商店街で使える補助金とは?主催団体や各自治体での取り組み事例紹介

公開日 2021/10/26
更新日 2021/10/28
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ようやく収束がみえてきた新型コロナウイルスですが、全国各地域の商店街ではコロナ禍の影響だけでなく、少子高齢化や人口減少、商店街を支える中核就労者の空洞化など、様々な課題を抱えています。

こうした状況下、国や各地方自治体では商店街を支援する補助金等の施策を実施しています。

商店街で使える補助金について解説します。

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商店街とは

全国各地で多くの市民に親しまれてきた商店街ですが、商店街そのものに明確な定義はありません。

商店街を主な対象とする法令としては、商店街振興組合法中小小売商業振興法などがありますが、各法令でも商店街への定義を確定していません。

なお、経済産業省(経済産業政策局調査統計部)では、商店街の目安として「小売店、飲食店およびサービス業を営む事業所が近接して30店舗以上あるもの」と定義しています。

単純にこの定義を基準とすれば、日本全国には12,568の商店街が存在することとなります。

商店街で使える補助金とは

商店街は全国各地に存在しており、商店街を支援する目的で設定されている補助金としては、全国横断的に活用できるもの(政府主催のもの)と、各地域ごとに利用できるもの(各地方自治体によるもの)に大別されます。

全国レベルで活用できる補助金および関連団体

全国レベルで活用できる補助金を主催しているのは中小企業庁で、間接的にこれを支援する公的機関があります。

中小企業庁

中小企業庁では、商業・地域サポート「商業活性化」を掲げ、全国の中小商業者や商店街、中心市街地の魅力向上への取り組みを支援しています。

参照:中小企業庁

商店街活性化・観光消費創出事業

中でも、中小企業庁主管による補助金の目玉施策として設定されている、この支援事業を取り上げて解説します。

事業目的・概要

商店街には多種多様な店舗が集積し、「地域の顔」として、消費者に対して面的な魅力を提供している一方、地域の需要や消費者ニーズの変化といった構造的な課題に直面するなど、経営環境は厳しさを増しており、地域と連携した対応の必要性が増加しています。

こうした状況下で、商店街を活性化させ、魅力を創出するためには、コロナ禍収束後に期待されるインバウンドや観光等の復活機会を捉え、地域への来訪者の増加を促すことで、消費の喚起につなげるよう支援します。

補助対象事業

消費創出事業:インバウンド・観光等の新たな需要を取り込み、消費の喚起につながる環境整備やイベント等の事業
専門家派遣事業:消費創出事業等の効果を高める事業

補助率

消費創出事業:2/3以内
専門家派遣事業:定額(10/10)、補助金上限額200万円

補助金額

下限200万円~上限2億円
※消費創出事業と専門家派遣事業の合計額

詳細については下記をご参照ください。

参照:商店街活性化・観光消費創出事業

全国:商店街活性化・観光消費創出事業
※一次締切及び二次締切の採択総額が予算額に達したため、公募を終了しました。 商店街を活性化させ、魅力を創出するため、近年大きな伸びを示しているインバウンドや観光等といった、地域外や日常の需要以外から新たな需要を効果的に取り込む商店街等の取...

全国商店街振興組合連合会

全国商店街振興組合連合会は、上述の商店街振興組合法に基づき昭和43年に設立された支援団体です。同連合会に所属する商店街振興組合数は全国で約1,500、店舗数は約8万3千となっています。

「商店街にぎわいPLAZA」というコミュニティを主催し、商店街を結びつけ活性化させるためのプラットホームを目指しています。

ただし、補助金事業を自らが主宰する立場ではありません。

参照:全国商店街振興組合連合会

全国商店街支援センター

民間企業ですが、全国規模で商店街を支援する活動を展開しています。

参照:全国商店街支援センター

各自治体での取り組み事例

商店街で使える補助金の大半は、各地方自治体で主催しており、多種多様です。
ここでは、東京都での施策例について解説します。

東京都産業労働局

まず、東京都産業労働局主管による各種支援施策が挙げられます。
主な項目と補助金額(限度額)は次のとおりです。

  • イベント・活性化事業:イベント300万円、活性化事業5,000万円
  • 地域力向上事業:20万円
  • 地域連携型商店街事業:イベント400万円、活性化事業1億円
  • 政策課題対応型商店街事業:1億2,000万円
  • 広域支援型商店街事業:2,000万円
  • 商店街ステップアップ応援事業:200万円
  • 商店街空き店舗活用モデル事業:3,000万円

資格要件などの詳細は下記をご参照ください。

参照:東京都産業労働局

東京都中小企業振興公社

続いて、補助金ではなく助成金となりますが、中小企業の活動を支援する公的組織である東京都中小企業振興公社を取り上げます。

こちらでは32項目にも上るきめ細かい支援制度(緊急対応など含む)を実施しています。
詳細は下記をご参照ください。

参照:東京都中小企業振興公社

東京都

東京都自身による支援施策もあります。
商店街デジタル化モデル事業補助金として、1,000万円を限度として実施しています。

詳細は下記をご参照ください。

参照:東京都

更に、都内各市区レベルでの支援施策も多数あるので、地元の施策について確認することが有益です。

最後に

全国に展開し、長い歴史と伝統を誇るとともに、市民と一体となって発展してきた商店街ですが、ここ最近では様々な環境変化の影響を受けて苦戦しています。

地域に根付き、愛されてきた商店街を守り、支援するために国や自治体では様々な支援策を展開しています。

今回取り上げた一部の補助金制度だけでなく、事業発展へ向けた様々な制度が活用できるので、各地域に根ざした支援策をしっかりと確認し、有効活用していただきたいと思います。

監修佐藤淳 / 公認会計士
中小企業庁認定 経営革新等支援機関 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)の東京オフィスに6年間、シアトルオフィスに2年間勤務。 2015年よりアジア最大級の独立系コンサルティングファームの日本オフィスにて事業戦略の構築支援、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資の業務に従事。 2017年 自身で旅行スタートアップ(Stayway)を立ち上げ資金調達をした経験を生かしながら、補助金・ファイナンス・M&Aのサポートを実施

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