銀行融資の審査が通らない理由とは? 改善点とあわせて解説

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銀行融資の審査が通らない理由には、信用情報や事業計画の内容、不透明な資金使途など、さまざまな要因が挙げられます。

この記事では、銀行融資の審査で見られるポイントと、審査に通らない場合の主な理由を解説します。また、審査を通過するための具体的な改善方法についても見ていきましょう。

銀行融資とは?

銀行融資とは、設備投資や運転資金を調達するための借入制度です。事業の成長や拡大に必要な資金を確保する手段として、多くの事業者が活用しています。

銀行融資は都市銀行をはじめ、地方銀行、信用金庫、信用組合、ネット銀行などさまざまな金融機関によって受けられます。

各金融機関は独自の融資商品やサービスを展開しており、事業者はその信用状況や資金ニーズに応じて、最適な融資商品を選択できます。

銀行融資の種類

銀行が提供する、企業や個人事業主の多様な資金ニーズに対応する融資商品を、事業者は選べます。これらの融資商品を資金の用途や返済条件、担保の有無などに応じて選択しましょう。

例えば、事業拡大のための設備投資資金や、日々の運転資金の確保、短期的な資金繰りの改善など、目的に合わせて適切な融資商品を選ぶことが重要です。ここでは銀行融資の種類として、次の4つを解説します。

1. プロパー融資
2. 信用保証協会の保証付き融資
3. ビジネスローン
4. カードローン

 

プロパー融資 

事業者は保証会社を介せずに金融機関から直接融資が受けられます。保証料が不要で、借入限度額もなく利用可能です。

しかし、銀行は貸し倒れを避けるため、申請する事業者には経営状態が良好であることと、実績が豊富であることが求められます。

プロパー融資については、こちらの記事で詳しく解説しています。
プロパー融資とは?メリット・デメリット、融資を受けるためのポイント、手続きを解説

 

信用保証協会の保証付き融資

信用保証協会の保証付き融資では、信用保証協会が申請者に代わって保証を提供するので、事業者は融資を受けやすくなります。特に中小企業や小規模事業者向けに有効で、信用力が不足していても資金調達が可能です。

この制度では、貸主である金融機関が貸倒れリスクを避けられるため、より積極的な融資を受けられます。ただし、多くの場合に保証料が発生するので、それをコストとして考慮しなければなりません。

 

ビジネスローン

ビジネスローンでは、事業資金の調達が無担保・保証人不要で利用できます。迅速な資金調達ができ、一時的な資金繰り悪化の対応策として利用可能です。

ただし、ビジネスローンは金利が比較的高めに設定されているため、慎重な返済計画が求められます。加えて融資限度額が低めに設定されている場合が多く、必要資金に応じて適切な融資商品を選ぶ必要があります。

 

カードローン

カードローン(事業者向け)では、資金が必要なときに比較的容易に借入が可能です。多くの金融機関が提供しており、急な資金需要の対応策として柔軟に活用できます。

事業金としての利用は、一般的な(個人向け)カードローンでは認められていませんが、事業者向けのカードローンならできます。 

銀行融資の流れ

ここでは銀行融資の流れとして、次の5つのステップを解説します。

1. 相談・申し込み
2. 面談
3. 審査結果と条件の提示
4. 融資契約の締結
5. 融資の実行

 

相談・申し込み

まず、銀行の窓口や担当者に融資の相談を行います。この際、事業内容や資金の使途、希望する融資額などを具体的に伝えなければなりません。 

相談後、正式な融資申し込みを行います。必要書類として、事業計画書、決算書、税務申告書などが求められるでしょう。 

 

面談

融資申し込み後、金融機関側の担当者と面談を行います。この面談では、資金の具体的な用途や返済計画、現在の事業状況、申込者の経歴などについてくわしく質問されます。

事前にこれらの情報を整理し、明確に説明できるよう準備しておくことが大切です。 また、事業計画の実現可能性や収益性についても確認されます。

具体的な数値や根拠を示し、計画の信頼性を高めなくてはなりません。面談は融資審査の重要な要素となるため、誠実かつ的確な対応を心がけましょう。  

 

審査結果と条件の提示

銀行の審査が完了し、融資が認められたのであれば、事業者は金利や返済期間、融資額などの具体的な条件の提示を受けるでしょう。提示された条件が希望と異なる場合でも、交渉の余地があります。

たとえば、他行の条件を参考に金利の引き下げを求めたり、返済期間の延長を相談したりなどが可能です。交渉の結果、条件が改善される場合もありますが、必ずしも希望通りにならないため、事業者には柔軟な対応が求められます。 

 

融資契約の締結

審査を通過して融資条件に合意した後、事業者は正式な契約手続に進めます。この際、金銭消費貸借契約書や銀行取引約定書など、複数の契約書類を取り交わします。

これらの契約書には、融資金額、金利、返済方法、担保の有無などの詳細な記載が必要です。

契約書の内容を十分に確認し、不明点があれば担当者に質問しましょう。なお、契約締結時に事業者は、印鑑証明書や身分証明書などの必要書類を提出する必要があります。  

 

融資の実行

融資契約が締結され、必要な書類に不備がなければ、指定した口座に融資金が入金されます。この入金は通常、契約締結後数日以内に実行されます。

入金のタイミングについては、事前に担当者に確認しておくと安心です。 融資金が入金されたら、資金使途に沿った適切な活用が求められます。

また、返済計画に基づき、遅延なく返済を開始するのが重要です。返済状況は信用情報にも影響を与えるため、計画的な資金管理を心がけましょう。  

 

銀行融資の審査が通らない主な理由

銀行融資の審査が通らない主な理由を挙げると、次の9項目です。次項でそれぞれを補足しておきましょう。

1. 信用情報に問題がある
2. 決算書が複数年連続赤字
3. 消費者金融やノンバンクからの借入がある
4. 税金や公共料金の支払い滞納
5. 現預金や自己資金が不十分
6. 事業経験が少ない、または資格がない
7. 事業計画書の見通しが曖昧で不十分
8. 担保や保証人が用意できない
9. 資金使途が不透明

 

信用情報に問題がある

融資審査の際、申請者は信用情報(クレジットカードやローンの利用履歴、返済状況、延滞情報、異動情報)を確認されます。過度の延滞や異動情報(事故情報)があると返済能力に疑問を持たれ、融資審査に通りにくくなります。  

 

決算書が複数年連続赤字

融資審査の際、申請者は財務状況を慎重に評価されます。特に、決算書が複数年連続で赤字を示している場合、事業運営に根本的な問題があると判断される可能性が高まります。

 

消費者金融やノンバンクからの借入がある

融資審査の際、申請者は他の借入状況を詳細に確認されます。特に、消費者金融やノンバンクなどの金利の高い貸金業者の借入がある場合、資金繰りが厳しいと判断され信用力が低いとみなされる傾向があります。

 

税金や公共料金の支払い滞納

申請者が税金や公共料金などの、本来優先度の高い支払いを滞納している場合、銀行から返済能力に問題があると判断され、融資審査で不利な評価を受ける可能性があります。

 

現預金や自己資金が不十分

特に創業融資を受ける際には、自己資金の額が融資可能金額に大きく影響し、審査結果が左右されます。一般的に、融資希望額の2割程度の自己資金が目安とされており、自己資金が少ないと希望額の満額を受けられない可能性があります。

 

事業経験が少ない、または資格がない

特に創業融資の審査において、起業予定の事業や業界での実務経験は非常に重要視されます。専門知識やスキルを持っているかを問われ、事業の成功可能性を判断されます。実務経験が不足している場合、融資審査で不利になる可能性があります。 

 

事業計画書の見通しが曖昧で不十分

事業計画書において具体的で実現可能な計画が提示されていない場合、成功可能性が疑われて、融資を見送られる場合があります。市場調査や競合分析を基にした、現実的な売上予測や収支計画を盛り込むことが求められます。 

 

担保や保証人が用意できない

銀行融資において、申請者は担保や保証人の有無を評価されます。これらがあれば返済の裏付けとして機能し、金融機関の貸し倒れリスクを軽減する手段とみなされます。担保や保証人が用意できない場合、リスクが高いと判断され、融資審査が通りにくくなります。 

 

資金使途が不透明

融資審査の際、申請者は借入金の使用目的である資金使途を厳格に確認されます。資金使途が不透明であったり、具体的な計画が示されていなかったりする場合、資金の適切な運用や返済能力に疑念を抱かれ、審査が通りにくくなります。

融資の審査に通らなかった際の改善点

銀行融資の審査に通らなかった場合、原因を分析し、適切な改善策を講じることが重要です。ここでは融資の審査に通らなかった際の改善点として、次の3項目を解説します。

1. 事業計画書の見直し
2. 担保の用意
3. 専門家の支援を活用する

 

事業計画書の見直し

事業計画書は、融資審査において最も重要な書類の一つと考えましょう。具体的で実現可能な計画を立てることで、金融機関からの信頼を得やすくなります。

市場調査や競合分析を基に、現実的な売上予測や収支計画を盛り込むことが求められます。 また、収益予測の根拠を明確に示すことも重要です。過去の実績や具体的なデータを用いて、計画の信頼性を高めましょう。 

 

担保の用意

融資審査において、代表者個人の資産や不動産を担保として提供することで、金融機関のリスクを軽減し、融資の承認を得やすくなります。特に、不動産は評価額が高いため、有効な担保として使えます。 

ただし、担保を提供する際には、資産の評価額や流動性を考慮する必要があります。また、担保提供に伴うリスクも理解し、慎重に判断しなければいけません。  

 

専門家の支援を活用する

融資審査に通らなかった場合、実績豊富な融資支援の専門家に相談することが有効です。資金調達のノウハウを持つ専門家からは、現実的で適切なアドバイスやサポートを受けられます。

特に、事業計画書の作成や金融機関側の担当者との交渉において、彼らの知識や戦略の助言を役立てられるでしょう。 

 

まとめ

銀行融資の審査に通るためには、信用情報の改善や具体的な事業計画の提示など、金融機関の審査基準に沿った準備が欠かせません。

また、担保や保証人の用意、専門家のアドバイスを活用するのも有効な手段です。全方位的に周到な準備をしたうえで、融資の受け取りを成功させましょう。

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