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中小企業省力化投資補助金(以下、省力化投資補助金)は、中小企業者や小規模事業者等が省人化・省力化に繋がる設備やシステムを導入する際に、費用の一部を補助する制度です。
本補助金の申請類型には、一般型とカタログ注文型の2種類があります。
一般型はオーダーメイドの設備投資ができる一方、カタログ注文型と比較すると申請書類や審査内容が複雑です。採択の可能性を上げるには、申請準備を入念に行わなくてはなりません。
この記事では省力化投資補助金の一般型に関する申請方法や手順、採択のポイントについてご紹介します。
【一般型】省力化投資補助金 申請前に知るべきこと
省力化投資補助金の一般型を申請する前に知るべきことを、3つのポイントに絞って紹介します。
一般型の申請要件
省力化投資補助金の一般型は、過去の「ものづくり補助金 省力化(オーダーメイド)枠」を踏襲しており、企業ごとの事業内容等に応じた設備投資ができる柔軟性が特徴です。
省力化に資する設備導入を通じた売上拡大・生産性向上・賃上げの促進などが主な目的で、申請においても目的に沿った基本要件を定めています。
補助 |
・中小企業者(組合関連以外) |
基本要件 |
1. 労働生産性の年平均成長率+4.0%以上増加 |
上記のほか、基本要件が未達の場合の返還要件があるため、注意が必要です。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領
掲載ページ:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業(一般型) 資料ダウンロード(一般型)
一般型の申請期間
一般型の申請期間は、以下のように設定しています。
公募回 | 公募開始日 | 申請受付開始日 | 公募締切日 | 採択発表日 |
第1回 | 令和7年1月30日(木) | 令和7年3月19日(月) | 令和7年3月31日(月)17:00 | 令和7年6月中旬(予定) |
第2回 | 令和7年4月15日(火) | 令和7年4月25日(金) | 令和7年5月30日(金)17:00 | 令和7年8月中旬(予定) |
令和7年は第1回の公募がすでに終了しており、第2回の公募開始日は4月15日(火)、申請受付開始日は4月25日(金)、公募締切日は5月30日(金)の17時です。
なお、公募開始日は補助金の概要や募集要項の公開日、申請受付開始日は申請を受付を開始日する日を指します。
採択発表は8月中旬ですが、現在発表されている情報はあくまでも予定であるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助金 スケジュール(一般型)
一般型の申請方法
省力化投資補助金 一般型の申請方法は、オンラインによる電子申請です。
事前にGビズIDプライムアカウント取得が必要となります。アカウントの発行には、一定期間を要しますので、お早めにご準備ください。
なお、電子申請システムは、申請者自らが操作しなくてはなりません。申請者以外の操作が認められた場合は不採択となります。
応募申請システムでは11項目を入力・確認する必要があるため、マニュアルを事前に読み込んで理解しておくことも重要です。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助金 応募申請・交付申請の流れ
【一般型】省力化投資補助金 申請手順
省力化投資補助金 一般型の申請には、既述のとおり、電子申請システムを利用します。ここでは、具体的にどのような手順を踏むのか、フローに沿って紹介します。
GビズIDプライムアカウントを取得する
GビズIDプライムアカウントは、政府が提供する事業者向けの共通認証サービスです。
このアカウント発行により、補助金申請をはじめさまざまな行政サービスを利用することが可能になります。省力化投資補助金 一般型の申請においても、このアカウントが必要です。
アカウント取得に際し、オンラインで申請した場合は最短即日で取得できますが、郵送で申請した場合や多くの申請があった場合は2週間以上の期間を要することがあるため、早めにアカウントを取得しましょう。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助金 応募申請・交付申請の流れ
デジタル庁 GビズID(法人・個人事業主向けアカウント)の概要
事業計画書を作成する
事業計画書とは、事業の目標や戦略、実行計画、数値計画等を詳細に説明する文書です。省力化投資補助金 一般型の申請では、この事業計画書の作成・提出が必須となります。
本補助金への申請における事業計画書作成のポイントとして、本補助金の目的である「賃上げ」実現に繋がる内容に触れることが重要です。
具体的には、以下のような観点での作成が求められます。
・投資の背景(課題や現在の業務状況)
・導入する設備の概要と目的
・導入によって見込まれる業務効率化や人手不足の解消効果
・事業全体のスケジュールや費用内訳
・補助事業終了後の継続的な運用・管理体制
この計画書の内容は、審査時の加点・減点に大きく関わる重要な要素のひとつとなります。不明瞭な記述や効果の根拠が曖昧である場合、不採択となる可能性があるため、注意しましょう。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助金 事業計画書作成の参考ガイド
掲載ページ:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助金 資料ダウンロード(一般型)
必要書類をそろえる
省力化投資補助金 一般型の必要書類は多岐に渡ります。具体的に必要な書類は、次のとおりです。
・事業者の実在確認書類
・決算書等
・従業員数の確認書類
・役員の確認書類
・株主の確認書類
・事業計画に係る書類
・(事業実施場所が複数の場合)事業実施場所の確認書類
・(最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例を適用する場合)最低賃金要件の確認書類
・(他の助成制度を過去に利用したまたは利用している場合)他の助成制度の利用実績確認書類
・(金融機関から借り入れを受ける場合)金融機関による確認書類
・(加点を受ける場合)事業承継又はM&Aを実施した事業者(申請者):承継の形態に基づく書類
・(任意書類)導入予定の機器装置等の資料
申請時、これらの書類をPDFファイルなどでアップロードします。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業(一般型)
掲載ページ:独立行政法人中小企業基盤整備機構 資料ダウンロード(一般型)
電子申請システムから申請する
必要書類が準備できたら電子申請システムから、以下の手順で申請を行います。
1. 中小企業省力化投資補助金(一般型)の公式ホームページ右上にあるボタンクリックする
2. GビズIDでログインする
3. 11項目の入力を行う
4. 最終確認画面で提出をクリックする
5. 提出の完了がメール送信される
電子申請システムはスマートフォンやタブレットでは利用できないため、パソコンで申請してください。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業(一般型)電子申請マニュアル(応募申請)第2回公募
掲載ページ:独立行政法人中小企業基盤整備機構 資料ダウンロード(一般型)
【一般型】省力化投資補助金 採択に向けた申請ポイント
省力化投資補助金 一般型の申請にあたっては、要件を満たすだけではなく、採択されるためのポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、採択に向けた申請ポイントを紹介します。
審査基準を理解する
採択に至るためには、審査基準を正確に理解することが不可欠です。4つの審査基準と、具体的な審査内容の一部を以下にまとめました。
審査基準 |
具体的なポイント |
事業の |
・公募要領に記載の対象事業・対象者・申請要件・補助率等を満たしているか |
技術面 |
・省力化指数が高い取組であることが示されているか |
計画面 |
・補助事業の成果が優位性や収益性を有し、省力化による結果に至るまでのスケジュールが妥当か |
政策面 |
・事業承継を契機として新しい取組を行うなど経営資源の有効活用が期待できるか |
省力化投資補助金の一般型では、事業計画の妥当性や実現可能性に加えて、業務効率化や人手不足の解消にどれほど貢献するかが大きな評価軸となります。
審査基準を理解したうえで、数値や根拠を示しながら説得力ある資料に仕上げましょう。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領
掲載ページ:独立行政法人中小企業基盤整備機構 資料ダウンロード(一般型)
加点要件を満たす
採択には、加点要件を満たすことも重要です。加点要件とは、一定の条件を満たす場合に審査上で有利になる要素です。
省力化投資補助金 一般型には、主に次のような加点項目・加点要件があります。
加点項目 |
主な加点要件 |
事業承継またはM&Aを実施した事業者(申請者)に対する加点 |
過去3年以内に事業承継により経営資源を引き継いだ事業者 |
災害等加点 |
有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者 |
成長加速マッチングサービスに登録している事業者に対する加点 |
成長加速マッチングサービスにおいて会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者 |
賃上げ加点 |
給与支給総額や事業場内最低賃金水準の目標を事務局に誓約している事業者 |
えるぼし加点 |
えるぼし認定を受けている事業者 |
くるみん加点 |
くるみん認定を受けている事業者 |
一部の加点項目は、エビデンスとなる書類の提出が必要です。
また、賃上げ加点については、給与支給総額の年平均成長率や事業場内最低賃金の基準が明確に定められているので、基準値を守った上で誓約しなくてはなりません。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領
掲載ページ:独立行政法人中小企業基盤整備機構 資料ダウンロード(一般型)
事業計画書の質を追求する
上記のほか、省力化投資補助金 一般型の採択に向けたポイントは、事業計画書の質を追求することです。
事業計画書の質を上げるには、具体的な課題解決と実現可能な成果を論理的に示し、審査基準や加点項目に合致した内容で説得力を持たせることが重要になります。
作成ポイント |
具体的な作り方 |
取組内容と計画との整合性 |
・今回の補助事業で機械装置等を取得しなければならない必要性を示す |
将来の展望 |
・どのような付加価値が生み出されるのかを簡潔に記載する |
会社全体の事業計画 |
・会社全体の事業計画(表)における算出根拠を記載もしくは別途提出する など |
事業を始めるに至った背景・現在の業務課題・人手不足の実態などが具体的なデータや事実に基づいて説明されているかを確認しましょう。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領
掲載ページ:独立行政法人中小企業基盤整備機構 資料ダウンロード(一般型)
専門家のサポートを受ける
申請手続きの中でも重要な事業計画書の作成において、不安がある場合は専門家のサポートを受けることができます。
専門家のサポートが必要な場合は、お近くの認定経営革新等支援機関の利用を検討してみましょう。
認定経営革新等支援機関とは、中小企業の経営革新や事業成長を支援する、公的に認定された専門機関のことです。
事業計画書の作成についてアドバイスや申請から交付後までのフォローなどを受けたりできます。
認定経営革新等支援機関を利用して専門的なサポートを受けることで、申請書類の精度が向上し、採択される可能性が高まるでしょう。
なお、当社 株式会社Staywayも認定経営革新等支援機関に指定されており、省力化投資補助金の申請サポートを行っております。ぜひ、お気軽にお問合せください!
参考:株式会社Stayway 補助金クラウド 省力化投資補助金サイト
【一般型】省力化投資補助金 申請スケジュール
省力化投資補助金 一般型の申請スケジュールを押さえておきましょう。
出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助金 一般型とは
時期目安 |
スケジュール内容 |
公募開始の2〜3か月前 |
事前準備 |
公募開始~申請期日まで |
応募申請 |
応募締切から1〜2か月後 |
採択結果の通知 |
採択後2か月以内 |
交付申請 |
交付決定後〜最大18か月間 |
補助事業の実施 |
完了日から30日以内 or 実施期限日まで |
実績報告の提出 |
補助事業終了後、毎年度末から60日以内 |
効果報告の提出 |
採択された場合、採択後2か月以内に交付申請をしなくてはなりません。第2回公募を例にすると、令和7年8月中旬が採択発表の予定時期なので、10月中旬頃までに交付申請を行うこととなります。
補助事業の効果報告や実績報告の提出なども必要です。計画的に事業を実施できるように準備することが重要です。
参考:
独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助金 一般型とは
独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業(一般型)電子申請マニュアル(応募申請)第2回公募
掲載ページ:独立行政法人中小企業基盤整備機構 資料ダウンロード(一般型)

まとめ
省力化投資補助金の一般型は電子申請のみで受け付けており、GビスIDプライムアカウントの取得が必須です。
また、基本の申請要件のほか、採択率を上げるための加点要件の達成など、用意すべき要素が多くあります。
申請準備に早めに取りかかり、必要に応じて専門家のサポートも活用して採択を目指しましょう。
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