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大阪府では、令和5年10月30日から「新事業展開テイクオフ補助金 第2期」の公募が始まりました。本補助事業は、大阪府の事業者が取り組む新規事業を応援するものです。
令和5年6月16日まで第1期の公募が行われていましたが、応募多数につき、第2期の実施が決まりました。そこでこの記事では、新事業展開テイクオフ補助金について解説します。
新事業展開テイクオフ補助金 事業概要
本補助金は、新型コロナウイルス感染症や原油価格・物価高騰、人材不足等の影響により、厳しい経営状況の中で、既存事業とは異なる事業分野・業種への進出や新たな取組みによる事業の改善を図る新事業展開をめざす府内中小企業を支援するものです。
厳しい経営状況を打開するため実施する、新しい事業分野への進出、業種・業態の転換、新製品・新サービスの開発・販売提供、製造コスト抑制等のための省力化・内製化などをサポートします。
第1期では伴走支援および補助金交付による事業支援を行っていましたが、第2期では伴走支援の実施はありません。
参照:大阪府 令和5年度 新事業展開テイクオフ補助金(第2期)
参照:大阪産業局 令和5年度 新事業展開 テイクオフ支援
新事業展開テイクオフ補助金 取り組み内容
出典:公益財団法人 大阪産業局 【新事業展開テイクオフ支援事業】令和5年度 新事業展開テイクオフ補助金(第2期)
本補助金は、早期の収益化促進をはじめ、一歩を踏み出すためのきっかけを提供する目的で交付するものです。申請にあたっては、あらかじめインプットセミナーの受講が必要です。
セミナーは2種類あり、いずれかひとつを受講してください。アーカイブ動画配信のみの実施となります。
その後、インプットセミナー受講者へメールで「新事業展開テイクオフ補助金(第2期)」専用の電子システムのURLが送られるので、手元に届き次第、電子システムで申請書を提出してください。
原則、郵送・持参による申請は受け付けません。
専門家による書類審査を経て、2023年12月中旬をめどに補助金の採択事業者を決定してメール、または書面の郵送にて通知します。
補助対象事業
補助対象事業は、大きく2つあります。募集要項に記載された例を引用して
① 既存事業とは異なる事業分野・業種への進出
事業例:
1、企業向け(BtoB)から消費者向け(BtoC)販売への進出
本業の移動販売や冷凍食品製造業で培ったノウハウを生かして、新たに自社ECサイトを構築し、消費者向け販売へ進出。自社商品のみならず、将来的には地元近隣の飲食店のラインナップを予定。2、運送業からアウトドア商品開発製造販売業への進出
コロナ禍による運送事業の売上減少により、新たにアウトドア商品の開発製造販売業へ進出。運送業務や輸入・輸出製品の保管・梱包検品業務を実施してきたノウハウを生かして、倉庫の一部を展示場として活用するほか、製造・保管・輸送を全て自社で担うことでコストダウンも図る。
いずれも既存事業とは異なる事業分野・業種への進出や新たな取組みを行っている事例です。事業再構築補助金の一部申請類型のような売上減少要件はありません。
② 新たな取組みによる事業の改善
事業例:
1、女性・シニア層の人材活用による取組み
雑貨等の製品開発・販売のノウハウを生かして、他社製品の検品や組立等の軽作業を新たに受注するにあたり、在宅作業等の労働環境を整備したうえで、女性やシニア層といった地域の労働力を掘り起こし、労働力の確保を図る。2、新規営業活動の自動化サービスの提供
システム開発業でのノウハウを生かして、営業活動が効率的に回る仕組みとして、「新規顧客獲得のためのテレアポやDM配送のための顧客アプローチリストを自動生成」するサービスを開発し、人手不足が深刻化する中小企業の営業の効率化を図る。3、職場環境改善による生産性向上を図る取組み
加工業での工場内作業において、高温状態が続くといった職場環境であったため、工場内に遮熱対策を行うことで、従業員の集中力低下及び生産量・品質低下を防ぎ、新たな受注を図る。併せて、職場環境の改善による同業他社との差別化により、人手不足の解消も図る。
新たな取組みによる事業の改善の例として上記のような内容が挙げられているとおり、既存事業であっても新たな取組みによる事業の改善を図るものは本補助金の対象となります。
補助対象者
大阪府内に本店(住所)または主たる事業所を有する中小事業者、企業組合又は協業組合、一般社団法人(直接又は間接の構成員の3分の2以上が中小企業者であるもの)等が対象です。
業種は限られていないため、幅広い業種が補助対象となります。ただし、特定非営利活動(NPO)法人、公益財団法人、公益社団法人、一般財団法人、社会福祉法人、学校法人、農事組合法人、地方独立行政法人等は対象外になります。
また、次のいずれかに該当する場合は対象外となります。
・発行済株式の総数又は出資金額の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者
・発行済株式の総数又は出資金額の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
・大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
補助率・補助額
補助率:補助対象となる経費総額の3/4以内
補助上限額:100万円
対象経費
出典:大阪府 令和5年度 新事業展開テイクオフ補助金(第2期)
上図のとおり、機械装置・システム構築費や開発費など、新事業展開に要する以下の経費が対象となります。ただし、消費税及び地方消費税を除きます。
また、人材不足解消(人材採用、環境改善、生産性向上)の取組みに係る経費も対象となります。
機械装置・システム構築費に該当する設備の借用費用やクラウドサービスの利用料は、補助事業実施期間に要した経費に限り対象となります。
なお、自動車等車両の購入費は、新事業展開のためにのみ使用されると認められるもののみ補助対象とみなされます。
参照:大阪府 令和5年度 新事業展開テイクオフ補助金(第2期)
新事業展開テイクオフ補助金 採択事例
ここからは、過去公募における主な採択事例を紹介します。
事例 1:衣類製造販売(企画・開発)A社
既存事業:女性特有のお困りごとに対応した作業服、ユニフォームの企画・販売
新規事業:創業時からの“女性が働く喜びを輝かせたい”との思いをベースにした、生理の悩みを解決するオーバーショーツの開発
既存事業で企画・販売している作業服ではなく、生理中の悩みを解決するオーバーショーツの開発を新規実施した例です。なお、本商品はメーカーやサプライヤー等の企業向けに販売するものです。
事例 2:装置製造 B社
既存事業:鮮度保持装置製造業(ファブレス)
新規事業:急速冷凍装置製造業(ファブレス)
新たに急速冷凍装置の製造を展開した事例です。テイクオフ補助金の活用を視野に入れた広告宣伝方法の策定等を実施しています。
事例 3:飲食店 C社
既存事業:焼き鳥屋
新規事業:バインミーの製造・販売
コロナ禍で打撃を受けた焼き鳥屋から、ベトナムのサンドイッチであるバインミーの製造・販売事業を展開した事例です。本補助金を活用した店頭での画像入りデジタル看板やメニューで、商品の訴求を行います。
事例 4:卸売業・小売業(移動販売) D社
既存事業:移動販売業
新規事業:冷凍食品製造業
本業の移動販売業に加えて、新たに企業を対象とした冷凍食品製造業を開始した例です。
さらに一般消費者向けの販売を目指して、自社ECサイトを構築して販路拡大を図りつつ、地元近隣の飲食店の商品を冷凍食品化し、ラインナップするなど地場産業の活性化も図ります。
新事業展開テイクオフ補助金 採択状況
本補助金の公募は令和4年度10月から11月、令和5年度5月から6月の期間にも実施されました。各回の採択状況は、以下のとおりです。
|
申請数 |
採択数 |
採択率 |
令和4年度 10月~11月公募 |
約250 ~ 約300者 |
約100者 |
約33.3% ~ 約40.0% |
令和5年度 5月~6月公募 |
約700者 |
約300者 |
約42.9% |
まとめ
今回は大阪府が実施している「新事業展開テイクオフ補助金 第2期」について解説しました。
大阪府内の中小企業が新事業を展開する際のサポートを目的とした補助金です。現在、新事業展開を検討している場合はぜひご活用ください。

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