新型コロナウイルスの感染拡大は、ここにきてやや沈静化していますが、ロシアによるウクライナ侵攻など、まだまだ予断を許さない状況が続いています。
こうした環境下、中小企業が取り組む各種の展示会などに支援を行う補助金について解説します。
政府による取り組み
政府による取り組みとして、次の3つの事業が挙げられます。
1. 展示会等のイベント産業高度化推進事業(展示会を契機とした海外販路開拓に関する実証事業)
2. 小規模事業者持続化補助金
3. JAPANブランド育成支援等事業
ここでは、各補助金について解説します。
展示会等のイベント産業高度化推進事業(展示会を契機とした海外販路開拓に関する実証事業)
本補助金は、展示会での海外販路開拓に関する実証事業を行うものです。
公募概要
展示会という場での商談プラットフォームで、小規模・中小企業者が課題とする、海外向けの販路開拓を支援するビジネスモデル構築に向けた実証事業を実施します。
事業内容
出展者が抱える海外販路開拓の現状や課題を把握し、課題解決に必要となる、主催者が提供すべき国内展示会の機能について整理・検討するとともに、当該機能の有用性を検証することを目的に、新たなデジタル技術やサービスを組み合わせた包括的なサービスとして、実際の展示会の場で、複数の出展者に対して提供する実証を行うものです。
また、出展者や海外関係者の関係者に対するヒアリングやアンケート調査を実施し、リード顧客獲得数及び商談成約数などを取りまとめ、実証事業の分析や効果検証を実施した上で、総合的に取りまとめた成果報告書を作成することとしています。
対象者
募集要領(下記・経済産業省のurl参照)の応募資格を満たす企業・団体などとなっています。
公募期間
令和4年5月26日(木曜日)~令和4年6月30日(木曜日)15時
問い合わせ先
〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1
経済産業省 商務・サービスグループ クールジャパン政策課
E-MAIL:exhibition-itaku@meti.go.jpメールリンク
参照:経済産業省

小規模事業者持続化補助金
本補助金は小規模事業者等が行う販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援するものです。販路開拓の取り組みには展示会の実施も含まれ、支援の対象となります。
なお、オンラインによる展示会・商談会等も対象に含まれます。
公募概要
持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助します。
事業内容
小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人(以下「小規模事業者等」という。)が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度の導入等)等に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。
小規模事業者自らが作成した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)や、地道な販路開拓等と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
対象者
募集要領(下記・商工会議所のurl参照)の要件をいずれも満たす日本国内に所在する小規模事業者(個人、又は日本国内に本店を有する法人)等(単独または複数)
補助率・補助上限額
◆助成率:2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4)
◆助成額:[通常枠] 50万円 [賃金引上げ枠] 200万円
[卒業枠] 200万円 [後継者支援枠] 200万円
[創業枠] 200万円 [インボイス枠] 100万円
公募期間
令和4年3月29日(火曜日)~令和4年9月20日(火曜日)
問い合わせ先
商工会議所地区 令和元年度補正予算・令和3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金事務局
TEL:03-6632-1502
受付時間 ~、~※土日祝日、年末年始の休業日を除く
参照:商工会議所

JAPANブランド育成支援等事業
中小企業者が、海外での販路開拓を目指して取り組む、展示会等出展費(展示会等出展に伴う会場借料、備品費、商品搬送費、倉庫保管料及び保険料を含む。)等を補助するものです。
公募概要
中小企業者等が、海外展開やそれを見据えた全国展開のために、新商品・サービスの開発・改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取組を行う場合に、その経費の一部を補助することにより、地域中小企業の域外需要の獲得を図るとともに、地域経済の活性化及び地域中小企業の振興に寄与することを目的としています。
対象者
将来の海外展開を目指す全国の中小企業者等
補助上限額・補助率
補助額(上限)と補助率は下記のとおりです。
- 補助額:上限500万円
※1社ごとに500万円上限額を嵩上げし、最大で2,000万円 - 補助率:補助対象経費の2/3
※ただし、採択3年目事業又は国内販路開拓部分は1/2 - 補助事業期間:交付決定日~令和5年3月末日まで
公募期間
令和4年6月20日(月)~ 令和4年8月1日(月)
留意事項:支援パートナーが必要
申請に当たっては、支援パートナーが必要となります。
支援パートナーとは、中小企業庁が選定した海外販路開拓等のプロフェッショナル事業者です。
海外販路開拓・拡大に資する支援パートナーを自ら選択し、支援パートナーとの協議の上、事業計画を策定し、補助金申請を行います。
問い合わせ先
中小企業庁 経営支援部 創業・新事業促進課
電話:03-3501-1767(直通)

東京都における取り組み
続いて、東京都内で活動する事業者向けの主な取り組みについて解説します。
令和4年度 展示会出展助成事業
東京都中小企業振興公社では、令和4年度・展示会出展助成事業を主催・支援しています。
助成内容
都内で活動する中小企業者が、販路拡大および経営基盤の更なる強化を図るために行う、展示会への出展に係る経費の一部を助成するものです。
助成対象の展示会
自社の製品・技術・商品・サービスの販路拡大を目的とした展示会、またはオンライン展示会への出展を対象とします。
要件は、以下の要件すべてを満たす必要があります。
- 事業者との商談を開催主旨とする展示会であり、一般来場者を対象にするものではないこと
- 特定の顧客を来場対象とする展示会ではないこと
- 自社が主催また又は運営に携わる展示会ではないこと
- 販売を可能としている展示会ではないこと
- 主催者発行の日本語による出展要項が公開され、公募されていること
- 交付決定日が属する月の翌月1日以降に開催されること
- 申請者が主体の出展であること
- 起業家・ファンド等の資金集めを目的に行う出展ではないこと
- 小間の社名板(パラペット等に掲示される展示会公式の社名看板)と当日会場図
- 出展小間料またはオンライン出展料の経費計上があり、支払い済ではないこと
助成対象経費
助成の対象となる経費は、展示会出展費用等、販路拡大に要する経費の一部となります。
助成率・助成額
助成条件は下記のとおりです。
- 助成率:2/3以内
- 助成限度額:150万円
助成対象期間
助成対象期間は、交付決定日から1年1ケ月以内となります。
詳細スケジュールは下記の参照url記載の募集要項で確認する必要があります。なお、受付期間中でも、予算に達した時点で受付が締め切られます。
申請方法
簡易書留など、記録の残る方法による送付(持参は受付できません)により受け付けられます。

令和4年度・市場開拓助成事業
続いて、市場開拓助成事業について解説します。
本事業は、東京都から評価・支援を受けた製品・サービス等や、成長産業分野に属する技術・製品等について、販路開拓のために出展する展示会等に係る経費の一部を助成することにより、都内中小企業者等の振興に資することを目的としています。
助成対象の展示会
国内展示会、海外展示会、オンライン展示会
申請要件
令和4年5月31日時点で「商品化が完了し販売できる状態にある自社の製品」であることに加え、選択した申請区分ごとに定める下記の要件を満たしている必要があります。
申請区分1
東京都支援製品の市場開拓助成
「東京都や公社から一定の評価、認定、支援等」を受けた自社の製品・サービス等
詳細についてはこちらのURLをご参照ください。
申請区分2
成長産業分野の市場開拓助成
東京都が策定した「イノベーションマップ」に示された開発支援テーマのいずれかに属する自社の製品など
イノベーションマップでは、次の9つの分野に属する技術・製品の開発を開発支援テーマとして定めています。
- 防災、減災、災害復旧
- インフラメンテナンス
- 安全・安心の確保
- スポーツ振興、障害者スポーツ
- 子育て・高齢者・障害者等支援
- 国際的な観光・金融都市の実現
- 環境・エネルギー
- 医療・健康
- 交通・物流・サプライチェーン
助成対象経費
展示会等参加費:出展小間料、資材費、輸送費、通訳費(海外展示会のみ)、オンライン出展基本料
販売促進費:自社webサイト制作・改修費、ECサイト出店初期登録料、印刷物制作費、PR動画制作費、広告費
※「展示会等参加費」の申請は必須であり、「販売促進費」のみの申請はできません。
助成率・助成額
助成条件は下記のとおりです。
- 助成率:1/2以内
- 助成限度額:300万円
助成対象期間
令和4年10月1日から令和5年12月31日まで(1年3カ月以内)
参照:東京都

各地域・自治体による取り組み
上記以外にも、全国の各自治体で同様の支援策が公募されています。
詳細については、所属する自治体の取り組みについて確認することが重要です。
参考までに、いくつかの自治体による取り組みを挙げます。
新宿区:中小企業展示会等出展支援補助金
新宿区内で活動する中小企業者の販路拡大を支援するため、販路拡大を目的とした展示会・見本市等出展に係る経費の一部に対して補助金を交付するものです。
補助金額(補助率)
国内展示会およびオンライン展示会:1件30万円まで(補助対象経費の2/3以内)
海外展示会:1件40万円まで(補助対象経費の2/3以内)
募集期間
令和4年4月1日(金)~令和5年3月15日(水)
参照:新宿区

江東区:展示会等出展費補助
江東区内で活動する中小企業の優秀な製品または技術を広く市場に紹介するため、展示会等に出展する中小企業者に対し、経費の一部を補助するものです。
補助金額・補助率
補助金額上限:上限20万円まで(千円未満切捨)
補助率:補助対象経費の2/3以内
募集期間
特に明記なし(出展する展示会等の開催期間(初日)の前日までに事務局へ提出)
出展:江東区

神奈川県:海外展示会出展助成事業
神奈川県内で活動する中小企業が、日本国以外で実際に開催される展示会への出展に際する経費、または、日本以外の国への販路開拓を目的としたWeb展示会への出展に際する経費に関して、その一部を助成し、海外での新たな市場開拓を支援するものです。
補助金額・補助率
出展地域が欧州・北米:30万円
アジア・その他地域:20万円
Web出展:20万円
補助率:いずれも1/2
募集期間
2022年4月8日(金)~2022年6月30日(木)(必着)
参照:神奈川県

最後に
展示会で使える補助金についてとりまとめ、解説しました。
多くの中小企業にとって、まだまだ厳しい経済環境が続きますが、各種イベントや展示会を企画・開催する際に、今回みてきたような支援施策を有効に活用することで、自社の事業拡大の参考にしていただければと思います。
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