代、飲料代等。)
通信運搬費 (切手、葉書、宅配便、インターネット使用料、電話料金など。)
諸経費 (会場借上料、土地・建物借上料、損害保険料、特許出願、文献購入費、外国語翻訳、試験・検査、データ購入費など。)
雑費(上記に該当しないもので、研究開発に不可欠な費用(例:消耗品、少額備品など)。)
■間接経費:
・人件費単価に事業者の内規等での受託単価(JAXAの算定する経費率含む)を用いる場合
大学・国研11:直接経費の30%を上限
民間企業等:直接経費の20%と事業者の内規等での一般管理費率(JAXAの算定する経費率含む)のいずれか低い方を上限
・人件費単価に健保等級、実績単価を用いる場合
大学・国研:直接経費の30%を上限
民間企業等:直接経費の20%を上限
近年、ロケット打上げの低コスト・高頻度化や、これを梃子とした衛星コンステレーションの構築によるビジネス創出が進む中、静止軌道・シスルナ空間といった将来の宇宙経済圏を開拓するためには、低軌道に比して依然として高い輸送コストや推進系等の開発難易度及びこれらに起因する技術実証サイクルの停滞がボトルネックとなっています。
こうした課題の解決に向けて構築が期待される宇宙空間での物流インフラは、静止軌道・シスルナ空間の開拓のみならず、将来の深宇宙探査や、複雑多様化する地球低軌道利用の効率化、宇宙利用のハードルを下げることによる新規参入の促進にもつながることから、我が国のあらゆる宇宙開発を加速度的に飛躍させるドライバーとなり得ます。
そこで本テーマでは、以下の(A)から(C)に示す技術開発項目を一体的に推進することで、宇宙システムの相互発展やインターフェースの共通規格化等を促しつつ、宇宙空間における移動の自在性をもたらす技術を世界に先駆けて獲得することを目指します。これにより、2030年には1兆円近くとも予測される軌道上サービスに係る世界市場を獲得するとともに、静止軌道以遠を見据えた将来の宇宙開発利用に係る長期的な競争優位性を確保します。
(A)軌道間輸送機の開発
多様な軌道間の航行・運用を担い、各種の衛星や軌道上拠点等のインフラ整備、小型宇宙機の集団輸送等、あらゆる宇宙システムの効率的な物流手段として革新をもたらし得る軌道間輸送機(Orbital Transfer Vehicle:OTV)について、ランデブー・ドッキング技術といった我が国の競争優位性も踏まえつつ、静止軌道以遠への航行や再使用型OTVの実現等を目指した開発を推進します。
(B)軌道上燃料補給のコア技術開発
軌道上に配置されている宇宙機の寿命延長や機能性能の拡張、OTVの再使用(往還を含む)や航行距離の増強等を可能とする軌道上での燃料補給技術について、経済合理性や他の軌道上サービスとのシナジー等の観点から、繰り返しの補給が可能なシステムとして、タンク充填式(※1)又はカートリッジ交換式(※2)等を想定したインターフェースに係るコア技術及び推進薬の移送技術の開発を、事業者による国際標準化に向けた戦略的取組とともに推進します。
※1 軌道上でバルブを用いてタンクに充填する形式を指します。
※2 予め推進薬が充填された状態のタンク等に交換する形式を指します。
(C)宇宙ロジスティクスの研究開発
複数のOTVによるネットワーキングや軌道上での燃料補給拠点の活用等も想定される宇宙空間における物流アーキテクチャについて、各技術の発展や実装に伴う経済合理性の変化や物流経路の最適化等を個別又は総合的にシミュレートする高度な宇宙ロジスティクスに係る研究開発を推進し、本テーマに係る技術開発の戦略性や将来の事業成立性を横断的に底上げします。
■技術開発テーマの目標
(A)軌道間輸送機の開発
基本方針で定められている「小型~大型の衛星事業(通信、観測等)や軌道上サービス等の国内の民間事業者による国際競争力にもつながる衛星システムを実現する」こと等に向けて、ターゲットとする投入軌道に応じて、OTVを活用しない既存の輸送システムに比べてコストやユーザビリティ等の優位性が高く、目安として国際競争力のあるOTVを開発し、2032年度までを目途に、軌道上での実証を行います(TRL7相当の完了)。
(B)軌道上燃料補給のコア技術開発
基本方針で定められている「小型~大型の衛星事業(通信、観測等)や軌道上サービス等の国内の民間事業者による国際競争力にもつながる衛星システムを実現する」こと等に向けて、2029年度までを目途に、繰り返しの補給が可能なタンク充填式又はカートリッジ交換式等による軌道上での燃料補給に必要となるインターフェース及び推進薬の移送技術を開発し、地上検証(TRL4相当)を完了するとともに、当該インターフェースの国際標準化戦略(例として、コストや品質安全性、搭載簡便性等において競争力の高いインターフェースの開発によるデファクト標準に向けた戦略、海外を含む複数関連事業者との調整を通じたフォーラム標準に向けた戦略等)を定めます。
(C) 宇宙ロジスティクスの研究開発
基本方針で定められている「小型~大型の衛星事業(通信、観測等)や軌道上サービス等の国内の民間事業者による国際競争力にもつながる衛星システムを実現する」、「月や火星圏以遠への探査や人類の活動領域の拡大に向けた我が国の国際プレゼンスを確保する」、「国内で開発された衛星や海外衛星、多様な打上げ需要に対応できる状況を見据え、低コスト構造の宇宙輸送システムを実現する」こと等に向けて、2028年度までを目途に、本テーマ(A)及び(B)に係る取組とも連携しつつ、我が国の基盤的な技術や知見として中長期的に活用可能な成果として、地上から複数の軌道上拠点を結ぶ物流経路等最適化のための技術を開発し、物流需要予測モデル等に基づく軌道間輸送事業の将来像を示します(TRL2相当の完了)。加えて、宇宙物流インフラ実現のための関連技術の識別や、その開発・実装に係るロードマップの作成等を行い、これらの成果物を本テーマ(A)及び(B)に係る取組にもフィードバックします。
なお、複数の機関が連携して応募する場合、全ての実施機関が以下の①~⑦の全ての要件を満たすことが必要です。
① 府省共通研究開発管理システム(e-Rad)の「機関の登録」、また「研究者の登録」がなされていること。
② 国内に研究開発拠点を有し、日本の法律に基づく法人格を有している民間企業、大学、国立研究開発法人等6であること。また、研究代表者及び研究分担者は日本の居住者7であること。
※提案時点で特定の機関に所属していない、又は海外の機関に所属している研究者等であっても、採択された場合に日本国内の機関に所属して技術開発を実施する体制を整えることが可能であることを具体的に提案に明記した場合に限り、研究代表者又は研究分担者として応募することができます。ただし、補助金交付決定日までに提案に明記した体制を整えられない等、要件を備えていない場合、原則として、採択は取り消しとなります。
③ 技術開発課題実施体制に必要となる組織、人員等(技術開発を実施する者のみならず、契約・会計などの資金管理業務を担う者や事務管理の業務を担う者なども含めて、滞りなく技術開発を実施できる体制)を有していること。
④ 技術開発課題を円滑に遂行するために必要な経営基盤、資金及び設備等の十分な管理能力を有していること。
⑤ 複数の機関が連携して応募する場合は、各機関間の責任と役割が明確化されていること。
⑥ 提案書類の提出期限の日から採択決定までの期間に、総務省、文部科学省、経済産業省及びJAXAから補助金交付等停止措置又は指名停止措置等の措置が講じられている者ではないこと。
⑦ 次の各号のいずれにも該当しないこと
a. 提案機関の役員等(個人である場合はその者、法人である場合は役員又は支店若しくは営業所(常時契約を締結する事務所をいう。)の代表者、団体である場合は代表者、理事等、その他経営に実質的に関与している者をいう。)が、暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団をいう。以下同じ。)又は暴力団員(同法第2条第6号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)であるとき。
b. 役員等が、自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的、又は第三者に損害を加える目的をもって、暴力団又は暴力団員を利用するなどしているとき。
c. 役員等が、暴力団又は暴力団員に対して、資金等を供給し、又は便宜を供与するなど直接的あるいは積極的に暴力団の維持、運営に協力し、若しくは関与しているとき。
d. 役員等が、暴力団又は暴力団員であることを知りながらこれを不当に利用するなどしているとき。
e. 役員等が、暴力団又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有しているとき。
一次審査(書面):2025年10月中旬から11月中旬
二次審査(ヒアリング):2025年11月中旬から12月中旬
審査結果の通知・発表:2025年12月下旬から2026年1月頃
技術開発開始予定日(補助金交付決定日):審査結果の通知・発表から約2か月
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