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ITツールの活用の重要性はオフィスワークに限った話ではなく、農業にも当てはまるものです。農業におけるITツールの活用は、近年、農業で深刻化している高齢化問題や後継者不足への対策となり得ます。
そこでこの記事では、IT導入補助金の概要、農業での対象経費や採択事例などについて解説します。
農業で活用できる「IT導入補助金」概要
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。
通常枠(A・B類型)、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)、デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)、セキュリティ対策推進枠、商流一括インボイス対応類型といった申請類型に分かれています。
補助対象者
補助対象者は、中小企業・小規模事業者等の定義に沿う会社または個人事業主で、農業の場合も補助対象となります。
中小企業の場合は資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主であること、小規模事業者の場合は常時使用する従業員の数が20人以下の会社及び個人事業主であることが補助対象者の定義となります。
「常時使用する従業員」は、公募要領のなかで「労働基準法第20条の規定に基づく『予め解雇の予告を必要とする者』」と定義されています。
つまり、会社役員や個人事業主、雇用期間があらかじめ定められている日雇い労働者、季節的業務に従事する方などは、解雇予告が不要であるため「常時使用する従業員」に含まれません。
また、過去行われたIT導入補助金において申請を受け付けた主な組織形態の例として、農事組合法人、労働組合、農業協同組合、農業協同組合連合会などが挙げられています。
補助対象経費
IT導入補助金の補助対象経費は、業務効率化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入費用で、具体的な項目は申請類型により異なります。
ただし、いずれもあらかじめ事務局に採択されているIT導入支援事業者が提供し、登録されたITツールの導入費用に限定されます。
IT導入支援事業者とは、ITツールの導入により生産性の向上を目指す中小企業・小規模事業者等と共に事業を実施するパートナーとして、中小企業・小規模事業者等に対するITツールの説明、導入、運用方法の相談等のサポートおよび、補助金の交付申請や実績報告等の事務局に提出する各種申請・手続きのサポートを行う事業者のことです。
なお、農業で本補助金に申請する場合に想定される経費として、以下のようなツールが挙げられます。
・従業員の給与計算、労務管理等の機能を有するソフトウェア
・社員教育の受講状況を管理する教育管理ツール、業務に必要となる資格取得状況を管理するソフトウェア
・農薬や備品の在庫管理、物流に資するソフトウェア、サービス など
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)ではパソコンやタブレット端末といったハードウェアも補助対象となりますが、そのハードウェアがソフトウェアの使用に資するものであることが要件となります。
また、デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)もハードウェアを対象経費とすることが可能です。ただし、この申請類型は複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツールの導入を行う場合が対象となるため、農業者が単体で申請することはできません。
IT導入支援事業者・ITツール 検索方法
出典:IT導入補助金2023後期 IT導入支援事業者・ITツール検索(コンソーシアム含む)
補助対象となる、事務局に採択されたIT導入支援事業者や登録されたITツールを検索する場合は、公募サイト内にあるIT導入支援事業者・ITツール検索のページで検索します。
ITツールを検索する場合は、「条件検索」内の「ITツール情報」で「農業・林業・漁業向け」にチェックを入れて検索すると効率的です。(画像参照)
検索結果として表示されたIT導入支援事業者が提供するITツールを導入する場合、本補助金への申請が可能となります。
農業で「IT導入補助金」に申請する際の注意点
農業はIT導入補助金において補助対象となりますが、申請時に注意すべき点があります。ここでは、大きく3つの注意事項について解説します。
なお、この他にも申請要件が設けられています。申請の際は、公募要領にて申請要件等詳細を必ずご確認ください。
補助対象経費は“事前に登録された”ITツールの導入のみ
先述のとおり、IT導入補助金の補助対象経費はIT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用に限定されます。
申請を検討している場合は、事前に導入したいツールの導入支援事業者・ツールが登録されているかご確認ください。
IT導入支援事業者と共同で申請
出典:IT導入補助金2023後期 公式HP 新規申請・手続きフロー
IT導入補助金への交付申請の際、IT導入支援事業者との共同作成・提出が必要となります。
申請する場合は、IT導入支援事業者によるITツールの提案・申請事業者のITツール選定等、両者で商談を進めて、交付申請の事業計画を策定します。
ハードウェアはソフトウェアの使用に資する場合のみ対象
補助対象経費の項目で触れたとおり、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)ではハードウェアも補助対象となり得ます。ただし、ソフトウェアの使用に資する場合のみ、補助対象となります。
また、ソフトウェアは、会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトのみが対象です。導入するITツールが「会計」・「受発注」・「決済」・「EC」の機能を1機能以上有する場合は補助率3/4以内、2機能以上有する場合は補助率2/3以内となります。
ハードウェア購入費用のうち、交付される補助額はパソコン・タブレット・プリンター等に該当する費用に対して10万円が上限です。同時に、POSレジ・券売機等に該当する費用に対しては20万円が上限となっており、最大で合計30万円がハードウェアの補助上限額となっています。
参照:IT導入補助金2023後期 公式HP デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
農業の「IT導入補助金」採択事例
公表されている採択事例のうち、農業の事例を紹介します。
事業者名:市原ファーム
事業概要:コロナ禍によって取引先・イベント出店機会が減少し、地域ブランド「石見鴨(いわみがも)」の販路開拓
が課題となっていた。そこで、IT導入補助金を活用してご当地グルメ特化型ECサイトに出店。地方新聞への
広告掲載も叶い、PRの可能性が拡大した。今後は自社で顧客販売データの収集や販売促進手法の確立、品質
改善の促進といったマーケティング活動ができるようになることを目指している。
参照:IT導入補助金 活用事例 地域の特産品に特化したECサイトへの出店で新たなチャンスを狙う
まとめ
今回は、農業でIT導入補助金を活用する際の対象経費や採択事例などについて解説しました。
農業におけるITツールの活用は、生産性向上の観点から今後ますます重要性が高まります。ITツール活用には導入費用が伴いますので、導入を検討している場合は、ぜひ補助金申請もご検討ください。
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