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蓄電池は、充電によって電気を蓄えて、何度も使用できる電池です。
太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの主力電源化が進み、天候による電力量の変動が課題となるなか、その解決策として蓄電池への注目が高まっています。
そこでこの記事では、法人が蓄電池を導入するメリットと蓄電池の導入に使える補助金を紹介します。
法人が蓄電池を導入するメリット
法人が蓄電池を導入する場合、大きく3つのメリットがあると考えられます。
BCP対策になる
BCP(Business Continuity Planning=事業継続計画)とは、自然災害や大きな火災、テロ攻撃などに遭遇したとき、事業継続あるいは早期復旧できるよう、その方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
災害時の電力確保は、企業にとって重要な課題のひとつです。蓄電池を導入して備えておくことで、停電発生時でも電力を確保することができ、事業継続や社員の安全確保が可能となります。
企業価値の向上につながる
蓄電池の導入により、企業はBCP対策を行っているという観点で社会的信頼を得られるほか、環境配慮の観点でも高い信頼を得られるでしょう。
近年、企業の環境への取り組みは投資家による投資の判断材料のひとつにもなっており、蓄電池導入によって環境活動に取り組む会社であるとアピールできれば、企業の評価向上を期待できます。
コスト削減できる
物価高や海外情勢による電気代の上昇が続いていますが、蓄電池の導入によってこのコストを抑えることができます。
例えば、太陽光発電を導入していても蓄電池を導入していない場合、使い切れなかった電力は捨ててしまうことになります。
しかし、蓄電池を導入してそれまで余って捨てていた電力を蓄えておくことで、日中をはじめ電力料金の高い時間帯に蓄えておいた電力を利用できるため、コスト削減につながります。
法人向け蓄電池導入につかえる補助金
ここでは、実際に法人が蓄電池を導入する際につかえる補助金を紹介いたします。
蓄電池の安定供給の確保
経済安全保障推進法に基づき、蓄電池の安定供給確保を図ろうとする事業者が、その実施しようとする蓄電池等の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)を作成し、経済産業大臣に提出して認定を受けた場合に、助成金を受け取ることができる制度です。
助成上限額の設定はありませんが、事業の妥当性・適格性・必要性・実現可能性等を勘案し、補助率の範囲内で助成額が決まります。
なお、補助率について、設備投資は 1/3、技術開発は 1/2 を上限として支援を行います。
ただし、中小企業が行う蓄電池製造装置の製造基盤整備に関する設備投資については 1/2 を上限とします。
浄化槽システムの脱炭素化推進事業
出典:環境省 浄化槽整備推進関係 令和6年度当初予算(案) 概要資料
掲載ページ:環境省 浄化槽サイト
本事業は、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金事業のひとつです。
既設の中大型浄化槽について、最新型の高効率機器への改修、先進的省エネ型浄化槽への交換、再エネ設備の導入を行うことにより大幅なCO2削減を図る事業を支援します。
再エネ設備には蓄電池も含まれ、以下、対象事業(1)または(2)と併せて行う設備導入が支援対象となります。
対象事業
(1) 既設の中大型合併処理浄化槽にかかわる高効率機器への改修
・最新型の高効率機器(高効率ブロワ等)への改修とともにブロワ稼働時間を効率的に削減可能なインバータ及びタイマー等の設置を要件とする。
・改修によって当該機器のCO2排出量を20%以上削減(③の再エネ設備導入によるCO2排出量の削減を含む)
(2)既設の中大型合併処理浄化槽から先進的省エネ型浄化槽への交換
・最新の省エネ技術による先進的省エネ型浄化槽への交換を要件とする。
・交換によって既設浄化槽のCO2排出量を46%以上削減(③の再エネ設備導入によるCO2排出量の削減を含む)
※さらに、規模見直し等により高い削減率を達成するものは優先採択
(3)中大型合併処理浄化槽への再エネ設備の導入
上記(1)または(2)と併せて行う再エネ設備(太陽光発電・蓄電池等)の導入を支援する
補助率・補助額
補助対象事業の「総事業費」の1/2 ※予算総額は18億円
参照:一般社団法人 全国浄化槽団体連合会 浄化槽システムの脱炭素化推進事業
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
出典:環境省 民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
本事業は二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金事業(民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業)のひとつです。
屋根等を活用した自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池の導入を支援し、ストレージパリティの達成、ひいては地域の脱炭素化と防災性の向上を目指します。
ストレージパリティとは、太陽光発電設備の導入に際して、蓄電池を導入しないよりも蓄電池を導入した方が経済的メリットがある状態を指します。
※本年の公募は終了しました。次年度以降の状況は随時アップデートする予定です。
補助率・補助額
補助率・補助額は補助対象設備によって異なります。
補助対象設備 | 基準額 | |||
太陽光発電システム |
定額 | 4万円/kw | 「自己所有」「その他のオンサイトPPAモデル」「その他のリースモデル」 | ×太陽電池出力[kW] |
5万円/kw | 「オンサイトPPAモデル」「リースモデル」 | |||
7万円/kw | 「戸建て住宅」 | |||
定置用蓄電池 | 定額 | 4万円/kWh(業務・産業用) または4.5万円/kWh(家庭用)×蓄電容量[kWh] と間接補助対象経費に1/3を乗じて得た額とを比較して少ない方の額 | ||
車載型蓄電池 | 定額 | 蓄電容量[kWh]×1/2×4円/kWh | ||
放電設備 |
1/2 | 機器費 | ||
定額 | 設置工事費(上限額: 1基あたり業務・産業用95万円、家庭用40万円) |
※補助金の交付額の上限額は太陽光発電設備:2,000万円 定置用蓄電池など:1,000万円
参考:一般財団法人環境イノベーション情報機構 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業の公募について
新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業
本事業は二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金事業(民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業)のひとつです。
地域の再エネポテンシャルの活用に向けて、新たな手法による自家消費型・地産地消型の再エネ導入を促進します。
以下の7つの事業分野に分かれており、このうち⑦については調査の委託であるため公募はありません。また、④は令和6年度内に新規募集がないため、①②③⑤⑥の概要について説明します。
①再生可能エネルギー事業者支援事業費
②地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業
③窓、壁等と一体になった太陽光発電の導入加速化支援事業
④オフサイトからの自営線による再エネ調達促進事業
⑤再エネ熱利用・発電等の価格低減促進事業
⑥熱分野・寒冷地での脱炭素化先行モデル創出事業
⑦新たな再エネ導入手法の価格低減促進調査検討事業
※本年の公募は終了しました。次年度以降の状況は随時アップデートする予定です。
①再生可能エネルギー事業者支援事業費(ソーラーカーポート)
駐車場を活用したソーラーカーポート(太陽光発電搭載型カーポートまたは太陽光発電一体型カーポート)や蓄電池等の設備の導入を行う事業に要する経費の一部を補助する事業です。
補助率:1/3
参照:一般社団法人 環境技術普及促進協会 新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業のうち再生可能エネルギー事業者支援事業費ソーラーカーポート事業 公募概要
②地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業(営農地、ため池、廃棄物処分場)
営農地・ため池・廃棄物処分場を活用した太陽光発電設備等の導入を行う事業に要する経費の一部を補助する事業です。
要件を満たす場合、定置用蓄電池も補助対象設備に含まれます。
補助率:1/2
参照:一般社団法人環境技術普及促進協会 新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業のうち地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業 営農地・ため池・廃棄物処分場事業 公募概要
③窓、壁等と一体となった太陽光発電の導入加速化支援事業
新築または既築の建築物に窓、壁等と一体となった太陽光発電設備の導入を行う事業に要する経費の一部を補助する事業です。
補助率:3/5または1/2
参照:環境省 (2) 新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業 事業概要
⑤再エネ熱利用・発電等の価格低減促進事業
地域の特性に応じた、再エネ熱利用、未利用熱利用(工場廃熱等)、自家消費型再エネ発電(太陽光発電除く)等について、一定のコスト要件を満たす場合に、計画策定・設備等導入支援を行う事業です(温泉熱の有効活用のための設備改修を含む)。
対象となる設備導入事業のなかに、要件を満たす定置用蓄電池(業務・産業用、家庭用)の導入が含まれています。
補助率・補助額:
計画策定は3/4(上限1,000万円)、設備等導入は1/3または1/2
参照:一般社団法人 環境技術普及促進協会 新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業のうち再エネ熱利用・発電等の価格低減促進事業「計画策定事業」「設備等導入事業」公募説明会資料
⑥熱分野・寒冷地での脱炭素化先行モデル創出事業
地域の再エネ電気・再エネ熱・未利用熱等を活用した、「熱分野でのCO2ゼロに向けたモデル」「寒冷地での脱炭素化のモデル」のいずれかに該当する先行的な取組について、その計画策定や設備等の導入を支援する事業です。
補助対象設備として定置用蓄電池が含まれています。
補助率・補助額:
計画策定は3/4(上限1,000万円)、設備等導入は2/3
参照:一般社団法人 環境技術普及促進協会 新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業のうち熱分野・寒冷地での脱炭素化先行モデル創出事業「計画策定事業」「設備等導入事業」 公募説明会資料
再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業
出典:環境省 PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業のうち、
(3)-1再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業
本事業は二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金事業(民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業)のひとつです。
※本年の公募は終了しました。次年度以降の状況は随時アップデートする予定です。
主に以下の2つの事業を支援します。
①オフサイトから運転制御可能な需要家側の設備・システム等導入支援事業
オフサイトから運転制御可能な充放電設備又は充電設備、蓄電池、車載型蓄電池*、蓄熱槽、
ヒートポンプ、コジェネ、EMS、通信・遠隔制御機器、自営線、熱導管等の導入を支援するものです。オフサイトとは、「離れた場所」を意味します。
*通信・制御機器、充放電設備又は充電設備とセットで外部給電可能なEVに従来車から買換えする場合に限る(上限あり)
*設備導入年度の終了後、少なくとも3年間、市場連動型の電力契約を結ぶ事業者について優先採択を行う。
②再エネの出力抑制低減に資するオフサイトから運転制御可能な発電側の設備・システム等導入支援事業
再エネ発電事業者における再エネ出力抑制の低減に資するために、出力抑制の制御をオフライ
ン制御からオンライン制御に転換するための設備等導入を支援します。
補助率・補助額:
①1/2
②1/3(ただし、電気事業法上の離島は1/2)
参考:一般社団法人 環境技術普及促進協会 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
(3)再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業に係る公募のお知らせ
平時の省CO2と災害時避難施設を両立する新手法による建物間融通モデル創出事業
本事業は二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金事業(民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業)のひとつです。
民間企業等による直流給電システムを活用した平時の省CO2と災害時避難施設を両立する建物間での電力融通モデル創出を支援します。
※本年の公募は終了しました。次年度以降の状況は随時アップデートする予定です。
主に以下の2つの事業を支援します。
①直流による建物間融通モデル創出事業
直流給電システムには、交流給電システムと比べてエネルギーロスが少ないことと、給電線に直接接続できるため停電が発生した際にも効率的に自立運転できることの2つのメリットがあります。
本事業では、民間企業等が、直流給電システムという新手法を活用して、複数の建物間で電力融通を行い、平時での省CO2と災害時の避難施設を両立する取組に対して、計画策定や設備等導入支援を行います。
補助対象設備に定置用蓄電池及びその付帯設備(パワーコンディショナー、電線、変圧器等)並びに当該定置用蓄電池及び付帯設備を制御、運用するために必要な機器及び設備(計
測機器、安全対策機器等)、車載型蓄電池(電気自動車、プラグインハイブリッド自動車) 及びその付帯設備(通信・制御機器、充放電設備、充電設備)を含んでいます。
参照:一般社団法人 環境技術普及促進協会 平時の省CO2と災害時避難施設を両立する新手法による建物間融通モデル創出事業のうち直流による建物間融通モデル創出事業 公募要領
②TPOモデルによる建物間融通モデル創出事業
本事業は、民間企業等が、TPOモデルという新手法を活用して、複数の建物間で電力融通を行い、平時での省CO2と災害時の避難拠点機能を両立する取組に対して、計画策定や設備導入を行うことを支援する事業です。
TPOモデル(第三者保有モデル)は、需要家が初期費用ゼロで設備を導入することが可能な手法です。今後は太陽光発電設備のみならず、蓄電池、需要側省エネ設備、自営線なども含めて、第三者によるビジネスモデルが確立されることで、総合的な脱炭素化が加速することが期待されています。
このため、対象事業の要件に「再エネ発電設備及び蓄電池を導入する計画であること」が含まれています。
補助率・補助額:
①計画策定を行う事業 3/4(上限1,000万円)
②設備等導入を行う事業 1/2または2/3(上限3億円)
参照:一般社団法人 環境技術普及促進協会 平時の省 CO2 と災害時避難施設を両立する
新手法による建物間融通モデル創出事業のうちTPO モデルによる建物間融通モデル創出事業 公募要領
参照:一般社団法人 環境技術普及促進協会 平時の省 CO2 と災害時避難施設を両立する
新手法による建物間融通モデル創出事業のうちTPO モデルによる建物間融通モデル創出事業 事業概要
公共施設の設備制御による地域内再エネ活用モデル構築事業
出典:民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業 事業概要
掲載ページ:環境省 令和6年度予算 及び 令和5年度補正予算 脱炭素化事業一覧
本事業は二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金事業(民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業)のひとつです。
再生可能エネルギーの導入や、公共施設等の調整力・遠隔管理を活用することで、地域の再エネ電力の有効活用と公共施設等の再エネ比率のアップを目指します。
※本年の公募は終了しました。次年度以降の状況は随時アップデートする予定です。
廃棄物発電所や上下水道等の公共施設が保有する(遠隔)制御可能な複数の設備を活用することで、公共施設の再エネ比率をさらに高めるモデルを構築します。
具体的には、災害等有事の際にも強い地域の総合的なエネルギーマネジメントの構築に資する、再エネ設備、蓄電池、通信機、エネマネシステム、自営線などの導入を補助します。
補助率:2/3(一部上限あり)
参照:民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業 事業概要
掲載ページ:環境省 令和6年度予算 及び 令和5年度補正予算 脱炭素化事業一覧
物流脱炭素化促進事業
物流脱炭素化促進事業は国土交通省が所管する補助事業で、物流施設において再エネ関係施設を整備し、一体的かつ効率的にエネルギー共有を行うことで物流事業全体の脱炭素化を図る事業を支援するものです。
※本年の公募は終了しました。次年度以降の状況は随時アップデートする予定です。
物流施設等において、大容量蓄電池等を活用した物流の脱炭素化促進に資する取組を実施するため、再生可能エネルギー電気の利用に必要な設備や、その電気を利用する車両等の導入を行う実証事業に要する経費の一部を補助します。
補助対象設備:
①太陽光発電(新設)
②太陽光発電(既設)
③再エネ電力購入
④大容量蓄電池(新設)
⑤大容量蓄電池(既設)
⑥EV充電スタンド
⑦物流業務用EV車両等
⑧先進的取組に必要な機器類
補助対象事業者:
貨物運送事業者、貨物利用運送事業者、倉庫事業者等
補助率・補助額:
物流脱炭素化促進事業費の1/2まで(1事業者あたり最大2億円まで)
参考:令和6年度 物流脱炭素化促進事業 公募サイト|TOPページ
まとめ
この記事では、法人が蓄電池を導入するメリットと蓄電池の導入につかえる補助金を紹介しました。
蓄電池の導入にはさまざまなメリットがあるので、ぜひ、蓄電池の導入・補助金の活用をご検討ください。
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