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事業再構築補助金の申請枠のうち「成長枠」は第10回公募から新設され、他の申請類家とは異なり「売上高等減少要件」のない枠であるため、多くの事業者から注目されています。
しかし、成長枠に申請できる業種・業態は限られていて、要件を満たしている必要があります。そこでこの記事では、カフェやレストラン等を営む飲食事業者による事業再構築補助金 成長枠への申請可否について解説します。
事業再構築補助金 成長枠とは?
出典:事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)
事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新市場進出(新分
野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰、またはこれらの取り組みを通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するものです。
計6種ある申請枠のうち「成長枠」は、同補助金においてこれまで実施されていた「通常枠」の一部内容を変更し、第10回公募から新設されたものです。
主な内容変更のポイントには、売上高減少要件の撤廃・市場拡大要件の追加が挙げられます。この市場拡大要件の追加により、成長枠への申請は、指定の要件を満たす業種・業態のみに限られました。
指定業種について
市場拡大要件は「取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること」を定めたもので、これから行う事業が要件を満たす「指定業種」に該当する場合のみ申請できることを示しています。
業界団体等が、自らの業種・業態が上記要件を満たすことについて示し、事務局の審査を通れば「指定業種」に認定されます。
具体的な指定業種は、以下のページの「成長枠対象リスト」に列挙されています。
事業再構築補助金 成長枠は飲食業の申請不可
では、飲食業は指定業種に含まれているのでしょうか?
結論として、飲食業は指定業種に含まれていないため、飲食店を開店する場合は成長枠への申請はできません。
ただし、食品製造業は指定業種に含まれるため、現在飲食業を営む事業者が食品製造業へ転換する場合は申請可能です。例として、自社で食品を製造し、販売する会社の場合は食品製造業にあたるほか、同様に、食料・飲料卸売業も申請できる業種とされています。
事業再構築補助金 成長枠の代わりに飲食業が申請できる補助金
ここからは、飲食業を始める方が事業再構築補助金 成長枠の代わりとして申請できる補助金を申請要件に応じて場合分けして紹介します。
原油価格・物価高騰等の影響を受けている場合
近年、多くの事業者が長引く原油価格・物価高騰等による深刻な影響を受けています。こうした状況を鑑み、価格高騰の影響を受ける飲食事業者が申請できる補助金があります。
事業再構築補助金(物価高騰対策・回復再生応援枠)
出典:事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)
事業再構築補助金 物価高騰対策・回復再生応援枠は、業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援するものです。
成長枠とは異なり「売上高等減少要件」があり、従来の通常枠の内容に一番近いという見方があります。
なお本来、補助対象となる経費は、原則、交付決定を受けた日付以降に契約(発注)を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したものとされていますが、物価高騰対策・回復再生応援枠に申請する事業者であり、事務局から事前着手届出が受理された場合には、補助金の交付決定前であっても指定された期間内の経費であれば補助対象となります。
また、成長枠のような業種の指定はなく、そのほかの必要な要件を満たしている場合は申請可能です。
最低賃金引上げを行う場合
飲食事業者が従業員の最低賃金の引き上げを行う場合は、以下の補助金への申請が可能です。
事業再構築補助金(最低賃金引上げ枠)
最低賃金枠は、最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難である、特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援するものです。
中小企業にとって従業員に支払う最低賃金の上昇が経営圧迫に繋がりかねないことから、中小企業等の経営立て直しのための“事業再構築資金”となるよう最低賃金枠が設けられています。
また、令和5年10月に全国平均43円の過去最大の最低賃金引上げが予定されていることから、第11回公募開始時に、上図のとおり、最低賃金要件の緩和及び対象期間の見直しが公表されました。
対象期間については、今後の公募ごとに更新される見込みであるため、申請時は公募要領にて必ずご確認ください。
なお、最低賃金枠には「加点措置」があり、要件を満たす場合、【物価高騰対策・回復再生応援枠】に比べて採択率において優遇されます。
事業再構築補助金の加点項目については、以下の記事もご覧ください。
ITツールを導入する場合
続いて、飲食業を営む事業者がITツールを導入する場合に活用できる補助金を紹介します。
IT導入補助金
出典:IT導入補助金 公式HP
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援することを目的とした支援制度です。
会計ソフトや受発注ソフト、セキュリティ対策ソフトといったソフトウェアのほか、パソコンやタブレット端末、POSレジなどのハードウェアの購入費用も対象経費となります。
設備投資・販路開拓等を行う場合
飲食事業者が設備投資・販路開拓等を行う場合に活用できる補助金は、次のとおり、2種類あります。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するために取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援する制度です。
飲食業の場合、お客様に提供する食事や飲み物を作る際に必要な工程において生産性向上を見込める機械装置の購入費用をはじめ、試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費などが補助対象となります。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するために行う販路開拓等に要する経費の一部を補助するものです。
飲食業の場合、生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫の購入費用、看板作成・設置に要する広報費(広告宣伝費)などが対象経費となります。
業態転換を行う場合
対象エリアは限られますが、飲食事業者が業態転換を行う場合に活用できる支援事業についても紹介します。
飲食事業者の業態転換支援事業(東京都)
東京都が実施しているこの助成事業は、飲食店経営者の売上確保に向けた新たな取り組みを支援するものです。
具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響によって大きく売上が落ち込んでいる都内の中小飲食事業者が、新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を始める際の経費を助成し、支援することを目的としています。
助成率 | 助成対象経費の4/5以内(千円未満切り捨て) |
助成限度額 | 100万円 |
参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 飲食事業者の業態転換支援事業
以下の記事では、キッチンカーによる移動販売の開業に活用できる補助金・助成金を紹介しています。
あわせてご一読ください。
まとめ
事業再構築補助金 成長枠は、飲食業による申請ができません。そこでこの記事では、その背景や代わりに申請できる補助金を紹介しました。
国が主管している補助金のほか、各地域でも飲食業を支援する補助金や助成金が設けられていますので、補助金・助成金の活用をご検討の際は、ぜひ、地域の情報もあわせてご確認ください。
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