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2030年度の温室効果ガス削減目標の達成に向け、国は民間企業や地方自治体等が行う太陽光発電の導入を支援しています。
屋根や駐車場に設置した太陽光発電システムで作り出した電力を自ら使う「自家消費型」の太陽光発電は、導入する企業にとって電気代の削減といったメリットもあります。
そこでこの記事では、法人が太陽光発電の導入につかえる補助金について紹介します。
需要家主導型太陽光発電導入促進事業
地域共生を前提に、需要家が小売電気事業者および発電事業者と一体となって取り組む太陽光発電の導入や当該太陽光発電設備への蓄電池の併設を支援する事業です。
この事業により、再生可能エネルギーの導入と効率的な活用を促進し、エネルギー危機に強い経済構造への転換を図ることを目的としています。
補助対象事業者:
補助対象事業者は特定の需要家に電気を供給するために新たに太陽光発電設備を設置・所有する者で、以下5つの要件を満たす必要があります。
1. 対象設備が、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法の認定計画に含まれないこと(非 FIT・非 FIP)
2. 合計2MW以上30MW未満の新設設備で、単価が23.9万円/kW(ACベース)未満であること
3. 原則として、①単年度事業については、令和7 (2025)年2月28日までに②複数年度事業については、最長で令和9(2027)年2月26日までに運転開始すること
4. 8年以上にわたり一定量以上(計画発電量の7割以上)の電気の利用契約等を締結すること
5. 再エネ特措法に基づく「事業計画策定ガイドライン」および「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」を遵守すること
補助対象経費:
補助対象経費は太陽光発電設備の設置に伴う、以下の費用です。
設計費 |
設備導入に必要な設備等の設計に要する経費 |
設備購入費 |
太陽電池モジュール、蓄電池、パワーコンディショナ、モニターシステム(電力測定及び測定値の表示を行うためのシステム)、架台、接続箱、受配電設備、遠隔監視・制御装置、その他の付属機器 |
土地造成費 |
設備設置に必要な土地造成費 |
工事費 |
設備基礎、設備の据付、電気配管及び柵塀(柵塀の購入費を含む)に係る工事費 |
接続費 |
送配電事業者の有する系統への電源線、遮断器、計量器、系統設備に対する工事費負担金 |
補助率・補助上限額:
自治体連携型 2/3以内
自治体連携型以外 1/3以内(ただし中小企業が電力の51%以上を買い取る場合など、条件によっては1/2以内)
補助金上限額は、交付申請書に記載された補助金申請額となります。
※自治体連携型とは、以下いずれかの場合を指します。
① 補助対象事業者(地方公共団体及び地方公営企業を除く)が、地方公共団体が所有する
土地に補助対象設備を設置して補助事業を実施する場合。
② 地方公共団体が資本金の過半を出資する補助対象事業者又は地方公共団体及び地方公営企
業が、当該地方公共団体内に需要地を有する者を需要家として補助事業を実施する場合
参考:JPEA太陽光発電推進センター(JP-PC) 令和6年度予算 需要家主導型太陽光発電導入支援事業
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
本事業は、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業)のひとつで、太陽光発電設備と蓄電池を同時に導入する事業を支援します。
「ストレージパリティ」とは、「太陽光発電設備の導入に際して、蓄電池(ストレージ / storage)を導入しないよりも蓄電池を導入した方が経済的メリットのある状態」を指す言葉です。
※令和6年度の公募は、8月30日締め切りの3次公募をもって終了しています。次年度以降の状況は随時アップデートします。
「補助金の要件①(全般)」「補助金の要件②(補助金の申請者等)」「補助金の要件③(補助対象設備)」「補助金の要件④(申請の区分)」等、公募要領の各項目を満たすものであるか審査が行われ、公募要領の記述に沿った応募書類ほど、高く評価されます。
また、CO₂(二酸化炭素)削減効果に関する加点項目、ストレージパリティの達成への取り組みに関する加点項目などもあります。
申請の際は、公募要領の各項目を満たす内容になっているか必ず確認しましょう。
補助率・補助額:
補助率・補助額は補助対象設備によって異なります。
補助対象設備 | 基準額 | |||
太陽光発電システム |
定額 | 4万円/kw | 「自己所有」「その他のオンサイトPPAモデル」「その他のリースモデル」 | ×太陽電池出力[kW] |
5万円/kw | 「オンサイトPPAモデル」「リースモデル」 | |||
7万円/kw | 「戸建て住宅」 | |||
定置用蓄電池 | 定額 | 4万円/kWh(業務・産業用) または4.5万円/kWh(家庭用)×蓄電容量[kWh] と間接補助対象経費に1/3を乗じて得た額とを比較して少ない方の額 | ||
車載型蓄電池 | 定額 | 蓄電容量[kWh]×1/2×4円/kWh | ||
放電設備 |
1/2 | 機器費 | ||
定額 | 設置工事費(上限額: 1基あたり業務・産業用95万円、家庭用40万円) |
※補助金の交付額の上限額は太陽光発電設備:2,000万円 定置用蓄電池など:1,000万円
参考:一般財団法人環境イノベーション情報機構 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業の公募
工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)
我が国の2030年度温室効果ガス削減目標の達成や2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、工場・事業場での脱炭素化のロールモデルとなる取組(削減目標の設定、削減計画の策定、設備更新・電化・燃料転換・運用改善の実施)を支援するものです
「脱炭素化のステップ」に対応した、以下2つの補助事業があり、いずれも補助対象に太陽光発電設備の導入が含まれています。
【1. CO2削減計画策定支援】
年間CO2排出量50t以上3,000t未満の工場・事業場を保有する中小企業等に対し、CO2排出量削減余地の診断および「CO2削減計画」の策定を支援。
補助率・補助上限額:
3/4、補助上限は支援内容により50~100万円
(※DX型計画策定支援は補助上限を100万円増額)
【2. 省CO2型設備更新支援】
「CO2削減計画」に基づく設備更新を支援。
補助率・補助上限額:
A.標準事業:1/3、補助上限1億円
B.大規模電化・燃料転換事業:1/3、補助上限5億円
C.中小企業事業:CO2削減量比例型補助、補助上限0.5億円
令和6年10月15日(火)まで、上記「2. 省CO2型設備更新支援」の4次公募が行われています。
地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業
本事業は、地域防災計画により災害時に避難施設等として位置付けられた公共施設、又は
業務継続計画により災害発生時に業務を維持するべき公共施設に、平時の温室効果ガスの排
出抑制に加え、災害時にもエネルギー供給等の機能発揮が可能な再生可能エネルギー設備等
を導入する取り組みを支援するものです。
本事業には、以下の2つの事業があります。いずれも太陽光発電設備の導入に関連しますが、太陽光発電設備の導入に伴う設備費や工事費は「1. 設備導入事業」において対象経費となります。
1. 設備導入事業
再生可能エネルギー設備、未利用エネルギー活用設備、コジェネレーションシステム(CGS)およびそれらの附帯設備(蓄電池、充放電設備、自営線、熱導管等)、省CO2設備(高機能換気設備、省エネ型浄化槽含む)等を導入する費用の一部を補助します。
2. 詳細設計等事業
再生可能エネルギー設備等の導入に係る調査・計画策定を行う事業の費用の一部を補助します。
補助対象事業者:
補助対象事業者は、地方公共団体、民間企業です。ただし、民間企業の場合は地方公共団体と共同申請をする場合に限ります。
補助率・補助上限額:
1. 設備導入事業
市区町村等※1であって、太陽光発電設備以外の再生可能エネルギー設備又は未利用エネルギー活用設備の導入事業の場合、又は離島※2の場合:2/3
市区町村等であって、太陽光発電設備又はコージェネレーションシステムの導入事業の場合:1/2
都道府県・指定都市の場合※3:1/3
※1 市町村(地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)第 252 条の 19 第1項の指定都市を除く。)又は同法第 281 条第 1 項の特別区(これらの地方公共団体により設けられた組合を含む)であり、民間企業が共同で申請する場合を含む。
※2 電気事業法(昭和 39 年法律第 170 号)において離島となる区域
※3 都道府県又は指定都市が公共施設に太陽光発電設備を導入する場合は、民間企業を活用した導入方式に限る。ただし、令和4年度当初予算以前の本補助金で2号事業を完了又は着手し、継続して1号事業を実施する場合及び令和4年度当初予算以前の本補助金で1号事業に着手し、2年目を令和4年度補正予算以降の本補助金で実施する場合はその限りではない。
2. 詳細設計等事業
1/2(上限:500万円)
参考:一般財団法人環境イノベーション情報機構 【二次公募のお知らせ】令和5年度(補正予算)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業)
二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業
本事業は、途上国等への優れた脱炭素技術等の普及や対策の実施を通じ、実現した温室効果ガスの排出削減への我が国の貢献を定量的に評価するとともに、我が国の排出削減目標の達成に活用する二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism;JCM)の推進に向けて、JCMの下で行う脱炭素設備の導入事業に対して初期投資費用の一部を補助するものです。
二国間クレジット制度は、途上国と協力して温室効果ガスの削減に取り組み、削減の成果を両国で分け合う制度です。
補助対象経費
補助対象設備(エネルギー起源 CO2を含む GHG 排出削減に直接寄与する設備)の整備に係る以下の経費で、当該事業で使用されたことを証明できるもの
①本工事費
②付帯工事費
③機械器具費
④測量及び試験費
⑤設備費(モニタリング機器含む)
⑥事務費
⑦その他必要な経費でセンターが承認した経費
補助率・補助上限額:
パートナー国において、過去に採択されたJCMに係る補助事業のうち類似技術を活用している件数(原則応募時点)に応じて、以下のとおり補助率の上限が設定されています。
件数 |
補助率 |
0件 |
50%を上限としてセンターが定める割合 |
1〜3件 |
40%を上限としてセンターが定める割合 |
4〜7件 |
30%を上限としてセンターが定める割合 |
8〜9件 |
20%を上限としてセンターが定める割合 |
10件以上 |
採択なし |
なお、1件当たりの補助金の交付額は、20億円以下を目安とします。
参考:二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業 公募要領
掲載ページ:公益財団法人地球環境センター 令和6年度二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業の公募について
地域脱炭素移行・再エネ推進交付金
本交付金は、脱炭素事業に意欲的に取り組む地方公共団体等を複数年度にわたり継続的・包括的に支援する事業です。民間事業者・個人は、地方公共団体からの間接交付に限り、受給することができます。
次のとおり、大きく3つの事業があるうち、交付金が支払われる事業は以下の2つです。
Ⅰ.脱炭素先行地域づくり事業
交付要件は、脱炭素先行地域に選定されていることです。
(1)CO2排出削減に向けた設備導入事業(①は必須)
①再エネ設備整備(自家消費型、地域共生・地域裨益型)
地域の再エネポテンシャルを最大限活かした再エネ設備の導入
・再エネ発電設備:太陽光、風力、中小水力、バイオマス等(公共施設への太陽光発電設備導入はPPA等に限る)・再エネ熱利用設備/未利用熱利用設備:地中熱、温泉熱等
②基盤インフラ整備
地域再エネ導入・利用最大化のための基盤インフラ設備の導入
・自営線、熱導管・蓄電池、充放電設備・再エネ由来水素関連設備・エネマネシステム等
③省CO2等設備整備
地域再エネ導入・利用最大化のための省CO2等設備の導入
・ZEB・ZEH、断熱改修・ゼロカーボンドライブ(電動車、充放電設備等)・その他省CO2設備(高効率換気・空調、コジェネ等)
(2)効果促進事業
上記(1)の「CO2排出削減に向けた設備導入事業」と一体となって設備導入の効果を一層高めるソフト事業等
Ⅱ.重点対策加速化事業
交付要件は、再エネ発電設備を一定以上導入することです。
以下のうち2つ以上を実施しなければなりません(①または②は必須)。
①屋根置きなど自家消費型の太陽光発電
(例:住宅の屋根等に自家消費型太陽光発電設備を設置する事業)
※公共施設への太陽光発電設備導入はPPA等に限る
②地域共生・地域裨益型再エネの立地
(例:未利用地、ため池、廃棄物最終処分場等を活用し、再エネ設備を設置する事業)
③業務ビル等における徹底した省エネと改修時等のZEB化誘導
(例:新築・改修予定の業務ビル等において省エネ設備を大規模に導入する事業)
④住宅・建築物の省エネ性能等の向上
(例:ZEH、ZEH+、既築住宅改修補助事業)
⑤ゼロカーボン・ドライブ
(例:地域住民のEV購入支援事業、EV公用車を活用したカーシェアリング事業)
※ 再エネとセットでEV等を導入する場合に限る
交付率
Ⅰ.脱炭素先行地域づくり事業:太陽光発電設備の場合 2/3以内、ソーラーカーポートを導入する場合 交付対象事業費は上限3億円/件
Ⅱ.重点対策加速化事業:太陽光発電設備の場合 1/3~3/5
まとめ
この記事では、法人が太陽光発電の導入につかえる補助金について紹介しました。太陽光発電の導入をご検討中の場合は、ぜひ、補助金の活用もあわせてご検討ください。
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