設備投資には手間や資金がかかるため、後に回しがち。しかし、補助金や助成金を活用することで、必要となる金額を削減しつつ、業務の効率化や生産性向上を図れます。
そこでこの記事では、設備投資を検討する際に知っておきたい補助金や助成金制度のうち、代表的な5つを紹介します。設備投資に関する補助金・助成金の活用を検討される際は、ぜひ、参考にしてください。
補助金・助成金を受けるメリット
補助金・助成金を受ける場合、メリットとデメリットそれぞれをしっかり把握したうえで検討することが大切です。補助金・助成金を受けるメリットは、大きく3つあります。
1. 返済不要
補助金・助成金は、支給後の返済が不要で、金融機関からの融資のように金利がかかることもありません。助成金の場合、返済不要の理由は、その原資が既存の企業、従業員が負担している雇用保険料の一部であるからです。
2. 一時的に節税効果がある
通常、補助金を受給した場合は法人税が課されます。しかし課税により、企業の投資に対するモチベーションを保てなくなってしまうため、「圧縮記帳」という制度があります。適用すると、購入した固定資産の購入価額から補助金額を差し引いた金額が購入価額となり、実質、補助金に対する法人税がかからないことになります。
3. 事業拡大しやすくなる
補助金や助成金の受給によって資金が増えることで、優秀な人材の確保や設備投資が可能になります。そのため、補助金・助成金の受給は、事業拡大に向けた投資になると言えます。
4. 公的融資が受けやすくなる
補助金・助成金を受給が決まると、その後の融資を受けやすくなります。それは、補助金・助成金の受給が決定することで国や地方公共機関から事業計画が認められた証明となり、金融機関からの信用を獲得できるからです。
実際弊社の支援先でも、各企業の状況によりますが、日本政策金公庫や金融機関からは満額補助金分の融資を受けられる例が多いです。
補助金・助成金を受けるデメリット
補助金・助成金を受ける場合、大きく3つのデメリットがあります。
1. 申請に手間と時間がかかる
受給要件や審査により、受給決定まで手間と時間がかかります。書類審査が必要となる場合もあり、その場合は書類を揃える工数と時間が発生するため、事前に必要な作業を確認しておきましょう。
2. 採択率が低い
補助金は申請すれば必ずもらえる、というものではありません。交付決定までの審査をクリアしなければ、受給できません。しかし、採択率は低下傾向にあり、採択率3割に満たない補助金も出るほど狭き門となっています。
3. 入金まで時間がかかる
補助金・助成金はそれぞれ、原則、後払いです。受給確定後も、すぐには入金されません。そのため、すぐに資金が必要な場合は、金融機関からの融資を検討する必要があります。
4. 申請期間が短いことがある
補助金申請は公募開始から締切までの期間が短いことが多く、人気の高い補助金の場合、締め切り前に公募が終了することもあります。年内に同じ公募が複数回あるとは限らず、こまめな情報確認が必要です。
設備投資に役立つ 補助金・助成金5選
ここからは、設備投資を検討する際に知っておきたい補助金・助成金を具体的に5つ紹介します。
1. ものづくり補助金
下記の通り、型や枠の種類があり、各事業類型によって補助金の対象となる経費や上限、補助率が異なります。
一般型・グローバル展開型 |
中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。 〇一般型 -通常枠 -低感染リスク型ビジネス枠 〇グローバル展開型 |
ビジネスモデル型 |
中小企業が ①革新性、②拡張性、③持続性、を有するビジネスモデルを構築できるよう、中小企業を支援するプログラムの開発・提供を補助します。 |
支給額:各事業類型による、補助率:各事業類型による
2. 事業再構築補助金
ポストコロナ・ウィズコロナ時代において、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。
通常枠・卒業枠・グローバルV字回復枠・緊急事態宣言特別枠・緊急事態宣言特別枠・最低賃金枠・大規模賃金引上げ枠の6種類があります。
それぞれ支給上限や補助率、対象経費が異なります。ただし、要件として、いずれも「売上高減少要件」に該当している必要があります。
支給額:各事業類型による、補助率:各事業類型による
3. IT導入補助金
下記の通り、枠や型の種類があり、各事業類型によって補助金の対象経費や上限、補助率が異なります。
通常枠(A・B類型) |
中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツール導入にかかる経費の一部を補助し、業務効率化・売上アップをサポートします。 上限額:型による、補助率:1/2以内 |
低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型) |
ポストコロナ時代に対応したビジネスモデルへの転換に向け、労働生産性の向上・業務の非対面化に取り組む中⼩企業・小規模事業者等に対して、通常枠(A・B類型)よりも補助率を引き上げて優先的に支援します。 上限額:型による、補助率:2/3以内 |
4. サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金(中小企業特例事業)
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、我が国サプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、生産拠点の集中度が高く、サプライチェーンの途絶によるリスクが大きい重要な製品・部素材、又は国民が健康な生活を営む上で重要な製品・部素材に関し、国内の生産拠点等の整備を進めることにより、製品・部素材の円滑な供給を確保するなど、サプライチェーンの強靱化を図ることを目的とし、工場の新設や設備の導入を支援するものです。
生産拠点の集中度が高い製品・部素材の供給途絶リスク解消のための生産拠点整備(A類型) |
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補助率 |
※補助対象経費の額に応じて補助率の段階的な引き下げを実施 |
一時的な需要増によって需給がひっ迫するおそれのある製品・部素材のうち、国民が健康な生活を営む上で重要なものの生産拠点等整備(B類型) |
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補助率 |
※補助対象経費の額に応じて補助率の段階的な引き下げを実施 |
5. 人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金は、魅力ある職場づくりのために労働環境の向上等を図る事業主や事業協同組合等に対して助成します。魅力ある雇用創出を図ることにより、人材の確保・定着を目的としていて、下記の9コースがあります。
助成金額、要件は各コースにより異なります。
(a)雇用管理制度助成コース
(b)介護福祉機器助成コース
(c)中小企業団体助成コース
(d)人事評価改善等助成コース
(e)雇用管理制度助成コース(建設分野)
(f) 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
(g)作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
(h)外国人労働者就労環境整備助成コース
(i) テレワークコース
補助金・助成金を活用して コストをかけずに設備投資
本記事では、設備投資をする際に知っておきたい補助金・助成金を紹介しました。
申請には時間も手間もかかりますが、補助金・助成金を活用すれば費用を抑えて設備投資ができるうえ、設備投資後は作業の効率化や生産性向上が図れます。
うまく活用し、さらなる事業成長を目指しましょう。
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