新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、1年以上にわたり、幅広い業種において極めて厳しい経営環境が続いていることから、事業継続に意欲的に取り組む県内中小企業者等に対し、支援金を給付します。
コロナ関係の補助金・助成金・支援金の一覧
1011〜1020 件を表示/全1212件
あおもり飲食店感染防止対策認証制度の認証取得を促進するため、認証取得に必要な環境整備や、より適切な感染防止対策を講じるために取り組む環境整備に要する経費について、飲食業を営む事業者に対し補助するものです。
補助率、補助額:次のいずれかを選択することができます。
(1)補助対象経費の実支出額又は10万円のいずれか低い額以内の額
(2)補助対象経費の実支出額の4分の3に相当する額又は30万円のいずれか低い額以内の額
※複数の店舗をお持ちの方は、店舗ごとに申請できます。
自社の経営改善と売上げ拡大のため、国や自治体が支援する各種の補助金や助成金を活用する企業も多数あります。
ところで、こうした補助金・助成金を受給できる対象として、多くの場合は中小企業や小規模企業が該当します。
受給対象の企業規模や企業の分類、またその理由などについて詳しく解説します。
補助金と助成金の違い
前提として、企業が受給できる補助金と助成金の主な違いについて解説します。
補助金
補助金は、その大半を経済産業省が管掌しています。補助金の総額(予算)が決まっているので、各種の補助金では申請要件以外にも厳しい審査を設け、給付対象者を絞りこんでいます。
申請から書類作成、審査から交付まで、手続きにはかなり長い期間が必要ですが、支給額は他の支援施策や分類と比較すると多く、内容も多岐にわたっています。
なお、本来の目的以外の補助金使用を防ぐため、補助金は原則として後払いとなっており、支給後の報告が義務付けられている場合もあります。
参照:経済産業省
助成金
助成金は、その大半を厚生労働省が管掌しています。補助金と比較した場合、申請要件を満たしていれば支給されるものが多い状況です。
ただし、厚生労働省管轄下であることから、申請・受給対象となる事業者の雇用保険加入・雇用関係・労働時間等については厳しくチェックされます。
こちらも後払いでの支給が基本で、雇用実績を申告した後に給付を受けるのが一般的です。
参照:厚生労働省
受給対象の企業規模は
国内での企業数全体の99.7%がいわゆる中小企業であり、また全従業員の3分の2以上は中小企業で働いています。
上述のとおり、多くの補助金や助成金が国や自治体・関連機関によって運営されていますが、対象となる事業者の規模はその多くが中小企業・小規模事業者となっています。
日本経済の主役である中小企業の更なる発展と社会・経済のコロナ禍からの回復・再生を目指し、国や自治体は、中小企業に対して様々な支援策を用意しています。
なお、補助金・助成金や、給付金には様々なラインアップがあり、詳細についてはそれぞれの施策における対象企業の規模を確認する必要があります。
企業規模の分類
補助金や助成金などを受給するにあたり、多くの対象は中小企業となっています。
企業規模の分類について解説します。
中小企業とは
中小企業基本法において、中小企業者について下記のように定めてられています。
中小企業者の定義
- 製造業その他:資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社、または常時使用する従業員の数が300人以下の会社および個人
- 卸売業:同1億円以下、100人以下
- 小売業:同5千万円以下、50人以下
- サービス業:同5千万円以下、100人以下
なお 上記に挙げた中小企業の定義は国が中小企業政策での基本的な政策対象の範囲を定めた原則であり、その他様々な法律や制度によって中小企業として扱われている範囲は都度異なる場合があります。
また、多くの補助金・助成金の中で、後述する「みなし大企業」として、大企業と密接な関係を有する企業はこの対象から外れる場合があります。
注意事項
法人税法における中小企業軽減税率の適用範囲は、資本1億円以下の企業が対象となります。
中小企業関連立法においては、政令によって下記の定義がありますので、詳細については法令所轄課に確認が必要です。
- ゴム製品製造業(一部を除く):資本金3億円以下または従業員900人以下
- 旅館業:同5千万円以下、200人以下
- ソフトウエア業・情報処理サービス業:同3億円以下、従業員300人以下
参照:中小企業庁
小規模企業者とは
同様に、中小企業基本法で小規模企業者は次のように定義されています。
小規模企業者の定義
- 製造業その他:従業員20人以下
- 商業・サービス業:同 5人以下
資本金に関する定めはありません。
なお、上記の「商業」とは卸売業・小売業を指します。
その他、商工会および商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律(小規模事業者支援法)、中小企業信用保険法、小規模企業共済法の3法にでは、政令により宿泊業および娯楽業を営む従業員20人以下の事業者を小規模企業としています。
みなし大企業とは
みなし大企業とは、自社が上記で定めるような「中小企業」の規模でありながらも、大手企業の傘下に属する企業のことで、実質のコントロールは親会社の大企業が行っている企業のことを指します。
なお、みなし大企業は中小企業基本法においては中小企業と認められていますが、国や自治体が実施する各種の中小企業支援関連補助金や法人税の軽減措置の範囲から外れる可能性があるので、注意が必要です。
2019年度税制改正について
2019年に実施された税制改正において、みなし大企業の定義は、資本金もしくは出資金が1億円以下であるほか、以下の2つの条件のいずれかを満たす法人となりました。
- 発行済み株式または出資の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人
- 発行済み株式または出資の3分の2以上を大規模法人に所有されている法人
大規模法人とは下記のいずれかに該当する法人のことを指します。
- 資本金または出資金が1億円超の法人
- 資本または出資を有しない法人で常時使用従業員数が1,000人超の法人
- 大法人(資本金または出資金が5億円超の法人など)の100%子法人
- グループ内の複数の大法人に発行済み株式または出資の全部を保有されている法人
企業を規模で分類する理由とは
補助金や助成金の申請・受給などに際して、なぜ中小企業・小規模事業者や大会社の違いをを明確に定義し、分類する必要があるのでしょうか。
その主な理由は、一般的に規模の小さい企業は大きな企業に比べて労働生産性が低いなどといった問題を有していることが多いためです。
こうした問題は、国を含めて政策的に解決する必要があるため、中小企業の範囲を明確にしておく必要があります。
一方、会社規模が大きい場合は社会的影響力が大きいため、ガバナンスの強化・バランスをとることが重要です。
そのため、大企業についても同様に定義を明確にし、会社での機関・設計などを義務づける必要があるのが大きな理由です。
最後に
中小企業、小規模事業者や大会社の定義などについて解説しました。
コロナ禍で経営に苦しんできた事業者が多い現実ですが、国は様々な支援策を用意しています。
自社の規模や立ち居地、状況や分類などをしっかりと確認し、有益な支援施策を活用することが大切です。
収束の気配をみせつつある新型コロナウイルスの感染拡大ですが、社会・経済環境の変化や少子高齢化など、様々な課題を抱える中小・中堅企業の多くは厳しい経営環境を余儀なくされています。
こうした事業者を支援し、経済回復を主な目的として、政府は様々な制度を展開していますが、「経営力向上計画」と並んで実施される有力な施策に「経営革新計画」があります。
経営革新計画について詳しく解説します。
経営革新計画とは
経営革新計画は、政府・中小企業庁が主管する支援施策の一環で、中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的として策定する、中期的な経営計画書のことを指します。
この経営計画策定を通じ、対象事業者における現状の課題や目標が明確になるといった効果が期待できるほか、国や都道府県に計画が承認されると、様々な支援策の対象となります。
参照:中小企業庁
経営革新計画によるメリット
経営革新計画は、申請する事業者自身の経営改善に資する計画であり、この計画策定によって政府や公的機関が行っている各種支援を得られるため、結果的に自社の経営改善が進められます。
経営革新計画の主なメリットについて細かく具体的に解説します。
メリット1:融資や保証における様々な支援
信用保証制度における特例措置が可能
経営革新計画の承認事業を行うために必要となる資金融資の信用保証に関し、通常の保証枠とは別枠で最大2.8億円の支援が受けられます。
内訳は、1社単独の場合普通保証2億円と無担保証0.8億円となります。
日本政策金融公庫の特別利率が可能
事業者が政府系金融機関である日本政策金融公庫からの融資を受ける際に、同公庫の「新事業活動資金・新事業活動促進資金」制度を利用することによって特別利率の適用が受けられます。
高度化融資制度の利用が可能
経営革新計画の承認を受けて事業者が「高度化事業」(*)に取り組む場合に、関連する融資を無利子で利用可能です。
(*)中小・中堅企業が共同で工業団地を建設したり、商店街にアーケードを設置するなど、同じ目的をもつ企業同士で組織する中小企業組合等のグループに対して、主管する都道府県と中小企業基盤整備機構(中小機構)が協力し、当該事業計画に対する助言や施設・設備資金に対する融資について支援する事業です。
詳細は下記をご参照ください。
参照:中小機構(高度化事業)
食品流通構造改善機構による債務保証が可能
事業者が食品製造業の場合、金融機関から融資を受ける際に食品流通構造改善機構からの債務保証が受けられます。
参照:食品流通構造改善機構
メリット2:海外展開に伴う支援
「スタンドバイクレジット(信用状)制度」による支援が可能
当該中小企業者における外国関係法人が、海外の金融機関から1年以上の長期借入を行う場合に、日本政策金融公庫によるスタンドバイクレジット(信用状)の発行を受け、債務保証が可能となります。
中小企業信用保険法の特例
事業者が国内の金融機関から融資を受ける際に、海外投資関連保証の限度額が通常よりも引き上げられます。
日本貿易保険(NEXI)による支援措置の適用
外国関係法人が、日本貿易保険が設定する「海外事業資金貸付保険を活用することが可能となります。
メリット3:投資、補助金などの支援
起業支援ファンドからの投資の可能性
民間ファンドに中小機構が出資し、株式や新株予約権付社債等による資金調達といった、ファンドからの投資可能性があります。
中小企業投資育成株式会社からの投資の可能性
中小企業投資育成株式会社から、原則として資本金の額が2億円以下のところ、3億円を超える場合でも投資対象になる場合があります。
経営革新に関係する補助金受給の可能性
主管する各都道府県の中には、経営革新計画を対象とする補助金を運用している場合があります。
メリット4:販路開拓の支援
販路開拓コーディネート事業による支援が可能
中小機構による商社・メーカーOBによる販路開拓支援が可能です。
新価値創造展への出展
中小機構が行うイベントへの出展審査時に、加点の対象となります。
メリット5:その他の支援
特許関係料金の減免が可能
経営革新計画に関して事業者が出願する特許申請について、審査請求料および1~10年の特許料への半額免除制度が利用可能となります。
ものづくり補助金における加点・優遇措置
ものづくり補助金の審査上、有効期間の経営革新計画承認による加点や、補助率アップなどの優遇措置があります。
経営革新計画の仕組みと取り組み
経営革新計画の承認を受けるための計画内容は、以下の5種類に該当する新たな取り組みが必要となります。
- 新商品の開発又は生産
- 新役務の開発又は提供
- 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
- 役務の新たな提供の方式の導入
- 技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動
詳細については下記をご参照ください。
経営指標について
経営改革計画の承認にあたっては、下記に示す基準を満たす必要があります。
付加価値額または一人当たりの付加価値額
- 事業期間が3年の場合:計画終了時に9%以上向上
- 事業期間が4年:同12%以上
- 事業期間が5年:同15%以上
付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費、1人あたりの付加価値額=付加価値額/従業員数
給与支給総額
- 事業期間が3年の場合:計画終了時に4.5%以上向上
- 事業期間が4年:同6%以上
- 事業期間が5年:同7.5%以上
給与支給総額に含まれる経費:従業員や役員に支払う給料、賃金、賞与、各種手当(残業手当、休日出勤手当、家族(扶養)手当、住宅手当等)といった給与所得
給与支給総額=給与賃金+専従者給与+青色申告特別控除前の所得金額
申請方法
経営革新計画の申請から承認までの流れについて解説します。
経営革新計画策定の準備
経営革新計画を策定するには、その前に自社の事業内容をよく検討し、計画策定に向けた準備を整える必要があります。自社のおかれた現状を考慮し、経営内容を刷新するために適切と思われる新規事業を策定すべきです。
経営革新計画には、上述のとおり他社との共同・協働によって複数社で実現する場合でも対象となるため、構想した新規事業に対して自社単独のリソースで対応すべきか、他社との連携の中で対応すべきか含め、幅広い視点で検討することがポイントとなります。
なお、計画立案にあたっては、申請窓口である都道府県のほか、各地域で経営革新計画策定を行う中小企業診断士などが委託されて行っているケースもあるため、こうしたチャネルを効活用することも有効です。
経営革新計画の策定
準備が整ったら、次に経営革新計画を策定します。
経営革新計画に際しては所定のフォーマットが定められているので、当該書式(申請書本文および別表1~7)で構成される計画書を作成します。その際に検討すべき事項は以下のとおりです。
計画の概要と付加価値向上目標(別表1)
経営革新計画における事業の概要、および計画実施前後の付加価値額・経常利益額の向上額を記載します。
実施計画と実績(別表2)
経営革新計画として実行する実施内容と評価基準・周期および実施時期を整理して記入します。計画が採択された後は実績欄にも記入し、進捗管理が必要となります。
経営計画および資金計画(別表3)
経営革新計画の実施による業績の進展に関する計画値を算定します。
収支計画部分と資金調達計画部分があり、経営革新計画の実施による将来の収支計画と、付加価値額・一人当たり付加価値額・経常利益額の推移および、必要な資金の調達計画を記載します。
各指標の計算方法は以下の通りです。
- 付加価値額 = 営業利益+人件費+減価償却費
- 一人当たり付加価値額 = 付加価値額÷従業員数
- 経常利益 = 営業利益-営業外費用(支払利息・新株発行費用)
設備投資計画および資金計画(別表4)
経営革新計画に基づき、必要となる設備投資額および運転資金必要額について記載します。
それらを数値計画として策定するほか、研究開発に関する負担金の設定や希望する支援策に対する要望事項などを取りまとめ、所定のフォーマットに記載して提出します。
経営革新計画の承認申請
経営革新計画の承認は、基本的には事業者の本店が所在する都道府県における担当部署への申請となります。ただし、複数社で共同・協同して申請する場合には、その関係性によって申請先が異なる事があります。
経営革新計画の承認は、形式審査・内部審査を経て毎月1回の審査会での決定に基づき、通常1カ月程度で認可されます。
経営革新計画の承認率
経営革新計画の承認率について、明確な数字は公表されていませんが、概ね10%程度とみられています。
これを東京都の申請事例に当てはめると、2017年における月々の承認件数は月間平均約30件であり、採択率から逆算すると、実際に申請を行った事業者は月々約300社以上となります。
経営革新計画との違い
経営革新計画について詳しく解説してきましたが、さまざまな補助金の募集要項には、これと並んで「経営力向上計画」が記載されています。
経営革新計画と経営力向上計画の違いについて解説します。
大きな違いは計画の目的
経営革新計画と経営力向上計画いずれも、中小企業等経営強化法に基づいて実施されるものですが、計画を作成する目的が異なっています。経営革新計画は、新しい事業分野への進出や、革新的な事業を実施するための計画です。
このため、中小・中堅企業などが新しい事業活動に取り組み、経営を相当程度向上させることを目的として策定されるものです。従って、経営革新計画を申請する際には、今後自社が取り組む予定の事業がどれだけ革新性があるのかについて詳しく説明する必要があります。
一方、経営力向上計画は、現在企業が取り組んでいる事業をより一層成長させるために策定する計画です。人材育成や財務内容の分析、マーケティングの実施やITの利活用、また生産性向上のための設備投資などを通して、事業者が自社の経営力を向上することを目的に策定されるものです。
前者は新規事業展開に、後者は既存の事業改善に、それぞれ取り組む違いがあります。
計画認定機関も異なる
経営革新計画は事業者が所在している都道府県の知事が認定するのに対し、経営力向上計画は対象事業の分野を主管する大臣が認定認定します。業種で認定するか地域で認定するか、の違いとなります。
このため、前者では各地域での条件を、後者では自社事業の所属事業分野を、それぞれ確認する必要があります。
優遇制度の違い
経営革新計画が認定されると、政府系金融機関による低利融資制度や信用保証協会の保証枠の拡大などの優遇対象となります。一方、経営力向上計画が認定されれば、固定資産税の減免や金融支援の特例措置などの優遇が受けられます。
両者とも、税金の減免や金融支援・法的支援など、さまざまな優遇を受けられます。
最後に
経営革新計画について、経営力向上計画との比較も踏まえ、考え方と支援策や、計画策定内容と申請方法などについて解説しました。
支援策を活用するための実務的な側面もありますが、新事業へのチャレンジを通じて自社の経営を革新していくことが経営革新計画の大きな目的です。
自社の事業活動をしっかり分析し、計画を立案して、今後の事業の進展につなげていくことが期待されます。
ようやく収束の気配がみえてきた新型コロナウイルスの感染拡大ですが、これに伴う社会・経済の混乱や営業自粛等により、多くの中小・中堅企業は厳しい経営環境を余儀なくされています。
こうした事業者を支援し、経済回復を主な目的として、政府は様々な制度を展開していますが、経営力向上計画に関する施策もその有力なひとつです。
経営力向上計画について詳しく解説します。
経営力向上計画とは
経営力向上計画とは、政府・中小企業庁が主管する支援施策の一環で、中小・中堅企業や小規模事業者が人材育成やコスト管理のマネジメント、設備投資など、自社の経営力を向上させるために取り組む内容を記載した事業計画のことを指します。
具体的には、当該事業者が経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取組を記載した「経営力向上計画」を事業所管大臣に申請し、認定されることによって中小企業経営強化税制(即時償却等)や各種金融支援が受けられるものです。
計画の作成にあたっては、認定経営革新等支援機関でサポートを受けることが可能となっています。
参照:中小企業庁
経営力向上計画によるメリット
経営力向上計画は、国・政府による公的な中小企業支援策のひとつであり、当該計画を作成した企業には様々なメリットが享受できる仕組みが整っています。
経営力向上計画によるメリットについて解説します。
メリット1:税制に関する優遇措置
まず第一に、下記の税制優遇措置が受けられます。
新たな設備の固定資産税軽減:平成31年3月末までの取得分に限り、固定資産税を3年間にわたり1/2に軽減する
法人税の即時償却および税額控除:法人税の即時償却、または取得価額の最大10%税額控除の選択を適用する
*即時償却のメリットについては後述します。
メリット2:ビジネス拡大への金融支援
次に、当該事業者がビジネスを拡大させるための金融支援が得られます。
主な項目は下記のとおりです。
- 商工中金や日本政策金融公庫による低利融資
- 新事業活動限定の保証の別枠や保証枠拡大
- 海外銀行への債務保証を日本政策金融公庫が行うスタンドバイ・クレジット
- 中堅企業や食品製造業者に限定した債務保証
メリット3:補助金の申請が有利に
補助金の申請に際してはは審査があり、その際には厳しい条件をクリアすることが求められます。
経営力向上計画を策定した場合、補助金を申請する段階で有利になるような加点が行われ、各種補助金施策の審査が一般より有利になるメリットがあります。
認定を受けるまでの仕組み
経営力向上計画の作成から認定を受けるまでには、活動指針や認定状況、また認定の対象となる範囲などを把握する必要があります。
経営力向上計画の作成から認定までの流れについて解説します。
基本的な仕組み
申請へ向けての基本的な仕組みは、事業者が経営力向上計画書を作成し、自社事業の種類に応じて所管する主務大臣へ提出します。主管する主務大臣は、建設業の場合は国土交通大臣、衛生業務では厚生労働大臣などとなります。
留意点として、計画書の提出から認定まで1ケ月ほど時間が必要であったり、経営力向上計画に関する特典利用にはいくつかの期限があったりという点から、申請にあたっては余裕のあるスケジュール管理が必要となります。
なお、当該計画書を自社で作成するのが難しい場合には、各地域の金融機関や商工会議所、また税理士が所属する経営革新等支援機関の支援を受けることが可能です。
国が定めている指針と業種
国では、本施策申請にあたり、下記の19業種に関して経営改善のアイデア提出を求めています。
これらの業種に該当する事業者は、指針に沿って指定項目の中から数項目を選択し、計画書に盛り込んで作成します。
- 製造業
- 卸小売業
- 外食中食
- 旅館
- 医療
- 保育
- 介護
- 障害福祉
- 貨物
- 自動車運送
- 自動車整備
- 船舶産業
- 建設
- 有線テレビ
- 電気通信
- 不動産
- 地上基幹放送
- 石油卸燃料小売
- 旅客自動車運送
認定の状況と傾向
中小企業庁によれば、中小企業等経営強化法の適用要件である経営力向上計画の直近の認定事業者数は2021年3月末現在で12万131件となっています。
認定事業者を各カテゴリ別・認定件数順にみると次のとおりとなっています。
業種別
- 製造業(46,813件)
- 建設業(32,223)
- 卸・小売業(11,020)
- 医療、福祉業(6,496)
地域別
- 関東(41,441)
- 近畿(25,894)
- 中部(17,717)
- 九州・沖縄(13,288)
主管省庁別
- 経済産業省(59,029)
- 国土交通省(38,614)
- 農林水産省(12,102)
- 厚生労働省(8,851)
- 国税庁(1,731)
対象となる範囲
経営力向上計画を作成する際に、計画の対象となる中小企業者などの範囲と対象は下記のとおりです。
- 個人事業主
- 会社
- 企業組合、協業組合、事業協同組合など
- 生活衛生同業組合など
- 一般社団法人
- 医業を主たる事業とする法人
- 歯科医業を主たる事業とする法人
- 社会福祉法人
- 特定非営利活動法人
なお、会社または個人事業主、医業、歯科医業を主たる事業とする法人では、次の要件が定められています。
- 資本金が10億円以下もしくは従業員数が2,000人以下
- 社会福祉法人や特定非営利活動法人では、従業員数が2,000人以下
申請方法
経営力向上計画の認定を受けるためには、定められた手順に沿って適切に計画書を作成する必要があります。
当該計画書作成のための事前準備から認定後までのポイントについて解説します。
事前準備
事前準備で最も大切なのは、自社が経営力向上計画の対象か否かを確認することです。
計画書の提出によって固定資産税の半減が認定されるためには「対象となる設備が新規に購入したものである」「金額についての要件」といった条件があります。
また、自社が対象の場合には、購入を決めた設備が生産性を向上させると証明するため、メーカーに対して証明書の発行を依頼する必要があります。メーカーから証明書を取得するには一定の期間が必要なので、早めの事前準備が必要です。
計画実施後の効果
事前準備が完了した後、計画実施後の効果を盛り込む作業が必要です。
経営力向上計画には、計画の実施前と実施後で生じた変化を盛り込む項目がありますが、どの項目に記載するかは、国が定めている事業分野別指針を参考にします。
例えば製造業の場合、自社の強みを直接支える項目として下記項目の記載が求められているので、事業者はこうした指針の中から、必要数とされる項目を自由選択し、計画書に記載します。
- 従業員等に関する事項
- 製品や製造工程に関する事項
- 標準化や知的財産権等に関する事項
- 営業活動に関する事項
認定後の計画実施
経営力向上計画書の作成が完了した後、事業所を所管する主務大臣に計画書を申請・提出します。
計画書が認定された場合、税制措置や金融支援を受けながら当該計画書に沿って経営力向上の取り組みを進めます。
なお、途中で経営力向上計画の変更を余儀なくされる場合には変更申請が別途必要です。変更申請の際には、資金調達額の若干の変更や法人の代表者の交代といった項目を除き、設備の取得日から60日以内に主務大臣へ提出します。
専門家のサポート
経営力向上計画書の作成にあたっては、認定要件を正しく理解した上で進める必要があります。
自社で計画書の作成が難しい場合には、認定経営革新等支援機関のサポートを受けられる制度が利用可能です。認定経営革新等支援機関には、公認会計士や税理士といった経営の専門家が所属しており、相談や計画書の作成や認定取得、その後の計画実施などをトータルで支援してくれるため、小額の負担で計画書を作成できます。
即時償却について
設備投資を実施した際の会計処理は、設備の耐用年数に応じ、期ごとに一定額を利益からマイナスする減価償却を行うのが通常です。一方、即時償却では一括して全額を費用処理できます。簡単にいえば、即時償却とは「前倒しで経費を計上する」という意味です。
即時償却のメリットは、前倒しで経費計上することによって当該年度の利益が目減りし、法人税の課税対象所得を少なく抑えられるという点にあります。ただし、翌年度以降は償却費がなくなるため、最終的な納税額は同額となります。
即時償却によって、当該年度の節税額を増やせば資金に余裕ができるため、さらに次の投資にまわすこともできます。
今後、積極的な設備投資を予定している事業者には、即時償却が可能な上乗せ措置の利用を検討することを推奨します。中小企業投資促進税制の詳細については、下記をご参照ください。
経営革新計画との違い
経営力向上計画について詳しく解説してきましたが、さまざまな補助金の募集要項には、これと並んで「経営革新計画」が記載されています。
経営革新計画と経営力向上計画の違いについて解説します。
大きな違いは計画の目的
経営力向上計画も経営革新計画、それぞれが中小企業等経営強化法に基づいて実施されるものですが、計画を作成する目的が異なっています。
経営力向上計画は、現在企業が取り組んでいる事業をより一層成長させるために策定する計画です。人材育成や財務内容の分析、マーケティングの実施やITの利活用、また生産性向上のための設備投資などを通して、事業者が自社の経営力を向上することを目的に策定されるものです。
一方、経営革新計画は、新しい事業分野への進出や、革新的な事業を実施するための計画です。
このため、中小・中堅企業などが新しい事業活動に取り組み、経営を相当程度向上させることを目的として策定されるものです。
従って、経営革新計画を申請する際には、今後自社が取り組む予定の事業がどれだけ革新性があるのかについて詳しく説明する必要があります。
前者は既存の事業改善に、後者は新規事業展開に、それぞれ取り組む違いがあります。
計画認定機関も異なる
経営力向上計画は対象事業の分野を主管する大臣が認定するのに対し、経営革新計画は事業者が所在している都道府県の知事が認定します。業種で認定するか地域で認定するか、の違いとなります。
このため、前者では自社事業の所属事業分野を、後者では各地域での条件を、それぞれ確認する必要があります。
優遇制度の違い
経営力向上計画が認定されれば、上述のとおり固定資産税の減免や金融支援の特例措置などの優遇が受けられます。一方、経営革新計画が認定されると、政府系金融機関による低利融資制度や信用保証協会の保証枠の拡大などの優遇対象となります。
両者とも、税金の減免や金融支援・法的支援など、さまざまな優遇を受けられます。
最後に
経営改善と収益増大を目指す中小・中堅企業などにとっては、経営力向上計画も経営革新計画も、作成する目的や認定機関は違いますが、一度申請して認定されれば、さまざまな優遇を受けることが可能となります。
どちらの計画においても、最大の目的はあくまで自社の労働生産性や経営力を向上させることにあります。
それぞれの制度の内容・詳細をしっかりと把握し、無理のない効率的な計画を立案し、申請することがポイントとなります。
その上で、こうした制度を活用して自社の経営拡大を目指していただきたいものです。
大阪府では、令和4年3月7日から3月21日まで、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)に基づく要請を行います。この要請にご協力いただいた事業者の皆様に対し、「令和4年3月7日からの要請に係る飲食店等に対する営業時間短縮協力金」を支給します。
※申請期間は後日公表
※令和4年3月7日からの要請に係る飲食店等に対する営業時間短縮協力金に関するコールセンターは開設準備中
道路占用許可基準の緩和措置等を活用してテラス営業等を行う際に使う、イスやテーブル等を新たに調達する経費の一部を助成します。
2023/01/16追記:対象期間、申請期間が延長されました。
2022/12/22追記:令和4年度第2次補正予算から、対象となる休暇等の期間を令和5年3月まで延長する。
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/22hosei/index.html
-----
令和3年8月1日から令和4年11月30日までの間に、以下の子どもの世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、有給(賃金全額支給)の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く)を取得させた事業主に、助成金を支給する制度です。
助成内容:有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額×10/10
労働者に対して支払う額:・年次有給休暇を取得した場合に支払う賃金の額を支払うことが必要です。
助成金の支給上限である13,500円(申請の対象期間中に緊急事態宣言の対象区域又はまん延防止等重点措置を実施す
べき区域であった地域に事業所のある企業については15,000円)を超える場合であっても、全額を支払う必要があります。
申請期限:
令和3年8月1日~同年10月31日までの休暇 : 令和3年12月27日(必着)
令和3年11月1日~同年12月31日までの休暇 : 令和4年2月28日(必着)
令和4年1月1日~同年3月31日までの休暇 : 令和4年5月31日(必着)
令和4年4月1日~同年6月30日までの休暇 : 令和4年8月31日(必着)
令和4年7月1日~同年9月30日までの休暇 :令和4年11月30日(必着)
令和4年10月1日~同年11月30日までの休暇 : 令和5年1月31日(必着)
令和4年12月1日~令和5年3月31日までの休暇 : 令和5年5月31日(必着)
自然災害や感染症蔓延時などの緊急事態において、企業の事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続や早期復旧を実現するため、BCP(事業継続計画)策定セミナーの開催に取り組む県内商工会議所、県商工会連合会に対して支援を行う制度です。
補助金額:商工会議所:1件あたり300千円以内(但し、神戸及び姫路の商工会議所は500千円以内)
兵庫県商工会連合会:2,100千円以内
※補助金の額に千円未満の端数がある場合は切り捨てることとします。
自然災害や感染症蔓延時などの緊急事態において、企業の事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続や早期復旧を実現するため、BCPの策定に取り組む県内の事業所に対して支援します。(すでにBCPを策定している事業者であっても、帰宅抑制または感染症対策に係る規定を追加して見直しを行う場合は、補助の対象とします。)
補助金額:1事業所あたり50千円以内
補助金の額に千円未満の端数がある場合は切り捨てることとします。