融資を受ける方法とは?創業融資の対象機関と借入手続き、留意点は?

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新規に事業を行う際、事前に準備した自己資金だけで全ての運営をまかなうのは困難です。

このため、一定程度の金額を金融機関からの借入に頼るのが一般的ですが、新規事業者に対する融資はそう簡単なものではありません。

融資を少しでも有利に受けられる方法について詳しく解説します。

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創業融資を受けられる機関

起業家・創業者が新たに事業を始めたり、事業開始から間もない時期に、外部の金融機関などから借入を行うことを一般的に「創業融資」と呼びます。

創業融資では、通常融資と異なり、無担保・無保証、かつ格安な金利で借入を起こすことが可能です。そして、創業融資の対象期間は、起業した後概ね3年以内が目安となります。

創業融資の対象となる金融機関としては、政府系金融機関である日本政策金融公庫と、地方自治体による融資制度、各地域の信用金庫、さらにはメガバンクや地方銀行が挙げられます。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、日本政府が100%が出資し、運営している政府系金融機関です。

同公庫では、国民生活の向上を目的として、国の政策に則った融資制度を設定しており、国が出資して融資を実施しているため、創業間もない企業にとっては、最も活用しやすい金融機関です。

融資を受ける際には、同公庫が単独で審査から融資実行まで一環して対応するため、信用保証協会の関与も必要ありません。

下記に同公庫の代表的な融資制度を挙げます。

参照:日本政策金融公庫(新創業融資制度)

地方自治体の融資制度

都道府県や市町村などの地方自治体が、各種の開業資金融資制度を準備しています。

例えば東京都では創業融資制度、大阪府は開業(サポート)資金制度といった、各自治体が主催する創業融資制度が利用可能です。

詳細については、各都道府県庁や各市町村役場に確認することがポイントです。

参照:東京都産業労働局
参照:大阪府

信用金庫

信用金庫は、中小企業を主な対象として、各地域での資金需要に応え、地域社会の活性化を図ることを主な目的として運営されている金融機関です。

このため、地域密着型で、窓口対応にも親近感がり、中小企業や個人事業主を対象とした金融機関という性質から、大企業や営業地域外の企業などには融資が出来ない制限もあります。

この後に解説する銀行と比べ、融資の際には小回りが利き、親しみやすい特徴があります。ただし、信用保証協会の関与と承認が必要となります。

メガバンク・地方銀行

創業間もない企業が融資を受けるには、最も敷居が高く、借入が困難な金融機関です。

創業融資としてではなく、事業開始から3年以上経過して売上と利益が拡大し、事業運営が安定してくれば、借入は非常に優位となります。

借入先の決定

創業融資を受けるには、上述したそれぞれの金融機関のうち、どこを選択すべきかについて解説します。

結論からいえば、第一に活用すべきなのが日本政策金融公庫の支援制度であり、各自治体の融資制度も有効です。続いて、各地域の信用金庫が対象として考えられます。

自治体や信用金庫は、地域に根付いているという大きな特徴がありますが、まずは自社の本店所在地から近い日本政策金融公庫からの借入を検討すべきです。

なお、信用金庫の場合は、場所によっては同じ地域に複数存在することもあるので、どこを選べばよいか迷うこともあるでしょう。その際には、実際にいくつかの信用金庫に足を運んで融資担当者から直接話を聞いたり、「口コミ」やhp上での評判なども参考に、創業融資に前向きで信頼できる信用金庫を選択することがポイントです。

借入手続き

借入先を決定した後は、具体的な借入手続きへと進みます。これについて解説します。

借入申込書の作成

まず最初に、借入先の金融機関が指定する書式に沿って借入申込書を作成します。

申込書は基本的に手書きで記載します。金融機関の融資担当者は、筆跡などで申請者の人となりなども評価・判断する場合もあるので、悪い印象を与えないよう、丁寧に記載するよう心がける姿勢が大切です。

事業計画書(創業計画書)の作成

事業計画書は、事業の羅針盤(らしんばん)ともいえる、最も大切な文書です。

融資先金融機関がそれぞれ指定する用紙やフォーマットがあるので、指定された記載事項に空欄など無いよう、しっかりと情報を記載することは当然ですが、今後の売上目標や仕入先に関する情報、従業員数など、想定されるあらゆる可能性を記載します。

また、自社の事業の内容が細かく示されたパンフレットやホームページのコピー、個別の取引先企業との契約書などがあれば、融資担当者に具体的な説明が可能です。

事業計画書は今後3期分まで作成

上述のとおり、事業計画書の作成は融資を獲得する上で最大の作業です。

事業計画書では、自社の事業展望が将来に向けて明るい旨を融資担当者に納得させる必要がありますが、単なる「夢物語」を語ってはいけません。金融機関の融資担当者が求めるのは、事業への思いや意気込みも大切ですが、実際に融資をきちんと返済できるかどうか、という現実です。

これを裏付けるため、実際に今後どれだけ売上を拡大できるのか、そして本当に実現可能なのか、という点を具体的に記載することが重要です。

当然ながら、将来計画はあくまでも予測でしかない中、可能な限り実現可能性の高い資料とすることが大切です。出来れば今後3期分まで作成すると説得力があります。また、事業達成の具体的な根拠などが用意出来ていれば、一層現実味が増していきます。

留意点

借入申請から獲得へ向けての留意点について解説します。

融資担当者との面談時

必要な申請書類と事業計画書の作成・提出を終えたら、金融機関の融資担当者との面談を実施します。

日本政策金融公庫の場合は面談1回のみですが、自治体の場合は複数回行われる場合があり、また、信用金庫の場合は、融資担当者との面談を1~2回実施した後、保証協会との面談も必要となるため、最低でも2~3回の面談が必要となります。

面談に際しては、清潔なビジネス正装を心掛けます。

書類の記載

面談時に、融資担当者から書類に補足事項などの記入を要請される場合もあります。
その際にも、緊張する場面ですが丁寧に、しっかりと記載することが大切です。

面談終了後

面談終了後は、金融機関から融資可否の連絡を待ちます。

日本政策金融公庫の場合は、面談終了後概ね2~3週間程で決定の連絡があります。融資担当者から直接電話連絡が入るので、連絡を待つこととなります。

信用金庫の場合は、保証協会の面談後2週間~1ケ月半程度で連絡があります。

入金から返済実行まで

融資決定となった場合、その後当該金融機関から届く書類に必要事項を記載し、郵送または直接窓口に持参して書類を提出すれば、2週間程度で入金されます。

提出書類は多岐にわたる場合が多いですが、手抜きをせずにしっかりと記入します。
融資金額が入金された後は、合意した条件に沿って事業を展開し、返済を誠実に実行します。毎月きちんと返済し、実績を積み重ねることが大切です。この実績があれば、今後新たに借入する場合に有利となります。

専門家への相談

借入手続きの方法や留意点について解説しましたが、こうした手続きに不慣れな起業家が全ての項目を自分ひとりで実行するには、莫大な時間と手間がかかります。

創業間もない時期には社内にスキル豊富なスタッフも不足していることから、思わぬ負担で事業運営の足かせになっては本末転倒です。こうした状況を回避し、申請を効率的に進めるためには、スキル豊富な専門家に相談し、サポートを受けるのも効果的です。

専門家の選定にあたっては、企業経営の実情や資金の流れなどに詳しく、融資実績の豊富な税理士などを選ぶと安心です。

最後に

創業企業が融資を受ける際に対象となる金融機関と方法、手続きや留意点などについて解説しました。

融資以外にも、出資・投資を仰いだり、親族や知人・友人などの支援を受けたり、また、自己資金を最大化する努力も大切ですが、現実的な選択肢としては、やはり金融機関からの融資が最も現実的な解決策といえます。

最適な金融機関を選択し、十分に準備を整えて、融資を勝ち取っていただきたいものです。

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