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事業再構築補助金への申請から採択後まで!手続きの流れを解説

公開日 2023/04/10
更新日 2023/06/15
この記事は約8分で読めます。

※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために、思い切った事業再構築に意欲を有する中⼩企業等の挑戦を⽀援する補助金です。

中小企業の場合、通常、最大1億円の補助を受けることができるほか、新設された「サプライチェーン強靭化枠」においては最大5億円が補助されます。

他の補助金と比較して補助金額が大きいため、申請を検討する方は多いと思いますが、申請フローがわからない方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、同補助金における申請や採択後の流れについて詳しく解説します。

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補助金クラウド 事業再構築補助金
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事業再構築補助金

採択事例

まずは、どんな事業で事業再構築補助金に採択されるのか、過去の事例を紹介します。

建設業

①建築会社によるアスベスト含有建材の分析業務という新分野展開:木造建築業による建築建材のノウハウを活かした、アスベスト調査部門を立ち上げる。2022年4月から解体する建築物のアスベスト含有の調査が義務化になり、1970年ごろ多く使われたアスベスト含有の建築物の解体の需要が高まってきている。建築物の解体情報から新しい建築計画の情報を得て、現在の営業活動に生かすことができる。

②2050年脱炭素社会の実現に向けたZEBリノベーション事業への新分野展開:コロナの影響により、新築工事受注減少しており、従来にも増して競争環境が激化している。今回、新たな売上の柱と確立すべく、今後市場拡大が見込まれる「ZEBリノベーション事業」に進出し、事業再構築・SDGs達成へ導く計画。

③リフォームなどの大工工事業からガラス工事業へ業態転換する計画:住宅リフォームの大工工事業を行う弊社が、後継者不足で廃れていくガラス工事業を継承し、窓ガラスの加工から設置までの技術を伝承する。省エネ対策にもなり得る窓ガラスのリフォーム業をはじめることで、地域貢献を図る。

製造業

①車載製品ものづくり技術を活かしたゲーム機市場への展開:コロナウイルス流行により車載事業において資材調達停滞の長期化から売上回復が見込めないなか、コロナ巣ごもり事情から家庭用ゲーム市場は高成長が続いており、車載製品ものづくり技術を活かしたゲーム機新規分野への展開を図る

②既存事業の認知度を活かしたフードデリバリーサービス業への転換:コロナ渦で学級閉鎖・外出の自粛などによる影響で売上が大きく減少をしたため今後は、既存の豆腐・惣菜等の製造・販売事業から、新たに設備を設け、フードデリバリー専門店として業種転換を行う。

③マスク及び紙おむつ製造用金型部品等進出のための新加工技術導入による業態転換:新型コロナウイルスの影響によるマスク需要の増加及び高齢化社会による大人向け紙おむつの需要が増加しており、それに伴い製造用加工機の需要が増加している。これら需要に対応すべく、新たな製造方法の確立による業態転換を図り、加工機用金型部品の加工体制を構築する。

小売業

①コンビニエンスストアから高齢化社会に適応した業種への転換:急激に増加する高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を営んでいけるよう、新たに生活サービス代行による支援を開始し、新たな市場を獲得することで、コロナ禍で低迷するコンビニ業に代わる新たな収益の柱とさせます。

②ブランドアパレル小売店舗事業からBtoB事業への転換:ブランドアパレル小売店舗事業の閑散期の店舗を活用することで卸売事業・ギャラリー運営事業(オプションとしてPress広告事業)のBtoBビジネスモデルへ事業転換する。

③事業承継を見据えたレトルト食品製造事業進出による新分野展開:コロナ禍におけるレトルト食品に対するニーズの高まりを捉え、当社の強みである、低価格での調達が可能な食肉端材を使い、オリジナルレトルト食品の製造・販売を目指す、レトルト食品製造事業への新分野展開です。

参照:事業再構築補助金 日本標準産業分類における「事業計画の概要」

申請の流れ 

参照:事業再構築補助金 第10回公募要領

事業再構築補助金は、補助金の支払いを希望する事業者が自ら事業計画を立てて国に申請し、審査を受けて採択されれば、補助金を受給できます。

申請準備から手続き、補助金支払いまでの大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. 応募申請
  2. 採択
  3. 交付申請
  4. 交付決定
  5. 監査
  6. 補助額確定
  7. 請求
  8. 入金

このほか、各手続きの合間に補助金の事務局への事業報告をはじめ、事務局とのやりとりが必要となります。

申請準備 

申請準備には、主に下記の3項目があります。

1.認定支援機関と事業計画の策定、事業計画書の作成

事業再構築補助金の申請時に提出する「事業計画」を、認定支援機関とともに作成します。

2.「GビズIDプライムアカウント」の取得

事業再構築補助金の申請は原則として「オンライン申請のみ」となり、申請には「GビズID プライムアカウント」の取得が必要です。

なお、「GビズIDプライムアカウント」は、事業採択後の補助金交付申請時にも利用します。
申請からアカウント交付まで時間がかかる場合があるので、なるべく早めに取得手続きをしておきましょう。

参照:gBizID 公式HP

3. 必要書類を揃える

事業再構築補助金の申請時には、さまざまな書類が必要です。加点申請を行う場合は、通常時よりもさらに多くの書類が必要となります。

提出が必要な書類は、以下のページで確認できます。漏れのないよう、しっかりと準備しましょう。

参照:添付書類確認シート

応募申請 

公募受付が始まったら、所定の期間内に「GビズID プライムアカウント」で専用サイトにログインし、電子申請システム操作マニュアルに従って必要事項を入力し、必要書類を添付して送信します。

参照:gBizID 公式HP

採択結果通知

採択事業者決定後、申請者全員に対して、事務局から採択・不採択の結果が通知されます。

採択となった案件については、受付番号、商号又は名称(法人番号を含む)、事業計画名(30字程度)、認定経営革新等支援機関等名、認定経営革新支援機関等担当者名、認定経営革新等支援機関等以外の外部支援者名等が公表されます。

採択後の流れ

出典:事業再構築補助金公式HP 採択後の流れ・資料

事業再構築補助金は、応募申請をしただけでは受給できません。採択後に交付申請が必要となり、申請を行わなかった場合は補助金が支給されません。応募申請同様に採択後の流れも重要となるので、詳しく解説します。

交付申請 

採択後、補助対象経費を精査し、補助金の交付申請を行います。
審査の結果、補助対象経費として認められない経費が含まれている場合、支払われる補助金額が減額される場合もあるので注意しましょう。

補助事業実施期間

補助事業を展開する期間は、交付決定日~12 か月以内(ただし、採択発表日から 14 か月後の日まで)と定められています。当該期間中に、補助対象として認められた経費を使い、設備の購入や建物の改修などを行います。

補助額の確定 

補助金の最終的な金額は、交付決定後、中間監査、確定監査などの手続きを経て確定します。

これらの過程で、受給金額が減額される可能性があるので注意しましょう。同時に、採択決定額が交付申請時の金額を上回ることもありません。

また、補助金は原則、補助金交付決定後に使用した金額の一部が後から補助されます。しかし、一定の要件を満たす場合は「事前着手申請」が可能となり、交付決定前に使用した金額の補助を受けることができます。

補助金の請求・受給 

前述のとおり、補助金は原則として「後払い」です。補助期間終了後に経費の確定検査で事業者が適切に補助金を支出したことを確認した後、補助金支払い額が確定し、事業者に支払われます。

事業再構築補助金化状況の報告

事業再構築補助金の採択後には、次の3種類の報告が必要となります。

  • 遂行状況報告(事業中間報告)
  • 実績報告(事業完了報告)
  • 事業化状況等報告(補助金交付後、補助事業の成果報告など)

【遂行状況報告】

遂行状況報告とは、補助事業開始後約3ケ月後に事務局から依頼される中間報告です。
補助事業の進捗や補助対象経費の支払い状況を事務局に伝えることを目的としています。
事務局からメールが届いたら、指定された期限内に報告書を提出する必要があります。

【実績報告】

実績報告とは、補助事業完了後、補助事業が交付決定内容に適合的に遂行されているか確認するための報告です。
補助事業が完了したら、Jグランツにて、実績報告書の入力、証拠書類の添付を行います。

報告には提出期限が決まっており、補助事業完了後30日が経過した日または補助事業完了期限日のいずれか早い方となっています。指定された期限内に提出できない場合には交付決定取消となってしまうので、注意しましょう。

【事業化状況等報告】

事業の中間報告としての遂行状況報告、事業の完了報告としての実績報告を行い、無事に補助金を受給した後、補助事業完了日の属する年度も含めて、以降5年間、合計6回の「事業化状況等報告」をする必要があります。

事業化状況等報告とは、事務局が補助金が適正に活用されているかどうかを把握することを目的として、事業者が補助金を受け取った後に、補助事業の成果(事業化や知的財産権の譲渡)の状況などに関して行う報告です。そして、事業化状況等報告は、事業化状況報告システムに「事業化状況」や「知的財産権等」の各種情報を登録していくことで行います。

不採択の場合 

事業再構築補助金で不採択になった場合でも、不採択になった理由を改善すると再申請できます。不採択の通知を受けた事業者は、その理由を事務局に確認し、改めて再申請の準備を進めることが可能です。

再申請に向けて必要となる主な準備は次のとおりです。

  • 不採択になった理由を事務局に問い合わせる
  • 認定支援機関への依頼内容を見直す
  • 申請前に最新の公募要領を確認する

なお、それぞれの応募枠ごとの対応は次のとおりです。

  • 大規模賃金引上枠、回復・再生応援枠、最低賃金枠で不採択の場合:通常枠で再審査
  • グリーン成長枠、緊急対策枠で不採択の場合:通常枠での再審査が可能
     

過去の公募回で不採択となった事業者は、上述のとおり、事業計画の見直しを行った上で再度申請が可能です。ただし、前公募回の採択結果が公表されるまでの間は、システム上での申請受け付けはできません。

参照:事業再構築補助金第10回 公募要領

過去の採択状況

公表されている採択結果のうち、直近回となる第9回の情報は、次のとおりです。

・公募期間:令和5年1月16日~3月24日
申請数 9,369者 採択数 4,259者(採択率 約45.46%)
参照:事業再構築補助金 採択結果

まとめ

事業再構築補助金における申請および採択後の流れを解説しました。

この補助金は、これまで数多くの中小企業を支援し、厳しい経営環境からの脱却へ向けて大きな力となっています。2023年4月現在は第10回公募が行われ、これまでの内容からさらに内容拡充が行われています。

補助金の申請から採択後に至る流れをよく把握し、ぜひ、事業の維持・拡大にお役立てください。

監修佐藤淳 / 公認会計士
中小企業庁認定 経営革新等支援機関 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)の東京オフィスに6年間、シアトルオフィスに2年間勤務。 2015年よりアジア最大級の独立系コンサルティングファームの日本オフィスにて事業戦略の構築支援、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資の業務に従事。 2017年 自身で旅行スタートアップ(Stayway)を立ち上げ資金調達をした経験を生かしながら、補助金・ファイナンス・M&Aのサポートを実施

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