2025年 建物費・賃借料などに使える補助金まとめ

公開日 2025/10/17
更新日 2025/10/17
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※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

 

事業の立ち上げや拡大において、建物の整備や賃貸にかかるコストは大きな負担になりがちです。その負担の軽減に向けて、建物費や賃借料など、建物に関連する費用が対象経費になっている補助金の活用をおすすめします。

 

「建物費」とは、建設・購入・大規模改修などにかかる費用のこと。「賃借料」は、オフィスや店舗などを借りる際に発生する家賃やレンタル料などのことです。

 

この記事では、建物費や賃借料など、建物に関連する費用が対象経費になっている補助金や助成金をご紹介します。

【全国】建物費に使える補助金3選

全国の企業や団体を対象に、建物の新築・改修・取得・撤去などにかかる費用(建物費)を補助対象としている主な制度を紹介します。

 

地域を問わず申請可能なため、新拠点の設置や事業所の改装を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。

中小企業新事業進出支援補助金

中小企業新事業進出支援補助金とは、新たな分野での事業展開を目指す中小企業などを対象に、設備投資や建物整備を支援する制度です。

 

既存の顧客層と異なる新たな製品・サービスを提供する新規事業において、必要不可欠と認められる工場・事業所の新設や改修などにかかる建物費を補助対象としています。

 

また、補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費や専ら補助事業のために使用される建物に付随する構築物の建設に要する経費も対象となります。

 

建物の単なる購入や賃貸は対象外となりますのでご注意ください。

 

補助率

1/2

補助金額

750万円~7,000万円


※賃上げ特例の適用による補助上限額の引上げを受ける事業者の場合は最大9,000万円

主な要件


新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であり以下、基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと(新事業進出の定義は新事業進出指針の手引きをご覧ください。)



・補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(または従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること


・1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における

最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加


・補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業場内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること


・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等 など

対象経費

機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費

申請期間

第1回公募終了、第2回以降のスケジュール未定

新事業進出支援補助金では、「機械装置・システム構築費」または「建物費」のいずれかが、補助対象経費に必ず含まれている必要があります。

 

参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業新事業進出促進補助金 公募要領(第1回)

掲載ページ:中小企業新事業進出補助金 資料ダウンロード

中小企業成長加速化補助金

中小企業成長加速化補助金とは、将来的に売上高100億円規模を目指す中小企業の大胆な投資を支援することで、稼ぐ力の底上げや地域経済への好循環を促進することを目的とした補助金です。

 

この補助金には、経費の対象区分として建物費が含まれています。

 

補助率

1/2

補助金額

上限5億円

主な要件

・補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜き)であること


・補助金の公募の申請時までに補助事業者の100億宣言が100億宣言ポータルサイトに公表がされていること


・一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画を策定すること


・日本国内において補助事業を実施すること

対象経費

建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費

申請期間

1次公募終了、2次以降のスケジュール未定

補助対象となる経費は、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を含むものであり、本事業の対象として明確に区分できるものである必要があります。

 

参照:中小企業成長加速化補助金事務局 中小企業成長加速化補助金(1次公募) 公募要領

掲載ページ:100億企業成長ポータル

大規模成長投資補助金

大規模成長投資補助金とは、中堅・中小企業の人手不足などの課題に対応した大規模投資を促進し、地域の雇用を支えながら地方での持続的な賃上げを実現することを目的とした制度です。

 

大規模成長投資補助金の補助対象には、建物費も含まれています。

 

補助率

1/3以下

補助金額

上限50億円

主な要件

・投資額が税抜き10億円以上(外注費・専門家経費を除く補助対象経費分)であること


・賃上げ要件を達成すること など

対象経費

建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費

申請期間

4次公募:令和7年7月7日(月)~令和7年8月8日(金)17時まで

中小企業成長加速化補助金と同様に、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を含むものであり、本事業の対象として明確に区分できるものが対象経費となります。

 

参照:中堅・中小成長投資補助金事務局 大規模成長投資補助金 公募要領(4次公募)

掲載ページ:経済産業省 中堅・中小成長投資補助金 資料ダウンロード

【東京都】建物の賃借料や整備費などに使える助成金4選

建物関連の経費に使えるのは、全国向けの制度だけではありません。

 

ここでは東京都内の企業などが使える、建物の賃借料や整備費などが対象経費に含まれる助成金をご紹介しましょう。

女性の活躍推進助成金

女性の活躍推進助成金とは、東京都内の中小企業が女性の新規採用・職域拡大を目的に、女性専用設備の整備を行う際、その費用を助成する制度です。

 

土地や建物の賃借に活用し、女性の働きやすさの向上につなげましょう。

 

助成率

2/3

助成金額

上限500万円

主な要件

・都内で事業を営んでいる中小企業等であること


・都内に勤務する常時雇用する労働者を、2人以上かつ申請日時点で6か月以上継続して雇用していること


・都税の未納付がなく、過去5年間に重大な法令違反等がないこと など

対象経費

工事請負費、消耗品費、役務費、賃借料

申請期間

来所予約受付:令和7年5月8日(木)~令和7年12月15日(月)

書類提出期間:令和7年5月8日(木)~令和7年12月22日(月)

※事前に来所日を電話予約した上で支給申請書類の提出が必要です。

具体的な対象経費の例として、トイレ・休憩室・仮眠室・更衣室・ベビールームの整備にかかる工事費などがあげられます。

 

対象経費の用途には注意事項がございますので、興味ある方は公募要領か専門家へご相談ください。(例:トイレの設置数は、新規採用計画数を上限)

 

参照:公益社団法人東京しごと財団 令和7年度 女性の活躍推進助成金 募集要項 

掲載ページ:公益社団法人東京しごと財団 雇用環境整備事業 令和7年度「女性の活躍推進助成金」

創業助成金

創業助成金とは、都内における創業者や創業5年未満の個人・法人を支援するため、創業初期に必要な経費の一部を助成する制度です。

 

創業助成金は、事業に使う建物の賃借に活用できます。

 

助成率

2/3以内

助成金額

100万円~400万円

※事業費および従業員人件費を対象に含める場合は上限300万円、委託費を対象に含める場合は上限100万円

主な要件

・納税地と主たる事業所等が都内に実在しており、都内の 主たる事業所等において実質的に事業が行われていること


・特定の創業支援事業などを利用していること など


申請要件は20パターンあり、そのうち1つを満たせば申請可能

(詳細はこちら:https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/youken/)

対象経費

賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費、市場調査・分析費

申請期間

第2回:令和7年9月29日(月)10時00分~令和7年10月8日(水)23時59分

助成対象経費となる賃借料は、助成事業の遂行に必要な都内の不動産(事務所、店舗、駐車場など)や器具備品等のリース・レンタル料です。

 

具体的には、コワーキングスペースやレンタルオフィスの利用料、業務用に使うサーバーのレンタル費用などが該当します。

 

申請要件の一つは、あらかじめ定められた創業支援事業のいずれかの利用です。

 

東京都中小企業制度融資(創業融資)の利用やスタートアップ向けのプログラムの受講など、支援事業ごとの条件を満たすことも求められます。

 

参照:公益財団法人東京都中小企業振興公社 令和7年度第2回創業助成事業【募集要項】

掲載ページ:公益財団法人東京都中小企業振興公社 TOKYO創業ステーション 創業助成事業

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)とは、東京都内の中小企業等が、経営基盤の強化に向けた設備導入や環境整備を行う際に、その費用の一部を助成する制度です。

 

助成対象には、機械設備やシステム構築費のほか、不動産賃借料も含まれています。

 

助成率

2/3以内


※賃金引上げ計画を策定し実施した場合

・中小企業者は3/4以内

・小規模企業者は4/5以内

助成金額

上限800万円

主な要件

・都内の中小企業者であること


・直近決算期において損失を計上しているなどの条件を満たしていること


・事業税等を滞納(分納)していないなどの条件を満たしていること など

対象経費

原材料・副資材費 、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権出願・導入費、規格等認証・登録費、設備等導入費、システム等導入費、専門家指導費、不動産賃借料、販売促進費、その他経費

申請期間

第2回まで募集終了

第3回:令和7年9月1日(月)~9月12日(金)16時まで

第4回:令和7年11月4日(火)~11月14日(金)16時まで

第5回:令和8年1月5日(月)~1月14日(水)16時まで

第6回:令和8年3月2日(月)~3月13日(金)16時まで

助成対象となる不動産賃借料は、都内での助成事業の遂行に必要な事務所・店舗・倉庫などの賃料、借りる際に要する経費です。

 

レンタルオフィスやシェアオフィスも、専有部分が明確であれば対象になり得ます。

 

一方で、敷金・礼金・保証金、事業スペースと居住スペースが物理的に区分されていない兼用物件、バーチャルオフィスなどは対象外です。

 

参照:公益財団法人東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業 【助成金 募集要項(一般コース)】 (令和7年度第2回)

掲載ページ:公益財団法人東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース) 

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業/商店街起業・承継支援事業

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業と商店街起業・承継支援事業は、若手や女性による商店街での起業・事業承継を後押しするための制度です。

 

店舗の賃借料や、営業開始に向けた新装・改装工事費も助成対象に含まれており、初期費用の負担を大きく軽減できます。

 

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

商店街起業・承継支援事業

補助率

3/4

2/3

補助金額

事務所整備費:上限400万円

店舗賃借料:10万~15万円/月

事務所整備費:上限250万円

店舗賃借料:10万~15万円/月

主な要件

・女性または令和8年3月31日時点は39 歳以下の男性であること など

・交付決定日から1年以内に開業(開店)すること など

対象経費

店舗新装・改装工事費、設備・備品購入費、宣伝・広告費、店舗賃借料

申請期間

第2回まで募集終了

第3回:令和7年9月18日(木)~10月9日(木)※令和8年2月1日以降開業の方

どちらも東京都が実施する制度ですが、対象者や助成額に違いがあります。両制度とも、補助対象経費は共通しており、店舗の賃借料や新装・改装工事費も対象です。

 

たとえば、商店街で新たに借りる店舗の家賃や内装の改修、照明や壁面の変更に伴う備品の購入や工事費用なども助成の対象になります。

 

参照:公益財団法人東京都中小企業振興公社 令和7年度【若手・女性リーダー応援プログラム助成事業】 【商店街起業・承継支援事業】 <募集要項> 

掲載ページ:公益財団法人東京都中小企業振興公社 都内商店街での開業助成金

【東京都以外】建物費や建物関連の費用に使える補助金・助成金3選

東京都以外の地域で利用できる、建物費や建物に関わる費用を対象とした補助金・助成金を3つご紹介します。

 

ここで紹介する制度以外にも、会社の事業エリアで使える補助金・助成金がないか、管轄の自治体の公式サイトなどをご確認ください。

青森県:働きやすい職場環境整備事業に対する助成

八戸市では、働きやすい職場環境整備事業に対する助成を行っています。

 

多様なじんざいの活躍促進又は育児と仕事の両立支援に資する設備・整備に対しての取り組みが補助対象となります。

 

助成率

助成対象経費の30/100

助成金額

上限500万円

主な要件

・中小企業者に該当すること


・市内に主たる事業所を有していること


・市税を滞納していないこと など

対象経費

建物費、設備備品費、専門家経費、その他経費

申請期間

令和7年6月27日(金)~令和7年8月12日(火)まで

この助成金では、店舗や事務所の新築・増築・改修工事にかかる費用が対象となります。建物の賃貸料・中古物件の購入費は助成対象外です。

 

参照:八戸市 商工労働まちづくり部 商工課 令和7年度 働きやすい職場環境整備事業に対する助成 募集要項

掲載ページ:八戸市 【中小企業振興条例】働きやすい職場環境整備事業に対する助成

福井県:収益力強化事業補助金

福井県が実施する収益力強化事業補助金は、物価高騰などの経営環境の変化に対応する中で付加価値向上に取り組む中小企業を支援する制度です。

 

設備導入や店舗改修など、事業の生産性向上につながる費用が補助対象となります。

 

補助率

通常枠:2/3(※3/4)

前向き枠:2/3(※3/4)

大規模賃金引上枠:3/4(※4/5)


※県広報への協力の同意および発注者目線での取組事例を提出し審査で認められた場合

補助金額

通常枠:100万円

前向き枠:200万円

大規模賃金引上枠:300万円

主な要件

・商工会・商工会議所の会員であり、付加価値を高めるための事業計画を商工会・商工会議所と一体となって作成していること


・補助事業終了後3年間において、申請枠ごとに定められた付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費の合計)を増加する計画を策定すること など

対象経費

建物費、機械装置・システム構築費、専門家経費、原材料費、外注費、広報費、印刷製本費、研修費等

申請期間

令和7年6月23日(月)~令和7年8月1日(金)

補助対象となる建物費には、事務所や店舗、工場などの改修や原状回復、移転、解体、老朽化した建物の撤去といった工事費用等が含まれます。

 

収益力強化事業補助金には3つの申請枠があり、枠ごとに補助上限額や対象要件が異なるため、自社の事業内容に合った枠を選択することが重要です。

 

参照:福井県商工会連合会 第6回企業活動分析による収益力強化事業補助金の募集について

山形県:大江町創業支援事業補助金

山形県の大江町が実施する創業支援事業補助金は、大江町内で新たに創業する個人や法人が、オフィスや設備等の初期投資にかかる経費の一部を助成する制度です。

補助率

新規創業:2/3以内

第2創業:1/2以内

補助金額

上限100万円

※45歳未満の場合は150万円

主な要件

・本補助金申請時点で創業開始前であり、かつ、3年以上継続して事業経営できる者


・町内に住所及び事業所を有する個人や法人等またはは、当該事業完了日までに町内に住所を異動する個人等


・大江町商工会から創業に関する指導を3回以上受けた者 など

対象経費

ハード整備費用(工事費、設備購入費)、ソフト整備費用(設計費、広告費、その他)

申請期間

2次募集:令和7年6月4日(水)~令和7年9月30日(火)

創業支援事業補助金では、建物に関する補助対象経費として工事費や設計費があります。

 

具体的には、建物等の内外装工事および設備設置等に係る費用、建築物の改修・整備に係る費用、建築物等の設計に係る費用が補助対象です。

 

参照:大江町 令和7年度大江町創業支援事業補助金交付要綱

参照:大江町 別表2(交付要綱第4条第1項に関係)

掲載ページ:大江町 創業支援事業補助金の2次募集を行います

補助金・助成金を建物費などに活用する際の確認ポイント

建物費や建物に関連する費用に補助金・助成金を使いたい場合、制度ごとに要件が異なるため、次のような点を事前に確認しておくことが大切です。

  • 建物のどの費用までが対象か
  • 相見積もりの必要性はあるか
  • 対象になる着工時期はいつからか

制度によっては、「建物の取得費は対象外だが内外装工事費は対象」「建物に付随する設備費は対象外」など、対象経費の範囲が細かく定められていることがあります。補助金の対象となる費用がどこまでか、必ず確認しましょう。

 

特に「建物費」については、2社以上からの相見積もりを求められるケースが多いため、見積取得の要件も公募要領で事前にチェックしておく必要があります。

 

また、ほとんどの補助金は「交付決定前に契約・着工した場合は対象外」となりますので、スケジュールに十分注意しましょう。

まとめ

建物の新装・改装工事費や賃借料などに活用できる補助金制度を紹介しました。

 

制度ごとに対象経費や申請条件が異なるため、導入予定の事業内容に合った補助金を選び、募集要項をよく確認したうえで計画的に申請を進めましょう。

Stayway / メディア事業部
監修Stayway / メディア事業部
日本国内の補助金の獲得から販路開拓・設備投資を一貫して支援。 中小企業庁認定 経営革新等支援機関

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