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東京都では、中小企業等の成長を後押しするために「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」を実施しています。
最大2億円を交付する本事業は、競争力強化や生産性向上に向けた設備投資を力強くサポートする制度です。
そこで本記事では「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の助成対象事業や助成対象経費、助成率・助成上限額等を解説します。
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の目的
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」は、都内中小企業者が行う機械設備等の導入経費の一部を助成することにより、都内中小企業の中長期的な成長を支え、東京の産業力の強化及び都内経済の持続的発展につなげていくことを目的としています。
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の助成対象者
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の助成対象者は、令和7年9月1日現在で東京都内に登記簿上の本店または支店があり、都内で2年以上事業を継続している中小企業者等です。
※都外設置の場合は、東京都内に本店があること
なお、医療法人が経営している場合は、中小企業基本法上の中小企業には該当しないため、申請はできませんが、個人開業医の場合は、医療業(詳しくは「日本標準産業分類及び中小企業
者の範囲」P.78参照)で申請可能です。
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の助成対象期間
助成対象期間は、交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月です。
※第10回募集の助成対象期間は令和8年3月1日~最長令和9年8月31日です。
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の助成対象事業
助成対象事業は、以下のⅠ~Ⅴのいずれかに合致する事業である必要があります。
Ⅰ. 競争力強化(中小企業者/小規模企業者/働き方改革推進) |
・更なる発展に向けて競争力強化を目指した事業展開及び必要となる機械設備を新たに導入する事業 ・運送・物流、建設業及びその他業種で働き方改革関連法の時間外労働の上限規制による人材不足等の対策として、競争力及び生産性向上のために必要となる機械設備を新たに導入する事業 |
Ⅱ. DX推進 |
IoT、AI、ロボット等のデジタル技術の活用により、新しい製品・サービスの構築や既存ビジネスの変革を目指した事業展開に必要となる機械設備を新たに導入する事業 |
Ⅲ. イノベーション |
都市課題の解決に貢献し国内外において市場の拡大が期待される産業分野において、新事業活動に取り組むことで、イノベーション創出を図るために必要となる機械設備を新たに導入する事業 |
Ⅳ. 後継者チャレンジ |
事業承継を契機として、後継者による事業多角化や新たな経営課題の取り組みに必要となる設備等を新たに導入する事業 |
Ⅴ. アップグレード促進 |
競争力強化及び生産性向上を実現し、地域経済の中心となるべく成長するために必要となる機械設備を新たに導入する事業 ※ゼロエミ要件及び賃上げ要件は必須。 |
ゼロエミ要件について
次の要件を満たす場合、申請時に提出していただく「ゼロエミッション概要書」の記載内容を総合的に判断し、省エネ効果が高いと見込まれる事業計画の場合、助成率の拡充対象となります。
申請者区分 | ゼロエミ | 要件 |
Ⅰ. 競争力強化(中小企業者/小規模企業者) | 省エネ | 省エネ設備を導入した事業への取組 |
再エネ | 再生可能エネルギーを利用した事業への取組 | |
Ⅱ. DX推進 | 省エネ | ①「省エネルギー診断」または「省エネ最適化診断」の診断を受けること ② ①の診断内容を元に、企業全体として省エネルギー率5%以上の達成に向けた取組を行うこと |
Ⅲ. イノベーション | ||
Ⅳ. 後継者チャレンジ | ||
Ⅴ. アップグレード促進 |
賃上げ要件について
次の要件を満たす場合、申請時に提出していただく「賃金引上げ計画書」や関係書類の記載内容を総合的に判断し、計画の実効性が高いと見込まれる事業計画について助成率の拡充対象となります。
<全区分共通>
①基準日が属する月の前月から遡る12か月間と比較して、賃金引上げ計画期間の全従業員(非常勤を含む)に支払った給与支給総額が+2.0%以上増加していること
※給与支給総額とは・・・支払った賃金台帳に記載の差引支給額(手取り額)支払
②賃金引上げ計画期間において、事業場内最低賃金について、地域別最低賃金+30円以上の水準にすること。
注意!
賃上げ要件を適用する場合、助成金交付は2回に分割して行われます。
1回目は、賃上げ要件の優遇を受けない助成率(1/2~2/3以内)で算出された金額が交付されます。※アップグレード促進は2/3以内
2回目は、賃金引上げ計画の達成確認後に賃上げ要件の助成率(3/4~4/5以内)で算出された助成金から1回目に交付された金額を差し引いた金額が交付されます。
助成金の交付を受けきるまでの期間が長くなりますのでご注意ください。
参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 第9回(令和7年度第1回)躍進的な事業推進のための設備投資支援事業
掲載ページ:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 第10回(令和7年第2回)躍進的な事業推進のための設備投資支援事業~全ての業種を対象に中小企業における設備(機械設備、ソフトウェア)の導入を支援します!~
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の助成率・助成額
助成率と助成額は、下表のとおりです。
事業区分 | 要件 | 助成額 | |||
ゼロエミ要件※2 | 賃上げ要件※2 | 助成率 | |||
Ⅰ. 競争力強化 | 中小企業者 | – | – | 1/2以内 | 100万円~1億円 ※1 |
〇 | 2/3以内 | ||||
◎ | 3/4以内 | ||||
〇 | 3/4以内 | ||||
小規模事業者 | – | – | 2/3以内 | ||
〇 | 2/3以内 | ||||
◎ | 3/4以内 | ||||
〇 | 4/5以内 | ||||
働き方改革推進 | – | – | 4/5以内 | ||
Ⅱ. DX推進 Ⅲ. イノベーション Ⅳ. 後継者チャレンジ |
– | – | 2/3以内 | ||
◎ | 3/4以内 | ||||
〇 | 3/4以内 | ||||
Ⅴ. アップグレード促進 | ◎ | 〇 | 3/4以内 | 1億円~2億円 |
※1:区分Ⅰの小規模企業者でゼロエミッション要件及び賃上げ要件適用なしの場合、助成限度額は3,000万円
※2:「①ゼロエミ要件」と「②賃上げ要件」は併用できません。
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の助成対象経費
助成の対象となる経費項目は、次のとおりです。
機械装置、器具備品、ソフトウェアの新たな導入、搬入・据付等に要する経費
※1基50万円(税抜)以上のものに限ります。
なお、上記の他にも要件があります。詳細は募集要項をご覧ください。
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の申請の流れ
本事業の申請には、事前の予約が必要です。具体的な申請の流れは、次のとおりです。
1.「ネットクラブ会員登録」をする
会員登録が済んでいる場合は、本手順の対応は不要です。
本事業への申請時に行う「申込フォーム」への入力は、「ネットクラブ会員サービス」への登録が必要です。未登録の場合は、こちらからご登録をお願いいたします。
(1)会員登録ページからメールアドレスを入力
(2)受信したメールのURLから会員情報を入力
(3)会員登録をしたらこのページに戻り、「お申込みはこちらから」よりID(メールアドレス)、パスワードにより申込入力画面に遷移します。
注意:ネットクラブ会員の登録だけでは、申し込みになりませんのでご注意ください。
2. 助成金の申請予約をする
※申請予約完了の確認については「企業MYポータル」の「利用履歴・管理」にてお願いいたします。「利用履歴・管理」への反映には時間がかかります。3営業日経っても確認ができない場合は、お問い合わせください。
3. 申請書類を提出する
申請書類の提出は、国が提供する電子申請システム「Jグランツ」にて実施します。
募集要項、電子申請マニュアルをお読みになった上で、申請書類のご提出をお願いいたします。
※持参、郵便、電子メール等のJグランツ以外の方法による提出はお受けできません。
※申請書類提出期間内に、書類の提出を完了する必要があります。申請書類提出の締切日はJグランツへのアクセス集中が予想され、書類の提出に時間がかかる可能性があります。締切を過ぎてしまうと書類は受理できませんので、早めに申請書類のご提出をお願いします。
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の公募スケジュール
公募スケジュールは、次のとおりです。
申請予約 | 令和7年8月22日(金)9時~9月24日(水)17時まで |
---|---|
申請受付 (書類提出期間) |
令和7年9月19日(金)9時~10月2日(木)17時まで ※国(デジタル庁)で提供する電子システム「Jグランツ」にて受付けます。 |
一次審査(書類) | 令和7年10月上旬~令和8年1月下旬 |
二次審査(面接) | |
助成対象者決定 | 令和8年2月上旬 |
助成事業開始 | 令和8年3月1日(日)~ |
- ※申請受付の締切日は大変混雑しデータのアップロードに時間を要します。申請受付は早めに行ってください。
- ※面接審査は上記いずれかの日時の内、公社が指定をさせて頂きます。面接審査の日時は変更やご希望は承りかねますのでご了承下さい。
その他:加点措置について
次に掲げる申請者は、審査において加点措置の対象となります。採択の可能性を高めるため、ぜひ、加点項目の取得もご検討ください。
ア 事業区分「Ⅱ. DX推進」において、令和2年度までに公社が実施した「IoT、AI導入前適正化診断」または「ロボット導入前適正化診断」を終了し、その診断結果に基づく申請者
イ 事業区分「Ⅱ. DX推進」において、公社が実施している「DX推進支援事業」、「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」、「企業変革に向けたDX推進支援事業」のいずれかの支援を受け、その支援内容に基づく申請者
ウ 事業区分「Ⅱ. DX推進」において、公社が実施している「デジタル技術活用推進緊急支援事業」の支援を受け、その支援内容に基づく申請者
エ すべての事業区分において、東京都(環境局)に「地球温暖化対策報告書」を提出している申請者
オ すべての事者区分において、東京都(環境局)に「地球温暖化対策計画書」、「特定テナント等地球温暖化対策計画書」のいずれかを提出している申請者
※ エ、オについては令和5年度実績または令和6年度実績について提出したもの
参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 第10回(令和7年第2回)躍進的な事業推進のための設備投資支援事業~全ての業種を対象に中小企業における設備(機械設備、ソフトウェア)の導入を支援します!~

まとめ
この記事では、東京都の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」について解説しました。
最大2億円の補助金を交付するこの制度は、中小企業等の設備投資を強力に支援する制度です。
申請を検討している方は早めに要件等を確認し、準備を進めましょう。
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