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【最大800万円】事業環境変化に対応した経営基盤強化事業とは?助成対象の取組や経費など徹底解説

公開日 2024/10/25
更新日 2025/05/12
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※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

コロナ禍を経て、企業をとりまく事業環境は大きく変化しました。この変化に適応しようとする中小企業への支援策のひとつとして「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」があります。

 

令和6年度において「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」として実施していた事業で、令和7年度は名称やコースを変更して実施します。

 

年度内に複数回の公募を行う予定で、対象経費の幅が広く、助成限度額が比較的高額であることなどから注目度の高い事業です。

 

そこでこの記事では、「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」の助成対象となる取組や経費、申請方法などについて解説します。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業とは

ポストコロナ等における事業環境の変化を課題と捉え、その対応策として、事業者が創意工夫のもと行う「これまで営んできた事業の深化または発展」に必要な経費の一部を助成する事業です。

令和7年度では、以下2つのコースに分けて公募を行います。

・一般コース

・小規模事業者向けアシストコース

 

以降の項目で、各コースの詳細を解説します。

 

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース) 公式HP

 

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(小規模事業者向けアシストコース) 公式HP

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)

一般コースは、事業者が創意工夫のもと「これまで営んできた事業の深化または発展」に取り組み、その取り組みが経営基盤の強化につながる場合に、当該取り組みに必要な経費の一部を助成する制度です。

対象事業

本事業の対象となる取り組みは、既存事業の「深化」と「発展」の2つに分かれます。各取り組みの具体例は、次のとおりです。

既存事業の「深化」

既存事業の深化とは、経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業自体の質を高めるための取組を指します。

<具体例>

・高性能な機器、設備の導入等による競争力強化の取組

・既存の商品やサービス等の品質向上の取組

・高効率機器、省エネ機器の導入等による生産性の向上の取組

 

既存事業の「発展」

既存事業の発展は、経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業を基に、新たな事業展開を図る取組を指します。

<具体例>

・新たな商品、サービスの開発
・商品、サービスの新たな提供方法の導入
・その他、既存事業で得た知見等に基づく新たな取組

 

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース) 公式HP

助成対象者

本事業の助成対象者は、申請要件を満たす、東京都内で事業を行う中小企業者(個人事業主を含む)です。

主な要件として、都内の中小企業者で大企業が実質的に経営に参画していないこと、本事業で1 度も交付決定を受けていないまたは申請中でないことなどが挙げられます。

 

また、申請受付開始日時点で下記ア・イ・ウのいずれかに該当することも必要です。
ア 直近決算期の売上高が、「2023 年の決算期以降のいずれかの決算期」と比較して減少していること
イ 直近決算期において損失を計上していること
ウ 米国関税措置による影響により、次期決算期の売上高が、直近決算期の売上高と比較して減少することを見込んでいること
※「2023 年決算期」とは、決算月が 2023 年1月~12 月に属する決算期とする。
(例)決算月が 12 月の場合は 2023 年1月~12 月
   決算月が3月の場合は 2022 年4月~2023 年3 月

※直近の決算期が 2024 年の場合、売上高が 2023 年の決算期と比較して減少している、又は2024 年の決算期で損失を計上している場合が要件に該当します。

 

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)募集要項
参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース) 公式HP

助成対象経費

対象経費は、既存事業を深化・発展させるために直接必要となる以下の経費のうち、審査で認められたものです。

・原材料・副資材費

機械装置・工具器具費

委託・外注費

産業財産権出願・導入費

・規格等認証・登録費

・設備等導入費

・システム等導入費

・専門家指導費

・不動産賃借料

・販売促進費

・その他経費

 

※委託・外注費のうち、市場調査費のみの申請はできません。また、専門家指導費、販売促進費、その他経費のみの単独申請もできません。

 

※販売促進費は、既存事業の「発展」による新たな商品・サービス等の販売促進経費についてのみ申請可能です。 

 

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)募集要項
参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース) 公式HP

助成限度額・助成率

本コースの助成限度額・助成率は、次のとおりです。

助成限度額:800万円

助成率:助成対象経費の3分の2以内

※賃金引上げ計画を策定し実施した事業者:4分の3以内(うち、小規模事業者は5分の4以内)

 

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース) 公式HP

申請受付期間

本事業は、令和7年5月12日時点で第6回までの日程を公表しています。ただし、予算の都合等により、予告なく募集予定を変更する場合がありますのでご注意ください。

第1回:令和7年5月2日から5月14日まで
第2回(予定):令和7年7月1日から7月14日まで
第3回(予定):令和7年9月1日から9月12日まで
第4回(予定):令和7年11月4日から11月14日まで
第5回(予定):令和8年1月5日から1月14日まで
第6回(予定):令和8年3月2日から3月13日まで

※令和6年度「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業(経営改善計画策定による経営基盤強化支援)(一般コース)」の交付決定を受けた事業者は、令和7年度「~中小企業・小規模企業向け~事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」の一般コースおよび、小規模事業者向けアシストコースのどちらにも申請できません。

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース) 公式HP

申請方法

申請方法は、デジタル庁が運営する電子申請システムjGrants(J グランツ)を利用した電子申請のみです。

jGrantsを利用するには「GビズID」でアカウント(gBizIDプライム)を事前に取得する必要があります。

 

申請の際はjGrants にログインし、必要事項を入力するとともに、申請書類及び必要書類をアップロードしてください。

参照:新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業 募集要項
掲載ページ:新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業 公式HP

審査方法

審査方法は、書類審査・面接審査の2段階あります。書類審査を通過した場合、面接審査の実施日・実施場所等をメールにて通知します。面接日程の変更はできないのでご注意ください。

(1)書類審査
申請書の内容について、専門家が以下の視点で審査を行います。
【審査の視点】
・発展性(既存事業の深化・発展に資する取組か)
・市場性(ポストコロナ等における事業環境の変化前後の市場分析は十分か)
・実現性(取り組むための体制は整っているか)
・優秀性(事業者としての創意工夫、今後の展望はあるか)
・自己分析力(自社の状況を適切に理解しているか)

 

なお、審査の結果、一定水準に到達せず不採択となった場合は不採択通知
を送付します。


(2)面接審査
申請書の内容に基づき、専門家による面接審査を行います。面接は特段の事情がない限り、原則、対面形式で行います。申請書類に基づき、内容を説明してください。

 

審査の結果、一定の水準に達していると認められる場合、交付決定を行います。なお、審査の結果、一定水準に到達しない場合、申請は不採択となります。この場合、不採択通知
を送付します。

 

参照:新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業 募集要項
掲載ページ:新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業 公式HP

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(小規模事業者向けアシストコース)

小規模事業者向けアシストコースは、ポストコロナ等における事業環境の変化を課題と捉え、対応策として、事業者が創意工夫のもと「これまで営んできた事業の深化又は発展」に取り組み、これによる事業の生産性向上や業務の効率化が経営基盤の強化につながる場合に、当該取組に必要な経費の一部を助成する制度です。

対象事業

本事業の対象となる取り組みは、既存事業の「深化」と「発展」の2つに分かれます。各取り組みの具体例は、次のとおりです。

既存事業の「深化」

既存事業の深化とは、経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業自体の質を高めるための取組を指します。

<具体例>

・既存製造工程を機械化するための機械装置、工作器具の導入(生産性導入)

・既存事業に関する高効率機器、省エネ設備の導入等(業務効率化)

・既存システムの改修(業務効率化)

 

既存事業の「発展」

既存事業の発展は、経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業を基に、新たな事業展開を図る取組を指します。

<具体例>

・新商品の量産化に必要な機械装置、工作器具の導入(生産性向上)
・新商品の販売や新サービス提供に必要な設備導入(生産性向上)
・自社で使用する新システムの構築(業務効率化)

 

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(小規模事業者向けアシストコース) 公式HP

助成対象者

本事業の助成対象者は、申請要件を満たす小規模事業者です。具体的な要件は、令和7年5月下旬に公開予定です。

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(小規模事業者向けアシストコース) 公式HP

助成対象経費

対象経費は、既存事業を深化・発展させるために直接必要となる以下の経費のうち、審査で認められたものです。

・機械装置・工具器具費
・設備等導入費
・システム等導入費

 

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(小規模事業者向けアシストコース) 公式HP

助成限度額・助成率

本コースの助成限度額・助成率は、次のとおりです。

助成限度額:200万円

助成率:助成対象経費の3分の2以内
※賃金引上げ計画を策定し実施した事業者:5分の4以内

 

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(小規模事業者向けアシストコース) 公式HP

申請受付期間

本事業は、令和7年5月12日時点で第6回までの日程を公表しています。ただし、予算の都合等により、予告なく募集予定を変更する場合がありますのでご注意ください。

第1回:令和7年6月2日から6月13日まで
第2回(予定):令和7年8月1日から8月14日まで
第3回(予定):令和7年10月1日から10月14日まで
第4回(予定):令和7年12月1日から12月12日まで
第5回(予定):令和8年2月2日から2月13日まで

※令和6年度「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業(経営改善計画策定による経営基盤強化支援)(一般コース)」の交付決定を受けた事業者は、令和7年度「~中小企業・小規模企業向け~事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」の一般コースおよび、小規模事業者向けアシストコースのどちらにも申請できません。

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(小規模事業者向けアシストコース) 公式HP

申請方法

申請方法は一般コースと同様で、デジタル庁が運営する電子申請システムjGrants(J グランツ)を利用した電子申請のみです。

jGrantsを利用するには「GビズID」でアカウント(gBizIDプライム)を事前に取得する必要があります。

申請の際はjGrants にログインし、必要事項を入力するとともに、申請書類及び必要書類をアップロードしてください。

 

参照:公益財団法人 東京都中小企業振興公社 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(小規模事業者向けアシストコース) 公式HP

審査方法

審査方法は、令和7年5月下旬に公開予定です。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業 採択率

過去公募における申請件数および採択率は、非公開となっています。本事業の正確な予算についても非公開であるため、おおまかな採択予定件数も不明です。

既述のとおり、審査のうえ不採択となることもあるので、入念に準備を行ったうえで採択を目指しましょう。

 

東京都:令和7年度 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)
ポストコロナ等における事業環境の変化を課題と捉え、対応策として、事業者が創意工夫のもと「これまで営んできた事業の深化又は発展」に取り組み、これが経営基盤の強化につながると認められた場合に、当該取組に必要な経費の一部を助成します。 ※令和6...

まとめ

この記事では、「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」について解説しました。

対象経費の幅が広く、助成額が高額であるため、経営基盤の強化に取り組もうと考えている場合は、ぜひ、本事業への申請もあわせてご検討ください。

監修佐藤淳 / 公認会計士
中小企業庁認定 経営革新等支援機関 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)の東京オフィスに6年間、シアトルオフィスに2年間勤務。 2015年よりアジア最大級の独立系コンサルティングファームの日本オフィスにて事業戦略の構築支援、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資の業務に従事。 2017年 自身で旅行スタートアップ(Stayway)を立ち上げ資金調達をした経験を生かしながら、補助金・ファイナンス・M&Aのサポートを実施

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