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採択率アップ?IT導入補助金の加点項目とは

公開日 2023/07/22
更新日 2023/08/04
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※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

国や自治体などから多くの補助事業が打ち出されるなか、IT補助金や事業再構築補助金には審査項目のほかに「加点項目」が設けられています。

加点項目で指定された条件を自社が満たす場合、審査時に加点され、採択可能性が高まります。

そこでこの記事では、IT導入補助金への申請を検討している方を対象に、同補助金の加点項目について解説します。

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IT導入補助金 概要

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援する補助事業です。大きくは通常枠・セキュリティ対策推進枠・デジタル化基盤導入枠の3つの申請枠に分かれ、ツール導入による生産性向上だけでなくセキュリティ対策、インボイス制度への対応も支援します。

参照:IT導入補助金2023 公式HP

IT導入補助金 加点項目

申請者には、加点項目の条件を満たすことで採択可能性が高まるというメリットがあります。また、自社の経営改善にも繋がる内容であるため、加点を目指す取り組みの実施はメリットが大きいといえます。

ここでは、通常枠、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の加点項目のうち、共通するもののみを紹介します。

複数ある加点項目には、あまり時間を要さず条件を満たしやすいものと、時間を要し条件を満たしづらいものがあるため、比較的取得しやすい加点項目をあわせてお伝えします。

なお、申請類型によっては独自の加点項目があるため、申請時には必ず公募要領をご確認ください。

    地域経済牽引事業計画の承認取得

    公募要領記載文:地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画(IT導入補助金の申請受付開始日が当該計画の実施期間内であるものに限る)の承認を取得していること

    引用:IT導入補助金 公募要領

    「地域未来投資促進法」とは、地域の特性を生かして、高い付加価値を創出し、地域の事業者に対する相当の経済的効果を及ぼす「地域経済牽引事業」を促進することを目的とする法律を指します。

    「地域経済牽引事業計画」は市町村・都道府県が作成した「基本計画」に基づき事業者が作成し、都道府県知事が承認するものです。

    参照:経済産業省 地域未来投資促進法

    地域未来牽引企業への選定

    公募要領記載文:交付申請時点で地域未来牽引企業に選定されており、地域未来牽引企業としての「目標」を経済産業省に提出していること。

    引用:IT導入補助金 公募要領

    「地域未来牽引企業」とは、地域経済の中心的な担い手となり得る事業者として、経産省により選定された企業を指します。加点評価を受けるには、交付申請時点でこの「地域未来牽引企業」に選定され、目標を経産省に提出している必要があります。

    要件を全て満たす事業計画の策定

    公募要領記載文:要件を全て満たす事業計画を策定し、従業員に表明していること

    引用:IT導入補助金 公募要領

    加点評価を受けるためにさらに必要な取り組みとして、指定の要件をすべて満たす事業計画を策定し、自社の従業員に表明している必要があります。

    指定要件には従業員の賃上げに関する内容が挙げられていて、上げ幅や付帯要件は申請類型によって異なります。具体的な要件は、各申請類型の公募要領にてご確認ください。

    「健康経営優良法人2023」の認定

    出典:経済産業省 「健康経営優良法人2023」認定法人が決定しました!

    公募要領記載文:令和4年度に「健康経営優良法人2023」に認定された事業者であること

    引用:IT導入補助金 公募要領

    「健康経営優良法人認定制度」は、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、健康の保持・増進につながる取組(=健康経営)を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」する制度です。

    この制度に基づき認定された法人を「健康経営優良法人」として表彰することで、優れた健康経営を行なっていることが第三者から見てもわかるよう「見える化」しています。

    参照:経済産業省 「健康経営優良法人2023」認定法人が決定しました!

    支援コミュニティ・コンソーシアムからの支援    

    公募要領記載文:「地域DX促進活動支援事業」における支援コミュニティ・コンソーシアムから支援を受けた事業者であること

    引用:IT導入補助金 公募要領

    支援コミュニティ・コンソーシアムとは、以下の事業のいずれかにおいて採択された事業を指します。
    ・令和4年度 地域新成長産業創出促進事業費補助金(地域DX促進活動支援事業)
    ・令和4年度補正 地域新成長産業創出促進事業費補助金(地域DX促進環境整備事業(業種等特化型DX促進事業))地域DX支援活動型
    ・令和5年度 中小企業地域経済政策推進事業費補助金(地域DX促進環境整備事業)地域DX 支援活動型

    加点を希望する場合、上記のほか、申請時に加点申告することと併せて、支援を受けた支援コミュニティ・コンソーシアムに2つの対応を依頼することが必要となります。

    ①「支援証明書」の作成

    ②「支援証明書」の提出
     提出先:経済産業省地域経済産業グループ地域企業高度化推進課企画班(bzl-kikaku-chiiki-koudoka@meti.go.jp)

    <「支援証明書」ダウンロード用 URL>
    https://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/dxcommunity/it-hojo.docx

    介護職員等特定処遇改善加算の取得    

    公募要領記載文:介護保険法に基づくサービスを提供する事業所で、介護職員等特定処遇改善加算を取得しているものを運営している法人

    引用:IT導入補助金 公募要領

    介護職員等特定処遇改善加算の取得には、以下を満たす必要があります。また、この要件を満たすことでIT導入補助金の加点を受けることができます。

    ■対象:事業所が、①経験・技能のある介護職員、②その他の介護職員、③その他の職種に配分する場合
    ■算定要件:以下の要件をすべて満たすこと。
    ※介護福祉士の配置割合等に応じて、加算率を二段階に設定。
    ➢処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得していること
    ➢処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取組を行っていること
    ➢処遇改善加算に基づく取組について、ホームページ掲載等を通じた見える化を行っていること

    参照:厚生労働省 介護職員の処遇改善

    指定項目への該当

    出典:厚生労働省 女性活躍推進企業認定「えるぼし・プラチナえるぼし認定」

    公募要領記載文:応募申請時点で、以下のいずれかに該当すること。  

    ①女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく認定(えるぼし1段階目~3段階目又はプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けている者又は従業員数100人以下であって、「女性の活躍推進データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している者

    参照:厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」

    ②次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく認定(くるみん、トライくるみん又はプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた者又は従業員数 100 人以下であって、「一般事業主行動計画公表サイト(両立支援のひろば)」に次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している者

    参照:厚生労働省「一般事業主行動計画公表サイト(両立支援のひろば)

    引用:IT導入補助金 公募要領

    本加点項目は、第2次締切回から加点対象として追加されました。

    「えるぼし認定」とは、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づいて一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良である企業を認定する制度です。

    えるぼし認定を受けた企業のうち、より高い水準の要件を満たした企業は「プラチナえるぼし認定」として認められます。

    出典:厚生労働省 くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて

    またくるみん認定とは、次世代育成支援対策推進法に基づいて一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業を「子育てサポート企業」と認定する制度です。

    厚生労働大臣に「子育てサポート企業」として認定された企業には、「くるみんマーク」が付与されます。

    IT導入補助金において加点を希望する場合は、上記のえるぼし認定またはくるみん認定を受け、一般事業主行動計画を公表する必要があります。

    ただし、一般事業主行動計画を立てて計画書を作成・公表するのみで条件を満たせる点で、比較的、条件を満たしやすい項目といえます。

    なお、えるぼし・くるみんの両認定を取得しても、加点対象としては1つ分とカウントされます。

    IT導入補助金 必要書類  

    交付申請時に必要となる資料は、以下のとおりです。代替書類は一切認められません。

    法人の場合 個人事業主の場合
    • 実在証明書:履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
    • 本人確認書類:運転免許証(有効期限内のもの)、運転経歴証明書若しくは 住民票(発行から3ヶ月以内のもの)
    事業実態確認書類:税務署で発行された直近分の法人税の納税証明書(「その1」もしくは 「その2」) 事業実態確認書類1:税務署で発行された直近分の所得税の納税証明書(「その1」もしくは 「その2」)
    事業実態確認書類2:税務署が受領した直近分の確定申告書の控え

    このほか、加点を受けるためにあらかじめ作成や提出を済ませておくべき書類があるのでご注意ください。

    IT導入補助金 申請方法

    出典:IT導入補助金2023 公式HP(申請・手続きフロー)

    IT導入補助金の交付申請フローは以下のとおりです。

    1. 1. 本事業ホームページや交付規程・公募要領を読み、補助事業について理解
    2. 2. IT導入支援事業者・ITツールの選定(契約ではありません)
    3. 3. gBizIDプライムの取得
    4. 4. IT導入支援事業者による「申請マイページ」招待
    5. 5.【申請マイページの開設】申請者情報入力
    6. 6.【IT事業者ポータル】IT導入支援事業者による事業計画、ITツール情報の入力・申請内容確認
    7. 7.【申請マイページ】ITツール情報の確認・事業計画の確認・宣誓
    8. 8.【申請マイページ】申請者から事務局へ交付申請提出(交付申請完了)

    減点項目に注意!

    申請類型によっては減点項目があり、以下の項目に該当する場合は減点対象となります。IT導入補助金への申請を検討する際は、自社が該当するかどうか、あらかじめ確認しておきましょう。

    <通常枠(A・B類型)>
    1)IT導入補助金2022において、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)で交付決定を受けた事業者
    2)IT導入補助金2023において、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型及び商流一括インボイス対応類型)で申請を行っている若しくは交付決定を受けた事業者

    ※なお、1)及び2)において選択されたITツールと同一の機能(会計・受発注・決済・EC)を有するITツールを導入する場合は更なる減点を行う。

      <セキュリティ対策推進枠>
      減点項目なし

      <デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型) >
      1)IT導入補助金2020及びIT導入補助金2021において、交付決定を受けた事業者
      2)IT導入補助金2022において、通常枠(A・B 類型)、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型及び複数社連携IT導入類型)で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)
      3)IT導入補助金2023において、通常枠(A・B 類型)で申請を行っている若しくは交付決定を受けた事業者
      ※なお、1)~3)において選択されたITツールと同一の機能(会計・受IT発注・決済・EC)を有するITツールを導入する場合は更なる減点を行う。

      全国:中小企業生産性革命推進事業(IT導入補助金2024)
      本補助金詳細は、補助金クラウド上で通年表示されるよう、便宜上、公募締切を2025/03/31としています。 令和5年度補正予算の内容は、以下に掲載されています。 ----- 枠/類型 通常枠 インボイス枠(イン...

      まとめ

      IT導入補助金における加点項目や減点項目について解説しました。

      ITツールの導入は自社の生産性を向上させ、労働力不足の問題解決も期待できます。ツールの導入を検討している場合は本補助金への申請もあわせて検討してください。

      また、加点項目の条件を1つでも多く満たし、採択を目指しましょう!

      監修佐藤淳 / 公認会計士
      中小企業庁認定 経営革新等支援機関 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)の東京オフィスに6年間、シアトルオフィスに2年間勤務。 2015年よりアジア最大級の独立系コンサルティングファームの日本オフィスにて事業戦略の構築支援、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資の業務に従事。 2017年 自身で旅行スタートアップ(Stayway)を立ち上げ資金調達をした経験を生かしながら、補助金・ファイナンス・M&Aのサポートを実施

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