新型コロナウイルス感染拡大に伴い、多くの中小企業が経営環境を悪化させています。
こうした状況下、中小企業などに対する経営支援を主な目的として、事業再構築補助金が制定されています。
この記事では、学術研究、専門・技術サービス業における具体的な受給事例について、5つの主要カテゴリ毎に取り上げます。
カテゴリ1:IT・EC・AIなど
IT・EC・AIなどの新規テクノロジーを活用する分野です。
株式会社リズム・エージェンシー(青森県:通常枠)
資本金:10百万円
AR・VR動画コンテンツの制作、提供サービスで事業再構築
旅行、イベントなど、身近な外出も困難な状況下、デジタル映像技術の進化によって映像で疑似体感できる世界が飛躍的に拡がっている中、年配者をはじめ、施設、在宅、少人数でも体感できるAR・VR非接触型映像コンテンツ提供の制作、サービスを提供。
株式会社エヌブリッジ(愛知県:緊急事態宣言特別枠)
資本金:10百万円
中小金属加工業のDXを実現する生産性改善指導サービスの開発
航空機産業参入支援のノウハウを活用し、中小金属加工工場の生産効率向上・省人化を実現するIoTサービスを開発し、同社の航空事業依存からの脱却と、最先端ものづくり手法の中小企業への波及を実現する。
エーゼロ株式会社(岡山県:通常枠)
資本金:10百万円
地域商社のDXを推進するIT事業開発(通常枠・新分野展開)
地域専用ふるさと納税サイトとCRMアプリ、ECサイトを一体化した「ふるさと納税・EC・CRM連動システム」を開発し、これを基盤とする新サービスを日本全国の自治体、地域商社に向けて販売・提供。
株式会社ケイテック四国(愛媛県:緊急事態宣言特別枠)
資本金:非公開
船舶配管用図面データ検索システム「PSS」の設計・構築・改良および販売
AI・ITの技術+同社の培った船舶製造現場における技術・経験・知識・取引先との関係性等を活かすため、船舶製造現場のIT化を図るソフトウェアシステム事業を提供。現場作業に詳しい同社が、現場のニーズを最大限取り入れて作成した特定作業特化型システムを提供することで、船舶製造現場の作業効率上昇を図り、今後の船舶製造業界の発展への貢献を目指す。
カテゴリ2:医療・バイオ・未来
医療やバイオ、未来系の事業分野です。
株式会社H.S BRIDGE(岐阜県:通常枠)
資本金:6.5百万円
クリニック向けWEBサービス、海外OEM取引企業の動画配信スタジオ事業への進出によるV字回復戦略
主に医療系のお客様を中心としたWEBマーケティング事業を行い、新型コロナの打撃を受けた同社では、成長率の高く新たな顧客を開拓できる市場へ進出し、他の売上の軸を作るため、動画配信スタジオ事業へ進出することで事業再構築に挑む。
一般社団法人日本医療デザインセンター(茨城県:緊急事態宣言特別枠)
資本金:非公開
医療機器・システムの開発者と医療現場ニーズのマッチングシステム開発
昨今医療介護関連で機器やアプリなどが開発されているが、医療従事者の目から見ると現場のニーズに“あと一歩”が足りずうまく使えない状況に対して、開発者に現場目線の助言やテスト環境を提供するマッチングの場を用意する。
株式会社花市電子顕微鏡技術研究所(愛知県:通常枠)
資本金:10百万円
再生医療産業に必須である電子顕微鏡によるウイルス定量試験の確立
ウイルス定量試験は現在、国内で実施できる機関がない唯一の試験項目である。同社の専門性を活かし、設備を導入し試験を確立することで、海外の機関に頼ることなくウイルス否定試験の全項目が国内で可能となる。
株式会社メタジェン(山形県:通常枠)
資本金:35百万円
腸内環境簡易検査に基づく個人向けヘルスケアサービスの展開
同社の既存事業の顧客は企業中心であり、収益が外部環境の変化に影響を受けやすいという課題が存在する。そこで本事業では、新たに同社の独自技術に基づく個人向けサービスの展開を行い、相乗的な収益増加を図る。
カテゴリ3:地域再生
地域再生を目指すプロジェクトです。
ブルーファーム株式会社(宮城県:通常枠)
資本金:3百万円
地方創生リーダーを輩出する「ローカルプロデューサー育成事業」
2014年創業以来、東北の復興事業で通算600アイテム以上の商品開発を手掛けてきた経験、ノウハウと実績を活かし、地域課題をデザインで解決するローカルプロデューサー育成事業を新たに立ち上げる。
たかまち鑑定法人株式会社(富山県:通常枠)
資本金:3百万円
中心市街地の空家群を活用したリノベーションプロジェクト
まちなか居住需要の増大、観光地としての魅力アップ、移住・起業機会の創出を目的とした中心市街地の空家群を活用したリノベーション事業。建物改修費用として総額2,950万円を計上し、令和3年10月月完工、11月施設稼働を計画。
モモハウス株式会社(岡山県:通常枠)
資本金:10百万円
シェアファクトリーが提供するリノベーション&コンバージョン「CRAFT VILLAGE」へ向けたスタート事業
- コロナによるデザイン、設計の受注減少を受け、「CRAFT VILLAGE(もの作り従事者が集う場の集合体)」による業種転換を行う。
- 長年培ったデザイン力、設計ノウハウを活かし、古民家再生・自然豊かな土地へ住宅、店舗提供を生業とし地域活性化に資する取組みを実施する。
- 「CRAFT VILLAGE」創造の第一弾として、仲間が集う場であるシェアファクトリーの建設を行う。
株式会社クリエ(愛媛県:緊急事態宣言特別枠)
資本金:2.41百万円
「旅」をテーマに地場産業・特産品をPR支援するライブコマース配信
「旅」をテーマに地場産業・特産品PR支援するライブコマース配信事業。地方の1次産業者が、ライブ配信による商品販売(ライブコマース)を活用し、新たな顧客層へ発信し販売拡大すための支援事業を展開。
カテゴリ4:コロナ対策
コロナ対策に取り組む事例です。
株式会社Rainbow Sake(広島県:通常枠)
資本金:非公開
海外展開を見据えた酒粕食品の開発、製造、販売事業
日本酒を中心とする日本食材を海外において販路開拓する事業を実施してきたが、コロナの影響により営業活動が停止しているため、新たに海外展開を見据えた酒粕食品の開発、製造、販売事業に取り組む。
株式会社Atama(大阪府:緊急事態宣言特別枠)
資本金:非公開
B2B向け紹介キャンペーンアプリのシステム開発による事業再構築
コロナ禍でB2Cなど店舗ビジネスのプロモーション需要が大幅に減少する中、本事業では同社の強みである紹介キャンペーンアプリをB2B企業向けに開発する。そのためにSFAなどとのAPI連携を構築したシステムを開発、今後は非対面での営業活動が活発なB2B企業向けのデジタルマーケティングでの受注拡大を目指し事業再構築を実現する。
株式会社パッシュ(埼玉県:緊急事態宣言特別枠)
資本金:3百万円
人と社会を新しい映像体験で繋ぐ自由視点映像配信サービス
コロナ禍では多くのイベントが配信に置き換わり、教育分野もオンラインでの授業を余儀なくされている。自由視点映像の配信を行うことで、新しい映像体験を提供し視聴者の満足度向上と学習の習熟度アップを図る。
有限会社オフィス・K(北海道:緊急事態宣言特別枠)
資本金:非公開
地域貢献型動画コンテンツの制作と配信
豊富な司会業やラジオパーソナリティの実績を活かし、コロナ禍により大きなダメージを受けた様々な事業者のPR動画を制作・配信し、売上向上を応援する仕組みを構築する。
カテゴリ5: 新規アイデア提供
新規にアイデアを創造し、提供を目指す分野です。
カグラ中部(愛知県:緊急事態宣言特別枠)
資本金:非公開
オリジナルデザインの家具制作と販売のできるオンライン木工教室
現在行っている木工教室を、オンライン用のコンテンツとして再構成して販売する。制作した木製品(主に家具)をオンライン上で販売するためのサイトの構築と決済システムの導入。また、商品撮影のためのスタジオを設営する。
株式会社インテグラル設計(香川県:緊急事態宣言特別枠)
資本金:3.5百万円
3D CAD導入により新規分野である配管設備の設計業務販路拡大事業計画書
3D CADで配管設備設計に特化した「EYECAD」を導入し、 新規分野である配管設備の設計受注を増やし販路拡大および、非常に高性能で便利な機能を用いて業務効率化の実現により売上増を目指す。
是枝動物病院(長崎県:緊急事態宣言特別枠)
資本金:対象外
従来型にはない特許技術を持たせたペット用車椅子の海外展開
国内特許取得済みのペット用車椅子の製造・販売へ業種転換を行い、空家になっている隣町の物件を製造加工場、車椅子用ドッグラン、診療スペースに改修することで、製品完成後は海外への量産販売の体制を整える。
一般社団法人日本外食ベンチャー海外展開推進協会(東京都:緊急事態宣言特別枠)
資本金:非公開
完全非接触型食事つき宿泊事業への新規参入事業
貸切旅館の事業譲渡を受け、完全非接触型の宿泊施設へ改装し、宿泊特化型施設から和牛生産者と連携した朝食、夕食を導入することで、貸切食事需要にも対応できる施設へ改装。大規模ホテルでの接触リスクを回避できるコロナ対応型の非接触型食事付宿泊事業へ参入を図る。
最後に
学術研究、専門・技術サービス業での補助金受給企業は全体で390件あり、この記事で取り上げたのはそのごく一部です。
各事業の詳細はそれぞれの企業のホームページ等でもご確認ください。
これから同補助金を申請しようとしている事業者への参考となれば幸いです。
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