新創業融資制度とは?概要と条件、返済利率とメリット、審査ポイント

起業に際して必要となるのが事業資金ですが、実績がないのに民間の金融機関などから融資を受けるのは困難です。

こうした状況下で、政府系金融機関である日本政策金融公庫の新創業融資制度を活用すれば、事業資金の確保が可能となります。

この制度について詳しく解説します。

制度の概要

新創業融資制度は、2014年3月1日に実施された創新創業融資制度の改正によって新たに整えられた制度で、設立2年未満の事業者(税務申告2期未満)に対して適応されます。運営は日本政策金融公庫の国民生活事業で行われており、原則無担保・無保証で利用可能です。

この制度は追加的な措置として位置づけられており、例えば新規開業資金や女性、若者/シニア起業家支援資金(設立7年未満まで利用可能)の利用を検討している事業者が、会社設立2年未満であれば、更に本制度の対象として特例措置を受けられるものです。

参照:日本政策金融公庫(新創業融資制度)

資格要件

この制度を利用できる資格要件(条件)は次のとおりです。

対象者

新たに事業を始める、または事業開始後税務申告を2期終えていない事業者

自己資金

新たに事業を始める、または事業開始後税務申告を1期終えていない事業者は、創業時点で創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金)を確認できること

ただし、現在就労中の企業と同じ業種の事業を始める場合、また産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める場合には、本要件を満たすものとされます。

資金使途

新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要となる設備資金および運転資金

融資限度額・返済期間・利率

それぞれの条件は下記のとおりです。

融資限度額

3,000万円(うち運転資金1,500万円

返済期間

他に利用する融資制度によって変動しますが、新規開業資金と合わせて利用する場合の返済期間は次のとおりです。

  • 設備資金:20年以内(据置き期間2年以内)
  • 運転資金:7年以内(据置き期間2年以内)

上記は最長の返済期間であり、実際の資金使途によって返済期間が変動する場合があります。

利率

個別事情によって変動しますが、同公庫の他の制度と比較すると若干金利が高く設定されています。
利率の詳細は下記をご参照ください。

参照:日本政策金融公庫(主要利率一覧表)

新創業融資制度のメリット・デメリット

新創業融資制度のメリットとデメリットについて整理します。

メリット

  • 無担保・無保証で、連帯保証人が不要
  • 融資実行までに要する時間が早い

最大のメリットとして挙げられるのは、起業家が新規に融資を受ける上で通常は最大の難関となる、担保や第三者による保証人が不要な点です。さらに、法人に融資するため、起業家本人の個人保証も必要ないため、資金調達のハードルが大きく下がります。

また、申請から融資実行までのスピードが速く、通常であれば2~3ケ月ほどかかる融資審査が、この制度を適用すると1ケ月半程度で融資が実行されるというため、起業家にとって大きなメリットとなります。

デメリット

  • 通常融資に比べて年間金利が高い
  • 融資の上限が3,000万円(運転資金1,500万円)と、他の制度よりも低い

デメリットとしては、他の制度と比べると金利が若干高く、融資限度額も低くなる点が挙げられます。
なお、本制度の適用を受けるには、新規開業資金や女性、若者/シニア起業家支援資金に課せられる適用要件に加え、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。

審査に通るポイント

新創業融資制度の審査に通るポイントについて解説します。

自己資金の準備

新創業融資制度における融資審査で重要なポイントとなるのが、自己資金をどれだけ準備できるかという点です。

同公庫は、自己資金が少ないと借入返済負担が相対的に高くなること、また、起業のために資金を確保する努力をしているか、といった観点から、自己資金については厳密にチェックします。

事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要で、預貯金の通帳や、上場株式、保険の積立額などの証拠資料を示すことが求められます。

なお、自己資金の要件は10分の1以上とありますが、審査に通るためには、自己資金の割合が多ければ多いほど有利で、最低でも融資総額の3分の1以上は準備することが審査に通る目安となります。

事業の実現可能性と熱意

通常の融資を受ける場合、不動産などの担保があれば、借り手の起業家が信用面で多少の問題を抱えていても、融資を受けることが可能です。

ところが、同公庫が支援するこの制度は、無担保・無保証のため、借り手の信用力や返済力が審査にあたっての最重要ポイントとなります。そこで重視されるのが、ビジネスの成長性や将来性、そして事業を支える創業者の能力や熱意です。

こうした熱意や姿勢は、担保や保証よりも、融資の審査に際して最優先させるべきポイントとなります。公庫の担当者は、審査する案件が将来性あるビジネスかどうかを見極めて、資金を提供するかどうかを判断します。

自身のビジネスにおける根拠や熱意をしっかりと確認し、明確に説明できるように準備することが大切です。

最後に

起業して間もない事業家は実績もなく、金融機関からの信用も得られません。

こうした際には、日本政策金融公庫のような公的金融機関から融資を受けるのが一般的ですが、実際に融資を獲得するためには、今回解説した内容をよく理解し、しっかりと準備して臨むことが重要です。