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採択率アップ!小規模事業者持続化補助金の加点項目とは

公開日 2023/08/02
更新日 2024/01/24
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※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

小規模事業者持続化補助金は、全国の小規模事業者等が持続的な経営に向けて取り組む販路開拓等を支援する制度です。申請に対する審査項目には加点項目が設けられていて、申請者が要件を満たす場合、審査上の加点を受けられ、採択の可能性が高まります。

そこでこの記事では、小規模事業者持続化補助金への申請を検討している方に向け、本補助金の加点項目について解説します。

小規模事業者持続化補助金 概要

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者および一定の要件を満たす特定非営利活動法人(以下、「小規模事業者等」)が、今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大・賃上げ・インボイス導入等)等に対応するため、当該事業者が取り組む販路開拓等の取り組みの経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的としています。

参照:小規模事業者持続化補助金 公式HP

小規模事業者持続化補助金 加点項目  

加点は重点政策加点と政策加点からそれぞれ1種類、合計2種類まで選択可能です。重点政策加点と政策加点から2種類以上を選択した場合は、加点審査の対象外となります。

重点政策加点

まず、重点政策加点となる4つの項目を解説します。

赤字賃上げ加点

賃金引上げ枠に申請する事業者のうち、赤字である事業者(P.9の「業績が赤字の事業者に対する要件」を確認ください)に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=赤字賃上げ加点)を行います。

引用:小規模事業者持続化補助金 公式HP 第15回受付締切分 公募要領

「業績が赤字の事業者に対する要件」は、以下のとおりです。

「賃金引上げ枠(赤字)」に取り組む事業者のうち、直近1期または直近1年間の課税所得金額(※1)がゼロ以下である事業者。※1:課税所得金額は以下のことを指します。

<法人の場合>
直近1期分の法人税申告書の別表一・別表四「所得金額又は欠損金額」欄の金額。

<個人事業主の場合>
直近1年間の「所得税および復興特別所得税」の「確定申告書」第一表の「課税される所得金額」欄の金額。

賃上げの可否は社内の判断によるものなので、状況が許せば実施可能であることから加点申請しやすい項目と言えます。本項目は賃金引上げ枠(赤字事業者)を希望した場合に、自動的に適用されます。
※政策加点の賃上げ加点も自動的に適用されます。

事業環境変化加点

ウクライナ情勢や原油価格、LPガス価格等の高騰による影響を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=事業環境変化加点)を行います。

引用:小規模事業者持続化補助金 公式HP 第15回受付締切分 公募要領

ウクライナ情勢や原油価格、LP ガス価格等の高騰による影響を受けている事業者であることが要件となりますが、申請手続きが「経営計画書」(様式2)へのチェック・物価高騰等の影響を受けている内容の記載のみであることから、比較的、加点申請しやすい項目と言えます。

東日本大震災加点

東京電力福島第一原子力発電所の影響を受け、引き続き厳しい事業環境下にある事業者に対して、政策的観点から加点(=東日本大震災加点)を行います。
○東京電力福島第一原子力発電所の事故により避難指示等の対象となった福島県12市町村(田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村及び飯舘村)に補助事業実施場所が所在する事業者に対して採択審査時に政策的観点から加点(=東日本大震災加点)を行います。
○東京電力福島第一原子力発電所における ALPS 処理水の処分に伴う風評影響を克服するため、新たな販路開拓等に取り組む太平洋沿岸部(北海道、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県及び千葉県)に所在する水産仲買業者及び水産加工業者

引用:小規模事業者持続化補助金 公式HP 第15回受付締切分 公募要領

本項目は小規模事業者持続化補助金においてのみ、加点項目に挙げられています。

原則、魚介類販売業、魚介類競り売り営業、水産製品製造業、複合型冷凍製品製造業の許可を得た事業者のみが対象です。

ただし、食品衛生法の改正前における魚介類販売業、魚介類競り売り営業、魚肉練り製品製造業、食品の冷凍または冷蔵業について許可を受けた事業者で、現法においても有効な許可を得ている事業者についても対象となり、申請時には食品衛生法に基づく営業許可証もしくは届出書(受領印押印済み)の写しを申請書に添付することが求められます。

くるみん・えるぼし加点

次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく「くるみん認定」を受けている事業者、もしくは女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=くるみん・えるぼし加点)を行います。

引用:小規模事業者持続化補助金 公式HP 第15回受付締切分 公募要領

出典:厚生労働省 くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて

本加点項目は、小規模事業者持続化補助金 第13回公募から追加されました。

くるみん認定とは、次世代育成支援対策推進法に基づいて一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業を「子育てサポート企業」と認定する制度です。

厚生労働大臣に「子育てサポート企業」として認定された企業には、「くるみんマーク」が付与されます。

出典:厚生労働省 女性活躍推進企業認定「えるぼし・プラチナえるぼし認定」

また、「えるぼし認定」とは、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づいて一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良である企業を認定する制度です。

えるぼし認定を受けた企業のうち、より高い水準の要件を満たした企業は「プラチナえるぼし認定」として認められます。

一般事業主行動計画を立てて計画書を作成・公表するのみで条件を満たせる点で、比較的、条件を満たしやすい項目です。ただし、政策加点の⑤一般事業主行動計画策定加点にも該当し選択している場合、重点政策加点分のみ加点されるのでご注意ください。

政策加点

続いて、政策加点について解説します。

賃上げ加点

最低賃金の引き上げが行われる中、それに加えて更なる賃上げを行い、従業員に成長の果実を分配する意欲的な事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=賃上げ加点)を行います。補助事業の終了時点において、事業場内最低賃金が申請時の地域別最低賃金より+30円以上であること。すでに事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30 円以上を達成している場合は、現在支給している事業場内最低賃金より+30円以上とする必要があります。本要件を満たさない場合は、交付決定後であっても、補助金の交付を行わない可能性があります。

引用:小規模事業者持続化補助金 公式HP 第15回受付締切分 公募要領

賃上げの可否は社内の判断によるものなので、状況が許せば実施可能であることから加点申請しやすい項目と言えます。本項目の申請を行う場合、「経営計画書」(様式2)の「加点の付与を希望する」「賃上げ加点」欄にチェック。
※ 賃金引上げ枠を希望した場合は、賃上げ加点が自動的に適用されます。

パワーアップ型加点

以下の類型に即した事業計画を策定している事業者に対して、政策的観点から加点を行います。

地域資源型:地域資源等を活用し、良いモノ・サービスを高く提供し、付加価値向上を図るため、地域外への販売や新規事業の立ち上げを行う計画

地域コミュニティ型: 地域の課題解決や暮らしの実需に応えるサービスを提供する小規模事業者による、地域内の需要喚起を目的とした取組等を行う計画

引用:小規模事業者持続化補助金 公式HP 第15回受付締切分 公募要領

自社の事業計画が上記の類型に該当する場合、加点対象となります。

申請時「経営計画書」(様式2)に地域資源型・地域コミュニティ型いずれかに該当する旨を明記し、認められれば加点されるため、特別な準備期間は要さないという点で加点申請しやすい項目と言えます。

経営力向上計画加点

各受付締切回の基準日(別紙「参考資料」の P.10を参照)までに、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=経営力向上計画加点)を行います。

引用:小規模事業者持続化補助金 公式HP 第15回受付締切分 公募要領

経営力向上計画は、事業分野別指針か基本方針のいずれかに基づいて策定する必要があります。

本項目に申請する場合、「経営計画書」(様式2)の「加点の付与を希望する」「経営力向上計画加点」欄にチェックしてください。あわせて、「認定書」の写しを申請書に添付して提出してください。「認定書」の写しの添付がない場合は、加点対象になりません。

また、基準日までに認定を受けていることが必要です。基準日よりも後に認定を受けた事業者や、認定申請中の事業者は対象となりません。

参照:中小企業庁 経営力向上計画の申請について

事業承継加点

各受付締切回の基準日(同上)時点の代表者の年齢が満60歳以上の事業者で、かつ、後継者候補が補助事業を中心になって行う場合、採択審査時に政策的観点から加点(=事業承継加点)を行います。

引用:小規模事業者持続化補助金 公式HP 第15回受付締切分 公募要領

加点を希望する場合、代表者が地域の商工会・商工会議所と相談の上で商工会・商工会議所が作成・交付する「事
業承継診断票」(様式10)を申請書に添付して提出する、後継者候補の実在確認書類を申請書に添付する、といったことが求められるため、他の項目と比較すると準備に時間を要します。

過疎地域加点

過疎地域という極めて厳しい経営環境の中で販路開拓等に取り組む事業者を重点支援する観点から、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に定める過疎地域に所在し、地域経済の持続的発展につながる取組を行う事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=過疎地域加点)を行います。

引用:小規模事業者持続化補助金 公式HP 第15回受付締切分 公募要領

本項目は小規模事業者持続化補助金においてのみ、加点項目に挙げられています。加点を希望する場合は「経営計画書」(様式2)にチェックを入れるのみなので手続きはシンプルです。

一般事業主行動計画策定加点

従業員 100 人以下の事業者で「女性の活躍推進企業データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者、もしくは従業員100 人以下の事業者で「両立支援のひろば」に次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=一般事業主行動計画策定加点)を行います。
参照:厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」

参照:厚生労働省「両立支援のひろば」

引用:小規模事業者持続化補助金 公式HP 第15回受付締切分 公募要領

本加点項目は、小規模事業者持続化補助金 第13回公募から追加されました。

既述のとおり、重点政策加点の④くるみん・えるぼし加点にも該当し選択されている場合は、重点政策加点分のみ加点されますのでご注意ください。

小規模事業者持続化補助金 申請方法

申請手続きの基本的な流れは、以下のとおりです。

①申請に必要な書類「応募時提出資料・様式集」を確認の上、準備
②補助金事務局等に申請をする前までに、「経営計画書」および「補助事業計画書」(様式2・3)の写し、希望する枠や加点等に関する書類等を地域の商工会・商工会議所窓口に提出の上、「事業支援計画書」(様式4)の作成・交付
③後日、地域の商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書」(様式4)を受領
④受付締切までに必要な提出物(別紙「応募時提出資料・様式集」参照)を全て揃え、補助金事務局に提出

なお、加点項目ごとの申請方法は、以下のとおりです。

赤字賃上げ加点
・経営計画書(様式2:以下同)の「加点の付与を希望する」「赤字賃上げ加点」欄にチェック
・補助事業計画②(様式3:以下同)の「Ⅱ.経費明細表」の「赤字事業者」欄にチェック

事業環境変化加点
・経営計画書の「加点の付与を希望する」「事業環境変化加点」欄にチェック
・同計画書に物価高騰等の影響を受けている内容を記載

東日本大震災加点
・経営計画書の「加点の付与を希望する」「東日本大震災加点」欄にチェック
・食品衛生法に基づく営業許可証もしくは届出書(受領印押印済み)の写しを申請書に添付して提出

くるみん・えるぼし加点
・経営計画書の「加点の付与を希望する」「くるみん・えるぼし加点」欄にチェック
・基準適合一般事業主認定通知書の写しを申請書に添付して提出

パワーアップ型加点
・経営計画書の「加点の付与を希望する」「地域資源型」もしくは「地域コミュニティ型」欄にチェック
・同計画書のパワーアップ型加点欄に地域資源型または地域コミュニティ型の取組を行う計画を記載

経営力向上計画加点
・経営計画書の「加点の付与を希望する」「経営力向上計画加点」欄にチェック
・「認定書」の写しを申請書に添付して提出

事業承継加点
・経営計画書の<応募者の概要>欄の下部の「補助事業を中心になって行う者の氏名」「代表者からみた「補助事業を中心になって行う者」との関係」の項目記入とチェック
・同計画書の「加点の付与を希望する」「事業承継加点」欄にチェック
・同計画書の経営計画本体の「4-2.事業承継の計画」欄について、記載の3項目すべてについて、いずれか一つをチェック。
・代表者が地域の商工会・商工会議所とご相談の上で商工会・商工会議所が作成・交付する「事業承継診断票」(様式10)を申請書に添付して提出。
・代表者の生年月日が確認できる公的書類(自動車運転免許証等。写し可)を申請書に添付して提出。
・後継者候補の実在確認書類を申請書に添付して提出。

過疎地域加点
・経営計画書の「加点の付与を希望する」「過疎地域加点」欄にチェック

一般事業主行動計画策定加点
・経営計画書の「加点の付与を希望する」「一般事業主行動計画策定加点」欄にチェック

小規模事業者持続化補助金は加点項目の該当が多いほど有利!

小規模事業者持続化補助金では、経営計画書・補助事業計画書について、各加点項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択を行います。このため、加点される要素をひとつでも増やすことが審査を有利に進めることとなります。

申請前に書面審査と政策加点審査の項目をしっかりと確認し、自社に有利な計画を策定することがポイントです。

まとめ

今回は、小規模事業者持続化補助金の加点項目について解説しました。

事業再構築補助金やものづくり補助金においても加点は採択に有利となりますが、小規模事業者持続化補助金の場合は評価が高いものから採択されることから加点の重要度がほかより高いと言えます。

申請を検討している場合は早めに準備を始め、採択に向けてひとつでも多くの加点取得を目指してください。

監修佐藤淳 / 公認会計士
中小企業庁認定 経営革新等支援機関 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)の東京オフィスに6年間、シアトルオフィスに2年間勤務。 2015年よりアジア最大級の独立系コンサルティングファームの日本オフィスにて事業戦略の構築支援、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資の業務に従事。 2017年 自身で旅行スタートアップ(Stayway)を立ち上げ資金調達をした経験を生かしながら、補助金・ファイナンス・M&Aのサポートを実施

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