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令和5年11月29日に成立した令和5年度補正予算のうち、注目度の高い補助事業のひとつに「食品原材料調達リスク軽減対策事業」があります。
農林水産省が主管する食品事業者における原材料の調達安定化対策の一環として、要件を満たす食品製造事業者・飲食店等に最大5億円を補助するものです。
数ある補助事業のなかでも補助金額が比較的高いことから、注目されている補助金です。そこでこの記事では、食品原材料調達リスク軽減対策事業について解説します。
食品原材料調達リスク軽減対策事業 趣旨
本事業の趣旨は、全国の食品製造事業者等が原材料の調達に関するリスクに対応するために行う産地との連携強化及び調達先の多角化の取組を推進し、国民への食料の安定供給を確保することです。
参照:農林水産省 令和5年度補正予算「食品原材料調達リスク軽減対策事業」について
食品原材料調達リスク軽減対策事業 概要
出典:農林水産省 食品事業者における原材料の調達安定化対策
資料掲載ページ:農林水産省 令和5年度農林水産関係補正予算の概要
令和5年度補正予算において「食品事業者における原材料の調達安定化対策」として4,500百万円が計上されたうち、4,400百万円が「食品原材料調達リスク軽減対策事業」の予算となっています。
本事業は、さらに以下2種類の事業に細分され、食品製造事業者等が行う取り組みを支援します。
①食品製造事業者等と産地の連携強化に対する支援
②食品原材料調達先の多角化に対する支援
補助対象者
出典:農林水産省 食品原材料の調達リスク軽減対策について
資料掲載ページ:農林水産省 令和5年度補正予算「食品原材料調達リスク軽減対策事業」について
補助対象者となる以下要件は、「①食品製造事業者等と産地の連携強化に対する支援」「②食品原材料調達先の多角化に対する支援」共通です。
価格が2割以上高騰している輸入食品原材料を使用していること、または令和4年2月以降の地政学リスク等により輸入に支障が生じたことがあることを証明できる食品製造事業者等※
※ ①食品の加工・製造事業者又はその団体、②飲食店等又はその団体、③①又は②の事業者とともに事業を実施しようとする者。
対象となる取り組み
対象となる取り組みは、「①食品製造事業者等と産地の連携強化に対する支援」と「②食品原材料調達先の多角化に対する支援」で異なります。
①食品製造事業者等と産地の連携強化に対する支援
食品製造事業者等が産地を支援する次に掲げるア~エまたはこれらに類する取組を行うことを補助要件とした上で、産地との連携による食品原材料切替等(国産食品原材料の取扱量増加を含む)に伴う機械・設備の導入・更新、調査、新商品等の開発、製造・販売・PRの取組を支援
ア 求める品種を産地に生産してもらうための産地への種苗の提供
イ 産地に引き受け量拡大に対応してもらうための産地への収穫機械の貸与
ウ 産地に加工ニーズに合致した食品原材料を出荷してもらうための産地への選別機の貸与
エ 産地に加工ニーズに沿った良質・多量な食品原材料生産をしてもらうための、食品製造事業者等の社員等を産地へ派遣した生産作業補助又は専門家や篤農家を産地へ派遣した栽培技術等指導
②食品原材料調達先の多角化に対する支援
食品原材料切替等(国産食品原材料の取扱量増加を含む)に伴う機械・設備等の導入・更新、調査、新商品等の開発・製造・販売・PRの取組を支援
※ポイント制等による採点にて採択を行う。ポイントの要素としては、①取組(1)の産地を支援する取組、②取組(2)の一次加工業者の取組、③国産食品原材料への切替(国産食品原材料の取扱量増加を含む)、④商品の新規性等。
対象経費
・「①食品製造事業者等と産地の連携強化に対する支援」の産地の支援に係る、以下の経費
-資材、機械、設備導入費
-産地への生産作業補助のための社員等派遣旅費
-産地への栽培技術指導のための専門家や篤農家の派遣謝金・旅費等
・「①食品製造事業者等と産地の連携強化に対する支援」「②食品原材料調達先の多角化に対する支援」の支援に係る、以下の経費
-新商品開発費(試作品の原材料費等)
-食品原材料切替等に伴う機械導入費、製造ラインの変更・増設費、食品表示変更に伴う包材資材の更新費、新
商品PR費
-新商品の市販段階における原材料費(販売促進のための一定期間分に限る)等
※小売製品の製造または飲食店の調理等で使用される輸入小麦またはその加工品を安定的調達が今後可能と見込まれる米、小麦またはその加工品へ切り替えるものに限ります。支援期間は2ヶ月間以内とします。
補助率・補助上限
補助率:1/2
補助上限額:採択1件当たり5億円
※ただし、新商品の市販段階における原材料費の1件当たりの補助上限は上記とは別に1億円
食品原材料調達リスク軽減対策事業 事業イメージ
出典:農林水産省 食品原材料調達リスク軽減対策事業
資料掲載ページ:農林水産省 令和5年度補正予算「食品原材料調達リスク軽減対策事業」について
事業イメージの例は、次に挙げるとおりです。
・食品製造事業者等と産地の連携強化
・原材料調達先の多角化(例:クッキーやパン製造に際して、輸入小麦から米粉・国産小麦への変更・採用など)
・国産原材料導入のための製造ラインの増設
公募スケジュール
公募期間:食品原材料調達リスク軽減対策事業
※公募の状況により今後の公募回数を決定します。
第3次:令和6年8月27日(火)〜同年9月17日(火)17:00厳守
まとめ
この記事では、食品原材料調達リスク軽減対策事業について解説しました。本事業は、食品製造事業者・飲食店等が行う原材料の調達に関するリスク対応を支援するものです。
輸入食品原材料の価格高騰や食料需要の増加といったリスク軽減の後押しとなるものですので、関連事業を行っている場合はぜひ、最新情報をチェックして補助金の活用をご検討ください。
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