※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。
財務省関東財務局が令和5年10月に公表している埼玉県の経済情勢報告によると、製造業における令和5年度の設備投資が増加見込みである一方、企業収益は減益見込みとなっています。
そこで本記事では、埼玉県の製造業を営む皆様が今後も事業を維持・拡大できるよう、埼玉県の製造業が活用できる補助金を紹介します。
【埼玉県の製造業】公募中の補助金(県主管)
まず、埼玉県が主管している補助金のうち、令和6年1月26時点で公募実施中かつ岡山県の製造業がつかえる補助金を紹介します。
原材料価格高騰対策支援事業
原材料価格の高騰に対応した中小企業者等の経営体質改善を促すため、原材料の転換や使用量削減に関し、県が派遣する専門家や国が認定する認定経営革新等支援機関(以下、「認定支援機関」という。)の助言に基づいて実施する設備投資や製品開発等に要する経費の一部を補助するものです。
専門家派遣を2回まで無料で支援する事業と補助金事業に分かれます。補助金の申請を予定していない場合でも、専門家派遣の申請が可能である一方、補助金は県が派遣する専門家又は認定支援機関の助言を受けた中小企業者等のみが対象となります。
補助対象経費:原材料の転換や使用量削減に関し、専門家等の助言に基づいて中小企業者等が実施する設備投資や製品開発、販売促進を行う事業における建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、その他知事が必要と認める経費
補助率:補助対象経費の2分の1以内
補助額:25万円~750万円
参照:埼玉県 第2回埼玉県原材料価格高騰対策支援事業について
海外EC活用支援事業補助金
販売に適した商品・サービスの開発・改善、販売方法の工夫・改善、市場調査や助言の活用など、海外ECサイトを活用した販路開拓の取組を支援します。
令和6年1月時点で3次募集が行われていて、対象事業の実施期間は交付決定日から令和6年1月31日までとなっています。今後、予算の残額状況により、4次募集が行われる可能性があります。
対象経費:海外ECサイトへの出店に当たり新たに必要となる費用
(1) コンサルティング費、(2) 海外ECのために行う商品改良費、(3) 外国語版ホームページ作成費、(4) 外国語版動画制作費、(5) 海外ECサイト出店経費、(6) マーケティング・広報費、(7) その他事業の実施に必要と認められる経費(事前に対象経費に該当するかを公社に確認すること)
補助率:補助対象経費の2分の1以内
補助上限額:50万円
参照:公益財団法人 埼玉県産業振興公社 令和5年度 海外EC活用支援事業補助金(3次募集)のご案内
【埼玉県の製造業】公募中の補助金(国主管)
次に、国が主管している補助金のうち、令和6年1月26時点で公募実施中かつ埼玉県の製造業がつかえる補助金を紹介します。
ものづくり補助金
枠・類型 | 補助上限額 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合 |
補助率 | |
省力化 (オーダーメイド)枠 |
5人以下 750万円(1,000万円) 6~20人 1,500万円(2,000万円) 21~50人 3,000万円(4,000万円) 51~99人 5,000万円(6,500万円) 100人以上 8,000万円(1億円) |
1/2※ 小規模・再生 2/3 ※補助金額1,500万円までは1/2、1,500万円 を超える部分は1/3 |
|
製品・サービス 高付加価値化枠 |
通常類型 | 5人以下 750万円(850万円) 6~20人 1,000万円(1,250万円) 21人以上 1,250万円(2,250万円) |
1/2 小規模・再生 2/3 新型コロナ回復加速化特例 2/3 |
成長分野進出類型(DX・GX) | 5人以下 1,000万円(1,100万円) 6~20人 1,500万円(1,750万円) 21人以上 2,500万円(3,500万円) |
2/3 | |
グローバル枠 | 3,000万円(3,100万円~4,000万円) | 1/2 小規模 2/3 |
➡大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例:補助事業終了後、3~5年で大幅な賃上げに取り組む事業者(給与支給総額 年平均成長率+6%以上等)に対して、補助上限額を100万円~2,000万円上乗せ (申請枠・類型、従業員規模によって異なる。新型コロナ回復加速化特例適用事業者を除く。)
出典:ものづくり補助金補助金 公式HP 公募要領(17次締切分)概要版
雇用の多くを占める中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、革新的な製品・サービスの開発や生産プロセス等の省力化に必要な設備投資等を支援するものです。
令和6年3月1日(金)まで、17次公募が行われています。17次公募は省力化(オーダーメイド)枠のみの実施となります。また、17次公募に応募する事業者は、18次公募には応募できません。
省力化(オーダーメイド)枠では、人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援します。
対象経費
主な対象経費は、以下のとおりです。
・機械装置・システム構築費 ※必ず1つ以上、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が必要
・運搬費
・技術導入費
・知的財産権等・関連経費
・外注費
・専門家経費
・クラウドサービス利用費
・原材料費
要件
申請には、以下の基本要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定していることが求められます。
1. 事業者全体の付加価値額を年平均成長率(CAGR)3%以上増加
2. 給与支給総額を年平均成長率(CAGR)1.5%以上増加
3. 事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
また、上記の基本要件に加えて、省力化(オーダーメイド)枠では以下の要件をすべて満たす必要があります。
1. 3~5年の事業計画期間内に補助事業において設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる事業計画を策定すること
2. 3~5年の事業計画期間内に投資回収可能な事業計画を策定すること
3. 外部SIerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSIer間で締結し、SIerは必要な体制を整備すること
その他、大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例として、要件を満たす場合は補助上限額が最大2,000万円引き上げられます。
活用イメージ
省力化(オーダーメイド)枠は17次公募において新設された枠であるため、採択事例がありません。そのため、公式に発表されている活用イメージを紹介します。
例)熟練技術者が手作業で行っていた組立工程に、システムインテグレータ(SIer)と共同で開発したAIや画像判別技術を用いた自動組立ロボットを導入し、完全自動化・24時間操業を実現。組立工程における生産性が向上するとともに、熟練技術者は付加価値の高い業務に従事することが可能となった。
引用:ものづくり補助金補助金 公式HP 公募要領(17次締切分)概要版
補助金の早期受け取りサービス”前ほじょくん(ものづくり補助金限定)
前ほじょくんは、「補助金申請したいが補助事業を自己資金で行うことが難しい」「採択されたが資金調達先を探している」といった課題を抱える事業様向けの補助金早期受け取りサービスです。
交付決定後に、補助金を受け取れる権利を債権化し、弊社と提携している大手金融機関の関連会社がその債権を“買い取る”というスキーム(=ファクタリング)で、補助事業実施前に事業者様に買い取り額をお支払いします。
なお、2024年9月現在ものづくり補助金に限定したサービスです。
サービスの詳細は下記記事をご覧ください。
小規模事業者持続化補助金
申請類型 | 補助上限額 | 補助率 | |
通常枠 | 50万円 | 2/3 (※賃金引上げ枠において、赤字事業者は3/4) |
|
特別枠 | 賃金引上げ枠 | 200万円 | |
卒業枠 | 200万円 | ||
後継者支援枠 | 200万円 | ||
創業枠 |
200万円 |
※別途、災害支援枠あり
出典:小規模事業者持続化補助金 公式HP <第15回>ガイドブック
小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取組を支援するものです。令和6年3月14日まで第15回公募が行われます。
インボイス特例の要件を満たす場合は、上記補助上限額に50万円を上乗せされるため、最大250万円が補助されます。(申請枠による)
対象経費
①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦資料購入費、⑧借料、⑨設備処分費、⑩委託・外注費 が対象経費となります。
採択事例
過去行われた公募における採択事例のうち、埼玉県の製造業の採択事例を紹介します。
【事例1】
所在地 | 埼玉県さいたま市 |
従業員数 | 2~10人 |
補助事業名 | エアーコンプレッサ周辺事業の展開で経営基盤を強固にする事業 |
【事例2】
所在地 | 埼玉県所沢市 |
従業員数 | 0名 |
補助事業名 | メイドインジャパンのお土産をリブランディングで世界展開 |
【事例3】
所在地 | 埼玉県狭山市 |
従業員数 | – |
補助事業名 | 世界初の有機トランジスタアンプの商品化に向けた試作品製作 |
出典:小規模事業者持続化補助金 採択者一覧(第13回受付締切分)(関東)
https://biz.stayway.jp/hojyo_detail/928/
IT導入補助金
枠/類型 | 通常枠 | インボイス枠(インボイス対応に活用可能) | 複数社連携IT導入枠 | セキュリティ対策推進枠 | ||||||
電子取引類型 | インボイス対応類型 | |||||||||
補助 事業者 |
中小企業・小規模事業者等 | 大企業等 | 中小企業・小規模事業者等 | |||||||
補助額 | 5万円~ 150万円未満 |
150万円~450万円以下 | インボイス制度に対応した受発注ソフト | インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト | PC・タブレット等 | レジ・券売機等 |
(1)インボイス枠インボイス対応類型の対象経費(左記同様) (2)消費動向等分析経費(※1)(上記(1)以外の経費)50万円×参画事業者数 (3)事務費・専門家費補助上限:200万円 |
5万円~100万円 | ||
~350万円 | 50万円以下 | 50万円超 ~350万円 |
~10万円 | ~20万円 | ||||||
補助率 | 1/2 | 2/3 | 1/2 | 4/5・3/4 (※2) |
2/3 |
1/2 | (1)インボイス枠インボイス対応類型と同様(2)・(3)2/3 | 1/2 | ||
補助対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費 | クラウド利用料(最大2年分) | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費、ハードウェア購入費 | サイバーセキュリティサービス利用料(最大2年分)(※4) |
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。
令和6年1月30日以降、IT導入補助金2024としてこれまでの公募内容から一部申請枠の名称・補助率が変更となります。(上図赤字箇所)
インボイス枠(インボイス対応類型)においてインボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」機能を有するソフトウェアが対象となる一方、インボイス制度に対応していないソフトウェア及びECサイト制作・ECソフト導入は対象外となります。
対象経費
事前に事務局の審査を受け、補助金ホームページに公開(登録)されたITツール(ソフトウェア、サービス等)のほか、相談対応等のサポート費用やクラウドサービス利用料等も補助対象に含まれます。
なお、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)では、ソフトウェアの使用に資するものである場合に限り、パソコンやタブレット端末、プリンター、スキャナーなどのハードウェアも補助対象となります。
採択事例
過去の採択事例から、製造業の事例を紹介します。埼玉県の製造業の採択事例が公開されていないため、全国を対象に製造業の事例となります。
<事例1>
会社所在地 | 富山県高岡市 |
業種 | 製造業 |
従業員数 | 30名程度 |
事例概要 | 課題:計画的なIT化を進めることができておらず、会計システムが事業規模に合わなくなっていた。 ↓ 対策・成果:ITツール導入により、経理業務の工数が50%短縮した。 |
<事例2>
会社所在地 | 大阪府八尾市 |
業種 | 製造業 |
従業員数 | 70名程度 |
事例概要 | 課題:製造現場での帳票類が手書きのままで工数がかかるほか、ミスも発生していた。 ↓ 対策・成果:ITツール導入により、業務の自動化・人件費削減を実現した。 |
参照:IT導入補助金2023後期 公式HP ITツール活用事例
参照:IT導入補助金2023後期 公式HP
【埼玉県の製造業】公募予定の補助金
さらに、今後公募予定の補助金のうち、埼玉県の製造業がつかえる補助金を紹介します。
省エネ補助金
令和5年度における「省エネ補助金」とは、以下2つの補助金の総称です。
・省エネルギー投資促進支援事業
・省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業
いずれも令和5年度分の公募は終了していますが、令和5年度補正予算分にて、今後も継続して実施予定です。
ただし、一部の補助金額が変更となりますのでご注意ください。
省エネルギー投資促進支援事業
本事業は、事業者が計画した省エネルギーの取組のうち、省エネルギー性能の高いユーティリティ設備・生産設備等への更新、計測・見える化・制御等の機能を備えたエネルギーマネジメントシステムを導入することにより、省エネルギー効果の要件を満たす事業に要する経費の一部を補助する事業です。
これまでの公募では、以下のとおり、A~Dの大きく4つの事業区分がありました。
- A. 先進事業
- B. オーダーメイド型事業
- C. 指定設備導入事業
- D. エネルギー需要最適化対策事業
本事業はこのうち、「C. 指定設備導入事業」「D. エネルギー需要最適化対策事業」で構成されています。
「C. 指定設備導入事業」では、SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、SIIが補助対象設備として登録及び公表したものが補助対象となり、それらへの更新を要件として最大1億円の補助を受けられます。
指定設備一覧:https://sii.or.jp/shitei04r/search/
「D. エネルギー需要最適化対策事業」では、SIIが定める 「EMSのシステム要件」を満たし、エネマネ事業者が提供するエネルギー管理支援サービス等の実施のために必要不可欠なシステム・機器で、あらかじめSIIの確認を受け、補助対象システム・機器として登録されているものを補助対象とし、最大1億円を補助します。
参照:一般社団法人 環境共創イニシアチブ 省エネルギー投資促進支援事業
公開されている採択結果のうち、直近となる令和4年度補正予算 2次公募の結果は、以下のとおりです。
申請件数 | 採択件数 | 採択率 | 採択金額合計 | 計画省エネ量 | |
(C)指定設備導入事業 | 1,622 件 | 1,515 件 | 93.4% | 95.6 億円 | 13,040.3 kl |
(C)指定設備導入事業 + (D)エネルギー需要最適化対策事業 |
3件 | 3件 | 100.0% | 0.2 億円 | 130.9 kl |
出典:令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業交付決定 新規採択事業について
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業
本事業は、事業者が計画した省エネルギーの取組のうち、導入ポテンシャルの拡大等を見込める先進的な設備・システムの導入、機械設計が伴うオーダーメイド型設備への更新やプロセス改修、計測・見える化・制御等の機能を備えたエネルギーマネジメントシステムを導入を支援するものです。
本事業は、「A. 先進事業」「B. オーダーメイド型事業」「D. エネルギー需要最適化対策事業」で構成されています。
「A. 先進事業」は、SIIが公表した補助対象設備へ更新等することにより、原油換算量ベースで指定の要件を満たす事業です。最大15億円が補助されます。補助対象設備は、以下のページで公開されています。
対象設備一覧:https://sii.or.jp/senshin04r/system/search
また、「B. オーダーメイド型事業」は、既存設備を機械設計が伴う設備又は事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造する設備等へ更新等することにより 、原油換算量ベースで指定要件を満たす事業です。
これまで補助上限額は15億円(非化石転換設備の場合は20億円)となっていましたが、令和5年度補正予算実施時、補助上限額が3億円(電化の場合は5億円)に変更となりますのでご注意ください。
「D. エネルギー需要最適化対策事業」の内容は、省エネルギー投資促進支援事業と同様です。
参照:一般社団法人 環境共創イニシアチブ 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業
公開されている採択結果のうち、直近となる令和4年度補正予算 4次公募の結果は、以下のとおりです。
申請件数 | 採択件数 | 採択率 | 採択金額合計 | 計画省エネ量 | ||
(A)先進事業 (B)オーダーメイド型事業 (D)エネルギー需要最適化対策事業 |
単年度事業 | 3件 | 1件 | 33.3% | 0.2億円 | * |
複数年度事業 | 31件 | 24件 | 77.4% | 47.5億円 | 3,828.6 kl |
*「計画省エネ量」は、採択事業の合計値
*単年度事業は採択件数が1件であるため非公開
出典:令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業交付決定 新規採択事業(単年度事業)について
出典:令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業交付決定 新規採択事業(複数年度事業)について
SHIFT事業
参照:環境省 令和5年度補正予算(案)の概要(令和5年11月) 工場・事業場における先導的な脱炭素化取組の推進
本事業は、年間CO2排出量が50トン以上3,000トン未満の工場・事業場を保有する中小企業等に対し、認定外部支援機関によるCO2排出量削減余地診断(以下「削減余地診断」という。)及び診断結果に基づくCO2削減計画を策定する事業(「CO2削減計画策定支援」、以下「計画策定支援」という。)と、基準年度CO2排出量が50トン以上の工場又は事業場において、意欲的なCO2削減目標を盛り込んだCO2削減計画に基づく高効率設備導入や電化・燃料転換を行う事業(「省CO2型設備更新支援」、以下「設備更新支援」という。)から構成されます。
令和3年度補正予算にて行われた「グリーンリカバリーの実現に向けた中小企業等のCO2削減比例型設備導入支援事業」を統合し、令和5年度から新たな支援メニュー(企業間連携先進モデル支援)が追加になりました。
令和5年11月2日(木)まで2次公募が行われ、令和5年度補正予算においても継続して実施される予定です。(上図参照)
参照:環境省 令和5年SHIFT事業企業間連携先進モデル支援の概要
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
出典:環境省 令和5年度補正予算(案)の概要(令和5年11月) 令和5年度補正予算(案)施策集
本事業は「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」のうちのひとつで、ストレージパリティの達成に向けてオンサイト PPA* モデル等による自家消費型太陽光発電や蓄電池などの導入を行う事業に要する経費の一部を補助するものです。* PPA: power purchase agreement / 電力購入契約
「ストレージパリティ / storage parity: SP」とは、太陽光発電設備の導入に際して、蓄電池(ストレージ / storage)を導入しないよりも蓄電池を導入した方が経済的メリットのある状態を指す言葉です。
補助事業を行うために直接必要で、エネルギー起源CO₂の排出削減に直接資する工事費や設備費、業務費、事務費などが補助対象となります。交付額は基準額・算定方法によって異なります。
令和5年度当初予算にて公募が実施されましたが、令和5年度補正予算においても継続実施予定です。(上図参照)なお、2023年5月15日~2023年6月30日まで行われた一次公募では、4者が採択されました。
https://biz.stayway.jp/hojyo_detail/4795/
事業再構築補助金
類型 | 最低賃金枠 | 物価高騰対策 ・回復再生応援枠 |
産業構造 転換枠 |
成長枠 | グリーン成長枠 | サプライチェーン 強靱化枠 |
|
エントリー | スタンダード | ||||||
対象 | 最低賃金引上げ の影響を受け、その原資の確保が困難な事業者 |
業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者、 原油価格・物価高騰等の影響を受ける事業者 |
国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の事業者 | 成長分野への大胆な事業再構築に取り組む事業者 | 研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う事業者 | 海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーン の強靱化及び地域産業の活性化に資する 取組を行う事業者 |
|
補助 上限 |
最大 1,500万円 |
最大 3,000万円 |
最大 7,000万円 |
最大 7,000万円 |
最大 8,000万円 (中堅1億円) |
1億円 (中堅1.5億円) |
最大 5億円 |
補助率 | 3/4 | 2/3 (一部3/4) | 2/3 | 1/2(大規模な賃上げ達成で2/3へ引上げ) |
1/2 |
○大規模賃金引上促進枠:上限3,000万円上乗せ
○卒業促進枠(中小企業等からの卒業):上限を2倍に引上げ
参照:経済産業省 事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)
資料掲載ページ:経済産業省 事業再構築補助金
事業再構築補助金は、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するものです。
要件を満たす場合、上記の取り組みに要する建物費や機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費 などの一部が補助されます。
今後実施予定の第12回公募以降、申請枠の再編や内容変更が予定されているため、申請検討の際は必ず最新情報をご確認ください。
採択事例
過去行われた公募における採択事例のうち、埼玉県の製造業の採択事例を紹介します。
【事例1】
所在地 | 埼玉県飯能市 |
従業員数 | 16名 |
事業計画名 | 大規模建造物製品の生産プロセス構築 |
事業計画の概要 | 他社にはできない厚板曲げ加工ノウハウ、および製品一式を製造できるワンストップサービスの強みをさらに高めるため、LBCテクノロジーを活用した独自のレーザ光軌跡開発により厚 板製品の新市場に進出する。 |
【事例2】
所在地 | 埼玉県狭山市 |
従業員数 | 70名 |
事業計画名 | 高品質な業務用冷凍パンメーカーへの事業再構築の実施 |
事業計画の概要 |
当社は洋菓子の製造を行ってきた。本事業では新たに業務用冷凍パンの製造を行い、強みを活かしたオリジナルの冷凍パンをカフェやベーカリーに卸して、新たな市場を開拓することで事 |
【事例3】
所在地 | 埼玉県川越市 |
従業員数 | 110名 |
事業計画名 | 環境に優しい材料を使ったコーティングを開発、医療など新市場進出 |
事業計画の概要 |
当社は、フッ素樹脂コーティングの受託加工を行っています。顧客から部品を預かり、フッ素樹脂コーティング加工を行ってお返しする仕事です。現在、PFAS(有機フッ素化合物)は、残留性が高く蓄積することから、規制の議論が行われている状況にあります。そのため、環境に優しい材料を使ったコーティングを開発し、医療関係など新市場開拓に取り組みます。 |
出典:事業再構築補助金 第10回公募 補助金交付候補者の採択結果(製造業)
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
出典:経済産業省 令和5年度補正予算の事業概要(PR資料)
資料掲載ページ:経済産業省 令和5年度補正予算の概要
中堅・中小企業が、持続的な賃上げを目的に、足元の人手不足に対応するための省力化等による労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大を図るために行う工場等の拠点新設や大規模な設備投資に対して補助を行うものです。
最大50億円が補助される大型補助金であることから、拠点新設や大規模設備投資を行う予定の企業から注目を集めています。
ただし、投資下限額は10億円と定められていて、一定規模以上の投資を行う中堅・中小企業がいる場合に限り、コンソーシアム形式により参加企業の投資額の合計が10億円以上となる場合も対象となります。
本補助金については、以下の記事で解説しておりますのであわせてご覧ください。
中小企業省力化投資補助事業
出典:経済産業省 令和5年度補正予算の事業概要(PR資料)
資料掲載ページ:経済産業省 令和5年度補正予算の概要
中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするために、人手不足に悩む中小企業等に対して、省力化投資を支援するものです。
「省力化」とは、業務を見直して効率化を図り、生産性向上・労働時間の削減を行うことです。このことから「省力化投資」は、省力化を目的としたIoTやロボットといった設備への投資を指します。
IoT、ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」に掲載し、中小企業等が選択して導入できるようにすることで、簡易で即効性がある省力化投資を促進します。
製造業で想定される省力化投資の例として、工場、生産現場における組み立て用ロボットアームや生産状況の監視カメラ、温度・湿度センサー、振動センサーなどが挙げられます。
本事業で予定されている補助率・補助上限額は、以下のとおりです。なお、別途示される「賃上げ要件」を達成した場合、括弧内の値まで補助上限額が引き上げられます。
補助率:1/2
補助上限額:従業員規模に応じて、補助上限額が異なります。
・従業員数 5名以下: 200万円 (300万円)
・従業員数 6~20名: 500万円 (750万円)
・従業員数 21名以上:1,000万円(1,500万円)
本補助金については、以下の記事で解説しておりますのであわせてご覧ください。
先端半導体の国内生産拠点の確保
出典:経済産業省 令和5年度補正予算の事業概要(PR資料)
資料掲載ページ:経済産業省 令和5年度補正予算の概要
令和5年度補正予算額として6,322億円が計上されている事業で、データセンターやAI等の最先端技術に必要な先
端半導体の国内生産拠点を整備するとともに、その拠点での継続生産等を進めることで、国内での先端半導体の安定供給を実現するために設けられたものです。
特定高度情報通信技術活用システムの開発供給および導入の促進に関する法律(5G促進法)に基づいて認定を受けた先端半導体の生産施設整備及び生産に関する計画について、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)に設置した基金を積み増し、計画の実施に必要な資金の助成等を行います。
産業基盤の強靱化や戦略的自律性・不可欠性の向上の観点で、不可欠な先端半導体について、国内の生産拠点整備への支援を行うことで、事業者による投資判断を後押しし、安定供給の確保を目指します。
補助率:1/2
※国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から民間企業等への助成
参照:経済産業省 令和5年度補正予算の事業概要(PR資料)
資料掲載ページ:経済産業省 令和5年度補正予算の概要
食品事業者における原材料の調達安定化対策
「食品事業者における原材料の調達安定化対策」は農林水産省が主管し、「食品原材料調達リスク軽減対策事業」「農林水産業と食品産業の連携強化・拡大支援事業」から成ります。
このうち、「食品原材料調達リスク軽減対策事業」は、食品製造事業者等が原材料の調達に関するリスクに対応するために行う産地との連携強化及び調達先の多角化の取組を推進し、国民への食料の安定供給を確保するものです。
価格が2割以上高騰している輸入食品原材料を使用していること又は令和4年2月以降の地政学リスク等により輸入に支障が生じたことがあることを証明できる食品製造事業者等を対象に、資材・機械・設備導入費、新商品開発費(試作品の原材料費等)等を補助します。
補助率・補助上限額は以下のとおりです。
補助率・補助上限:1/2等
採択1件当たりの補助上限は5億円
ただし、新商品の市販段階における原材料費の1件当たりの補助上限は上記とは別に1億円となります。
参照:農林水産省 令和5年度補正予算「食品原材料調達リスク軽減対策事業」について
コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業補助金
国民生活に欠かせないコールドチェーンを支える冷凍冷蔵倉庫、食品製造工場、食品小売店舗を営む中小企業等の脱炭素型自然冷媒機器の導入費用に対して補助を行うものです。
令和5年に実施された公募の2次公募として、令和6年に再度実施予定です。
補助率:原則1/3
補助上限額:令和6年実施分の情報は未公表です。
前回令和5年実施分では、以下のとおりです。
1事業者当たりの補助金:5億円
(フランチャイズ形態のコンビニエンスストアにあっては、2億5千万円)
なお、令和5年度第2次公募において、食品小売店舗におけるショーケースその他の交付決定事業者として11事業者、40事業所が採択されています。
参照:環境省 令和5年度「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」【複数年度事業】
第2次 補助金交付決定事業者
掲載ページ:環境省 令和5年度「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」の第2次 補助金交付先の公表について
米粉の利用拡大支援対策事業
出典:農林水産省 米粉の利用拡大支援対策事業
資料掲載ページ:農林水産省 令和5年度農林水産関係補正予算の概要
国産米粉の特徴を活かした新商品の開発、米・米粉製品の利用拡大に向けた情報発信、需要の拡大に対応するための製造能力強化に向けた取り組みを集中的に支援するものです。
以下、3つの支援事業のうち、「米粉商品開発等に対する支援」は製粉企業・食品製造事業者に対して国産の米粉や米粉を原材料とする商品開発とその製造・販売に係る取組等を支援します。
1. 米粉商品開発等に対する支援
2. 米・米粉消費拡大に向けた支援
3. 米粉製品製造能力強化等に対する支援
具体的には、米粉の特徴をいかした商品開発・製造、製粉企業・食品製造事業者の施設・機器の導入、米・米粉製品や米粉の利用拡大に向けた情報発信等が支援対象となります。
公募詳細や補助率・補助上限額等については、令和5年12月18日時点未公表です。ただし、本事業は令和4年度にも実施されたため、参考として令和4年度の補助率・補助上限額を記載します。
以下、令和4年度の実施内容です。
補助率:1/2(商品の市販段階における原材料費の支援は、大企業の場合1/3)
補助上限額:採択1件あたりの補助上限2億円(補助下限:100万円)
商品の市販段階における原材料費の件当たりの補助上限・下限は上記とは別に各々1億円・100万円となります。
※合計で補助上限3億円・200万円まで
参照:令和4年度米粉利用拡大支援対策事業のうち米粉商品開発等支援対策事業
まとめ
本記事では、埼玉県の製造業で活用可能な補助金を紹介しました。ぜひ、自社の事業継続・拡大に補助金をお役立てください。
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