緊張が続くロシアのウクライナ侵攻は、今後予断を許さない状況です。
政府(主管:経済産業省・中小企業庁)は、昨今のウクライナ情勢や原油価格高騰などによって影響を受ける中小企業・小規模事業者を支援するため、相談窓口を設置し、厳しい状況に直面する事業者に対する資金繰り支援を実施しています。
これについて解説します。
特別相談窓口の設置
政府は、現下の緊急事態に鑑(かんが)み、今回の事案によって影響を受ける全国の中小企業・小規模事業者を支援するため、本年2月25日付で全国に特別相談窓口を設置し、支援を実施することを公表しました。
対象となる相談窓口は、各機間に設置されている「原油価格上昇に関する特別相談窓口」を「ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」として拡充し、困難な状況に直面している中小企業者に対する資金繰りや経営に関する相談を実施します。
参照:経済産業省
具体的な相談窓口は下記のとおりです。
- 日本政策金融公庫
- 沖縄振興開発金融公庫
- 商工組合中央金庫
- 信用保証協会
- 商工会議所
- 都道府県商工会連合会
- 都道府県中小企業団体中央会およびよろず支援拠点
- 全国商店街振興組合連合会
- 中小企業基盤整備機構各地域本部および各地方経済産業局
参照:窓口一覧
セーフティネット貸付の運用緩和
政府はまた、日本政策金融公庫等が実施するセーフティネット貸付の要件を緩和し、支援対象をウクライナ情勢や原油高等によって今後の影響が懸念される事業者に拡大します。
セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)の概要
セーフティネット貸付支援の概要は下記のとおりです。
対象者
社会的、経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上の減少等業況悪化をきたしているが、中長期的にはその業況が回復し発展することが見込まれる中小企業・小規模事業者
対象要件
最近3ケ月の売上高が前年同期または前々年同期に比べて5%減少していること
*「特別相談窓口」を設置した場合、数値要件を満たしていなくても、資金繰りに著しい支障をきたしていたり、そのおそれがあれば対象となります。
貸付対象資金と限度額・期間・利率
- 対象資金:設備資金および運転資金
- 貸付限度額:(中小企業事業)7億2,000万円
- 貸付限度額:(国民生活事業)4,800万円
- 貸付期間:設備資金15年以内、運転資金8年以内
- 据置期間:3年以内
- 貸付利率:基準利率・中小企業事業1.06%、国民生活事業1.81%(令和4年2月1日現在)
(※)貸付期間5年以内の標準的利率、実際の適用利率は、担保の有無や信用リスク等により異なります。
参照:経済産業省
ウクライナ情勢・原油価格上昇を踏まえた資金繰り支援
更に政府は、ウクライナ情勢による原油価格上昇を踏まえた資金繰り支援についても同じタイミングで公表しました。
支援内容
経済産業省は、財務省・金融庁等の関係省庁とともに、これまでの原油価格上昇等に加えて、ロシア軍の侵攻によるウクライナ情勢の流動化によりさらなる影響が懸念される中、事業者の資金繰りに重大な支障が生じることのないよう、関係機関に対して下記のとおり要請しました。
足下では、これまでの原油価格上昇等に加え、ロシア軍の侵攻によるウクライナ情勢の流動化によりさらなる影響が懸念されます。
そこで、関係金融機関に対し、ウクライナ情勢・原油価格上昇等により、中小企業のみならず、大企業・中堅企業を含めた多くの事業者に対する影響が懸念されます。
こうした事業者の資金繰りに支障が生じないよう、引き続き事業者の業況を積極的に把握し、資金繰り相談に丁寧に対応するなど、事業者のニーズに応じたきめ細かな支援を引き続き徹底することを要請しました。
相談窓口
各施策における相談窓口は下記のとおりです。
特別相談窓口
中小企業庁経営安定対策室
電話:03-3501-1511(内線 5251~5253)
03-3501-0459(直通)
03-3501-6805(FAX)
セーフティネット貸付の運用緩和
中小企業庁金融課
電話:03-3501-1511(内線 5271~5275)
03-3501-2876(直通)
03-3501-6861(FAX)
最後に
日々刻々と状況が流動し、世界中を不安に陥れている今回のロシアによるウクライナ侵攻は、日本にとっても対岸の火事ではなく、多くの中小企業などに事業面の大きな影響を与えることが想定されています。
今回の支援措置を活用し、事業継続・拡大に役立てていただきたいものです。
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