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令和6年12月17日に令和6年度補正予算が成立し、同年12月19日には小規模事業者持続化補助金の今後の公募内容について概要が公開されました。
令和7年以降の公募では、申請枠が再編され、これまでの公募とは補助対象者や補助上限額の変更もある見込みです。
そこで今回は、小規模事業者持続化補助金に関し、令和7年以降の変更点についてお伝えします。
小規模持続化補助金とは
⼩規模事業者等が経営計画を⾃ら策定し、商⼯会・商⼯会議所の⽀援を受けながら取り組む「販路開拓」を⽀援する制度のです。
この小規模事業者とは、従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)」の場合5⼈以下、製造業またはそれ以外の業種の場合20⼈以下である事業者を指します。
小規模持続化補助金 令和7年以降の変更点
令和7年以降の変更点として、政策の原点回帰を行い、経営計画の策定に重点化するため、複数ある特別枠を整理することが公表されました。
具体的な変更は、次のとおりです。
卒業枠・後継者支援枠の廃止
申請枠の再編に伴い、これまでの公募にあった「卒業枠」「後継者支援枠」は廃止となりました。
また、以下の4つの枠をまとめて「一般型」と称することとしています。
・通常枠
・インボイス特例
・賃金引上げ特例
・災害支援枠
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
災害支援枠では、令和6年奥能登豪雨を対象に追加
これまで災害支援枠の補助対象者は、令和6年能登半島地震等における被災小規模事業者のみでしたが、令和7年以降は令和6年奥能登豪雨における被災小規模事業者も対象となります。
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
創業枠の名称変更
これまでの創業枠の名称を変更し、「創業型」となります。ただし、補助要件や補助率、補助上限額は変わらない見込みです。
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
共同・協業型を創設
申請枠の再編に伴い、共同・協業型を創設しました。
共同・協業型では、地域に根付いた企業の販路開拓を支援する機関が地域振興等機関となり、参画事業者である10以上の小規模事業者の販路開拓を支援します。
この内容は、これまで「共同・協業販路開拓支援補助金」として実施していたものとほぼ同じですが、小規模事業者持続化補助金 共同・協業型においては、参画事業者を商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律で定める小規模事業者に該当するものに限定しています。
参照:中小企業庁 令和6年度補正予算 「小規模事業者持続化補助金(共同・協業型)」
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
ビジネスコミュニティ型を創設
申請枠の再編に伴い、ビジネスコミュニティ型を創設しました。
この内容は、これまで「ビジネスコミュニティ型補助金」として実施していたものとほぼ同じで、商工会・商工会議所の内部組織等(青年部、女性部等)を対象に支援する制度です。
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
小規模持続化補助金 令和7年以降の概要
一般型 | 創業型 | 共同・協業型 | ビジネスコミュニティ型 | ||||
通常枠 | インボイス特例 | 賃金引上げ特例 | 災害支援枠 | ||||
要件 | 経営計画を作成し販路開拓等に取り組む小規模事業者 | 免税事業者から 課税事業者に転換 |
事業場内最低賃金を50円以上引き上げる小規模事業者 | 令和6年能登半島地震等における被災小規模事業者 | 産競法に基づく「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けた小規模事業者 | 地域に根付いた企業の販路 開拓を支援する機関が地域 振興等機関となり、参画事業者である10以上の小規 模事業者の販路開拓を支援 |
商工会・商工会議所の内部組織等(青年部、女性部等) |
補助上限 | 50万円 | 補助上限 50万円上乗せ |
補助上限 150万円上乗せ |
直接被害:200万円 間接被害:100万円 |
200万円 ※インボイス特例は適用 |
5,000万円 | 50万円、 2以上の補助対象者が共同で実施する場合は100万円 |
補助率 | 2/3 ※賃金引上げ特例を選択した事業者のうち、赤字事業者は3/4 |
定額、2/3 | 2/3 | ・地域振興等機関に係る経費:定額 ・参画事業者に係る経費:2/3 |
定額 | ||
対象経費 | 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費(税理士等への相談・コンサルティング費用など) | 左記に加え、車両購入費 | 通常枠同様 | ・地域振興等機関・・・人件費、委員等謝金、旅費、会議費、消 耗品・備品費、通信運搬費、印刷製本費、雑役務費、委託・外 注費、水道光熱費 ・参画事業者・・・旅費、借料、 設営・設計費、展示会等出展費、保険料、広報費 |
専門家謝金、専門家 旅費、旅費、資料作 成費、借料、雑役務 費、広報費、委託費 |
||
昨年度補正予算等からの主な変更点 | 卒業枠・後継者支援枠を廃止 | 令和6年奥能登豪雨を 対象に追加 |
参画事業者を「小規模事業 者」に限定 |
出典:中小企業庁 持続化補助金の概要
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
令和7年以降の実施概要は上図のとおりですが、申請類型ごとに詳細をお伝えします。
一般型(通常枠)
通常枠では、小規模事業者※等が経営計画を自ら策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓等を支援します。
※小規模事業者とは、従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)」の場合5人以下、製造業またはそれ以外の業種の場合20人以下である事業者を指します。
補助上限:50万円(特例を活用した場合は最大250万円)
補助率:2/3(賃金引上げ特例活用事業者のうち赤字事業者については3/4)
補助対象経費:機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費(税理士等への相談・コンサルティング費用など)
※インボイス特例:免税事業者のうちインボイス発行事業者の登録を受けた事業者に該当する場合、上記補助上限額に50万円を上乗せ
※賃金引上げ特例:事業場内最低賃金を+50円以上とした事業者には、上記補助上限額に150万円を上乗せ
活用事例①:観光ぶどう園を有する喫茶店においてフリーズドライ製品を販売するため、洗練されたパッケージデザインやリーフレットを作成。高級スーパー等の新たな販路への商談に活用。
活用事例②:精密板金加工・プレス金型等の製作所が、県道沿いに看板を設置。具体的な製品を載せたことで、新規取引先の獲得に向けて高度な技術や専門性を効果的にPR。
参照:中小企業庁 令和6年度補正予算「小規模事業者持続化補助金(通常枠)」
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
一般型(災害支援枠)
災害支援枠では、令和6年能登半島地震・令和6年奥能登豪雨により被害を受けた小規模事業者等が行う事業再建の取組を支援します。
補助対象事業者は、石川県、富山県、福井県、新潟県に所在する、令和6年能登半島地震・令
和6年奥能登豪雨の被害を受けた小規模事業者※等です。
※ 従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)」の場合5人以下、製造業またはそれ以外の業種の場合20人以下である事業者
定額要件:
直接被害を受けた事業者のうち、以下の要件をすべて満たす場合は定額補助となります。
1.新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者
2.過去数年以内に発生した災害(※1)で被害を受けた以下いずれにも該当する事業者
①当該災害による事業用資産への被災が証明できる事業者
②当該災害に対して国等が実施した災害支援策を活用した事業者
3.次のいずれかに該当する事業者
①過去数年以内に発生した災害の発災日(当該発生日が令和2年1月28日以降の災害にあっては令和2年1月28日)以降、売上高が20%以上減少している事業者
②厳しい債務状況にあり、かつ、交付申請時において経営再建等に取り組み、かつ、認定経営革新等支援機関に事業計画等の確認を受けている事業者
4.過去数年以内に発生した災害による債務を抱えている事業者
5.施設又は設備が被災し、その復旧又は復興を行おうとする者
(※1)過去5年以内を目安に発生した災害であって災害救助法の適用を受けたものです。
補助対象となる期間の特例:
特例として令和6年1月1日の能登半島地震による災害発生以降で、交付決定の前に行われた事業に要する経費についても、適正と認められる場合には補助金の対象となります。
補助上限:
・200万円(直接被害)⇒自社の事業用資産に損壊等の直接的な被害を受けた場合
・100万円(間接被害)⇒令和6年能登半島地震・令和6年奥能登豪雨に起因して、売上げ減少の間接的な被害を受けた場合
補助率:2/3、定額(一定の要件を満たす事業者のみ対象)
補助対象経費:機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費、車両購入費、施設・設備の修繕費
活用事例①:被災により破損したカウンターショーケースを買換えるとともに、雨漏りで剥がれたクロスの張り替えや、新しいデザインの看板を設置することにより、営業再開と同時に集客の回復をはかった。
活用事例②:主な取引先であった旅館の被災により販路が喪失。新たな取引先を獲得するため展示会へ出展。加えて、新商品の開発を行い、チラシを用いて宣伝することで、販路の開拓につながり減少した売上が回復。
参照:中小企業庁 令和6年度補正予算「小規模事業者持続化補助金(災害支援枠)」
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
創業型
創業型では、創業後3年以内の小規模事業者※等が経営計画を自ら策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓等を支援します。
※従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)」の場合5人以下、製造業またはそれ以外の業種の場合20人以下である事業者
申請要件:産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業による支援(※)」を受けた日
および開業日(設立年月日)が公募締切時から起算して過去3か年の間であること。
※当該補助金の申請には、認定市区町村が発行した、特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書の写しが必要になります。
補助上限:200万円(特例を活用した場合は最大250万円)
特例要件:免税事業者のうちインボイス発行事業者の登録を受けた事業者は、一律に50万円の補助上限上乗せを行います。
補助率:2/3
補助対象経費:機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、資料購入費、借料 、設備処分費 、委託・外注費
活用事例①:金属加工業を開業。ロボット溶接機械を導入することで、技術革新による事業の拡大及び生産性の向上を図る。
活用事例②:食品小売業を開業後1年経過し、厨房機器の導入及び店舗リニューアルを行うことで、新規顧客獲得による売上拡大を図る。
参照:中小企業庁 令和6年度補正予算「小規模事業者持続化補助金(創業型)」
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
共同・協業型
新設の共同・協業型では、地域に根付いた企業の販路開拓を支援する機関(以下「地域振興
等機関」)が、小規模事業者※(以下「参画事業者」)を10者以上集め、展示会や商談会、催事販売、マーケティングの拠点を活用し、参画事業者の販路開拓を支援する取組について支援します。
※ 従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)」の場合5人以下、製造業またはそれ以外の業種の場合20人以下である事業者
補助上限:5,000万円
補助率:参画事業者は2/3、地域振興等機関は定額
補助対象経費:会場の設営費・内装等の工事費、会場借料、機器・機材の借料、広報費、旅費 など
参照:中小企業庁 令和6年度補正予算「小規模事業者持続化補助金(共同・協業型)」
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
ビジネスコミュニティ型
新設のビジネスコミュニティ型では、商工会・商工会議所の内部組織等(青年部、女性部等)に対して支援を行います。
補助上限:50万円、2以上の補助対象者が共同で実施する場合は100万円
補助率:定額
補助対象経費:専門家謝金、専門家旅費、旅費、資料作成費、借料、雑役務費、広報費、委託費
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
小規模持続化補助金 令和7年以降の公募スケジュール
令和7年以降の具体的な公募日程は、以下のとおりです。
▼一般型 第17回公募締切分・創業型 第1回公募締切分
公募要領公開:2025年3月4日(火)
申請受付開始:2025年5月1日(木)
申請受付締切:2025年6月13日(金)17:00
※予定は変更する場合があります。
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切:2025年6月3日(火)
▼災害支援枠(令和6年能登半島地震) 6次受付締切分
公募要領公開:2025年3月4日(火)
申請受付開始:2025年3月21日(金)
申請受付締切:2025年4月28日(月)

まとめ
小規模事業者持続化補助金に関し、令和7年以降の変更点を解説しました。
今後、詳細が公表されましたら本記事にて随時お知らせしてまいります。申請を検討される際はぜひ、最新情報をご確認ください。
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