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小規模事業者持続化補助金は、全国の小規模事業者等が持続的な経営に向けて取り組む販路開拓等を支援する制度です。
本補助金では、一定の条件を満たすことで審査時に加点措置を受けることができ、採択の可能性が高まります。
そこでこの記事では、小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)への申請を検討している方に向け、本補助金の加点項目について解説します。
小規模事業者持続化補助金 概要

出典:持続化補助金の概要
掲載ページ:中小企業庁 中小企業対策関連予算
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者および一定の要件を満たす特定非営利活動法人(以下、「小規模事業者等」)が行う販路開拓等の取り組みの経費の一部を補助する制度です。
地域の雇用や産業を支える小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大・賃上げ・インボイス導入等)等に対応し、生産性向上と持続的発展を図ることを目的としています。
参照:小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠) 公式HP(商工会地区)
小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠) 加点項目
加点項目には【重点政策加点】と【政策加点】があり、それぞれ1種類、合計2種類まで選択して申請することができます。
【重点政策加点】と【政策加点】から2種類以上を選択した場合は、加点審査の対象外となります。各加点項目の詳細は、次のとおりです。
重点政策加点
まず、【重点政策加点】の4項目について解説します。
①赤字賃上げ加点
賃金引上げ特例に申請する事業者のうち、赤字である事業者(以下、赤字事業者)に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。
赤字事業者とは、「賃金引上げ特例」に取り組む事業者のうち、直近1期または直近1年間の課税所得金額(※1)がゼロ以下である事業者を指します。
※1:課税所得金額とは、以下のことを指します。
| 法人の場合 | 直近1期分の法人税申告書の別表一・別表四「所得金額又は欠損金額」欄の金額 |
| 個人事業主の場合 | 直近1年間の「所得税および復興特別所得税」の「確定申告書」第一表の「課税される所得金額」欄の金額 |
赤字賃上げ加点は、賃金引上げ特例を希望した場合に、自動的に適用されます。さらに、後述する政策加点における賃上げ加点にも、自動的に適用されます。
②事業環境変化加点
ウクライナ情勢や原油価格、LP ガス価格等の高騰、米国による相互関税の影響を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。
この項目の申請に必要な手続きは、以下の2点です。
1. 希望する特例及び加点項目(様式2)の「2. 事業環境変化加点」を選択
2. 希望する特例及び加点項目(様式2)に物価高騰等の影響を受けている内容を入力
③東日本大震災加点
東京電力福島第一原子力発電所の影響を受け、引き続き厳しい事業環境下にある事業者に対し
て、政策的観点から加点を行います。
具体的には、次のいずれかに該当する事業者が対象です。
1. 東京電力福島第一原子力発電所の事故により避難指示等の対象となった福島県12市町村(田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村および飯舘村)に補助事業実施場所が所在する事業者
2. 東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分に伴う風評影響を克服するた
め、新たな販路開拓等に取り組む太平洋沿岸部(北海道、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県及び千葉県)に所在する水産仲買業者および水産加工業者
この項目の申請に必要な手続きは、以下の2点です。
1. 希望する特例および加点項目(様式2)の「3-1. 東日本大震災加点(福島12市町村)」もしくは「3-2.(太平洋沿岸部に所在する水産仲買業者及び水産加工業者)」を選択
2. 食品衛生法に基づく営業許可証もしくは届出書(受領印押印済み)の写しを提出
※原則、魚介類販売業、魚介類競り売り営業、水産製品製造業、複合型冷凍製品製造業の許可
を得た事業者のみが対象です。ただし、食品衛生法の改正前における魚介類販売業、魚介類競り売り営業、魚肉練り製品製造業、食品の冷凍又は冷蔵業について許可を受けた事業者で、現法においても有効な許可を得ている事業者についても対象となります。
④くるみん・えるぼし加点
次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく「くるみん認定」を受けている事業者、もしくは女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。
「くるみん認定」とは、次世代育成支援対策推進法に基づいて一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業を「子育てサポート企業」と認定する制度です。
また、「えるぼし認定」とは、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づいて一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良である企業を認定する制度です。
【政策加点】の「⑥一般事業主行動計画策定加点」にも該当し、選択している場合は、本【重点政策加点】分のみが加点対象となります。
この項目の申請に必要な手続きは、以下の2点です。
1. 希望する特例および加点項目(様式2)の「4. くるみん・えるぼし加点」を選択
2. 基準適合一般事業主認定通知書の写しを提出
政策加点
続いて、【政策加点】の10項目について解説します。
①賃上げ加点
賃上げを行い、補助事業の終了時点において、事業場内最低賃金が申請時より+30 円以上である事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。
「事業場内最低賃金」とは、事業者(企業)の各事業場(店舗等)における、パート・アルバイト等の非正規雇用者を含む最低賃金を指します。
この項目の申請に必要な手続きは、以下の4点です。
1. 希望する特例及び加点項目(様式2)の「1. 賃金引上げ加点」を選択
※ 賃金引上げ特例を希望した場合は、「賃金引上げ加点」が自動的に適用されます。
2. 宣誓・同意画面に表示される「賃金引上げ特例・賃金引上げ加点の申請に係る誓約・同意書」(様式7)を確認し、該当箇所にチェック
3. 労働基準法に基づく、直近1か月分の賃金台帳の写しを提出
4. 雇用条件(1日の所定労働時間、年間休日)が記載された書類の写しを提出
例)雇用契約書、労働条件通知書等
なお、本要件を満たさない場合は、交付決定後であっても、補助金は交付されません。ご注意ください。
②地方創生型加点
次の類型に即した事業計画を策定している事業者に対して、政策的観点から加点を行います。
○地域資源型
地域資源等を活用し、良いモノ・サービスを高く提供し、付加価値向上を図るため、地域外への販売や新規事業の立ち上げを行う計画
○地域コミュニティ型
地域の課題解決や暮らしの実需に応えるサービスを提供する小規模事業者による、地域内の需
要喚起を目的とした取組等を行う計画
この項目の申請に必要な手続きは、以下の2点です。
1. 希望する特例及び加点項目(様式2)の「2-①.地方創生型加点(地域資源型)」もしくは「2-②.地方創生型加点(地域コミュニティ型)」を選択
2. 「経営計画」(様式2)の地方創生型加点欄に上記の取組を行う計画を入力
③経営力向上計画加点
各受付締切回の基準日までに、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。
第18回受付締切分における「経営力向上計画加点」の対象となる認定日の期限は、令和7年9月30日です。
この項目の申請に必要な手続きは、以下の2点です。
1. 希望する特例及び加点項目(様式2)の「3. 経営力向上計画加点」を選択
2. 「認定書」の写しを提出(「認定書」の写しの提出がない場合は、加点対象になりません)
※基準日までに認定を受けていることが必要です。基準日よりも後に認定を受けた事業者や、認定申請中の事業者は対象となりません。
④事業承継加点
各受付締切回の基準日時点の代表者の年齢が満60歳以上の事業者で、かつ、後継者候補が補助事業を中心になって行う場合、採択審査時に政策的観点から加点を行います。
第18回受付締切分における「事業承継加点」の付与を希望する事業者の代表者の満年齢基準日は、令和7年9月30日です。
この項目の申請に必要な手続きは、以下の4点です。
1. 希望する特例および加点項目(様式2)の「4. 事業承継加点」を選択
2. 希望する特例および加点項目(様式2)の事業承継の計画について入力および選択
3. 代表者の生年月日が確認できる公的書類(自動車運転免許証等)の写しを提出
4. 後継者候補の実在確認書類を提出
(ア)会社で「他の役員(親族含む)」の場合、「現在事項全部証明書または履歴事項全部証明
書」(申請書の提出日から3か月以内の日付のもの・原本)または、役員に就任していることが分かる書類の写し
(イ)会社または個人事業主で「従業員(親族含む)」の場合、当該従業員にかかる「雇用契約書」の写し、または、当該従業員を雇用していることが分かる書類の写し
(ウ)個人事業主で「家族専従者」の場合、必須の提出書類である「確定申告書または青色申告決算書」において専従者であることが確認可能なら、追加資料は不要
(エ)上記の(ア)~(ウ)以外の場合、実在確認用の公的書類(本人の運転免許証の写しや住民
票等)
5. 代表者が地域の商工会・商工会議所とご相談の上で商工会・商工会議所が作成・交付する「事業承継診断票」(様式10)を提出
※地域の商工会・商工会議所への「様式10」発行依頼は、「事業支援計画書」(様式4)発行依頼と同時に行ってください。
※前回までの申請の際に「事業承継診断票」(様式10)の作成・交付を受けた場合でも、今回、改めて「様式10」の作成・交付が必要です(前回分の再利用は不可)
⑤過疎地域加点
過疎地域という極めて厳しい経営環境の中で販路開拓等に取り組む事業者を重点支援する観点
から、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に定める過疎地域に所在し、地域経済の持続的発展につながる取組を行う事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。
この項目の申請に必要な手続きは、以下の1点のみです。
1. 希望する特例および加点項目(様式2)の「5.過疎地域加点」を選択
⑥一般事業主行動計画策定加点
従業員100人以下の事業者で「女性の活躍推進企業データベース」に女性活躍推進法に基づく
一般事業主行動計画を公表している事業者、もしくは従業員100人以下の事業者で「両立支援のひろば」に次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。
計画期間に「公募締切日」および「事業者が設定した補助事業終了予定日」がいずれも含まれている場合に加点の対象となります。
【重点政策加点】の「④くるみん・えるぼし加点」にも該当し、選択している場合は、【重点政策加点】分のみが加点対象となりますのでご注意ください。
この項目の申請に必要な手続きは、以下の2点です。
1. 希望する特例および加点項目(様式2)の「6.一般事業主行動計画策定加点」を選択
2. 「経営計画」(様式2)の一般事業主行動計画策定加点欄に、自社で策定した一般事業主行動計画が掲載されている、厚生労働省「両立支援のひろば」の URL を入力
⑦後継者支援加点
将来的に事業承継を行う予定があり、新たな取組を行う後継者候補として、「アトツギ甲子園」のファイナリスト等になった事業者を対象に政策支援をするため、以下の要件を満たす事業者に対して加点を行います。
「アトツギ甲子園」とは、全国各地の中小企業の後継者(=アトツギ)が、新規事業アイデアを競うピッチイベントです。
申請時において、「アトツギ甲子園」のファイナリストまたは準ファイナリスト」になった事
業者であること。
準ファイナリストは、地方予選大会出場者のうち、ファイナリスト以外であって、特に優秀と
認められ、経済産業省ホームページで公表された者を指します。
※過去の小規模事業者持続化補助金の「後継者支援枠」で採択され事業を実施した事業者は、対象外です。ただし、異なる年度において、上記要件を満たす場合は、補助対象となり得ます。
この項目の申請に必要な手続きは、以下の2点です。
1. 希望する特例および加点項目(様式2)の、「7.後継者支援加点」を選択
2. 希望する特例および加点項目(様式2)画面にて、選出された年度を入力
⑧小規模事業者卒業加点
事業規模拡大に意欲的な小規模事業者に対して政策支援をするため、補助事業実施期間中に常時使用する従業員を増やし、小規模事業者として定義する従業員の枠を超えて事業規模を拡大する事業者に対して加点を行います。
要件は、「補助事業の終了時点において、常時使用する従業員の数が小規模事業者として定義する従業員数を超えていること(※2)」です。
ただし、この要件を満たさない場合は、交付決定後であっても、補助金の交付は行いません。
また、過去の小規模事業者持続化補助金の「卒業枠」や「卒業加点」で採択され事業を実施した事業者は、今後、本補助金の対象となりません。
この項目の申請に必要な手続きは、以下の3点です。
1. 希望する特例および加点項目(様式2)の、「8. 小規模事業者卒業加点」を選択
2. 宣誓・同意画面に表示される「小規模事業者卒業加点の申請に係る誓約・同意書」(様式8)を確認し、該当箇所にチェック
3. 労働基準法に基づく最新の労働者名簿(常時使用する従業員分のみ)を提出
上記のほか、実績時に必要な手続きは、以下の1点です。
1. 補助事業終了時点における、労働基準法に基づく最新の労働者名簿(常時使用する従業員分のみ)を提出
⑨事業継続力強化計画策定加点
申請受付締切日までに、中小企業等経営強化法に基づく「事業継続力強化計画」または「連携事業継続力強化計画」の認定を受けており、実施期間が終了していない認定事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。
この項目の申請に必要な手続きは、以下の2点です。
1. 希望する特例および加点項目(様式2)の「9. 事業継続力強化計画策定加点」を選択
2. 受付番号(※1)、実施期間開始期及び終期を入力
申請受付締切日までに認定を受けており実施期間が終了していないことが必要です。
締切日よりも後に認定を受けた事業者や、認定申請中の事業者、実施期間が終了している事業者は対象となりません。
※1:事業継続力強化計画電子申請システムの受付番号の確認方法は以下でご確認ください。
▼事業継続力強化計画(電子申請)における「受付番号」の確認方法
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/download/keizokuryoku/shinsei_bangou.pdf
※半角数字 10 桁の番号(000・・・)が受付番号ですので、お間違いないようご注意ください。
⑩令和6年能登半島地震等に伴う加点
令和6年能登半島地震等に起因して、売上減少の間接的な被害を受けた事業者に対し、政策的観点から加点を行います。
具体的には、石川県、富山県、新潟県、福井県内に補助事業の実施場所が所在し、かつ、地震被害の場合、令和6年1月から令和7年10月までの任意の1か月間の売上、または、豪雨被害のみの場合、令和6年9月から令和7年10月までの任意の1か月間の売上が前年または前々年の同期間と比較して20%以上減少したことが、地方自治体により発行された証明書等により確認できる事業者について、政策的観点から加点を行います。
※「小規模事業者持続化補助金<災害支援枠(令和 6 年能登半島地震)>」において、既に採択を受けて補助事業を実施している場合、本加点の対象外です。
ただし、地震により被害を受けた小規模事業者等が採択を受けて補助事業を実施した場合には、豪雨被害での令和6年能登半島地震等に伴う加点の選択は可能です。
※「小規模事業者持続化補助金<一般型 災害支援枠(令和6年能登半島地震等)>」に申請中の場合は令和6年能登半島地震等に伴う加点の選択はできません。
この項目の申請に必要な手続きは、以下の2点です。
1. 希望する加点項目(様式2)の「10. 令和6年能登半島地震等に伴う加点」を選択
2. 令和6年1月から令和7年10月の任意の1か月の売上高が前年同期、または令和2年1月28日以
前の同期と比較して20%以上減少したこと、令和6年の能登豪雨を行政機関が証した書面(例:セーフティネット保証4号の認定書や、地方自治体が独自に発行した証明書等)の写しを提出
※原則、証明書の名義は事業者名であること

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まとめ
今回は、小規模事業者持続化補助金の加点項目について解説しました。
本補助金では、加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択となります。申請を検討している場合は、採択に向けて、早めに準備を進めましょう。









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