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小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等の販路開拓や業務効率化等の取り組みを支援するものです。そのため、農業を営む事業者も申請可能です。ただし、申請には条件および要件があり、それらを満たしている必要があります。
そこでこの記事では、農業で小規模事業者持続化補助金に申請する際の条件・要件や採択事例について解説します。
農業も申請可能「小規模事業者持続化補助金」の概要
小規模事業者持続化補助金は、常時使用する従業員の数が5名以下または20名以下(業種による)の小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。 ※その他要件あり
計5つの申請類型があり、それぞれ補助率・補助上限が設けられています。また、対象経費には補助事業の遂行に必要な製造装置の購入等に要する機械装置等費や新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置等といった広報費、ウェブサイトやECサイト等の開発、構築、更新、改修、運用に係るウェブサイト関連費などが挙げられます。
インボイス特例として、指定の要件を満たす場合、免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者に対しては、補助上限額を一律50万円上乗せされるため、最大250万円が補助されることとなります。
農業で「小規模事業者持続化補助金」に申請する際の注意点
先述のとおり、小規模事業者持続化補助金には、農業を営む事業者でも要件を満たす場合は申請可能です。
しかし、注意すべき点として、系統出荷による収入のみである個人農業者は補助対象者とならず、申請不可であることが挙げられます。これは、個人の林業・水産業者についても同様です。
系統出荷とは、農業の場合、生産農家が共同組合を通じて作物を出荷することを指します。農業の共同組合はJA(農業協同組合)として知られていますが、林業の場合はJForest(全国森林組合連合会)、漁業ではJF(漁業協同組合)等が存在します。
これらを通じた出荷のみでないことが要件となるため、そのほかの販売ルートがあること、スーパーやレストランに卸していることなどが求められます。
なお、個人農業者に該当しない小規模事業者であれば、系統出荷による収入のみでも補助対象となります。
参照:商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金 公募要領 P.5
農業で「小規模事業者持続化補助金」に申請できる条件
ここでは個人・小規模事業者問わず、農業で小規模事業者持続化補助金に申請する場合の主な条件について解説します。
小規模事業者持続化補助金の対象者要件を満たしている
小規模事業者持続化補助金の申請要件は、以下(1)から(6)のいずれも満たし、日本国内に所在する小規模事業
者(日本国内に居住する個人、又は日本国内に本店を有する法人)等であることとされています。
(1)小規模事業者であること
「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」において、業種ごとに従業員数で小規模事業者であるか否かを判断しています。
業種 人数 商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数 5人以下 サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数 20人以下 製造業その他 常時使用する従業員の数 20人以下
農業の場合、自身で生産、捕獲・採取した農水産物を販売することは「商業・サービス業」ではなく、上図の「製造業その他」に分類されます。
そのため、常時使用する従業員の数が20人以下であれば小規模事業者持続化補助金への申請が可能です。このほか、以下を満たす必要があります。
(2)資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
(3)確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
(4)商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいること。
※商工会地区で事業を営んでいる小規模事業者等は、別途、同様の事業を各地域の商工会でも行っておりますので、そちらに応募ください。(5)下記3つの事業において、採択を受けて、補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第14「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を原則本補助金の申請までに受領された者であること (先行する受付締切回で採択された共同申請の参画事業者を含む)。
①「小規模事業者持続化補助金<一般型>」
②「小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>」
③「小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>」
対象事業要件を満たす販路開拓・業務効率化のための取り組みである
対象事業の主な要件には、以下の項目が挙げられます。
(1)策定した「経営計画」に基づいて実施する、販路開拓等のための取組であること。あるいは、販路開拓等
の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること。
こうした取り組みの例として、農業では、自身の作物の販売のための販路開拓に向けた広報費や農作業の業務効率化等を目的とした機械装置等費、作物を販売するためのECサイト開発等が想定されます。
農業の「小規模事業者持続化補助金」採択事例
中小企業庁が運営するサイト「ミラサポPlus(プラス)」に、小規模事業者持続化補助金における農業の採択事例が掲載されています。
米消費量の少ない一人暮らしの若い女性をターゲットとした新製品を開発。曜日別にパターンを持たせた美容効果のある自社米と、各米に合う炊き方のレシピを入れて販売しました。
食に関する展示会に出品し、商談機会を獲得したり、受注を受けたりする結果に繋がりました。
このような場合、新商品の開発費用や展示会への参加費用のほか、新たな販促用チラシを作成した場合は作成費用・送付費用などが補助対象となります。
また、店頭で販売する場合は新商品を陳列するための棚の購入費用、店舗改装なども対象経費に含まれます。
参照:ミラサポPlus 一人暮らしの女性向けの一週間分お米セットMY(米)WEEK!
農業の「小規模事業者持続化補助金」採択を有利にする「加点項目」
小規模事業者持続化補助金には、申請者が要件を満たす場合に審査上の加点を受けられる加点項目があります。
この加点項目を満たすことで、採択の可能性が高まります。審査の際は経営計画書・補助事業計画書について、各加点項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択を行います。
加点される要素をひとつでも増やすことが審査を有利に進めることとなりますので、申請検討の際はぜひ加点項目の確認も行ってください。
以下の記事では、小規模事業者持続化補助金の加点項目について解説しています。あわせてご参照ください。
参照:補助金クラウドMag. 採択率アップ!小規模事業者持続化補助金の加点項目とは
まとめ
今回は、農業で小規模事業者持続化補助金に申請する際の条件・要件や採択事例について解説しました。
満たすべき要件のほか、クリアすべき条件はありますが、農業であっても本補助金への申請が可能です。販路開拓や生産性向上のための取り組みを実施した方、検討している方は、ぜひ、本補助金の活用もあわせてご検討ください。
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