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令和6年4月1日に、事業承継・引継ぎ補助金/9次公募の申請受付が開始となりました。
そこでこの記事では、事業承継・引継ぎ補助金/9次公募について解説します。これから公募への申請を検討されている方は、ぜひこちらの記事をご参照ください!
事業承継・引継ぎ補助金とは?
事業承継やM&Aを契機とした経営革新等への挑戦や、M&Aによ
- 経営革新枠
- 専門家活用枠
- 廃業・再チャレンジ枠
なお、本記事で紹介する「経営革新枠」は、中小企業者が事業承継を契機として経営革新に係る取組を支援する事業です。
◆「専門家活用枠」「廃業・再チャレンジ枠」の詳細については、別記事で解説しております。あわせてご参照ください。
事業承継・引継ぎ補助金(経営革新枠)9次公募の変更点
ここからは、経営革新枠の詳細を紹介します。9次公募では、前回から複数の変更内容があります。変更箇所は以下のとおりです。
賃上げ加点未達の場合に関する文言の追記
8次公募において令和6年1月26日付で削除された以下の文言が、9次公募要領に再度掲載されました。
交付申請時点から過去18ヵ月の間において、中小企業庁が所管する補助金※に申請した内容について、賃上げ加点の要件等が未達成の場合、正当な理由が認められない限り大幅に減点されることを了承した上で申請すること。
※令和6年3月時点では、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(第17次公募以降)、サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金2024公募以降)、小規模事業者持続化補助金(第15回公募以降)、事業承継・引継ぎ補助金(第8次公募以降)、成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)(令和6年度公募以降)、事業再構築補助金(第12回公募以降)、(中小企業省力化投資補助事業(第1回公募以降)を含む)
事業承継対象の始期及び期間
9次公募では、事業承継対象期間の始期が2019年(令和元年)11月23日からとなり、事業承継対象期間は令和元年11月23日から令和6年11月22日(予定含む)までとなります。
実績報告類型番号の変更
補助対象事業となる事業承継の形態のうち、「経営者交代類型(Ⅱ型)」「M&A 類型(Ⅲ型)」において、個人事業主が承継者である場合かつ個人事業主が被承継者である場合の実績報告類型番号が、「1」から「3」に変更となりました。
実績報告類型番号は、承継完了報告用の必要書類を示す識別番号です。ただし、上記変更に伴う必要書類の変更はなく、これまで同様に以下の書類が必要です。
①事業譲渡契約書
②移動した資産負債の一覧(事業譲渡契約書に移動した資産負債の記載がない場合)
③事業譲渡が行われたことを証する書類(領収書、検収書、開廃業届等 )
④開業届(交付申請時に開業していなかった承継者の場合)
上記に加えて、事業承継時から被承継者の法人名の変更、 被承継者の消滅、個人事業主における屋号・代表者氏名の変更(改名)等が実施されており、交付申請・採択時の被承継者情報と異なる場合は、被承継者の同一性が確認できる証憑(履歴事項全部証明書等)を取得の上提出してください。
jGrantsについて
交付申請手段である「jGrants(jグランツ)」について、以下の文言が追記されました。改めましてご注意ください。
なお、本補助金を含む国の補助金の電子申請システムである jGrants では代理申請を行うための委任関係を管理する機能は提供していない。同一パソコンから大量に申請がある場合などは、個別に事情を伺う可能性がある。正当な事由なく、申請者自身による申請と認められない場合には、当該申請は不採択又は交付決定の取り消しとなる。
加点事由への該当を証する書類 に関する記述変更
補助上限額の引き上げのため、地域別最低賃金+50 円以上又は事業場内最低賃金から+50 円以上となる賃上げの実施を計画している場合について、以下の記載に変更されました。(太字部分が変更箇所)
補助上限額の引き上げのため、地域別最低賃金+50 円以上又は事業場内最低賃金から+50 円以上となる賃上げの実施を計画している場合であっても、対象となる期間など条件が異なることから、加点事由に係る賃上げを併せて申請する場合には、専用の用紙に記入の上で提出すること(求められる賃上げ条件に応じた用紙を、それぞれの提出箇所からアップロードすること)
変更前は「当該書類を加点事由の提出欄からも提出(アップロード)すること(同じ書類を 2 ヶ所から提出すること)」とされており、提出方法が変更されました。
補助金交付に際しての追記
補助金の交付に関して、以下の文言が追記されました。
※実績報告内容に不備があった場合は、期限を定めて事務局より補正依頼を実施するが、補正期限までに必要な補正がなされず適正な経理処理が確認できない場合は、当該経費について減額する可能性もあるため、留意すること。このため、公募要領及び「補助金交付のための事務手引書」、「証拠書類等の準備に係る留意点」等をよく確認し、必要となる証拠書類を適切に管理すること。実績報告書等の提出の際には、必要書類の漏れがないように確認の上、提出を実施すること。
補助対象経費について
補助対象経費の支払いについて、補助事業者名義による「補助事業者の事業用口座からの銀行振込」または「クレジットカード 1 回払い」のみ対象である旨が明記されました。
これまで「事業用」の記載はありませんでしたが、9次公募から明記されています。なお、あわせて以下の文言が追記されています。
必ず補助事業者名義の口座から支払を実施してください。
事業承継・引継ぎ補助金(経営革新枠)過去変更点
続いて、大きな変更のあった5次公募以降の主な変更点について解説します。
出典:令和4年度 補正予算 事業承継・引継ぎ補助⾦ 経営⾰新事業
制度上のポイントとなる変更は、大きく4つあります。事業承継・引継ぎ補助金の公募ページに掲載されているパンフレットをもとに内容を紹介します。
⼀定の賃上げを実施した場合の補助上限額引き上げ
経営革新事業における補助上限額は、原則600万円です。この金額は4次公募から変わっていません。ただし、5次公募から、補助事業期間において一定の賃上げを行った場合に補助上限額が800万円まで引き上げられました。
一定の賃上げとは、以下の要件を満たすものを指します。
1. 補助事業期間終了時に、事業場内最低賃⾦が地域別最低賃⾦+30円以上の賃上げ
2. 上記を既に達成している事業者は、補助事業期間終了時に、事業場内最低賃⾦+30円以上の賃上げ
なお、補助率については補助額のうち、600万円までの部分は補助率3分の2、600万円を超えて800万円以下の部分の補助率は1/2以内となります。
⼀定条件を満たした場合の補助率引き上げ
①⼩規模企業者、②営業利益率が低下、③営業利益または経常利益が⾚字、④中⼩企業活性化協議会等からの⽀援を
受けている、のいずれかに該当する場合、補助率は2/3以内に引き上げられます。
同⼀法⼈内の代表者交代の場合は、未来の承継も補助対象に
事業承継前の取組を補助⾦の対象とすることで、後継者の早期成⻑を後押しし、事業承継の早期化・円滑化につながるものと考えられることから、⼀部要件の緩和を⾏いました。「未来の承継」として、後継者候補を主体に事業承継前における経営⾰新的な取組にかかる費⽤を⽀援します。
4次公募では、補助事業期間内に中小企業者等間における事業を引き継がせる者と事業を引き継ぐ者の間で M&A 等を含む事業の引き継ぎを行った又は行うことが補助対象事業の条件のひとつでした。
今回の変更内容である未来の承継では、以下の要件を満たす場合、事業承継対象期間以降の事業承継においても、本補助事業の対象となります。
- 同⼀法⼈内の代表者交代による事業承継であること
- 将来経営者となることが⼗分⾒込まれる後継者が選定できていること
- 後継者候補が該当法⼈に在籍していること
- 補助事業期間が終了する事業年度から5年後の事業年度までに事業承継を完了する予定である 等
審査の加点項⽬を追加
以下の項目が、審査における加点事由に追加されました。いずれも交付申請時点で該当する必要があり、該当する
ことを証する書類の提出が必要です。
- 健康経営優良法⼈であること
- サイバーセキュリティお助け隊サービスを利⽤する中⼩企業等であること
- (連携)事業継続⼒強化計画の認定を受けていること
- 申請者の代表者がアトツギ甲⼦園のファイナリストであること
あわせて、従前記載のあった「新型コロナウイルス感染症拡大以後(2020 年 1 月以降)に承継をしていること。(補助対象期間中の承継も含む)
経営革新事業の類型
経営革新事業には、以下3つの類型があります。類型によって、対象となる事業承継の要件が異なります。
創業支援型(Ⅰ型)
以下の1~2をいずれも満たすこと
1. 事業承継対象期間内における法人設立、又は個人事業主としての開業
2. 創業にあたって、廃業を予定している者等から、株式譲渡、事業譲渡等により、有機的一体としての経営資源(設備、従業員、顧客等)の引き継ぎを受けること
経営者交代型(Ⅱ型)
以下の1~2をいずれも満たすこと
1. 親族内承継や従業員承継等の事業承継(事業再生を伴うものを含む)
2. 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、経営等に関して一定の実績や知識等を有している者であること
-
M&A型(Ⅲ型)
以下の1~2をいずれも満たすこと
1. 事業再編・事業統合等のM&A(親族内承継を除く)
2. 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、経営等に関して一定の実績や知識等を有している者であること
補助対象者
補助対象者の主な要件は、以下のとおりです。
(1)日本国内に拠点もしくは居住地を置き、日本国内で事業を営
(2)地域経済に貢献している中小企業者等であること。地域の雇
※(2)の地域経済に貢献している例
・所在する地域または近隣地域からの仕入(域内仕入)が多い。
・所在する地域または近隣地域以外の地域への売上(域外販売)が
・地域の強み(技術、特産品、観光、スポーツ等)の活用に取り組
・新事業等に挑戦し、地域経済に貢献するプロジェクトにおいて中
(3)補助対象者またはその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢
(4)法令順守上の問題を抱えている中小企業者等でないこと。
(5)事務局から質問及び追加資料等の依頼があった場合は適切に
(6)事務局が必要と認めるときは、事務局が補助金の交付申請ほか各種事務局による承認及び結果通知に係る事項につき修正を加えて通知することに同意すること。
(7)申請その他本補助金の交付にあたり負担した各種費用について、いかなる事由においても事務局が負担しないことについて同意すること。
(8)経済産業省から補助金指定停止措置または指名停止措置が講
(9)補助対象事業に係る全ての情報について、事務局から国に報
(10)事務局が求める補助対象事業に係る調査やアンケート等に協
補助対象経費
事業費(人件費、店舗等借入費、設備費等)、廃業費(廃業支援費、在庫廃棄費、解体費)など
補助上限額、補助率等
類型 | 補助率 | 補助上限額 | |
上乗せ額 (廃業費) |
|||
創業支援型(Ⅰ型) | 補助対象経費の 3分の2 又は 2分の 1以内 |
600 万円又は 800 万円以内 |
+150万円 |
経営者交代型(Ⅱ型) |
|||
M&A型(Ⅲ型) |
手続きの流れ
【事前準備】
・補助対象事業の確認
・認定経営革新等支援機関へ相談
・gBizIDプライムの取得
↓
【交付申請】
・交付申請
・審査の後、交付決定通知
↓
【事業実施】
・補助対象事業実施
補助事業期間は、交付決定日から最長で2024年9月16(月)までです。
↓
【事業完了】
・事業完了後に実績報告
↓
【補助金交付】
・確定検査、補助金交付
↓
【補助金交付後】
・事業化状況の報告等
申請スケジュール
申請受付期間 | 令和6年4月1日(月)~令和6年4月30日(火)17:00まで |
---|---|
交付決定日 | 令和6年6月上旬(予定) |
事業実施期間 | 交付決定~令和6年11月22日 |
実績報告期間 | 令和6年12月2日まで |
補助金交付手続き | 未定 |
問い合わせ先
事業承継・引継ぎ補助金 Web サイト
https://jsh.go.jp/r5h/
事業承継・引継ぎ補助金事務局(経営革新)
050 – 3000 – 3550
受付時間:10:00~12:00、13:00~17:00 (土・日・祝日を除く)
採択率
公表された採択結果のうち、直近回の結果は以下のとおりです。
■8次締切
・交付申請期間:2024年1月9日~2024年2月16日
・採択結果:
・経営革新枠:申請 334件、採択 201件、採択率 約60.2%
・専門家活用枠:申請 374件、採択 229件、採択率 約61.2%
・廃業・再チャレンジ枠:単独申請 1件、併用申請 21件、採択 12件、採択率 約54.5%
中小企業庁ページ:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2024/240401shoukei_saitaku.html
事業承継・引継ぎ補助金 公式HP:https://jsh.go.jp/r5h/adoption-result/
採択事例
これまでに採択された事例の一部を紹介します。
経営革新×経営者交代型
①スポーツ用品卸売業:新規顧客を獲得するため新たにトレーニングルーム(予約制・非接触)を設置、トレーニング設備を購入。老舗スポーツ店を承継し自身の強みを活かした地域の子供たちに役立つお店へ。
②花・植木小売業:生花・観葉植物のサブスクリプションサービス体制の構築による販路拡大事業
経営革新×経営者交代型
③旅館、ホテル:お客様への安心・安心の積極的な担保と事業拡大の両立。他の宿泊施設との差別化を図るため、築70年の昔ながらの古い和室を改装し、もとの良さを生かしつつモダンな雰囲気の和室に改装することが出来た。
参照:事業承継・引継ぎ補助金 事例集(令和3年度当初予算 事業承継・引継ぎ補助金)
まとめ
事業承継・引継ぎ補助金/9次公募の概要、5次公募以降の変更点を解説しました。
事業承継をお考えの方は、本補助金をぜひご活用ください。
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