※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。
補助金を申請したいと思っても、ついためらってしまう事業者様は多いのではないでしょうか。
その理由に、難解な公募要領、複雑な申請手順などが挙げられます。この他、申請準備から入金に至るまでの全体感がわからない、次に必要な動きがわからない、といった声も聞かれます。
そこでこの記事では、補助事業の大まかな全体像のほか、必要な手続きや注意点を申請前・申請時・申請後といった段階ごとに解説します。
補助金フローの全体像
作成:(株)Stayway
上図は補助金申請前から入金後の年次報告までの全体像を示しています。
図中の上段は補助金事務局の動き、下段は事業者(=申請者)の動きを表しています。公募開始後、事業者が申請を行い、事務局が審査を行います。
公募申請の採択決定後、事業者は別途交付申請を行う必要があります。事務局による審査後、交付が決定したら、事業者は補助事業を開始します。補助事業が終了次第、実績報告を行い、確定検査を受けて補助金の請求手続きに入ります。補助金の入金は、この請求手続きを受けて行われることとなります。
補助金は前もって支払われるものと思われがちですが、上述のとおり、補助事業を行った後に支払われます。つまり補助事業実施時点では、自社で立て替える状態となりますので注意しましょう。
なお、入金後に事業計画実行期間として、当初想定した事業計画を実行し、年次報告を行なう必要があります。公募申請期間や交付申請期間などの具体的な日数については、補助事業ごとに異なります。
補助金申請前
ここからは、補助金申請前・申請時・申請後の3段階に分けてポイントを解説します。
補助金申請前には、自社が活用できる補助金であるか、自社が申請可能であるかといった確認が必要です。そこで、申請前に行なうべきことについて解説します。
概要理解
まず、制度に関する十分な理解が必要です。設備投資や展示会出展、人材育成など、自社が行う予定の取り組みに適した補助金であるか、確認しましょう。
また、補助金ごとに補助上限額や補助率、対象経費などが設定されています。各補助金の情報が書かれたホームページや公募要領を参考にして、内容をしっかりと確認しましょう。
要件のチェック
続いて、自社が申請可能であるか、要件をチェックします。
事業所の所在エリアや企業規模、取組内容、売上要件など、補助金ごとに異なる要件が設けられており、この要件を満たしていなければ申請できません。
要件の内容、自社がその要件を満たすかどうか、必ず確認してください。
補助金申請時
次に、補助金申請時のポイントを解説します。
提出書類の準備
補助金申請時にもっとも重要な提出書類のひとつが、事業計画書です。
提出する事業計画の枚数には制限があります。例として、事業再構築補助金の場合はA4サイズで15ページ以内、ものづくり補助金ではA4サイズで10ページ以内とされています。
さらに、決算書や労働者名簿といった添付書類の提出を求められることがあります。申請書類が多く、手順も複雑なケースが多いため、書類上のミスで不採択とならないよう、提出資料の不備や漏れがないか確認しましょう。
提出書類
提出書類や必要な手続きは補助金ごとに異なります。ここでは、一般的に必要となる書類について解説します。多くの場合求められる主な書類は、次のとおりです。
- ・応募申請書
- ・事業計画書
- ・経費明細書
- ・事業要請書・申請書
なお、一次審査に通過した場合、次の書類の提出を求められるケースが多くあります。
- ・確定申告書
- ・登記簿謄本
- ・納税証明書
書類提出の手段にはオンライン・郵送・持参がありますが、オンライン申請のひとつとして政府のシステムであるjグランツ(*)による提出が求められる場合があります。
(*)jグランツ(jGrants)について
公式サイト:https://www.jgrants-portal.go.jp/
デジタル庁が運営する補助金の電子申請システムで、24時間365日手続きが可能です。
ただし、アカウント取得が必要となり、取得申請から発行までに約3~4週間程度かかるので余裕をもって準備しましょう。
補助金申請後
補助金を申請後、無事に採択されてもすぐに補助金が受給できるわけではありません。
申請後の細かな流れは補助金によって異なりますが、受給に至るまでの間に必要な作業や手続きがあります。ここでは、多くの場合に共通する主な流れを解説します。
補助事業実施・実績報告
交付決定後、補助事業開始から完了までを「補助事業実施期間」と呼びます。採択された補助事業を行う期間を意味します。
この期間が終了したあと、交付決定書で指定された期日までに実績報告書を提出します。事務局はこの実績報告書の内容確認のうえ、補助事業者との間で日程を調整し、事業実施場所を訪問して確定検査を実施します。
確定検査では、実績報告書の内容に基づいて証憑(しょうひょう)、つまり、契約書や納品書・発注書といった企業の取引における真実性や正当性を証明するための書類を検査した後、現地で購入設備の保管状況や補助事業の成果を実際に確認し、必要に応じて書類の修正指示を行います。
確定検査はその結果が補助金の支払額に直結するため、事業者にとって、採択後の重要な事務手続きであると言えます。
請求手続き
補助金額の確定後、事業者が提出した請求書が受理されたのち、事務局による入金に至ります。補助金額は、確定検査で承認された補助事業の経費とその金額に基づいて算出され、「補助金確定通知書」として示されます。
その後、事業者が確定通知書の内容に従って、「精算払請求書」を補助金事務局に送付します。請求手続きの後、約1か月後に事業者が指定した銀行口座に補助金が振り込まれ、補助事業完了となります。
補助事業実施後の入金となるため、補助事業の実施に必要な経費は一時的に自社で立て替えることとなります。
ただし、補助金によっては、特例として補助金額の一部を先払いする概算払制度を設けている場合もあります。
事業計画実行・年次報告
補助金は原則、後払いです。
既述のとおり、補助事業の実施後に入金されるため、補助事業の実施に必要な経費は一時的に自社で立て替えることとなります。
ただし、補助金によっては、特例として補助金額の一部を先払いする概算払制度を設けている場合もあります。
また、事業計画は補助事業期間終了後もフォローアップされ、補助事業終了後5年間は事業者の経営状況について「年次報告」が求められます。
このため、補助金で購入した設備は、補助金交付要綱等に沿って厳格に管理されることとなります。
補助金申請~入金までのスケジュール例
作成:(株)Stayway
補助金申請から入金までの期間は、補助金ごとに定められた補助事業実施期間によって大きく異なります。
ここでは事業実施期間の長い「事業再構築補助金」と事業実施期間が短い「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」を例に挙げて、さらに解説します。
事業実施期間が長いもの/事業再構築補助金
事業再構築補助金の場合、事業実施期間は12~28か月(事業類型により異なる)となっています。そのため、交付決定から1年以上経ってから補助金を受け取れることとなります。
事業実施期間が短いもの/省エネルギー投資促進支援事業費補助金
一方、事業実施期間が短いものの例として、省エネルギー投資促進支援事業費補助金が挙げられます。
この補助金は、あらかじめ定められたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録及び公表した指定設備への更新を支援する補助金です。
事業実施期間は原則5か月程度であることから、事業再構築補助金と比較すると短い期間で補助金を受け取れることがわかります。
補助金の早期受け取りサービス”前ほじょくん
前ほじょくんは、「補助金申請したいが補助事業を自己資金で行うことが難しい」「採択されたが資金調達先を探している」といった課題を抱える事業様向けの補助金早期受け取りサービスです。
交付決定後に、補助金を受け取れる権利を債権化し、弊社と提携している大手金融機関の関連会社がその債権を“買い取る”というスキーム(=ファクタリング)で、補助事業実施前に事業者様に買い取り額をお支払いします。
なお、2024年9月現在ものづくり補助金に限定したサービスです。
サービスの詳細は下記記事をご覧ください。
まとめ
国や自治体が実施する補助金について、補助事業の全体像のほか、申請前・申請時・申請後それぞれの手続きやスケジュールについて解説しました。
補助金申請を検討中の方は、この記事を参考に全体感を把握して、ぜひ、申請準備を進めてください。
関連する補助金