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令和5年度補正予算において、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」と「省エネルギー投資促進支援事業」を総称して「省エネ補助金」と言います。
この補助金は省エネ設備・機器の更新費用等の一部を支援するもので、これまでにも公募が行われてきました。
令和5年度補正予算においても実施が決まっており、令和6年3月11日に特設ページが公開されました。そこでこの記事では、令和5年度補正予算 省エネ補助金について解説します。
「省エネ補助金」とは
出典:経済産業省 令和5年度補正予算における省エネ支援策パッケージ
「省エネ補助金」は、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」と「省エネルギー投資促進支援事業」の総称で、工場のボイラや工業炉、ビルの空調設備や業務用給湯器などを、省エネ型設備への更新を支援するものです。
以下のとおり、4つの類型で企業の投資を後押しします。
類型 | 概要 |
Ⅰ. 工場・事業場型 |
工場や事業場において、既存の設備からエネルギー消費効率の高い設備(ⓐ先進設備・システム・ⓑオーダーメイド型設備)への更新等を行う場合に、補助金が活用できます。 |
Ⅱ. 電化・脱炭素燃転型 ※新設 |
省エネ性能が高く、脱炭素を目的とした燃料転換を伴う設備更新を行う場合に、補助金が活用できます。 |
Ⅲ. 設備単位型 ※旧C類型 |
ユーティリティ設備・生産設備を省エネ性の高い設備(ⓒ指定設備)に更新する場合に補助金が活用できます。 |
Ⅳ. エネルギー需要最適化型 | ⓓエネマネ機器を用いて、より効果的に省エネ化を図る場合に補助金を活用できます。 |
「Ⅰ. 工場・事業場型」は、これまでの「A. 先進事業」「B. オーダーメイド型事業」を統合したものです。「Ⅱ. 電化・脱炭素燃転型」は令和5年度補正予算で新設されました。
「Ⅲ. 設備単位型」は、これまでの「C. 指定設備導入事業」の内容を踏襲したものとなっています。これらに「Ⅳ. エネルギー需要最適化型」を加えて、4つの類型となります。
出典:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII) 省エネ補助金特設ページ
上記4つの類型をもとに、該当する設備更新の内容によって「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」または「省エネルギー投資促進支援事業」に申請することが可能となります。
年度当たり最大15億円と高額な補助(※)が行われるため、毎年注目度の高い補助金です。
※申請類型・要件による。また、非化石転換は20億円/年
※複数年度をまたぐ事業等要件を満たす場合は最大40億円
なお、経済産業省の「令和5年度補正予算における省エネ支援策パッケージ」では、今後の支援の予算規模について、今後3年間で7,000億円規模へと拡充することが公表されています。
参照:経済産業省 令和5年度補正予算における省エネ支援策パッケージ
令和5年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業
出典:経済産業省 令和5年度補正予算の事業概要 (PR資料)
先進的な省エネ設備や、工場・事業場に合わせた特注品、電化や脱炭素目的の燃転を伴う設備等の更新費用の一部を支援する補助金です。
先進設備やシステム、オーダーメイド型設備の導入を支援する工場・事業場型、化石燃料から電気への転換等を支援する電化・脱炭素燃転型、エネルギー需要最適化型、EMS(エネルギーマネジメントシステム)機器の導入を支援するエネルギー需要最適化型から成る事業です。
工場・事業場型では、資源エネルギー庁に設置された「先進的な省エネ技術等に係る技術評価委員会」において決定した審査項目に則り、SIIが設置した外部審査委員会で審査・採択した先進設備・システムへの更新、機械設計が伴う設備または事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造する設備等(オーダーメイド型設備)へ更新等が補助対象となります。
電化・脱炭素燃転型では、SIIが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録及び公表した、以下の設備区分から選択して導入することとなります。
・産業ヒートポンプ
・業務用ヒートポンプ給湯器
・低炭素工業炉
・高効率コージェネレーション
・高性能ボイラ
ただし、上記に該当しない「その他SIIが認めた高性能な設備」のうち、電化・脱炭素燃転に資するとして指定した設備も対象となります。
エネルギー需要最適化型は、SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、 SIIに登録されたEMSを用いて、より効果的に省エネルギー化及びエネルギー需要最適化を図る事業です。設備費・設計費および工事費が補助対象経費となります。
参照:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII) 省エネ補助金特設ページ
補助率・上限額
|
補助率 |
補助上限額 |
Ⅰ. 工場・事業場型 |
中小企業1/2以内、大企業1/3以内 |
15億円 |
Ⅱ. 電化・脱炭素燃転型 |
1/2以内 |
3億円 |
Ⅲ. エネルギー需要最適化型 |
中小企業1/2以内、大企業1/3以内 |
1億円 |
参照:経済産業省 令和5年度補正予算の事業概要 (PR資料)
令和5年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業
出典:経済産業省 令和5年度補正予算の事業概要 (PR資料)
さまざまな業種で横断的に使われる汎用的な15設備の更新に対応する補助金で、指定設備、EMS機器の導入を対象とします。
設備単位型では、SIIが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、登録及び公表したユーティリティ設備・生産設備の導入を支援するため設備費を補助します。本類型は、複数年度事業にも対応できるようになりました。
エネルギー需要最適化型は、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業での同類型と同様に、SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、 SIIに登録されたEMSを用いて、より効果的に省エネルギー化及びエネルギー需要最適化を図る事業です。設備費・設計費および工事費が補助対象経費となります。
ただし、「省エネルギー投資促進支援事業」では、「Ⅲ. 設備単位型」と組み合わせた場合のみ補助対象となります。「Ⅳ. エネルギー需要最適化型」を単独で申請する場合は、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」への申請となります。
補助率・上限額
補助率 |
補助上限額 |
|
Ⅲ. 設備単位型 |
1/3以内 |
1億円 |
Ⅳ. エネルギー需要最適化型 |
中小企業1/2以内、大企業1/3以内 |
1億円 |
参照:経済産業省 令和5年度補正予算の事業概要 (PR資料)
省エネ補助金 申請スケジュール
令和5年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業 3次公募
2024年7月23日(火) ~ 2024年8月30日(金)
令和5年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業 2次公募
2024年5月27日(月)~ 2024年7月1日(月)※17:00必着
省エネ補助金 過去公募回における採択状況
過去に行われた同様の支援事業の採択状況は、以下のとおりです。
令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業
申請件数 |
採択件数 |
採択率 |
採択金額合計 |
計画省エネ量 |
|
(A)先進事業 |
31 件 |
24 件 |
77.4% |
47.5 億円 |
3,828.6 kll |
※ 「計画省エネ量」は、採択事業の合計値
出典:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII) 令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業 新規採択事業の結果について[4次公募]※複数年度事業
公表されている採択結果のうち、直近の公募における結果です。
※令和5年度補正予算の事業とは枠組みの名称や内容が一部異なります。
採択率は77%を超える結果となり、他の補助金の採択率は一般的に40~50%と言われることを鑑みると高採択率であると言えます。
令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業
申請件数 |
採択件数 |
採択率 |
採択金額合計 |
計画省エネ量 |
|
(C)指定設備導入事業 |
1,622 件 |
1,515 件 |
93.4% |
95.6 億円 |
13,040.3 kl |
(C)指定設備導入事業 + (D)エネルギー需要最適化 対策事業 |
3 件 |
3 件 |
100.0% |
0.2 億円 |
130.9 kl |
※ 「計画省エネ量」は、採択事業の合計値
出典:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII) 令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業 新規採択事業の結果について[2次公募]
公表されている採択結果のうち、直近の公募における結果です。
※令和5年度補正予算の事業とは枠組みの名称が異なりますが、内容はほぼ同一です。
指定設備の導入に関する申請件数が高いものの、採択率も高くなっています。ただし、申請のハードルが高い側面もありますので、申請の際は事前準備をしっかりと行ってください。
まとめ
本記事では、令和5年度補正予算 省エネ補助金について解説しました。
一部はあらかじめ登録・公表されている設備の導入を支援するため、補助金申請者にとっては他の補助金と比べて申請が容易で活用しやすい一方、公募期日である令和6年7月1日までに更新する設備・システムの検討、見積取得、設備ごと/事業全体の省エネルギー量の算出等完了する必要があり、限られた日数内で動く必要があります。
申請予定の場合は、すぐに準備にとりかかり、採択を目指しましょう!
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