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サービス業には、経営コンサルタント業や広告業など、さまざまな業態があります。こうした各業態が行う販路開拓や設備投資などの取り組みを支援するため、国や全国自治体は補助金制度を設けています。
この記事では、国や各自治体が実施している主な補助金を7つ紹介します。
サービス業の種類
まず、経済産業省が定める「サービス業」の分類と内容の例示について確認します。本記事でも同様に、以下の業種を「サービス業」と定義して、サービス業を営む事業者が活用できる補助金を紹介します。
分類 | 内容例示 |
経営コンサルタント業、純粋持株会社 | 経営コンサルタント業、純粋持株会社 |
広告業 | 総合広告業、広告代理業、新聞広告代理業、インターネット広告業等 |
学術研究、専門・技術サービス業(経営コンサルタント業、純粋持株会社、 広告業は除く) | 学術・開発研究機関、法律事務所、特許事務所、公認会計士事務所、 税理士事務所、デザイン業、著述家業、興信所、翻訳業、獣医業、建築設計業、機械設計業、写真業等 |
生活関連サービス業、娯楽業 | 洗濯・理容・美容・浴場業、旅行業、物品預り業、冠婚葬祭業、映画館、劇場、スポーツ施設提供業、公園、遊園地、遊戯場等 |
その他のサービス業 | 廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、職業紹介・労働者派遣業、速記業、複写業、警備業、政治・経済・文化団体、宗教等 |
参照:経済産業省 業種分類表
サービス業が活用できる補助金(国による支援)
全国のサービス事業者が活用できる補助金のうち、国(主管:経済産業省、中小企業庁)による支援施策を4つ紹介します。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するものです。
サービス業の場合、例として、美容室が強みを生かしてヘッドスパ店舗の運営事業を新たに始める場合が挙げられます。
補助対象者
本事業の補助対象者は、日本国内に本社を有する中小企業者等及び中堅企業等です。
本事業には、以下6つの事業類型があります。
1. 最低賃金枠
2. 物価高騰対策・回復再生応援枠
3. 産業構造転換枠
4. 成長枠
5. グリーン成長枠
6. サプライチェーン強靭化枠
補助対象経費
事業再構築補助金の補助対象となる経費項目は、次のとおりです。
- 建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
ものづくり補助金
参照:ものづくり補助金補助金 公式HP 公募要領(16次締切分) 概要版
ものづくり補助金は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の通称です。
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
サービス業の採択事例として、「3Dレーザースキャナ導入による測量業の生産性の向上と短納期化の実現」が挙げられます。従来の測量業務の作業効率や安全性などを改善するために3Dレーザースキャナー導入し、作業効率が8倍に向上した例です。
参照:3Dレーザースキャナ導入による測量業の生産性の向上と短納期化の実現
補助対象者
補助対象者は、日本国内に本社および補助事業の実施場所を有する中小企業者が中心となります。製造業に限らず、卸売業、サービス業等も対象です。
補助対象経費
補助対象となる主な経費項目は、次のとおりです。
- 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
IT導入補助金
IT導入補助金は、サービス業を営む事業者が、自社課題を解決するためにITツールを導入する場合に活用できる補助金です。一部の申請枠では、レジやタブレット端末の購入費用も対象となります。
補助対象者
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等を補助対象としています。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
補助対象者
本補助金の補助対象者は、日本国内に所在する小規模事業者(個人または日本国内に本店を有する法人:単独または複数)とします。
補助対象経費
主な対象経費項目は、次のとおりです。
- 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費
- サービス業の場合、新たなサービスの宣伝周知、販路開拓のための展示会等出展などが対象となります。
サービス業が活用できる補助金(自治体による支援)
次に、各自治体による主な支援施策を3つ取り上げて紹介します。
富山県:外国人旅行者受入環境整備促進事業費補助金
富山県では、外国人旅行者が増加する中で、富山県内での滞在時の不便や障害等を解消し、観光地の魅力と外国人旅行者の満足度を高めるため、受入環境の整備促進を図る取組みに対して支援を行います。
補助上限額・補助率
【免税店環境整備】【多言語コミュニケーション環境整備】
補助金額:10万円
補助率:1/2
【美術館・博物館等外国人受入環境整備】
補助金額:50万円
補助率:1/3
【着地型観光商品開発支援】
補助金額:30万円
補助率:1/2
千葉県:令和5年度観光地魅力アップ整備事業補助金
一人でも多くのお客様に「千葉の旅」を楽しんでいただけるよう、多くの観光客が利用する観光所や観光公衆トイレ、駐車場等の観光関連施設の設置・改修に係る費用の一部を補助するものです。
本補助金は市町村を通じた間接補助とし、市町村以外の者が実施主体となる場合は、市町村による6分の1以上の上乗せがある場合に限ります。
補助上限額・補助率
(1)実施主体が「市町村」の場合:補助率2分の1(補助上限額750万円)
(2)実施主体が「市町村以外の者」の場合:補助率3分の1(補助上限額400万円)
島根県:飲食・商業・サービス業等エネルギーコスト削減対策緊急支援事業
エネルギー価格高騰の影響を受けている飲食・商業・サービス業等を営む中小企業に対して、エネルギーコスト削減を図るための取組の経費の一部を補助することにより、中小企業の経営を支援することを目的としています。
本事業は令和5年9月30日をもって4次公募が終了していますが、予算の残額状況次第で5次公募が行われる可能性があります。
補助上限額・補助率
補助金額:下限額200千円~上限額2,000千円
補助率:1/2(新型コロナウイルス感染症関連融資を利用している場合は2/3)
参照:飲食・商業・サービス業等エネルギーコスト削減対策緊急支援事業
まとめ
今回は、サービス業事業者を支援するための補助金施策について、国と自治体といった主管に分けて紹介しました。自社にマッチする補助金を選定し、ぜひ、事業にお役立てください。
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