※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。
昨今、多くの農業従事者が人手不足・後継者不足、肥料価格の高騰といった問題に直面しています。また、高額な設備投資に、踏み切れないことも少なくないでしょう。
農業の新たな取り組みを支援するため、農林水産省から多くの補助金が出ていますが、県や市町村が独自で実施している補助事業も多くあります。
そこでこの記事では、静岡県の農業従事者がつかえる補助金・助成金を国主管と自治体主管に分けて紹介いたします。
静岡県の農業従事者がつかえる補助金・助成金(国主管)
静岡県の農業従事者が活用できる補助金のうち、国が主管するものを4つ紹介します。
ものづくり補助金
枠・類型 |
補助上限額 |
補助率 |
|
省力化 |
5人以下 750万円(1,000万円) |
1/2※ ※補助金額1,500万円までは1/2、1,500万円を超える部分は1/3 |
|
製品・サービス 高付加価値化枠 |
通常類型 |
5人以下 750万円(850万円) |
1/2 小規模・再生 2/3 新型コロナ回復加速化特例 2/3 |
成長分野進出類型(DX・GX) |
5人以下 1,000万円(1,100万円) |
2/3 |
|
グローバル枠 |
3,000万円(3,100万円~4,000万円) |
1/2 |
ものづくり補助金は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の略称です。
今後予想される制度変更や環境変化(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービスの開発や試作品開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援します。
これまで農業においては、ロボットトラクターや肥料散布機といった農業機械の導入が採択されてきました。
しかし、令和5年12月27日開始の17次締切以降の内容見直しに伴い、申請枠や補助対象が変更されました。
令和6年3月27日終了の18次締切では、革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等に加えて、海外事業を実施し、国内の生産性を高める取組みに必要な設備・システム投資等が対象となりました。
続く19次締切について、令和6年4月5日時点では詳細未公開となっており、さらに内容編が生じる可能性がありますのでご注意ください。
参照:ものづくり補助金公式HP
採択事例
公開されている採択結果から、静岡県内の農業の事例を紹介します。
【事例1】
所在地:北海道内
事業計画名:小規模農家のロボットトラクター導入による持続的な農業の実現
【事例2】
所在地:静岡県内
事業計画名:管理機導入による有機茶葉生産ならびに茶葉の品質向上・生産効率
改善
補助金の早期受け取りサービス”前ほじょくん(ものづくり補助金限定)
前ほじょくんは、「補助金申請したいが補助事業を自己資金で行うことが難しい」「採択されたが資金調達先を探している」といった課題を抱える事業様向けの補助金早期受け取りサービスです。
交付決定後に、補助金を受け取れる権利を債権化し、弊社と提携している大手金融機関の関連会社がその債権を“買い取る”というスキーム(=ファクタリング)で、補助事業実施前に事業者様に買い取り額をお支払いします。
なお、2024年9月現在ものづくり補助金に限定したサービスです。
サービスの詳細は下記記事をご覧ください。
小規模事業者持続化補助金
申請類型 | 補助上限額 | 補助率 | |
通常枠 | 50万円 | 2/3 (※賃金引上げ枠において、赤字事業者は3/4) |
|
特別枠 | 賃金引上げ枠 | 200万円 | |
卒業枠 | 200万円 | ||
後継者支援枠 | 200万円 | ||
創業枠 | 200万円 |
※別途、災害支援枠あり
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
インボイス特例の要件を満たす場合は、上記補助上限額に50万円を上乗せされるため、最大250万円が補助されます。(申請枠による)
農業従事者であっても要件を満たせば申請可能で、ブルドーザーをはじめ、自動車等車両のうち「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」の「機械及び装置」区分に該当するものの導入、販路開拓につながる広報費などに活用できます。
ただし、農業協同組合(JA)を通して農産物を市場へ出荷する「系統出荷」による収入のみの個人農業者は対象になりません。
令和6年4月5日現在、第15回受付締切分までの公募が終了し、第16回受付締切分の詳細は未公開となっています。
採択事例
公開されている採択結果のうち、直近である第14回受付締切分から静岡県の農業の事例を紹介します。
【事例】
所在地:静岡県静岡市
事業計画名:小売店・量販店等の卸先開拓用の営業資料、FAX用チラシ作成
IT導入補助金
類型 |
補助額(下限~上限) |
補助率(上限) |
|
通常枠 |
1プロセス以上 |
5万円~150万円 |
1/2 |
4プロセス以上 |
150万円~450万円 |
||
インボイス枠 (インボイス対応類型) |
会計・受発注・決済ソフト(1機能以上) |
50万円 |
3/4(中小企業) |
会計・受発注・決済ソフト(2機能以上) |
50万円~350万円 |
2/3 |
|
PC・タブレット等 |
10万円(上限) |
1/2 |
|
レジ・券売機等 |
20万円(上限) |
1/2 |
|
インボイス枠 |
(下限なし)~350万円 |
2/3(中小企業・小規模事業者等) |
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セキュリティ対策推進枠 |
5万円~100万円 |
1/2 |
IT導入補助金は、インボイス制度やセキュリティの強化などのさまざまな経営課題を解決するためにITツールの導入を支援する補助金です。
農業の場合、loTを使った農業の実施に際して、事前に登録されたITツールを使用する場合のみ対象となります。
令和6年度から始まったIT導入補助金2024では、申請類型や対象要件がこれまでと異なりますのでご注意ください。
採択事例
IT導入補助金の採択事例として公募ページに掲載されている農業の事例です。ただし、現在実施している公募内容とは申請枠や要件が異なりますので、あくまで参照としてください。
所在地:島根県邑智郡 ※静岡県の農業事例の掲載がないため島根県の事例を掲載
件名:地域の特産品に特化したECサイトへの出店
事業概要:コロナ禍の影響で取引先が大幅に減少した時期に、IT導入補助金を活用してご当地グルメ特化型の大手ECサイト「47CLUB」へ出店しました。
業務改善助成金
業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。
農業では、フォークリフトをはじめ農業機械の導入に活用できます。
引き上げる最低賃金額及び引き上げる労働者の人数によって助成上限額が変わり、要件を満たす場合、最大600万円の助成を受けることができます。
助成率:30~600万円
助成額:3/4~9/10
静岡県の農業従事者がつかえる補助金・助成金(自治体主管)
静岡県の農業従事者がつかえる補助金のうち、自治体が主管するものを5つ紹介します。
静岡県:持続的農業経営支援事業費補助金
持続的な農業経営の推進のため、省エネや効率化等に資する農業用施設や農業用機械の更新、改修を支援するものです。
対象者:大規模経営体を除く認定農業者、認定新規就農者
(事業の実施年度内に認定見込みの方を含みます)
補助率:1/3以内
補助上限額:
・農業用施設本体の更新:1平方メートルあたり7千円(メロン専用ガラス温室は1平方メートルあたり15千円)又は700万円のいずれか少ない額
・農業用施設本体の改修:1平方メートルあたり2千円(メロン専用ガラス温室は1平方メートルあたり5千円)又は200万円のいずれか少ない額
・施設附帯設備の更新又は改修:300万円
・農業用機械の更新又は改修:200万円
※この金額を上回る金額は自己負担となります。
静岡県静岡市:茶海外輸出支援事業補助金
「静岡市のお茶の海外輸出に向けた補助制度」のうちの一事業として行うもので、海外でのプロモーション実施や展示会参加を支援するものです。
補助率:対象経費(税別)の1/2
補助上限額:40万円
静岡県島田市:がんばる認定農業者支援事業費補助金
認定農業者が農業経営改善計画の目標を達成できるように支援する事業です。
認定農業者とは、農業経営基盤強化促進法に基づいて作製した農業経営改善計画が市町村の認定を受けた農業経営者等のことです。
本補助金は、令和8年度まで継続公募されていますが、自身の農業経営改善計画の期間中、1経営体あたり1回限りです。
補助対象者:以下の2つの要件の両方を満たす必要があります。
・市内に住所を有する認定農業者(法人にあっては、市内に本店または主たる事務所を有するもの)であること。
・当該事業において、国または県の補助金の交付を受けていないこと。
対象事業:農業経営改善計画書の中の「生産方式の合理化に係る農業用機械等の取得計画」に掲載されている事業
対象経費:
・施設の整備等に要する経費
・機械の導入及び設備の設置等に係る経費
・原材料の購入その他工事に要する経費
※消耗品や汎用性のある機械等は補助の対象外です(倉庫、車両、ショベルカー、燃料費、作業着など)。
補助率:3/10以内(1,000円未満の端数切捨て)
限度額:60万円(補助対象者が法人の場合、経費の全てがスマート農業にかかわるもの、経費の全てが新たに複合経営に取り組むためのものの場合は限度額100万円)
静岡県富士市:茶園転換支援事業補助金
農業経営の安定化を図るため、茶園の茶樹を抜根し茶以外の作物を植栽する方を対象に、茶園転換に要する費用に対して補助金を交付するものです。
具体的には、茶樹の抜根・廃棄、整地及び苗木購入に係る費用が対象となります。
補助金額:以下の金額のうち少ない金額(上限14万円)
・対象経費の合計額(ただし、他団体から同趣旨の補助金を受ける場合、その補助金額を経費の合計額から減額した金額を補助の対象とします)
・茶園転換の実施面積に1アール当たり7,000円を乗じた金額
静岡県焼津市:焼津市農業者物価高騰対策支援事業
物価高騰の影響を受ける農業従事者の経営を支えるため、生産資材(諸材料費・動力光熱費)の価格上昇分の一部を支援するものです。
補助対象事業者:以下のすべてを満たす農業者
・焼津市に住民登録がある個人、または焼津市に本社を置く法人
・令和4年(法人にあっては申請直近の事業年度)の農産物販売額が50万円以上
・現に営農し、今後も営農を継続する意思があること
補助率・補助上限額:
諸材料費と動力光熱費のうち、価格上昇分が補助されます。
価格上昇率は諸材料費が13%、動力光熱費が5%として計算されます。
対象となる書類 |
支援額 |
上限額 |
|
個人 |
令和4年分の所得税確定申告書または令和5年度分の市県民税申告書 |
1.諸材料費×0.13 2.動力光熱費×0.05 |
50万円 |
法人 |
直近の決算書 |
まとめ
この記事では、静岡県の農業従事者が活用できる補助金を紹介しました。
今後も国や自治体による補助事業の実施が見込まれますので、ぜひ、農業経営の安定や事業拡大に補助金をお役立てください。
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