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「事業再構築補助金 成長枠」に申請できる業種とは?対象外業種も紹介

公開日 2023/09/04
更新日 2023/09/09
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※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

企業の思い切った事業再構築を支援する事業再構築補助金において、第10回公募から「成長枠」が新設され、注目を集めています。

しかし、成長枠への申請は、行う事業が指定された業種・業態に該当する場合のみ可能となるため、自社が申請可能な業種・業態にあたるか知りたいというニーズは多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、事業再構築補助金 成長枠に申請できる業種・業態とあわせ、対象外となる業種についても解説します。

事業再構築補助金 成長枠の概要

出典:事業再構築補助金 公式HP 事業再構築補助金の概要

事業再構築補助金は、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する補助金制度です

成長枠は事業再構築補助金の制度開始当初から公募実施されていた「通常枠」の名称・一部内容を変更したものです。通常枠にあった売上高の減少要件が撤廃された点、補助対象となる業種・業態が指定されている点が大きな特徴となっています。

事業再構築補助金 成長枠には 行う事業が指定の対象業種・業態に該当する場合のみ申請可

出典:事業再構築補助金 令和4年度第二次補正予算の概要

成長枠への申請要件として、全枠共通となる必須要件を満たすことに加えて2つの指定の要件をいずれも満たしている必要があり、限られた業種・業態のみ申請可能となっています。

ここではその要件、業種・業態について解説します。

要件

成長枠のみで指定されている要件は、以下のとおりです。

①取り組む事業が過去~今後のいずれか10年間の市場規模において10%以上拡大する業種・業態に属していること②事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

①にある市場規模とは、製造品出荷額や売上高等を指しています。この要件を満たす業種・業態は事務局によって公表されています。成長枠に申請する場合、今後取り組む事業が、指定の業種・業態に該当するか事前に確認しましょう。

自社の業種が該当しない場合は申請できませんが、業界団体等が上記の要件を満たすことを示し、事務局の審査で認められた場合には、指定業種となる場合があります。

ただし、指定業種となるための申請は業界団体等からのみ受け付けており、事業者からの申請はできません。

参照:成長枠の対象業種・業態の指定について

参照:成長枠対象リスト

対象となる業種・業態

現在、成長枠で列挙されている指定業種は、製造業・卸売業が中心となっています。記述のとおり、行う業務によって申請可否が変わりますので注意しましょう。

例として食品関連事業者の場合、飲食物を提供する飲食業は対象外となりますが、自社で商品を製造・販売する食品製造業であれば指定業種となります。

なお、令和5年6月30日まで行われた第10回公募の申請を踏まえて、対象業種が追加される可能性があります。

参照:成長枠対象リスト

事業再構築補助金 成長枠の対象外業種・業態

事業再構築補助金 成長枠の対象外となる主な業種・業態は、以下のとおりです(令和5年9月4日時点)

・宿泊業
※キャンプ場・グランピング施設宿泊業、インバウンド顧客をターゲットとした宿泊業は対象

・飲食業

・小売業
※医薬品・化粧品小売業は対象

・サービス業 等
※印刷関連サービス業、情報処理・提供サービス業、インターネット附随サービス業、宇宙利用サービス産業は対象

主に、一般消費者に直接携わるビジネスが対象外となっています。ただし、これから新たに対象業種・業態が増える可能性はありますので、注視する必要があります。

参照:成長枠の対象となる業種・業態の一覧(令和5年6月21日版

事業再構築補助金 成長枠の採択状況

成長枠の採択結果は、当初、令和5年9月上旬発表予定でしたが、9月下旬発表に変更されました。

そのため、令和5年9月4日現在、採択結果は未公表となっています。

事業再構築補助金 採択事例

成長枠の採択結果が未公表であるため、ここでは、成長枠の指定業種となっている製造業・卸売業に関し、第9回公募 通常枠の採択事例を紹介します。

通常枠と成長枠では要件が一部異なることからも、結果を保障するものではありませんが、成長枠において指定されている業種・業態に関する例を挙げます。

製造業①

設備導入と自社技術開発による半導体製造装置部品への新分野展開
本事業は、建設機械部品を主力とした既存事業からCNC複合立旋盤の設備導入と自社技術開発の工程設計によりリードタイム短縮と高精度化を図り、半導体製造装置部品製造への新分野展開を目指す事業再構築です。

引用:第9回公募 補助金交付候補者の採択結果(製造業)

既存事業に加えて、半導体製造装置部品の製造へと新分野展開を行う事例です。

成長枠の指定業種には「半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置製造業」が含まれているため、本事例同様に半導体製造装置部品製造への新分野展開を目指す場合、他の要件も満たしていれば採択される可能性があります。

製造業②

建具製造からモミに特化した内装材及び家具の製造への転換
コロナ禍により商業施設等の投資活動が停滞したあおりを受けて建具の売上が停滞している。対策として、機能性の高いモミを活用した内装材及び家具の製造販売に進出し、商圏拡大と付加価値向上により収益を改善する。

引用:第9回公募 補助金交付候補者の採択結果(製造業)

建具製造から家具製造への転換を行った事例です。

仮に成長枠に当てはめた場合、家具製造業は成長枠の指定業種リストに挙がっているため、他の要件を満たす場合は本事例も成長枠で採択される可能性があります。

卸売業①

アップサイクル生地の卸売を店舗とECサイトで開始する事業計画
コロナ禍により渡米が制限され、輸入雑貨の仕入不足に陥り、売上が激減した。そのため、サステナブルファッションに進出する企業より依頼をいただいている、アップサイクル生地卸売業に着手し、V字回復を図る。

引用:第9回公募 補助金交付候補者の採択結果(卸売業)

こちらも新分野展開を行う事例です。既存事業に加えてアップサイクル生地卸売業に着手する事業計画です。

成長枠では農畜産物・水産物卸売業や食料・飲料卸売業、建築材料卸売業などのほか、他に分類されない卸売業も指定業種に挙げられています。このうちアップサイクル生地卸売業は、他に分類されない卸売業に該当する可能性があります。

上記と類似した事例の場合、他の要件を満たせば成長枠での採択が期待できます。

卸売業②

ウィズコロナ時代を共に生き抜く提案型食品卸への転換
冷凍・冷蔵ユニットのデジタル制御を通じて食品の鮮度維持、安全性向上、フードロス削減に取り組む。待ちの受注姿勢からデジタル活用による攻めの提案型営業へと転換させ、少人数でも効率的な食品卸へと業態転換する事業計画。

引用:第9回公募 補助金交付候補者の採択結果(卸売業)

業態転換を行う事例です。

成長枠の対象業種リストには、食料・飲料卸売業が含まれています。本事例の場合を例にすると、食品卸への転換となるため食糧・飲料卸売業に該当すると考えられ、補助対象となり得ます。

事業再構築補助金 成長枠の公募スケジュール

成長枠が新設された第10回公募スケジュールは、以下のとおりです。(終了済み)

  • 公募開始:令和5年3月30日(木)
  • 応募締切:令和5年6月30日(金)18:00
  • 採択発表:令和5年8月下旬~9月上旬頃(予定)
    →9月下旬頃発表に変更となりました。

なお、現在行われている第11回公募のスケジュールは、以下のとおりです。

公募開始:令和5年8月10日(木)
申請受付:令和5年9月上旬~中旬(予定)
応募締切:令和5年10月6日(金)18:00

参照:事業再構築補助金 公募要領

まとめ

この記事では、事業再構築補助金における成長枠の概要、申請できる業種・対象外となる業種について解説しました。成長枠は他の申請類型と異なり売上高減少要件がない点では申請しやすい類型と言えます。

対象となる業種・業態に該当する場合は、ぜひ、申請をご検討ください!

監修佐藤淳 / 公認会計士
中小企業庁認定 経営革新等支援機関 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)の東京オフィスに6年間、シアトルオフィスに2年間勤務。 2015年よりアジア最大級の独立系コンサルティングファームの日本オフィスにて事業戦略の構築支援、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資の業務に従事。 2017年 自身で旅行スタートアップ(Stayway)を立ち上げ資金調達をした経験を生かしながら、補助金・ファイナンス・M&Aのサポートを実施

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