資金計画の立て方とは?必要な資金と収支計画、事前の準備と留意点は

事業を新たに開始すると、経営者は日々、収入と支出を繰り返しながら企業を運営します。こうした日々の企業活動を把握し、コントロールするために必要となるのが資金計画です。

資金計画について詳しく解説します。

起業へ向けた必要資金項目と留意点

起業し、事業を運営する際に必要となる資金の項目と、留意点について解説します。

開業資金

事業を起こす際、まず第一に行うべき事項として、独立・開業する前に必要となる資金(開業資金)と、開業後に必要な資金(運転資金)のそれぞれを算定し、収支計画の基礎を固めることが挙げられます。

開業資金の対象となる項目は次のとおりです。

  1. 事務所・店舗の取得費用
  2. 設備の導入・改装費用
  3. 備品・各種用品の費用
  4. 開業へ向けた広告・宣伝費用
  5. 商品仕入れ費用

開業資金は必要最低限に抑える努力が必要です。また、これまで従事していた勤務先を退職してから独立・開業し、収入を得るまでの生活費も確保しておくことが重要です。

運転資金

運転資金の対象となる項目は次のとおりです。

  1. 人件費
  2. 事務所・店舗の維持費
  3. 商品仕入れ費用(継続)
  4. 備品・各種用品の費用(継続)
  5. 交通費や通信費などの必要経費
  6. 借入金の返済

開業後、事業を運営する際に、売上げの状況にかかわらず一定額を定期的に支払う必要のある費用が固定費で、全体の支出に占める固定費の比率が高いと、経営は苦しくなります。

業績が悪化した場合でも、従業員の給与を急に下げたり、家賃を減額することはできないため、事業規模の小さい中小企業や個人事業主にとっては、固定費が命取りともなります。

このため、開業資金と同様、固定費もいかにバランス良く、そして可能な限り低く抑えることが重要なポイントとなります。

自己資金の確認

事業を推進するためには、一定額の資金調達が必要ですが、やみくもに外部から資金調達を行う前に、可能な限り自己資金を準備することが重要です。

自己資金は返済の必要もなく、利子なども発生しません。事業を運営する上では、自己資金は最も安全・確実な資産です。

外部からの調達前に自己資金の充実を

開業資金と運転資金が算定できたら、実際に必要となる資金をどう調達するかが問題となります。その際、外部からの資金調達を想定しますが、可能な限り自己資金を準備し、充当するよう意識することが重要です。

一般的に、外部から資金調達する場合、民間の金融機関は、当該企業の実績がないことから融資には消極的です。これを補填するため、比較的敷居が低く借入れが可能な政府系金融機関である日本政策金融公庫や、各自治体による支援、また補助金・助成金の活用、更にはエンジェル投資家からの出資なども考えられます。

ところが、公的資金の調達を図る際にも、必要資金額に対して一定の割合で自己資金を用意することが求められます。自己資金比率が高ければ高いほど、外部からの資金調達も有利となります。

自己資金の充実という観点が大きなポイントとなります。

収支計画の立て方

資金調達に際して必要となる、収支計画の立て方について解説します。

収支予測は綿密に

収支計画とは、収入と支出の関係や、借入れと返済の関係などを将来に向けて予測することを指し、可能な限り詳細にシミュレーションすることが大切です。

支出については前述した開業資金・運転資金の算定を通じて確認できているので、問題となるのは収入の予測です。
収入を予測するには、まず自社の商品・サービスの価格を決定する必要があります。

一般的な手法としては、仕入れ価格(原価)や必要経費を考慮し、採算ラインから販売価格を割り出した上で、取り巻く市場環境や立地条件なども総合的に勘案して売上げを予測します。

逆に、先に販売価格帯を想定し、それに見合った商品選びや仕入れ方法、販売体制を考える手法も考えられます。100円均一ショップなどがその代表例として挙げられます。

当面の資金繰りを確認する

収支計画が確定したら、当面の資金繰りについて確認する必要があります。資金繰りとは、手元に入ってくる資金と出ていく資金のやりくりを円滑に行うことを指します。

意味としては簡単ですが、個人の家計簿と異なり、事業における資金繰りはそう単純なものではありません。
事業の収入は不定額・不定期であり、入金時期も一定ではない上に、掛け売りや約束手形での取引きも少なくないため、売上げが即現金とはなりません。

多くの場合、売上げ回収前に支払いが生じるため、当面の資金繰りが厳しくなります。こうした事態を避けるため、活動を継続するための資金をどの程度、どうやって確保するのかについて、しっかり確認しておくことが重要です。

収支計画は数年先まで立てる

収支計画は、可能であれば数年先まで立てておくことがポイントです。

長期スパンでの収支計画が予測できていれば、例えば3年後に売上高1億円、単年度黒字を目指すなど、事業の長期計画を決め、ゴールから逆算して2年後、1年後を考えるという目安が明らかになります。事業の将来目標を定める意味でも、大切な作業です。

資金の準備

実際に資金を準備・調達する際のポイントについて解説します。

外部調達の割合は低く抑える

前述のとおり、独立に必要となる資金の全てを外部調達に頼るのは問題です。

開業に際して、必要となる総資金から自己資金を差引いた残りの不足分が外部調達となりますが、開業資金もじっくり、最低でも3回は減額修正を試みることが望まれます。

限界まで工夫して抑える努力を通じ、創意工夫が生まれ、競合他社との差別化にまで発展可能です。こうした作業に取組んだうえで、なお不足する部分だけ調達する姿勢が必要です。

公的資金の活用が有利

資金調達の際、これも前述のとおり民間金融機関(銀行など)は、新規・小規模事業者との取引きは非常に消極的です。このため、地域や業種といった限定がなく、金利や返済期間などの条件面でも有利なのが、公的資金を使った融資制度です。

その中でも最も安心して活用できるのが、政府系金融機関の日本政策金融公庫です。金額的にも、数十万円という低額から数千万円まで、新規開業に対して積極的な融資を行っています。

また、都道府県や市区町村などの自治体でも、当該地域に住む人や事業所を構える起業家を対象に融資を行っています。こうした公的資金支援制度の活用を優先して検討すべきです。

融資以外の調達方法も検討する

資金調達は、融資(借入)だけではありません。政府や自治体が主催する各種の補助金や助成金、寄付など、様々な支援策があります。また、エンジェル投資家などに出資を依頼する方法もあります。

自分の資産を売却して資金調達する方法もありますし、時間をかけながら自己資金を増やしていくことも可能です。
様々な資金調達方法を検討することがポイントです。

調達コストも念頭に

融資や出資で調達した資金は、当然ながら元金に加えて「利子」を返済する必要があります。また、外部からの出資を仰ぐ場合は、出資先への配当が必要となります。

調達を考える際には、調達額だけでなく、調達にかかるコストがいくらかについても考える必要があります。
なお、無担保・無保証人で即日融資など、怪しい貸金業者は絶対に活用しないよう留意が必要です。

最後に

資金計画の立て方や資金の内訳、準備方法や留意点などについて解説しました。

起業を志し、将来の夢や希望へ向けて事業に取り組むのは大変有意義なことですが、必要となる資金の手当てをしっかりと行うことが大切です。資金計画を万全に整え、事業を成功させていただきたいものです。