原油価格・物価高の影響を受ける全国の小売業事業者を支援するため、国や各自治体はさまざまな補助金制度を設けています。この記事では、小売業が活用できるおもな補助金を7つ取り上げて解説します。
小売業が活用できる補助金(国が設けている制度)
まずは小売事業者が活用できる補助金のうち、経済産業省や中小企業庁による支援施策を解説します。ここで紹介する4つの補助金は、1年間に複数回の公募が実施されます。
これまでも、一部内容を変更しながら何度も実施されています。申請を検討する場合は過去の採択事例、採択率なども参考にご検討ください。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、中小企業等がウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済環境の変化に対応するために行う新分野展開や業態転換、業種転換など、思い切った事業再構築を支援する制度です。
以下6つの申請類型があり、最大1.5億円の補助が受けられます。(申請類型・要件による)
- 通常枠
- 大規模賃金引上枠
- 回復・再生応援枠
- 最低賃金枠
- グリーン成長枠
- 原油価格・物価高騰等緊急対策枠(「緊急対策枠」)
なお、2023年3月24日に第9回公募が締切となり、その後の実施も決まっています。(詳細スケジュールは未定)
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、全国の中小企業・小規模事業者等が魅力あるサービスや製品を開発する際に、生産性を向上させるための設備投資等を補助する支援施策です。
本事業には以下5つの申請類型があり、2023年4月19日まで14次公募が行われています。14次公募から一部内容の拡充が行われ、最大5,000万円の補助が受けられます。
- 通常枠
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠
- デジタル枠
- グリーン枠
- グローバル市場開拓枠
中小企業庁が公表している資料には、令和4年度補正から令和6年度にかけて切れ目なく事業を実施する旨が明記されいています。
参照:ものづくり・商業・サービス補助金 令和4年度2次補正予算関連要領
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する際に活用できる補助金です。令和4年度実施分は既に終了していますが、今後も実施予定です。
通常枠(A・B類型)、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠が設けられています。
このうち、通常枠(A類型)とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)において、令和4年度第2次補正予算以降、一部内容の拡充が行われる予定です。
参照:生産性向上を目指す皆様へ
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
令和5年3月10日から、令和4年度第2次補正予算による公募を実施しています。
一部内容の拡充が行われていて、「インボイス特例」が適用された場合は最大250万円の補助を受けられます。
小売業が活用できる補助金(自治体が設けている制度)
続いて自治体が設けている補助制度のうち、主なものを3つ紹介します。
東京都:インバウンド対応力強化支援補助金
本事業では、東京都内の宿泊施設、飲食店、免税店、体験型コンテンツ提供施設等が、訪都外国人旅行者のニーズに対応した利便性や快適性を向上させる目的で新たに実施する受入対応強化の取組を支援しています。
小売業の場合、都内の免税店(中小企業者のみ)であれば、補助対象となります。
補助金額:
・宿泊施設、飲食店、免税店、体験型コンテンツ提供施設、観光バス事業者向け:1施設・店舗・営業所あたり上限300万円
※無線LAN設置の場合は、設置箇所数に15,000円を掛けた金額と補助対象経費の1/2の金額のいずれか低いほうの金額
※設置箇所数は対象施設ごとに上限あり
・中小企業団体等、観光関連事業者グループ向け:1団体・グループあたり上限1,000万円
補助率:1/2
※「災害時における外国人旅行者の受入対応」事業は2/3
東京都:アドバイザーを活用した観光事業者 支援事業補助金
本事業では、観光事業者の経営改善を早期に実現し、事業継続につなげていくことを目的に、新型コロナウイルスにより大きな影響を受けた観光事業者が、アドバイザーの助言を受けて行う経営の改善や新しい事業の展開に向けた取組を支援しています。
都内で宿泊業、飲食業、小売業、旅行業、観光バス業などを営む観光事業者を補助対象者としています。
補助金額:1事業者200万円
(アドバイザーの助言を受けて取り組む事業に要する経費のうち、コンサルタント経費については100万円を限度)
補助率:2/3
福岡県:福岡県移動スーパー参入促進費補助金
本事業では、移動販売車で買い物が困難な地域を巡回し、地元スーパーの食品や日用品の販売を行う、「移動スーパー」に取り組む事業者を支援します。
地元スーパーや移動販売事業者などの中小企業者が補助対象です。
補助金額:1,500千円
ただし、市町村から補助を受けることが条件で、市町村からの補助額を超えない範囲での補助となります。
補助率:1/3
まとめ
今回は、全国の小売業事業者が活用できる国による支援策と、自治体による支援策について解説・紹介しました。この機会に補助金制度を活用し、ぜひ、事業にお役立てください。
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