コロナ禍が続く中、店舗経営に日々奔走されていらっしゃる飲食店のみなさまは多いと思います。
この記事では、飲食店の皆さまをサポートするため「飲食店が活用できる補助金・助成金・融資」を8つ厳選しました。それぞれの特徴と申請方法などについて解説します。ぜひご覧いただき、店舗経営に有効活用してください。
飲食店が活用できる補助金
まず、飲食店経営に活用できる補助金を5つ紹介します。
①事業再構築補助金
新しい分野へのチャレンジやビジネスモデルを変える取り組みをサポートする補助金です。飲食店の場合、飲料・食品の提供だけではなく、来店客への物品販売を新たにスタートするための設備購入や広告宣伝などに活用可能です。
以下、6つの申請類型が設けられています。
1. 通常枠
新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を支援。
2. 大規模賃金引上枠
多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる取組を支援。
3. 回復再生応援枠
新型コロナウイルスの影響を受け、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生への取組を支援。
4. 最低賃金枠
最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援。
5. グリーン成長枠
研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題の解決に資する取組を支援。
6. 緊急対策枠
原油価格・物価高騰等の、予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている中小企業等の事業再構築を支援。
基本要件
基本的な申請要件として、下記①、②の両方を満たすことが必要です。
① 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること等。
② 経済産業省が示す「事業再構築指針(https://www.meti.go.jp/covid19/jigyo_saikoutiku/index.html)」に沿った3~5年の事業計画書を認定経営革新等支援機関等と共同で策定すること。
※【大規模賃金引上枠】、【回復・再生応援枠】、【最低賃金枠】、【グリーン成長枠】、【緊急対策枠】については、①、②の他に補助対象要件を別途設けています。また、【グリーン成長枠】、【緊急対策枠】については、①の要件は課されません。
補助額と補助率
企業規模によって補助額・補助率が異なるため、ここでは中小企業の場合の補助額および補助率を掲載します。
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 | |
通常枠 | 20人以下 | 100~2,000万円 |
2/3 (6,000万円を超える部分は1/2) |
21~50人 | 100~4,000万円 | ||
51~100人 | 100~6,000万円 | ||
101人以上 | 100~8,000万円 | ||
大規模賃金引上枠 | 101人以上 | 8,000万円超~1億円 | 2/3 (6,000万円を超える部分は1/2) |
回復・再生応援枠 | 5人以下 | 100~500万円 | 3/4 |
6~20 人 | 100~1,000万円 | ||
21人以上 | 100~1,500万円 | ||
最低賃金枠 | 5人以下 | 100~500万円 | 3/4 |
6~20 人 | 100~1,000万円 | ||
21人以上 | 100~1,500万円 | ||
グリーン成長枠 | – | 100万円~1億円 | 1/2 |
緊急対策枠 | 5人以下 | 100~1,000万円 |
3/4 |
6~20 人 | 100~2,000万円 | ||
21~50 人 | 100~3,000万円 | ||
51人以上 | 100~4,000万円 |

②ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が取り組む設備投資を支援する補助金です。飲食店の場合、新しいメニューをお客さまに提供するために製造機械を新たに導入するようなケースで活用できます。
ものづくり補助金には、以下の申請類型が設けられています。
1. 通常枠
革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援
2. 回復型賃上げ・雇用拡大枠
業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者が行う、革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援
3. デジタル枠
DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援
4. グリーン枠
温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援
5. グローバル市場開拓枠
海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援(①海外直接投資類型、②海外市場開拓(JAPAN ブランド)類型、③インバウンド市場開拓類型、④海外事業者との共同事業類型のいずれかに合致するもの)
出典:ものづくり補助金 公募要領
基本要件
基本的な申請要件として、下記①、②の両方を満たすことが必要です。
①以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定することが必要
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。
(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
・事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。
②以下に同意の上、事業計画を策定・実行することが必要
・申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を策定していることが必要です。交付後に策定していないことが発覚した場合は、補助金額の返還を求めます。
・財産処分や収益納付等も含め、補助金等の返還額の合計は補助金交付額を上限とします。
・再生事業者である場合には、各目標が達成できていない場合であっても返還は免除します。
補助額と補助率
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 | ||
通常枠 | 5人以下 | 100~750万円 |
1/2 小規模企業者・小規模事業者、再生事業者:2/3 |
|
6~20人 | 100~1,000万円 | |||
21人以上 | 100~1,250万円 | |||
回復型賃上げ・雇用拡大枠 | 5 人以下 | 100~750万円 | 2/3 | |
6~20人 | 100~1,000万円 | |||
21人以上 | 100~1,250万円 | |||
デジタル枠 | 5人以下 | 100~750万円 | 2/3 | |
6~20人 | 100~1,000万円 | |||
21人以上 | 100~1,250万円 | |||
グリーン枠 | エントリー類型 | 5人以下 | 100~750万円 | 2/3 |
6~20人 | 100~1,000万円 | |||
21人以上 | 100~1,250万円 | |||
スタンダード類型 | 5人以下 | 750~1,000万円 | ||
6~20人 | 1,000~1,500万円 | |||
21人以上 | 1,250~2,000万円 | |||
アドバンス類型 | 5人以下 | 1,000~2,000万円 | ||
6~20人 | 1,500~3,000万円 | |||
21人以上 | 2,000~4,000万円 | |||
グローバル市場開拓枠 | 100~3,000万円 | 1/2 小規模企業者・小規模事業者 2/3 |

③小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓等の取組や業務効率化の取り組みを支援する補助金です。6つの申請類型に分かれていて、各類型の補助額・補助率は以下のとおりです。
類型 | 補助上限額 | 補助率 |
通常枠 | 50万円 | 2/3 賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4 |
賃金引上げ枠 | 200万円 | |
卒業枠 | 200万円 | |
後継者支援枠 | 200万円 | |
創業枠 | 200万円 | |
インボイス枠 | 100万円 |

④IT導入補助金
店舗の業務効率化を図るため、ITツールの導入費用などを支援する補助金です。以下、大きく3つの申請類型に分かれています。このほか、複数社連携IT導入類型が設けられていますが、複数社が連携して行う取り組みが対象となるため、この記事では説明を割愛します。
種類 | 補助上限額 | 補助率 |
通常枠 (A類型・B類型) |
30万~450万円以下 | 1/2以内 |
セキュリティ対策推進枠 | 5万円~100万円 | 1/2以内 |
デジタル化基盤導入枠 (デジタル化基盤導入類型) |
5万円~350万円 | 1/2~3/4以内 |

⑤雇用調整助成金(特例措置)
新型コロナウィルス感染症対策の特例措置として、雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)の特例措置が実施されています。
雇用調整助成金とは、従業員の雇用維持を図るために「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。

⑥新型コロナウイルス感染症特別貸付
日本政策金融公庫が行っている「新型コロナウイルス感染症特別貸付」です。
新型コロナウィルス感染症の影響で一時的に業績が悪化し、一定要件を満たす事業者が利用可能です。
<貸付期間>
設備資金は20年以内、運転資金は15年以内
<据置期間>
5年以内
<融資限度額(別枠)>
中小企業事業6億円、国民生活事業8,000万円
<金利>
中小企業事業:当初3年間 0.21%→4年目以降 1.11%
国民生活事業:当初3年間 0.46%→4年目以降 1.36%

⑦月次支援金・感染拡大防止協力金
緊急事態措置、まん延防止等重点措置に伴う飲食店の時短営業なとで、売上が減少した飲食店への支援金や協力金です。国から支給される月次支援金、各地方公共団体から支給される感染拡大防止協力金などがあります。
感染防止拡大協力金については、各地方公共団体にお問い合わせください。
まとめ
出口の見えないコロナ禍はまだまだ続きそうな状況です。飲食店の皆さまは大変な経営と日々向き合っていらっしゃいます。今回紹介しました補助金・助成金・融資は、コロナ禍での店舗経営の助けになり、また将来への布石にもつながります。ぜひ積極的に活かしてくたざい。
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