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エネルギー価格の高騰が続くなか、令和4年度補正予算において、省エネ設備・機器への更新等を支援する、以下の補助金事業の実施・予定が決まっています。
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・令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業
・令和4年度補正予算 省エネルギー設備への更新を促進するための補助金(省エネルギー投資促進支援事業費補助金、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金)
この2つの補助金は「省エネ補助金」として、まとめて説明されることが多くあります。そこでこの記事では、省エネ補助金について解説します。
※令和5年4月19日更新:令和5年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費」につきましては、新規事業の公募および採択は実施せず、令和4年度以前に初年度採択された複数年度事業を対象としています。
令和4年度補正予算計上について
令和4年度補正予算額では、「省エネルギー投資促進支援事業費補助金、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」として500億円が計上されています。(国庫債務負担含め総額1,625億円)
石油をはじめとするエネルギー価格が世界的に高騰するなか、省エネ設備の普及はますます重要になっています。
本事業は、こうした状況下で、工場・事業場における省エネ性能の高い設備・機器への更新や複数事業者の連携、非化石エネルギーへの転換にも資する先進的な省エネ設備・機器の導入を支援するものです。
令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業費補助金
本事業は、事業者が計画した省エネルギーの取組のうち、省エネルギー性能の高いユーティリティ設備・生産設備等への更新、計測・見える化・制御等の機能を備えたエネルギーマネジメントシステムを導入することにより、省エネルギー効果の要件を満たす事業(以下、「補助事業」という。)に要する経費の一部を補助する事業です。
省エネ補助金全体には、以下のとおり、A~Dの大きく4つの事業区分があります。
- A. 先進事業
- B. オーダーメイド型事業
- C. 指定設備導入事業
- D. エネルギー需要最適化対策事業
このうち、本事業は、「C. 指定設備導入事業」「D. エネルギー需要最適化対策事業」で構成されています。
(C)指定設備導入事業
SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、SIIが補助対象設備として登録及び公表したものが補助対象となり、それらへの更新が要件となります。
指定設備は、こちらのページから詳細を確認できます。
指定設備一覧:https://sii.or.jp/shitei04r/search/
補助率
・1/3 ※令和4年度予算では定額でしたが、補正予算から変更
補助率
・1億円
(D)エネルギー需要最適化対策事業(エネマネ事業)
SIIが定める 「EMSのシステム要件」を満たし、エネマネ事業者が提供するエネルギー管理支援サービス等の実施のために必要不可欠なシステム・機器で、あらかじめSIIの確認を受け、補助対象システム・機器として登録されているものが補助対象です。
補助率
・中小企業者等1/2, 大企業・その他 1/3
補助金上限額
・1億円

令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金
本事業は、事業者が計画した省エネルギーの取組のうち、導入ポテンシャルの拡大等を見込める先進的な設備・システムの導入、機械設計が伴うオーダーメイド型設備への更新やプロセス改修、計測・見える化・制御等の機能を備えたエネルギーマネジメントシステムを導入を支援するものです。
本事業は、「A. 先進事業」「B. オーダーメイド型事業」「D. エネルギー需要最適化対策事業」で構成されています。
(A)先進事業
資源エネルギー庁に設置された「先進的な省エネ技術等に係る技術評価委員会」において決定した審査項目に則り、SIIが設置した外部審査委員会で審査・採択し、公表した補助対象設備(以下、「(a)先進設備・システム」という。)へ更新等することにより、原油換算量ベースで指定の要件を満たす事業です。
補助対象設備は、以下のページで公開されています。
対象設備一覧:https://sii.or.jp/senshin04r/system/search
補助率
・中小企業者等2/3、大企業・その他1/2
補助金上限額
・15億円(非化石転換設備の場合は20億円)
(B)オーダーメイド型事業
既存設備を機械設計が伴う設備又は事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造する設備等へ更新等することにより 、原油換算量ベースで指定要件を満たす事業です。
想定設備は、以下のとおりです。
① 新規設計の設備 (フルオーダー品)
使用用途等に応じて、設備全体のエネルギー消費効率等を考慮して新たに設計・製造した 設備
② 類似設計の設備 (カスタマイズ品)
既存機器・システムを応用、又は組み合わせて特別な仕様の部品等を製造するために設計 した設備等
③ システム設計を伴う設備 (生産設備等を組み合わせた製造ライン)
製造工場等において、各工程で使用する生産設備等を組み合わせて設計した製造ライン
④ システム設計を伴う設備 (自動化装置等を組み合わせた製造ライン)
製造した加工品の作業工程を自動化するために、搬送機械等と上記①又は②の設備を連携 させて設計した製造ライン
補助率
・中小企業者等1/2、大企業・その他1/3
※投資回収年数7年未満の事業は、中小企業者等1/3、大企業・その他で1/4
補助金上限額
・15億円(非化石転換設備の場合は20億円)
(D)エネルギー需要最適化対策事業(エネマネ事業)
SIIが定める 「EMSのシステム要件」を満たし、エネマネ事業者が提供するエネルギー管理支援サービス等の実施のために必要不可欠なシステム・機器で、あらかじめSIIの確認を受け、補助対象システム・機器として登録されているものが補助対象です。
補助率
・中小企業者等1/2, 大企業・その他 1/3
補助金上限額
・1億円
参照:令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業

公募スケジュール
令和4年度補正予算による事業は、以下のとおり、四次公募までスケジュールが決まっています。
(終了)一次公募 | 公募期間 | 2023年3月27日(月)~4月24日(月) |
交付決定 | 2023年6月上旬(予定) | |
(終了)二次公募 | 公募期間 | 2023年5月25日(木)~ 2023年6月30日(金)※17:00必着 |
交付決定 | 2023年8月下旬(予定) | |
(終了)三次公募 | 公募期間 | 2023年7月10日(月)~ 2023年8月25日(金)※17:00必着 |
交付決定 | 2023年10月下旬(予定) | |
四次公募 | 公募期間 | 2023年9月8日(金)~ 2023年11月2日(木)※17:00必着 |
交付決定 |
・4次公募については、随時、受け付けた交付申請の内容が定められた要件を満たすか審査を行い、予算の範囲内で順次採択を行う予定です。 ・採択事業者の決定に当たっては、事業区分毎に評価項目に従って審査を行い、外部審査委員会の評価を踏まえ、上位者から予算の範囲内で採択を行います。 |
令和5年度予算 先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金
※令和5年4月19日更新:令和5年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費」につきましては、新規事業の公募および採択は実施せず、令和4年度以前に初年度採択された複数年度事業を対象としています。
出典:経済産業省 令和5年度経済産業省予算案のPR資料一覧:エネルギー対策特別会計
令和5年度予算には、「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」として名称を変えて計上されています。本事業では、「C. 指定設備導入事業」の記載がありません。
参照:令和5年度経済産業省予算案のPR資料一覧:エネルギー対策特別会計
令和5年度予算案 先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金
なお、既述のとおり、令和5年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費」については、新規事業の公募および採択は実施しないことが公表されています。
過去採択率
現在の制度として運営開始された令和3年度、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」における採択率は、次のとおりです。
ただし、現在募集している補助事業と名称が異なり、一部内容も異なるため、あくまで参照情報としてください。
年度 |
区分 |
申請件数 |
採択件数 |
採択率 |
令和3年度 |
A、B、D |
70 |
59 |
約84.3% |
C |
2,323 |
1,241 |
約53.4% |
|
令和4年度 |
A、B、D |
119 |
66 |
約55.5% |
C |
1,594 |
828 |
約51.9% |
参照:SII 令和3年度 先進的省エネルギー投資促進支援事業 新規採択事業の結果について SII 中小企業向け補助金の紹介とその活用事例について
最後に
令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業費補助金、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金、令和5年度 省エネルギー・需要構造転換支援事業費補助金の公募概要について解説しました。
将来的なエネルギー事情に関する懸念は世界的に拡大しており、こうした状況下で、企業における先進的な取り組みに注力するために設定されている本制度を有効活用し、事業運営にお役立てください。
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