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0.リード文
物価高騰や原材料コストの高止まりが続く中、「売上は維持できているのに、利益が残らない」と頭を抱える都内の中小企業経営者は少なくありません。
経営課題を抱える都内中小企業を支援するために、公益財団法人東京都中小企業振興公社が令和8年度から新たに立ち上げたのが「中小企業収益力強化サポート事業」です。
この事業では、収益力改善の専門家が訪問支援する「専門家派遣」と、改善計画の実行に必要な経費を助成する「中小企業収益力強化サポート助成金」の2つの支援が受けられます。
なお本事業は、第1回・第2回の合計で支援対象が500社に達し次第、受付を終了します。第1回の申込受付は令和8年5月27日(水)から開始される予定です。予算上限に達し次第終了となるため、検討している方は早めに行動してください。
本記事では、申込資格や助成金決定までの流れ、審査ポイントに焦点をあてて解説します。
1.中小企業収益力強化サポート事業とは

出典:公益財団法人東京都中小企業振興公社 中小企業収益力強化サポート事業
事業の概要と目的
中小企業収益力強化サポート事業は、公益財団法人東京都中小企業振興公社が令和8年度に新設した支援制度です。
物価高騰等による事業活動コストの増加は、中小企業の事業継続に深刻な影響を及ぼしています。本事業はこのような経営課題を乗り越えるために、収益力の改善・強化に向けた計画(アクションプラン)の策定から、その実行までを一貫してサポートする仕組みとなっています。
2段階支援のしくみ
本事業の最大の特徴は、「専門家派遣」と「助成金」を組み合わせた2段階の支援構造にあります。
【第1段階】専門家派遣による伴走支援(無料・最大6回)
収益力改善の専門家が事業所を訪問し、経営課題の整理や財務状況の分析から始まり、具体的なアクションプランの策定・実行フォローまでを伴走支援します。費用は無料です。
【第2段階】中小企業収益力強化サポート助成金(上限300万円)
専門家との伴走を通じて策定した、収益力強化計画の実行に必要な経費の一部を助成します。
なお注意点として、専門家派遣を受けて収益力強化計画を策定することが、助成金申請の必須条件です。助成金のみの単独申請はできません。
業種別の具体的な取組例
公式サイトでは、以下のような活用イメージが紹介されています。自社の状況と照らし合わせて検討してください。
例1:小売業
客層が固定化された老舗店舗が、会員制導入によって顧客データを活用し、販促施策で新規顧客を開拓する取り組みに活用。
例2:飲食業
経営資源が限られた小規模店舗が、顧客分析によるメニュー改善を行い、フードロス削減とコスト低減を両立させる取り組みに活用。
例3:製造業
既存顧客への依存が強い受託型企業が、原価管理ツールを導入して適切な価格転嫁(売上拡大)を実現する取り組みに活用。
2.申込資格|対象かどうかを5分で確認
申込にあたっては、財務状況と事業者について全ての要件を満たす必要があります。以下のポイントを確認し、自社が対象となるか判断してみてください。
①財務状況の要件(必須)
申請受付開始日時点で、次のア・イのいずれかに該当していることが必要です。
ア)直近決算期の営業利益が、前期決算期と比較して減少していること
イ)直近決算期において損失(営業損失など)を計上していること
例えば、直近決算が2025年の場合は2024年比で営業利益が減少しているか、2025年決算期で赤字を計上していれば要件を満たします。ア・イのどちらか一方を満たせばOKです。
②事業者の基本要件
- 東京都内に登記簿上の本店または支店があること
- 中小企業基本法上の中小企業者等であること
- 大企業が実質的に経営に参画していないこと(みなし大企業ではないこと)
- 東京都内で実質的に事業を行っていること(登記の有無や建物の所在だけでなく、都内に根付く形で事業活動が行われていることを総合的に判断)
- 専門家による支援を適切に実施できること
【業種別】資本金・従業員数の要件早見表
資本金基準・従業員数基準のどちらか一方を満たせば対象となります。業種によって特例があるため、必ず確認してください。
個人事業主の場合は、業種ごとの従業員数要件を満たせば対象です。
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業種 |
資本金基準 |
従業員数基準 |
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製造業・建設業・運輸業等(一般) |
3億円以下 |
300人以下 |
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ゴム製品製造業(一部除く) |
3億円以下 |
900人以下(特例) |
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卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
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小売業・飲食店 |
5,000万円以下 |
50人以下 |
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サービス業(一般) |
5,000万円以下 |
100人以下 |
|
ソフトウェア業・情報処理サービス業 |
3億円以下 |
300人以下(特例) |
|
旅館業 |
5,000万円以下 |
200人以下(特例) |
※常時使用する従業員とは、原則として解雇予告を必要とする雇用者を指します(事業主、法人役員、短期の契約労働者等は原則含みませんが、事実上常時雇用されている場合は含める必要があります)。
※業種分類は日本標準産業分類(平成25年10月改定)に基づきます。
申込ができないケース(注意点)
令和8年度において、類似の別事業「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」(各コース)の交付決定を受けている事業者は申込みできず、両事業の併用はできません。(申込段階でシステム的に確認されます)。
また、以下に該当する場合も対象外となります。
- 同一テーマ・内容の別事業との重複支援
- 風俗関連業・暴力団関係・ギャンブル業など、公的支援として適切でない業態
- 連鎖販売取引・霊感商法など社会通念上不適切と判断される業態
3.申請から完了までの流れ|5つのSTEP
本事業は「専門家派遣(第1段階)」を経てから「助成金申請(第2段階)」という順序が必須です。はじめに全体の流れを確認しておきましょう。

出典:公益財団法人東京都中小企業振興公社 中小企業収益力強化サポート事業
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項目 |
時期 |
備考 |
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募集期間 |
第1回:令和8年5月27日〜8月31日/第2回:令和8年10月頃予定 |
両回合算で500社に達し次第終了 |
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支援対象決定 |
申込受付後、順次審査して決定する |
申込受付から概ね2~3週間程度で、登録メールアドレス宛に結果を通知する |
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専門家派遣の実施 |
支援決定後、3〜5ヶ月の期間内 |
専門家が企業を訪問し、1社あたり最大6回(無料)の伴走支援・計画策定を行う |
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助成金申請 |
第1回:令和8年10月頃予定 |
専門家派遣で計画を策定した事業者が対象。以降、四半期ごとに募集予定 |
STEP1:WEBフォームから申込・必要書類の準備
本事業の公式ポータルサイト(https://tokyo-shuekiryoku-kyoka.jp)の申込フォームから申請します。
申込受付期間(予定)
- 第1回:令和8年5月27日(水)〜 8月31日(月)
- 第2回:令和8年10月頃を予定 ※総計定員500社(第1回・第2回合算)
先着順で、予定件数に達し次第終了となります。
申込時の提出書類(目安)
Web申込フォームには、以下の書類を添付する必要があります。
- 直近3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書など。個人事業主の場合は確定申告書)
- 履歴事項全部証明書(発行後3ヶ月以内。個人事業主の場合は住民票や開業届)
※創業3年未満などの理由により3期分の提出ができない場合は、提出可能な期の分のみで対応可能です。
なお、申込時には、企業の特定のため「法人番号」の入力が求められます。あらかじめ自社の13桁の法人番号をお手元にご用意ください。
STEP2:事務局による審査(結果通知)
提出された申込内容をもとに事務局が順次審査を行い、2~3週間程度(20日程度)で全申込者にメールで結果を通知します。確認事項が生じた場合は、メールまたは電話で個別に照会があります。
なお、審査内容および合否の個別問い合わせには応じられません。
STEP3:専門家派遣の実施(最大6回・原則対面)
支援対象に決定した企業には、収益力改善の専門家が訪問し、最大6回の伴走支援が行われます。
- 実施方法:原則対面(やむを得ない場合はオンラインも可)
- 実施時間:平日日中、1回あたり1.5〜2時間程度
- 費用:無料
東京都のほか、神奈川・埼玉・千葉・群馬・栃木・茨城・山梨への派遣も対応しています。ただし、東京都外の拠点への派遣は東京都に本店登記がある事業者に限られます。本店が都外の場合は、東京都内にある拠点での実施となります。
また、重要な点として初回(目標設定・現状把握)および最終回(計画策定・完了)には、原則として最終的な決定権を持つ代表者または担当役員の同席が求められます。経営陣が主体的に関与して取り組むことが重要です。
STEP4:収益力強化計画の策定で「第1段階」完了
専門家との6回の伴走支援を通じて、アクションプランを盛り込んだ「収益力強化計画書」を策定します。計画書の策定と、事務局が実施するアンケートへの回答をもって専門家派遣フェーズは完了です。
STEP5:助成金の申請(令和8年10月頃〜)
専門家派遣を完了した企業のみが、次のステップとして「中小企業収益力強化サポート助成金」を申請できます。助成金の詳細情報や専用ポータルサイトは令和8年9月頃に公開予定です。
助成金の申請受付は令和8年10月頃から順次開始される予定です。
3.中小企業収益力強化サポート助成金の概要(予定)
助成金の詳細は令和8年9月頃に公開予定ですが、現時点で公表されている内容をご紹介します。
助成限度額と基本の助成率
- 助成限度額:最大300万円
- 基本助成率:助成対象経費の3分の2以内
賃金引上げ計画を掲げると助成率アップの優遇措置がある
助成金申請時に「賃金引上げ計画」を掲げた場合、助成率が大幅に優遇されます。
- 一般の中小企業:4分の3以内にアップ
- 小規模事業者:5分の4以内にアップ
賃金引上げに意欲的な企業にとって非常に有利な設計になっており、最大300万円の助成金を活用して手厚い支援を受けることができます。
賃金引上げ計画に関する詳細な要件・規定について、現時点では未公表です。確実な情報は令和8年9月頃に公開される専用ポータルサイトでご確認ください。
想定される助成対象経費
助成金の対象となる具体的な経費(機械装置、システム導入、販売促進費などの詳細な対象項目)は、現時点ではまだ公表されていません。
専門家派遣で策定した「収益力強化計画」の実行に必要な経費が対象となる見込みですが、確実な情報は令和8年9月頃に公開される専用ポータルサイトでご確認ください。
4.審査ポイント|採択されるために押さえるべきこと
募集要項の「支援対象外・中止となる事項」から、採択・継続支援を得るための条件が見えてきます。以下の3点を特に意識して申込内容を準備しましょう。
ポイント① 自社の経営課題が「未解決」の状態で申し込む
すでに導入するシステムや外注先、具体的な解決策が社内で決まってしまっている場合は、「専門家の助言が不要な状態」として支援対象外となります。
本事業は「どう改善すればよいかわからない」「課題はあるが解決の糸口が見つからない」という段階の企業を支援する制度です。専門家のアドバイスを必要とする状態でエントリーすることが前提です。
ポイント② 主体的な動機と参加姿勢を示す
コンサルタントや外部業者から勧められるがままの形式的な申込や、経営者自身の関与が薄い丸投げの姿勢は、事務局からNG判定を受けるリスクがあります。
申込フォームには自社の経営課題や収益悪化の状況、改善への意欲を具体的に記載することが重要です。初回・最終回の面談には、原則として最終決定権を持つ代表者または担当役員の同席が求められていることからも、経営者自身が主役であることを意識してください。
ポイント③ 「助成金受給だけ」を目的とした申込はNG
計画の策定や収益力改善そのものに興味がなく、単に「300万円の助成金が欲しい」という目的のみの申込は、支援の主旨から外れるため排除されるリスクがあります。本事業の本質はあくまで「専門家との伴走による収益力強化の取組」です。
助成金はその取組を後押しするための手段であることを理解したうえで、本来の目的(収益力強化)を軸に申込内容を作成しましょう。
5.よくある質問(FAQ)
Q1. 個人事業主でも申込できますか?
A.可能です。中小企業基本法上の中小企業者等に該当すれば対象となります。ご自身の主たる業種の「従業員数要件」をご確認のうえ、申込資格を満たしているかご確認ください。
Q2. 創意工夫チャレンジ促進事業とどちらを選ぶべきですか?
A.最大の違いは「助成金申請の前に、専門家による無料の計画策定・伴走支援があるかどうか」です。
- 専門家のアドバイスを受けながら現状分析・計画策定を行いたい場合 → 本事業(中小企業収益力強化サポート事業)
- 自社で既に明確な実行計画があり、助成金申請のみ行いたい場合 → 経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業
なお、両事業の併用はできません。どちらかを選択することになります。
Q3. 専門家派遣を受けた後、必ず助成金はもらえますか?
A.専門家派遣の完了は「助成金を申請するための必須要件」ですが、助成金の交付には別途、公社による審査があります。計画を策定すれば自動的に全額支給されるわけではない点にご注意ください。
Q4. 一度不採択になったら、再申込はできませんか?
A.本事業の専門家派遣による支援を受けられるのは1事業者につき1度のみですが、申込の結果として支援対象とならなかった(不採択だった)場合は、第2回など次回以降の募集で再度申し込むことが可能です。
Q5. 申込後、どのくらいで結果がわかりますか?
A.申込受付後、事務局による審査を経て概ね2~3週間程度でメールにて通知されます。ただし申込時に法人番号等の記載がない場合や、確認事項が生じた場合は通知に時間を要することがあります。
6.まとめ
中小企業収益力強化サポート事業は、物価高騰で利益が圧迫されている都内中小企業が「無料の専門家派遣(最大6回)」と「最大300万円の助成金」を合わせて活用できる、令和8年度注目の支援制度です。
特に、専門家のサポートを受けながら収益力強化の計画を一から作りたいと考えている経営者にとっては、費用の負担なく高水準のコンサルティングを受けられる絶好の機会といえます。
第1回の申込期限は令和8年8月31日(月)ですが、通期(全2回)で定員の500社に達し次第、それ以降の受付は終了となります。予算上限に達して締め切られる前に、早めの検討をおすすめします。
「自社が申込要件を満たすかどうかわからない」「申込フォームや添付書類の準備に不安がある」という方は、ぜひStaywayにご相談ください。専門スタッフが貴社の状況に応じた最適な申請戦略をご提案します。まずはお気軽にお問い合わせください。


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