【売り手事業者向け】事業承継・M&A補助金
#補助金クラウド

【売り手事業者向け】会社を譲渡・売却するときに使える補助金とは?事業承継・M&A補助金を解説

公開日 2026/10/01
更新日 2026/10/01
この記事は約15分で読めます。

※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。


こんにちは!補助金クラウド編集部です。

事業承継・M&A補助金は、 中小企業や小規模事業者の事業承継やM&Aを支援するため、国が実施している補助制度です。

売り手側・買い手側向けの申請類型が用意されており、売り手側は、専門家活用枠の「売り手支援類型」「小規模売り手支援類型」を利用できます。

事業承継・M&A補助金の補助率や上限額・対象経費は、類型や指定の要件をクリアできるかどうかで異なります。

本記事では「自社が対象になるか」「どのくらい補助を受けられるか」などで迷いがちな売り手側の事業者に対し、制度の仕組みや選び方のポイントを詳しく解説します。

事業承継・M&A補助金とは

ここではまず、事業承継・M&A補助金の概要やスケジュールについて詳しく見ていきましょう。

中小企業の第三者承継(M&A)を国が支援する制度

事業承継・M&A補助金は、中小企業や小規模事業者、個人事業主が、事業承継やM&Aを行う際に生じる経費の一部を補助する制度です。

 

後継者不在に悩む経営者の事業の引き継ぎや事業再編、事業統合を契機とした新しい挑戦を後押しし、地域経済の活性化や雇用の維持、創造を図ることを目的としています。

 

売り手支援類型(Ⅱ型)の対象となるのは、地域経済に一定の役割を果たしている事業を運営しており、その事業が事業再編や事業統合によって第三者に引き継がれた後も継続すると見込まれる中小企業です。

 

自社の事業を譲渡するだけでなく、譲渡後も地域での雇用や事業活動が維持される見通しがあることが、申請時に確認されるポイントになります。

 

この類型に採択されると、M&A仲介会社やファイナンシャル・アドバイザーへの手数料など、M&Aを進める過程で発生する専門家費用の一部について補助を受けることが可能です。

申請から補助金受け取りまでの全体スケジュール

公募回ごとに予定時期は変動しますが、16次公募におけるスケジュールを一例として示すと、以下のような流れで手続きが進行します。

スケジュール

内容

公募申請受付
(2026年10月2日〜2026年11月6日)

申請書類を準備し、電子申請を行います。

採択日
(2026年12月下旬以降予定)

事務局および審査委員会による資格・書面審査を経て、採択者が決定されます。

交付申請
(2027年1月上旬〜2027年11月中旬予定)

採択後に具体的な補助事業計画を申請します。

交付決定
(2027年1月下旬以降順次予定)

交付決定通知書を受理します。

補助事業実施期間
(交付決定日〜2028年3月中旬予定)

期間内に専門家との契約や、M&Aに関わる手続きを実施します。

実績報告期間
(2027年6月上旬〜2028年3月下旬予定)

事業完了後、発生した経費の証憑類を揃えて実績報告書を提出します。

補助金交付手続き
(2027年10月上旬以降順次予定)

報告内容の検査が終了し、確定した補助金額を精算払いとして受け取ります。

出典:令和7年度補正予算 – 事業承継・M&A補助金


申請における注意点は、契約や発注などの手続きは交付決定通知書を受理した後にすることです。交付決定より前に専門家と締結したアドバイザリー契約や支払った費用は、原則として補助対象経費には認められません。

また、補助金の申請は国が運営する電子申請システムであるJグランツでのみ受け付けられます。

アカウントの申請から発行までには通常1週間から2週間程度、申請が混雑している時期には3週間程度必要となる場合があるため、早めにGビズIDプライムアカウントを取得しておきましょう。

売り手事業者が利用できる2つの申請類型と対象者

本補助金において、売り手事業者が利用できるのは、専門家活用枠「売り手支援類型(Ⅱ型)」および「小規模売り手支援類型」です。

申請類型の違いや対象者について詳しく解説します。

売り手支援類型(Ⅱ型):中規模M&Aを検討する中小企業向け

項目

内容

補助上限額

600万円

補助率

補助対象経費の 1/2 または2/3(※) 以内

補助下限額

50万円

廃業費の上乗せ上限額

300万円

DDにかかる費用の上乗せ上限額

200万円

対象経費例

謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料、廃業費など

(※)物価高による利益率低下の計算書や、赤字を証明するための損益計算書などの財務書類を申請時に提出する場合

出典:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A 補助金専門家活用枠【買い手支援類型 売り手支援類型】【公募要領】16 次公募Ver.1.0


売り手支援類型(Ⅱ型)は、事業再編や事業統合に伴って株式や経営資源を譲り渡す予定の中小企業者や個人事業主を対象とした申請類型です。

後継者不在の解消や経営力強化を目的とした事業再編や事業統合において、専門家を活用する際の費用負担を軽減するために設けられました。

中小企業基本法に基づき、以下の資本金または従業員数のいずれかを満たす会社・個人事業主が対象となります。

業種

基準

製造業、建設業など

資本金3億円以下または常時使用する従業員数300人以下

卸売業

資本金1億円以下または常時使用する従業員数100人以下

小売業

資本金5,000万円以下または常時使用する従業員数50人以下

サービス業

資本金5,000万円以下または常時使用する従業員数100人以下

出典:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A 補助金専門家活用枠【買い手支援類型 売り手支援類型】【公募要領 】16 次公募Ver.1.0


本類型で申請を行う場合、法人は申請時点で設立登記および3期分の決算および申告が完了していることが求められます。

一方、個人事業主は、個人事業の開業届出書および所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出した日から5年が経過しており、直近3期分の確定申告の実績を証明することが必要です。

専門家活用枠(小規模売り手支援類型):15次から新設された小規模事業者向け

項目

内容

補助上限額

450万円

補助率

補助対象経費の2/3 以内

補助下限額

なし

廃業費の上乗せ上限額

150万円

対象経費例

謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料、廃業費 など

出典:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A 補助金専門家活用枠【小規模売り手支援類型】【公募要領】16次公募Ver.1.0


小規模売り手支援類型は、小規模事業者におけるM&Aを促進するために15次公募から新しく設けられた申請類型です。

対象となる中小企業者は、中小企業基本法に準じた、以下の規模の基準を満たす必要があります。

 

業種

基準

製造業その他

従業員の数が20人以下の会社及び個人事業主

卸売業・小売業・サービス業

従業員の数が5人以下の会社及び個人事業主

サービス業のうち宿泊業・娯楽業

従業員の数が20人以下の会社及び個人事業主

出典:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A 補助金専門家活用枠【小規模売り手支援類型】【公募要領】16次公募Ver.1.0


実績に関する基本要件は、売り手支援類型と同様です。申請を希望する場合は、法人における設立3期以上の決算および申告完了の要件や、個人事業主における開業から5年経過の要件などを満たさなければなりません。

なお上記の基準を満たす場合でも、以下のケースに該当する場合は補助の対象外となります。

  • 資本金や出資金が5億円以上の法人から直接または間接に100%の株式を保有されている
  • 直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える
  • 大企業が株式の一定割合以上を所有しているなど、みなし大企業に該当する
  • 社会福祉法人、医療法人、学校法人、各種社団・財団法人、農事組合法人、各種組合、法人格のない任意団体

売り手事業者の補助対象経費

事業承継・M&A補助金では、M&Aによる会社や事業の譲渡を円滑に進めるために支出したさまざまな経費が補助対象として認められます。

具体的にどのような費用が対象になるのか、費目ごとに詳しく見ていきましょう。

参考:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A 補助金専門家活用枠【買い手支援類型 売り手支援類型】【公募要領】16次公募Ver.1.0

参考:中小企業生産性革命推進事業事業承継・M&A 補助金専門家活用枠【小規模売り手支援類型】【公募要領】16次公募Ver.1.0

仲介手数料やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)費用

M&Aを進めるにあたって仲介業者やファイナンシャル・アドバイザーに支払う手数料は、「委託費」という経費区分で補助の対象となります。

以下のような費用が発生した場合は、補助対象として申請することが可能です。

  • アドバイザリー契約に基づいて支払われる着手金
  • 月額報酬であるリテーナー費用
  • 承継候補先の選定やアプローチにかかるマーケティング費用
  • 基本合意時に発生する基本合意時報酬
  • 株式や事業の価値を評価するために支払う価値算定費用
  • 成約時に支払う成功報酬など

ただし、仲介・FA費用を補助対象経費として計上するためには、「M&A支援機関登録制度」に登録された登録FA・仲介業者を利用することが必要です。

さらに、同一の専門家・業者から複数の業務を併せて依頼・見積取得する場合は、内訳金額が分かる見積書を作成してもらうことも要件となっています。

その他の補助対象経費

手続きの各段階で発生する様々な専門家費用や実費も、本制度の補助対象です。

M&Aの手続きや準備に関連する、以下のような費用を補助対象として申請できます。

  • 弁護士へ最終契約書等の作成やレビューを委託する費用
  • 契約締結に伴う手続き費用
  • 不動産の売買や定款変更、根抵当権の解除などに伴い司法書士へ支払う登記費用
  • 行政書士へ委託する許認可等の申請費用
  • 社会保険労務士へ支払う労務関連の手続き費用
  • 士業や大学教授などの専門家から助言を受けた際に支払う謝金
  • 事業を実施するために必要な出張に係る旅費
  • 表明保証保険の保険料
  • システム利用料(M&Aマッチングプラットフォームを利用する際の登録料や利用料、成約手数料など)

これらの経費についても原則として相見積の取得が必要です。

特に外注費、委託費、システム利用料、保険料については、1件あたりの金額が50万円未満であっても相見積または1社からの見積取得が必要となります。

一部事業を畳む場合の「廃業費」

M&Aに伴って自社の一部事業所や既存事業を廃止・集約する場合には、廃業費を補助対象経費として併用申請できます。

以下の費目は、廃業費として計上することが可能です。

  • 事業の解散や清算に伴う登記手続きを司法書士に委託する廃業支援費
  • 所有していた建物や設備機器を撤収するための解体費
  • 借りていた土地や店舗を返却する際の原状回復費
  • リースの解約に伴う解約金や違約金(ファイナンスリース取引を除く)
  • 土地の使用地歴調査や汚染範囲の確認にかかる土壌汚染調査費(対策工事費用を除く)
  • 設備や機械等を移転・移設するための移転・移設費など

ただし、商品在庫を売却して対価を得る場合の処分費や、「ファイナンスリース」取引の解約金、土壌汚染の「対策工事費用」などは補助対象外です。

DD費用

DD(デュー・ディリジェンス)費用は、対象企業のリスク等を精査するために実施される調査費用であり、委託費の一部として補助対象になります。

万が一補助事業期間内にM&Aが成約に至らなかった場合であっても、基本合意書が締結されている状況であれば、DD費用は補助対象経費として申請可能です。

一般的には、DDは買い手側が売り手企業に対して実施します。

売り手側が自社のリスク洗い出し・企業価値の適正な把握を目的として実施することも可能ですが、事務局から質問や追加資料の依頼があるかもしれません。支援実態を適切に証明できるよう、準備しておきましょう。

全国:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金/15次公募
事業承継・M&A補助金は、事業承継を契機として新しい取り組み等を行う中小企業等及び、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業等を支援する制度です。※16次公募:全枠実施

【どちらを選ぶ?】売り手向け申請類型の違い

項目

売り手支援類型(Ⅱ型)

小規模売り手支援類型

主な対象者

中小企業者および個人事業主全般

常時使用する従業員数が一定以下の小規模事業者等

補助上限額

600万円(DDを実施する場合は+200万円)

450万円

補助率

補助対象経費の1/2または2/3(※)以内

補助対象経費の2/3以内

補助下限額

50万円

なし

M&Aが未成約だった場合の減額幅

上限300万円以内(補助対象はDD費用およびシステム利用料)

50万円(補助対象は着手金・システム利用料・DD費用)

廃業費の上乗せ額

300万円

150万円

(※)物価高による利益率低下の計算書や、赤字を証明するための損益計算書などの財務書類を申請時に提出する場合

売り手事業者が事業承継・M&A補助金を申請する際には、通常の売り手支援類型(Ⅱ型)と、小規模事業者向けに新設された小規模売り手支援類型の違いを理解した上で選択することが大切です。両者の制度上の主な違いについて、比較しながら解説します。

補助上限額

項目

売り手支援類型(Ⅱ型)

小規模売り手支援類型

補助上限額

600万円(DDを実施する場合は+200万円)

450万円

売り手企業が支払う仲介手数料やFA費用、成功報酬の予算規模に応じて、どちらの類型を選ぶべきかは変わります。

通常枠である売り手支援類型(Ⅱ型)の補助上限額は、600万円以内と大きく設定されています。譲渡金額が比較的大きく、仲介会社へ支払う成功報酬などが高額になる見込みの企業に向いているといえるでしょう。

一方で、小規模売り手支援類型の補助上限額は450万円以内です。しかし、専門家費用が数百万円程度に収まる見込みの小規模なM&Aであれば、十分な支援額となります。

想定しているM&Aの手数料や予算の規模に合わせて選択しましょう。

補助率

項目

売り手支援類型(Ⅱ型)

小規模売り手支援類型

補助率

補助対象経費の1/2または2/3(※)以内

補助対象経費の2/3以内

(※)物価高による利益率低下の計算書や、赤字を証明するための損益計算書などの財務書類を申請時に提出する場合


小規模売り手支援類型は、事業の損益状況にかかわらず一律で2/3以内の補助率が適用されます。

費用に対する補助の割合が高く設定されているため、資金力に余裕が少ない小規模事業者でも負担を軽減して専門家を活用できます。

売り手支援類型(Ⅱ型)の補助率は、原則として1/2以内です。補助率を2/3以内に引き上げるためには、直近期の営業利益率低下や赤字を証明する財務書類を提出しなければなりません。

黒字経営を行っている企業や、財務要件の証明手続きに手間をかけず最初から高い補助率を受けたい小規模事業者は、小規模売り手支援類型の方がメリットは大きいでしょう。

補助下限額

項目

売り手支援類型(Ⅱ型)

小規模売り手支援類型

補助下限額

50万円

なし

少額の専門家費用でM&Aを進める企業にとって、補助下限額の有無は選択の大きな基準となります。

売り手支援類型(Ⅱ型)には50万円の補助下限額が設けられているため、補助額の算出結果が50万円未満となる場合は利用できません。

これに対して小規模売り手支援類型では補助下限額がなく、M&Aマッチングプラットフォームの利用料や少額の着手金といった支出であっても申請が可能です。

計算上の補助額が50万円に届かない可能性がある企業は、小規模売り手支援類型を選択しましょう。

M&Aが未成約(不成立)だった場合の減額幅

項目

売り手支援類型(Ⅱ型)

小規模売り手支援類型

M&Aが未成約だった場合の減額幅

300万円(補助対象はDD費用のみ)

50万円

補助事業期間内に成約しなかった場合、売り手支援類型(Ⅱ型)の補助上限額は300万円以内に減額されます。ただし対象となるのは、原則としてDD費用とシステム利用料のみです。

とはいえ売り手が自らDDを行うケースはまれであるため、不成立時の費用の救済はほぼ見込めないことになります。

一方、小規模売り手支援類型の未成約時の上限額は50万円です。ただしDD費用・システム利用料以外に、着手金なども補助対象として認められます。

万が一の破談時における自己負担リスクを軽減してM&Aの準備を進めたい企業には、小規模売り手支援類型が安心できる選択肢となります。

廃業費の上乗せ額

項目

売り手支援類型(Ⅱ型)

小規模売り手支援類型

廃業費の上乗せ額

300万円

150万円

売り手支援類型(Ⅱ型)では、建物の解体費や原状回復費などの廃業費を最大300万円まで上乗せして申請することが可能です。一方、小規模売り手支援類型における廃業費の上乗せ上限額は150万円に留まります。

大きな拠点の撤去や多額の処分費用を見込んでいる企業は、通常枠の売り手支援類型(Ⅱ型)が適しています。

まとめ

事業承継・M&A補助金は、会社を売却するときだけでなく、M&Aの専門家への相談や仲介などにかかる費用にも活用できます。

小規模企業を対象とした枠も用意されているため、自社の状況に合った制度を選ぶことが大切です。

補助率や補助上限額、対象となる経費、申請条件などは、申請枠によって異なります。事業規模やM&Aの目的、必要な支援内容を踏まえて制度を比較し、自社に適した枠を見極めましょう。

事業承継・M&A補助金のご相談はこちら。

当社は、経済産業省・中小企業庁に認定されている経営革新等支援機関です。フォームからご登録いただければ、最短翌営業日の対応が可能な無料相談も実施しております。まずはお気軽にお問い合わせください。

監修Stayway / メディア事業部
日本国内の補助金の獲得から販路開拓・設備投資を一貫して支援。 中小企業庁認定 経営革新等支援機関

運営からのお知らせ