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中小企業等に対する支援事業が多くあるなか、工場等の拠点新設や大規模な設備投資につかえる「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」が注目を集めています。
補助上限額が50億円、工場や倉庫、販売拠点などの新設・増築といった高額な費用が発生する取り組みを支援することなどが話題となっている理由です。
そこでこの記事では、「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」について解説します。
- 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 概要
- 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 補助対象者
- 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 補助対象要件
- 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 対象となる取り組み(例)
- 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 補助対象経費
- 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 補助率・補助上限額
- 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 採択結果
- 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 公募スケジュール
- まとめ
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 概要
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」は、人手不足に対応するための省力化等による労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大を図るために行う工場等の拠点新設や大規模な設備投資に対して補助を行う制度です。
補助対象期間は交付決定日から最長で令和8年12月末までとなっています。
※ただし、補正予算の早期執行の観点から、令和6年度中に投資完了する事業者向けの特別枠を新設するとともに、令和6年度内の投資比率が大きい計画に対して審査上の優遇措置を講じます。
特別枠の対象者となる「令和6年度内に投資完了する事業者」とは、公募申請時点において、令和6年度中に補助事業完了(納品、検収、支払等の事業上必要な手続きがすべて完了している状態)を見込んだ計画が策定できている事業者を指します。
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
参照:中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 公式HP
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 補助対象者
補助対象者は、中堅・中小企業(常時使用する従業員数が2,000人以下の会社等)※単体ベース です。
※一定の要件を満たす場合、中堅・中小企業を中心とした共同申請(コンソーシアム形式)も対象となります。
※みなし大企業や実施する補助事業の内容が農作物の生産自体に関するものなど1次産業を主たる事業としている場合は補助対象外。
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 補助対象要件
一般枠、令和6年度中に投資完了する事業者向けの特別枠の補助対象要件は、次のとおりです。
【一般枠】
①投資額10億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)
②賃上げ要件(補助事業の終了後3年間の対象事業に関わる従業員等1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上)
※持続的な賃上げを実現するため、補助金の申請時に掲げた賃上げ目標を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求めます(天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合を除く。事業者名は公表しない。)。
【特別枠】※上記①、②に加えて、以下の要件を満たす。
③令和6年度中(令和7年3月末まで)に補助事業が完了見込み
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 対象となる取り組み(例)
想定される例として、以下の3例が挙げられます。
・工場や倉庫、販売拠点などの新設や増設
・最先端の機械や省力化できる設備の導入
・ソフトウェアの購入や情報システムの構築
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 補助対象経費
対象となる経費は、工場等の拠点新設や大規模な設備投資に係る費用です。具体的には、以下の費目が対象となります。
費目 |
詳細 |
建物費 (拠点新設・増築等) |
専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、 販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費(単価100万円(税抜き)以上のものに限る) |
機械装置費 (器具・備品費含む) |
①専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測 定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費 (単価100万円(税抜き)以上のものに限る) |
ソフトウェア費 |
①専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費 (単価100万円(税抜き)以上のものに限る) |
外注費 | 補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注 (請負・委託)する場合の経費 |
専門家経費 | 補助事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費 |
※建物費は生産設備等の導入に必要なものに限ります。なお、土地代は対象外です。
機械装置やソフトウェアに限り、リースやレンタルについて、交付決定後に契約したことが確認できるもので、事業期間中に要する経費については対象とすることが可能です。
契約期間が事業実施期間を超える場合は、按分等により算出された事業実施期間分の経費が
対象となります。
また、ファイナンス・リース取引に限り、補助事業者がリース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額されることなどを条件として、リース会社と共同申請をする場合には、機械装置やソフトウェアの購入費用について、リース会社を対象に補助金を交付することが可能です。
この場合、リース会社に対しては投資額・賃上げ要件等の適用は求めません。
参照:中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 公式HP
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 補助率・補助上限額
補助率と補助上限額および投資下限額は、次のとおりです。
補助率:1/3以内
補助上限額:50億円
投資下限額:10億円
*コンソーシアム形式により参加企業の投資額の合計が10億円以上となる場合も対象となります。
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 採択結果
1次公募の採択結果は、以下のとおりです。
〇有効申請件数:736件
〇1次審査(書面) 採択数:254件
〇2次審査(プレゼンテーション) 採択数:109件
〇採択率:約14.8%
2次公募の採択結果は、以下のとおりです。
〇有効申請件数:605件
〇1次審査(書面) 採択数:218件
〇2次審査(プレゼンテーション) 採択数:85件(内、追加採択30件※)
〇採択率:約14.0%
※追加採択:2次公募のプレゼンテーション(二次)審査において通過とならなかった事業者の中から、令和6年度分の補助金交付申請分のみを対象とした追加採択を実施し、最終的に、30件が追加採択されました。
1次公募と2次公募の合算の採択結果は、以下のとおりです。
〇有効申請件数:1,341件
〇1次審査(書面) 採択数:472件
〇2次審査(プレゼンテーション) 採択数:194件(コンソーシアム含め220社)
〇採択率:約14.47%(約16.40%)
参照:中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 公式HP 1次公募・2次公募を合算した採択企業の属性について
なお、2次審査(プレゼンテーション)において不採択だった事業者については、専用お問い合わせフォームから不採択理由を問い合わせることができます。
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 公募スケジュール
次回公募の実施日程は未公表です。
事務局への申請等は全て電子申請となり、申請には「GビスIDプライムアカウント」が必要です。GビズIDプライムアカウントは、専用ホームページで必要事項を記載し、必要書類を郵送して作成することができます。
申請のあった事業計画に基づく1次審査を行い、通過した申請者は、2次審査として経営支援等を行う外部有識者に対するプレゼン審査(対話形式)を行います。 ※地域ブロック別に実施
申請の早いものから優位的に採択されることはありません。申請締切⽇以降に全申請を同列で扱い、審査するとしています。
同じ公募期間内において、同一の事業者が申請できる事業計画は1件までです。1次公募で不採択となった場合、2次公募に申請することは可能です。
ただし、1次公募で採択され、交付決定を受けた事業者については、2次公募でさらに採択を受けることはできません。

まとめ
この記事では、「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」について解説しました。
この補助金は、中堅・中小企業が行う工場等の拠点新設や大規模な設備投資などを支援するものです。
生産性向上および従業員の持続的な賃上げを目的とした設備投資等を行う予定のある中堅・中小企業の方はぜひ、今後の本補助金に関する情報にご注目ください。
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