※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。
中小企業成長加速化補助金(以下、成長加速化補助金)は、令和6年度補正予算における新設の補助金です。
設備投資に活用できることや最大5億円を補助するものであることから、予算成立以降、高い注目を集めてきました。
令和7年3月17日には公募要領を公開、5月8日に募集開始となります。そこでこの記事では、成長加速化補助金の概要を解説します。
中小企業成長加速化補助金とは
出典:中小企業成長加速化補助金 チラシ
チラシ掲載ページ:中小企業庁 支援策チラシ一覧
中小企業成長加速化補助金は、将来の売上高100億円を目指す中小企業者が行う大胆な設備投資を支援する制度です。要件を満たす中小企業者に対して、最大5億円を補助します。
中小企業成長加速化補助金 活用イメージ
成長加速化補助金の活用イメージとして、以下3つの例が挙げられます。
・工場、物流拠点などの新設・増築
・イノベーション創出に向けた設備の導入
・自動化による革新的な生産性向上
これらの活用例は、令和7年3月10日(月)に3次公募を開始した「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」(以下、大規模成長投資補助金)と性質が類似していますが、両者は補助対象となる企業規模や要件、補助上限額などが異なります。
▼「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」の解説はこちら

中小企業成長加速化補助金 補助対象者・要件
補助対象者は、以下の要件を満たし、売上高100億円を目指す中小企業です。
※売上高が10億円以上100億円未満である必要があります。
2. 投資額1億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)
3. 一定の賃上げ要件を満たす、今後5年程度の事業計画の策定(賃上げ実施期間は補助事業終了後3年間)
※賃上げ要件とは、補助事業の終了後3年間の「給与支給総額」 又は 「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」の年平均上昇率が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上であることを指します。
※「給与支給総額」又は「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」どちらで目標を立てるかは申請時に選択いただきます。
※持続的な賃上げを実現するため、補助金の申請時に掲げた賃上げ目標を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求めます(但し、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合を除く)。
投資額要件について
本補助金では、投資額1億円以上の基準を設けています。
性質が類似する「大規模成長投資補助金」では投資額を10億円以上の要件を設けていますが、非常に高額であることから、この申請要件にハードルが高いと感じる場合や10億円以上の投資予定がない中小企業の場合は本補助金への申請がおすすめです。
ただし、補助上限額やその他要件にも差異がありますのでご注意ください。
「売上高100億円を目指す宣言」とは
「売上高100億円を目指す宣言」(以下、100億宣言)とは、中小企業が飛躍的成長を遂げるために、自ら、「売上高100億円」という野心的な目標を目指し、実現に向けた取組を行うことを宣言するものです。
「100億宣言」を行うことで、中小企業には以下のメリットがあります。
・宣言を行った成長を目指す経営者ネットワークへの参加が可能となる
・公式ロゴマークの使用が可能となる
公式ロゴは名刺などに記載することで、自社の取組をPRすることができます。
「100億宣言」の申請受付は、令和7年5月頃に開始予定です。また、詳細は中小企業庁ホームページ及び特設サイトの公開をもって開示予定です。
既述のとおり、成長加速化補助金に申請する場合は、この「100億宣言」の実施が必須ですのでご注意ください。
参照:中小企業庁 100億宣言
賃上げ要件について
賃上げ要件として、補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)の「給与支給総額」又は「従業員(非常勤含む。以下同じ。)及び役員の1人当たり給与支給総額」と比較した、基準年度の3事業年度後(最終年度)の「給与支給総額」又は「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」の年平均上昇率が、補助事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率(基準率)以上であることが必要です。
出典:中小企業成長加速化補助金 概要資料
※以下のページより要ダウンロード
参照:jGrants [1次公募]令和6年度補正予算 中小企業成長加速化補助金
年平均上昇率目標の計算式、具体的な事例は上図のとおりです。従業員等に対して目標の表明をしなかった場合や目標未達の場合は、補助金返還となるので注意しましょう。
出典:中小企業成長加速化補助金 概要資料
※以下のページより要ダウンロード
参照:jGrants [1次公募]令和6年度補正予算 中小企業成長加速化補助金
なお、都道府県別の基準率は上表のとおりです。
中小企業成長加速化補助金 補助対象経費
成長加速化補助金の補助対象経費は、主に以下の費用です。
・建物費(拠点新設・増築等)
・機械装置費(器具・備品費含む)
・ソフトウェア費
・外注費
・専門家経費
ただし、建物費は生産設備等の導入に必要なものに限ります。また、土地代は対象外ですのでご注意ください。
中小企業成長加速化補助金 補助率・補助上限額
補助率:1/2
補助上限額:5億円
中小企業成長加速化補助金 審査基準
審査は、以下3つの観点で行います。
・経営力
・波及効果
・実現可能性
具体的な内容は、次のとおりです。
経営力
1. 将来の売上高100億円(あるいは更なる成長)に向けた中長期的なビジョンや計画を有しているか。その上で、補助事業期間を含む今後5年程度について、経営者の明確なシナリオとともに事業戦略が論理的に構築され、その中で当該補助事業が効果的に組み込まれているか。事業戦略は、自社の成長余力、変化余力を最大限伸張し、従前よりも一段上となる成長を目指した企業の行動変容が示されたものとなっているか
✓ 高い売上高成長率(補助事業期間を含む今後5年程度)が示されるとともに、それを実現できる事業戦略(当該補助事業を含む)となっているか
✓ 高い付加価値増加率(補助事業期間を含む今後5年程度)が示されるとともに、当該補助事業や省力化等の取組により労働生産性の抜本的な向上が図られるなど、当該付加価値増加率を達成できる計画となっているか
✓ 企業の収益規模に応じたリスクをとった投資となっているか(売上高における設備投資額(当該補助事業を含む)の比率が高い水準であるか)
2. 市場や顧客動向をはじめとした外部環境、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)等にかかる強み・弱みの内部環境を分析した上で、当面の事業戦略が論理的に構築され、補助事業が効果的に組み込まれているか
✓ 補助事業により提供される商品・サービスのユーザ、市場及びその規模が明確で、市場ニーズの有無の検証などがなされているか(先行投資の取組、事業化可能性調査、テストマーケティング等)
✓ 競合他社の製品・サービスを分析した上で、自社の優位性や特性が確保できる差別化された計画となっているか
3. 適切な成果目標等が示され、その達成に向けて効率的に管理する体制が構築されているか
4. コンソーシアム形式の場合には、連携の意義・目的が明確であり、相乗効果が見込まれるか
波及効果
5. 地域への波及効果として、投資により創出された利益を賃金として従業員へ還元する賃上げの計画が具体的かつ妥当であり、賃上げ要件の水準を上回るものとなっているか
6. 域内仕入の拡大や地域における価値創造などに資する事業であるか(例えば、川上の調達先・川下の販売先をはじめサプライチェーンを通じた波及効果がある事業か、ものづくりの高度化やイノベーションの創出など産業競争力を強化し新たな価値創造に資する事業であるか、地域資源の積極的な活用などを通じ地域の経済成長を力強く牽引する事業であるか等)
7. 下請取引先等に対する適切な取引姿勢、自然災害や感染症、サプライチェーン寸断等に対するレジリエンス、女性活躍や仕事と子育ての両立などに配慮した職場環境整備など、地域のモデル企業としての取組を進めているか
実現可能性
8. 計画を実施可能な経営体制が構築されており、早期に投資が実行され、確実に効果が得られると見込まれるか
9. 補助事業を適切に遂行できる財務状況が十分に確保されているか(ローカルベンチマークによるスコアリング)
10. 金融機関のコミットメントが得られているか(確認書を発行した金融機関の担当者等がプレゼンテーション審査に同席する場合の加点等)
参照:中小企業成長加速化補助金 概要資料
※以下のページより要ダウンロード
参照:jGrants [1次公募]令和6年度補正予算 中小企業成長加速化補助金
中小企業成長加速化補助金 スケジュール
成長加速化補助金の公募スケジュールは、次のとおりです。原則、令和8年度末までに公募
を3回程度行い、全体で600者程度の事業者等に対して補助金を交付します。
令和7年4月下旬 | 公募説明会 |
5月8日(木) | 1次公募 申請受付開始 |
6月9日(月) | 1次公募 申請受付締切 |
7月上旬 | 1次審査結果の公表 |
7月上旬~8月下旬(お盆を除く) | プレゼンテーション審査(申請企業の経営者等が出席) |
9月上旬 | 採択結果の公表(以降順次、交付決定) |
資料提出後、公募締切前に資料を再提出したい場合は、必ず事前に事務局へ問い合わせた上で、所定の手続きにより再提出してください。
事前に連絡がない場合は、最初に提出された書類をもって審査が行われます。
また、申請受付締切日の5営業日前までに提出された申請書類については、書類の不足や命名規則違反、ファイル破損、様式のエラーの有無を事務局が確認します。
不備が発覚した場合には事務局から連絡があります。そのうえで公募期間内での再提出が可能ですので、早期申請がおすすめです。
参照:独立行政法人 中小企業基盤整備機構 「100億企業実行事務局」のうち中小企業成長加速化補助金(中小企業成長加速化支援事業)を実施する補助事業者の公募要領(案)
参照:中小企業成長加速化補助金 概要資料
※以下のページより要ダウンロード
参照:jGrants [1次公募]令和6年度補正予算 中小企業成長加速化補助金
https://biz.stayway.jp/hojyo_detail/47298/
まとめ
この記事では、成長加速化補助金の概要を解説しました。
採択に向けて、申請受付開始までの期間でしっかりと申請準備を進めましょう!
関連する補助金