省エネルギーに取り組む事業者に対する、昨今のエネルギー価格高騰を背景とした厳しい環境に配慮した支援補助金事業が公募されています。
一般社団法人・都市ガス振興センターが運営主体となっている、この補助金について詳しく解説します。
事業目的
わが国は世界的にみても高水準の省エネルギー施策を展開し、2030年のエネルギーミックス達成、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて取り組んでいます。
ところが、昨今のエネルギー不足による価格高騰という緊急事態を迎え、エネルギー消費機器の効率化による燃料・電力の消費抑制を図ることが重要な課題となっています。
本事業は、緊急的な支援策として、産業・業務部門における性能の優れた省エネ設備への更新事業に必要な経費の一部を補助することで、需要側における燃料・電力の消費抑制に資する取組を促し、エネルギーコストの削減を目指すことを目的としています。
事業概要
本施策の概要について解説します。
予算額
本事業の予算額は約1.2億円と設定されています。
補助対象事業
本補助金の交付の対象となる事業は、以下の要件のうちいずれかを満たす事業であることが求められます。
① 国内で既に事業活動を営んでいる工場・事業場において、現在使用している設備を本事業で定められたエネルギー消費効率等の基準を満たす補助対象設備に更新することにより、省エネルギー化を図る事業であること。
※ 工場の移転や集約など、既存の事業所を移設する際に既設の設備を更新する場合は対象となります。
② 既存設備・システムの置き換え、または製造プロセスの改善などの改修を行い、省エネルギー化を図る事業であること。
なお、下記の場合は補助対象事業と認められません。
• 新たに事業活動を開始する新築・新設の事業所へ新たに導入する設備は対象外
• 故障などの事由により事業活動に供していない設備を更新する事業は対象外
• 専ら居住を目的とした事業所における設備更新は対象外
補助対象事業者
本補助金の交付申請をする事業者は、以下の要件を満たすことが求められます。
国内において事業活動を営んでいる法人及び個人事業主であること
なお、大企業については、以下のいずれかの要件を満たす場合のみ補助対象事業者となります。
- Sクラス事業者:省エネ法の事業クラス分け評価制度で「令和2年度定期報告書分」として公表されている事業者
- Aクラス事業者:「令和2年度定期報告書分」でAクラスに認定され、かつ「令和元年度定期報告書分」でSクラスと認定された事業者
詳細は下記の公募要領を参照ください。
参照:公募要領
補助対象設備
補助対象設備である指定設備は、以下の設備区分に該当する設備で、予(あらかじ)め定めたエネルギー消費効率の基準を満たし、補助対象設備として登録・公表したものとされています。
指定設備:高効率コージェネレーション
- ガスエンジン式
- 燃料電池式
補助対象経費
補助対象経費は次に挙げるとおりです。
- 設計費:補助事業の実施に要する設計費等の経費
- 運搬費:導入する補助対象設備又は除却する設備の運搬費等の経費
- 撤去費・廃棄費用:既存設備等の撤去費用、除却又は廃棄に要する経費
- 据付費・工事費:導入する補助対象設備の設置に要する据付費や工事費等の経費
- 材料等経費:補助対象設備以外の材料等の経費(配線、配管等)
- 諸経費・その他経費:会議費等の諸経費、交付決定前に要した経費
- 消費税・地方消費税:消費税法に定める消費税・地方消費税
補助額および補助金限度額
補助額および補助金限度額については次のとおりです。
補助額
指定設備の能力に基づく定額とし、補助金額を算出します。
【補助金額】 = 補助対象設備の能力[kW] × 能力当たりの補助金額[円/kW]× 導入台数[台]
補助金限度額
補助金申請額の上限は、補助対象経費の合計額の1/2となります。
補助金額の上限額及び下限額は以下のとおりです。
- 上限額:1事業当たり1,200万円
- 下限額:1事業当たり20万円
※ 定額補助のため、複数台の設備を導入し、積算した補助金額の合計が1,200万円を超える申請となった場合、超過した分の補助金申請はできません。
公募スケジュール
(二次公募) 令和4年7月4日(月)から募集開始
※一週間毎に申請案件をとりまとめ順次採択し、交付決定額が予算額に達した時点で締め切りとなります。
問い合わせ先
一般社団法人 都市ガス振興センター 省エネルギー支援事業グループ
〒105-0004 東京都港区新橋3-7-9川辺ビル5階
TEL 03-6435-7693 FAX 03-3591-8110
気になる採択状況は?
採択状況が気になるところですが、令和4年5月25日交付分(一次公募分)の交付決定案件は12件となっています。
参照:一次公募の採択事案
今回の予測
公募スケジュールにあるとおり、予算額に達した時点で締め切りとなりますが、事務局に確認したところ、当初予算(1.2億円)のうち、一次公募での消化予算は約7,000万円とのことであり、今回の二次公募では残余の約5,000万円が対象となる見込みです。
単純に一次公募との比較で推測すれば、採択事案は10件程度とみられますが、各案件規模等にもよるので、一概に案件数を決め付けることはできません。
なお、補助金の採択率は概ね40%~50%といわれているので、参考値として検討可能かもしれません。
最後に
省エネルギー投資促進支援事業費補助金・高効率コージェネレーションの二次募集について詳しく解説しました。
日本の誇る「ものづくり」に取り組む事業者を支援する補助金として、是非有効に活用したいものです。
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