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【徹底解説】ものづくり補助金 22次公募の変更点とは

公開日 2022/02/22
更新日 2025/10/24
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※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

令和7年10月24日、「ものづくり補助金 22次締切分」の公募要領が公開されました。申請受付は同年12月26日に開始予定です。

 

これまでの公募では、19次締切分において申請枠の再編など大きな変更がありましたが、今回の22次締切分においても、複数の見直しが加えられています。

 

そこでこの記事では、19次締切以降の主な変更点を整理しつつ、22次締切分で新たに変更されたポイントを解説します。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは、中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を支援する制度です。

令和2年3月10日(火)の公募開始以降、運用を変えながら実施しています。

 

参照:中小企業庁 令和6年度補正予算ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算

ものづくり補助金 19次締切分以降の変更点

出典:中小企業庁 令和6年度補正予算 「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要

掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算

 

まず、19次公募において、従前の公募内容から大きな変更がありましたので解説します。

申請枠の見直し

これまでの公募では、申請枠は次の3枠でした。

1. 省力化(オーダーメイド)枠
2. 製品・サービス高付加価値化枠

  2-1. 通常類型
  2-2. 成長分野進出類型
3. グローバル枠

 

このうち、「省力化(オーダーメイド)枠」が廃止となり、今後は「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の2枠のみとなります。

最低賃金引上げ特例の適用

力強い賃上げの実現に向けて対応する中小企業等の取り組みを支援し、賃上げ環境を整備するため、最低賃金引上げ特例を創設しました。

具体的には、指定する一定期間において、3か月以上の間、地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が、全従業員数の30%以上いる事業者は、最低賃金引上げ特例として補助率を1/2から2/3に引き上げます。

 

ただし、小規模・再生事業者は本特例の対象外となりますのでご注意ください。

製品・サービス高付加価値化枠の従業員規模区分、上限額 一部変更

製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額に関する「従業員規模の区分」を変更し、新たに「21~50人」「51人以上」の区分ができました。

また、この区分に対してそれぞれ補助上限額を定めています。

 

これまで、従業員規模の区分の最大値は「21人以上」でしたが、中小企業等の企業規模に応じた投資ニーズに対応するため変更したものです。

基本要件の見直し

基本要件のひとつとして定めている給与支給総額要件に関し、変更後の内容は、「1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上又は給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加」となっています。

これまでは「事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させること」となっていましたが、足下の賃上げ状況等を踏まえて変更となりました。

 

また、これまでは加点対象となっていた「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等」について、令和7年の公募からは基本要件に含まれることとなりました。

 

「次世代育成支援対策推進法(以下、次世代法)」は、次代の社会を担う子どもの健全な育成を支援するため、平成17年に施行された10年間の時限立法(令和6年改正により令和17年3月31日まで延長)です。

 

この次世代法に基づいて企業は、労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定することとなっています。

 

「一般事業主行動計画」は、次世代育成支援対策推進法に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、(1)計画期間、(2)目標、(3)目標達成のための対策及びその実施時期を定めるものです。

 

※従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出、公表・周知が義務付けられています。また、従業員が0人の場合は申請ができませんのでご注意ください。

 

参照:こども家庭庁 次世代育成支援対策
参照:厚生労働省 次世代育成支援対策推進法
参照:厚生労働省 一般事業主行動計画の策定・届出等について

収益納付は不要

19次締切分以降の運用変更により、「収益納付」は不要となりました。

従前は収益納付義務があり、事業化状況の報告から、本事業の成果の事業化または知的財産権の譲渡または実施権設定などによって収益が得られたと認められる場合、受領した補助金の額を上限として「収益納付」しなければなりませんでした。

申請方法の一部見直し

19次締切分では、申請にあたり、事業計画書の本文を電子申請システムへ入力し、その補足となる図や画像を番号を振ることで本文と連携させて A4 サイズ3ページ以内の PDF にまとめて提出することとなりました。

18次締切分までは、事業計画書をwordファイルで作成したのち、電子申請システムにPDF形式のファイルを添付する方式でした。

 

参照:ものづくり補助金 19次締切分 公募要領

参照:ものづくり補助金 18次締切分 公募要領

ものづくり補助金 22次締切分における変更点

ここでは、22次締切分における内容の変更点をお伝えします。

特例適用外のケースについて「常時使用する従業員がいない場合」の記載削除

「大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例」について、以下の記載のうち、太字箇所の記載が削除されました。

各申請枠の補助上限額に達していない場合、常時使用する従業員がいない場合、再生事業者、最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例を申請する事業者については適用不可。

同様に、「最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例」についても、以下の記載のうち、太字箇所の記載が削除されました。

常時使用する従業員がいない場合、小規模企業・小規模事業者、再生事業者、大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例を申請する事業者については適用不可。

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第21次公募)
掲載ページ:ものづくり補助金 公式HP 公募要領

補助対象者に関する文言追加

補助対象者について、「応募申請時における常時使用する従業員の数が1人以上」という文言が追加されています。

最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例適用要件

「最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例適用要件」が設けられました。具体的な内容は、次のとおりです。

2024 年 10 月から 2025 年 9 月までの間で、補助事業の主たる実施場所で雇用している従業員のうち、「当該期間における地域別最低賃金(事業実施都道府県における最低賃金のこと。以下同じ。)以上~2025 年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が 30%以上である月が3か月以上あること。
※本特例措置を適用する場合、基本要件から「基本要件③:事業所内最低賃金水準要件」を除きます。

これは、政府が令和7年9月に公表した、最低賃金の引上げに係る支援策により、追記された内容です。

参照:内閣官房 最低賃金の引上げに係る支援策について

「賃上げ」に関する加点項目の追加

賃上げに関する加点項目に、以下の項目が追加されました。

地域別最低賃金引上げに係る加点 2024 年 10 月から 2025 年 9 月までの間で、補助事業の主たる実施場所で雇用している従業員のうち、「当該期間における地域別最低賃金以上~2025 年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員数の 30%以上である月が 3 か月以上ある事業者。
※最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例の対象外事業者が、この加点のみを申請し、適用される場合、「基本要件③:事業所内最低賃金水準要件」は除外されません。
事業所内最低賃金引上げに係る加点 2025 年 7 月と応募申請直近月の事業場内最低賃金を比較し、「全国目安で示された額(63 円)」以上の賃上げをした事業者

この内容も、政府の最低賃金の引上げに係る支援策により追加されたものです。

価格転嫁検討ツールに関する追記

次のとおり、価格転嫁検討ツールに関する記述を追記しています。

【参考】価格転嫁検討ツール
高い付加価値の創出や賃上げを実現するにあたっては、価格転嫁に取り組むことも有効な手段の1つです。中小機構では、コスト高騰前と同水準の利益を確保するために目指すべき取引価格を検討できる「価格転嫁検討ツール」*というシミュレーションツールを提供しております。本ツールでは、商品別の収支状況を把握し、適正コストをもとに「目指すべき取引価格」を自社で検討できます。取引先との交渉に向けた準備や社内検討の材料としてご活用ください**。
*価格転嫁検討ツール(https://kakakutenka.smrj.go.jp/kakakukentou/index.html
**マンガでわかる「価格交渉」価格交渉を行うためのテクニックやポイント
https://j-net21.smrj.go.jp/special/mangadewakaru/hgc8pd0000010k59.html

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第22次公募)
掲載ページ:ものづくり補助金 公式HP 公募要領

ものづくり補助金 概要

製品・サービス高付加価値化枠 グローバル枠
概要 革新的な新製品・新サービス開発による高付加価値化 海外事業の実施による国内の生産性向上
補助上限額   5人以下 750万円   (850万円)
  6~20人 1,000万円 (1,250万円)
21~50人 1,500万円 (2,500万円)
51人以上 2,500万円  (3,500万円)
3,000万円(3,100万円~4,000万円)
(特例措置) 大幅賃上げ特例(補助上限額を100~1,000万円上乗せ。上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。最低賃金引上げ特例事業者、各申請枠の上限額に達していない場合は除く。下記①、②のいずれか一方でも未達の場合、補助金返還義務あり。)
① 給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加、② 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準
補助率 中小企業1/2、小規模・再生2/3 中小企業1/2、小規模2/3
(特例措置) 最低賃金引上げ特例(補助率を2/3に引上げ(小規模・再生事業者は除く)。
・ 指定する一定期間において、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いること

参照:中小企業庁 令和6年度補正予算ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算

基本要件

ものづくり補助金の基本要件は、次のとおりです。

以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画書の策定及び実行
① 付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
② 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上 又は給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
③ 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
④ 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)
※最低賃金引上げ特例適用事業者の場合、基本要件は①、②、④のみとする。
※ 3~5年の事業計画に基づき事業を実施していただくとともに、毎年、事業化状況報告を提出いただき、事業成果を確認します。
※ 基本要件等が未達の場合、補助金返還義務があります。

補助上限・補助率

▼補助上限額
製品・サービス高付加価値化枠:750万円~2,500万円
グローバル枠:3,000万円

大幅な賃上げに取り組む事業者を対象に、上記の補助上限額に100~1,000万円を上乗せします。つまり、ものづくり補助金全体での補助上限額は4,000万円となります。

 

※大幅な賃上げ:(1)給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加(2) 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準
※最低賃金引き上げ特例事業者、各申請枠の上限額に達していない場合は除きます。
※上記(1) (2)のいずれか一方でも未達の場合、補助金返還義務があります。

 

▼補助率
製品・サービス高付加価値化枠:中小企業1/2、小規模・再生2/3
グローバル枠:中小企業1/2、小規模2/3

 

最低賃金の引き上げに取り組む事業者を対象に、補助率を1/2から2/3に引き上げます。

 

最低賃金の引き上げに取り組む事業者とは、既述のとおり、指定する一定期間において、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いる事業者を指します。

 

なお、本特例について、小規模・再生事業者は対象外です。

補助対象経費

ものづくり補助金の補助対象経費は、次のとおりです。

共通 機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
グローバル枠のみ 海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費

その他

既述のとおり、ものづくり補助金において、令和7年度以降は収益納付は求めません。

予算額

ものづくり補助金の予算額は、令和6年度補正予算「中小企業生産性革命推進事業」3,400億円の内数です。

生産性革命推進事業として計3,400億円を確保し、その中にものづくり補助金、IT導入補助金、 持続化補助金、事業承継・M&A補助金のほか、中小企業成長加速化補助金の予算を含んでいます。

 

参照:中小企業庁 令和6年度補正予算ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算

ものづくり補助金 令和7年以降の公募スケジュール

ものづくり補助金 22次締切分のスケジュールは、以下のとおりです。

公募開始日:令和7年10月24日(金)
申請開始日:令和7年12月26日(金) 17時
申請締切日:令和8年1月30日(金) 17時

ものづくり補助金 活用イメージ

経済産業省が公表している資料から、ものづくり補助金の活用イメージを2例紹介します。

製品・サービス高付加価値化枠

製品・サービス高付加価値化枠は、製品・サービス開発の取組を支援する申請枠です。

活用イメージとして、最新複合加工機を導入し、これまではできなかった精密加工が可能になり、より付加価値の高い新製品を開発する例を挙げています。

グローバル枠

グローバル枠は、海外需要開拓等の取組を支援する申請枠です。

活用イメージとして、海外市場獲得のため、新たな製造機械を導入し、新製品の開発を行うとともに、海外展示会に出展する例を挙げています。

 

参照:中小企業庁 令和6年度補正予算ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算

ものづくり補助金 過去の採択状況

令和7年7月28日に、19次締切分の採択結果が公表されました。採択結果は以下のとおりです。

公募期間:令和7年2月14日 ~ 令和7年4月25日
申請数:5,336件、採択数:1,698、採択率:約31.8%
以下、内訳
—–
・製品・サービス高付加価値化枠

 申請数:5,025件、採択数:1,623件、採択率:約32.3%


・グローバル枠

 申請数:311件、採択数:75件、採択率:約24.1%

—–

参照:ものづくり補助金 公式HP

 

なお、過去公募における採択の傾向は、以下の記事で詳しく解説しています。

【ものづくり補助金】過去締切分の採択率の傾向とは?
※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。 令和7年7月28日(月)に、ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)19次締切分の採択結果が公表されました。 ...

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ものづくり補助金 申請支援 - 補助金クラウド

最後に

この記事では、19次締切以降の主な変更点を整理し、22次締切分で新たに変更されたポイントを解説しました。しっかりと準備をして採択を目指しましょう!

全国:中小企業生産性革命推進事業(ものづくり補助金)
■22次締切分スケジュール 公募開始:2025年10月24日(金) 電子申請受付:2025年12月26日(金)17:00~ 申請締切:2026年1月30日(金)17:00 採択公表:2026年4月下旬頃予定 ----- ...
監修佐藤淳 / 公認会計士
中小企業庁認定 経営革新等支援機関 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)の東京オフィスに6年間、シアトルオフィスに2年間勤務。 2015年よりアジア最大級の独立系コンサルティングファームの日本オフィスにて事業戦略の構築支援、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資の業務に従事。 2017年 自身で旅行スタートアップ(Stayway)を立ち上げ資金調達をした経験を生かしながら、補助金・ファイナンス・M&Aのサポートを実施

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