M&Aプロアドバイザーによるスピード査定 M&A
050-3176-6656
営業時間 10:00-12:00 / 13:00-17:00
この記事は約8分で読めます。

M&A売却において、失敗の多くは“準備不足”から発生します。手続きや内部統制が甘いと、想定外の支出・トラブルが発生しやすく、交渉力が著しく低下します。

資金面だけでなく、従業員の雇用や企業価値そのものにも悪影響が及ぶ可能性があります。

こうした失敗を未然に防ぐためには、最適なタイミングと徹底した事前準備が不可欠です。
この記事では典型的な失敗パターンや注意点を解説します。

M&A売却における失敗の大半は準備不足が引き起こす

事前準備が不十分だと、現場で想定外の混乱が生じ、シナジーの実現どころか交渉そのものが停滞します。特に中小企業では簿外債務や内部管理の弱さが致命傷となりがちです。

失敗①:目的の曖昧化

売却にあたって、「売却価格」「従業員雇用の継続」「事業の存続」など何を最優先にするかが曖昧だと、交渉の軸がぶれます。結果として買い手の条件に振り回されやすく、納得のいかない譲歩を重ねてしまう恐れがあるため注意が必要です。

何を第一目標にするかを定め、それをベースに交渉戦略を構築しないと、後悔やトラブルの芽となります。明確なゴールを持つことで、条件交渉の判断基準が曖昧にならず、売り手は交渉で主導権を保持できます。

失敗②:タイミングの誤り

業績が低迷した後に慌てて売却活動を始めると、買い手側に「交渉力の弱さ」が伝わりやすくなります。このタイミングでは買い手有利の条件が押し付けられやすく、価格や保証内容で不利な取り決めを飲む羽目になりがちです。

最良の売却タイミングは、業績が安定し、将来性が見込める局面であり、これが価格交渉力の鍵を握ります。売却を検討する際には、早めに将来戦略と合わせて「出口」を意識して準備を開始するのが望ましいです。

失敗③:社内整理の怠慢

株主名簿や重要な議事録が未整備だったり、株主間で意見対立があると、交渉後半で急に問題が浮上しやすくなります。特に名義や議決権の状況が明確でないと、契約締結時やデューデリジェンス時に信頼を損ね、ディールが破談になることも。

内部統制が弱い企業は、買い手から見てチェック項目が多く、信用度を下げることにつながります。そのため、売却前には株主関連の書類や議事録を整備し、関係者間の合意形成を事前に済ませておくことが重要です。

失敗④:潜在的リスクの放置

未払い残業代などの簿外債務を放置していると、デューデリジェンス(調査)で発覚した際に、買収価格が大幅に減額されたり交渉が破裂する恐れがあります。残業代や未払社会保険料、有休未消化分などは、貸借対照表に計上されない「隠れた負債」として重大なリスク要因です。

実例でも、買い手が簿外債務を発見し価格交渉をやり直すケースや、売買契約自体が白紙になったケースも報告されています。したがって、売れてから発覚する前に、簿外債務は可能な限り解消・開示し、取引条件に反映させておくのが賢明です。

M&Aアドバイザーと買い手の選定ポイント

M&Aを成功させるためには、アドバイザー選定と買い手選びが極めて重要です。信頼性・専門性・相性を見極め、多角的な視点で判断することが成功の鍵になります。

失敗⑤:M&Aアドバイザー選びの失敗

売り手の利益よりも自社の手数料を優先するアドバイザーは、成功報酬に偏りが出てしまい、不利な条件で契約を急がされる危険があります。また、自社の業界や案件規模に対する専門性が低いアドバイザーを選ぶと、交渉や条件設定が的外れになり、買い手とのマッチング精度が著しく下がります。

実績やネットワークが乏しいアドバイザーでは、潜在的な買い手候補へのアクセスが限定され、選択肢が狭まるリスクがあります。

失敗⑥:買い手選びの失敗

「長年の付き合いがあるから」という理由だけで買い手を選ぶことは、感情的な判断に過ぎず、最適なシナジーを得られないケースが多いです。事業計画や業績だけで買い手を評価すると、企業文化や人材との相性を見落とし、統合後に軋轢が生じる恐れがあります。

買い手が求めるシナジーや、統合後の戦略ビジョンが共有できていないと、M&A後に方向性のズレが顕在化し、大きな摩擦が発生します。

交渉とデューデリジェンス(DD)の注意点

M&Aを円滑に進めるためには、交渉過程とDDのプロセスでの慎重な対応が不可欠です。情報管理と態度の誠実さが企業価値を守る鍵となります。

失敗⑦:情報漏洩

M&Aの検討段階で機密情報が社内外に漏れると、従業員の離職や取引先の信用低下を招き、企業価値が毀損する可能性があります。特に上場企業が関与する場合、インサイダー情報となり株価に影響を及ぼすリスクもあります。

情報漏洩は交渉破談につながる主要因であり、秘密保持契約(NDA)やアクセス制限を徹底すべきです。情報はプロジェクトチームのみに限定し、仲介者にも厳密なNDA義務を課すなど管理体制の整備が不可欠です。

失敗⑧:交渉態度の不一致

合意後に合理的理由なく条件を変更したり、後から不利な情報を開示したりすると、買い手の信頼を失います。話し合いの途中で態度が二転三転すると、誠実性が疑われ交渉の継続が困難になります。

信頼を損ねると最終契約(SPA)締結前に交渉が決裂し、成立自体が危うくなります。一貫した態度と透明性ある情報提供は、信頼関係を築き、交渉成功の基盤となります。

失敗⑨:デューデリジェンス(DD)への無防備

DDの場面で不利な情報を隠したり、提出を遅延したりすると、買い手側の不信感を増大させます。資料の不備や不透明な対応は、企業評価を下げる結果となり、価格交渉に悪影響を与えます。

専門家を交え、正確かつ迅速に資料を提供することで、リスクが事前に洗い出され契約条件に反映できます。透明性と協調的な態度を維持すれば、交渉成立後のトラブル防止にも寄与します。

契約書に潜むリスク

M&A契約書の条項は一見こじんまり見えても、重大なリスクを内包しています。細部まで精査しないと、売却後に予想外のトラブルや費用が発生する可能性があります。

失敗⑩:表明保証(レプワラ)の軽視

表明保証条項を軽んじると、譲渡後に財務・法務・許認可などの違反が明らかになった際、買い手から高額な損害賠償を求められるリスクがあります。売主は必要な項目をしっかり開示しないと、クロージング後の紛争で法的責任を追及される可能性が高まります。

購入後に契約違反が判明すると、買い手は契約解除や価格調整を求め、売主に多大な負担がかかります。表明保証保険の活用でリスクを保険で移転する手段もあるため、条項設計とセットで検討すべきです。

失敗⑪:曖昧なクロージング後の約束

従業員の雇用継続や売主自身の処遇に関する合意を口頭の約束だけで済ませると、契約書に明記されず後から齟齬が生じやすくなります。口頭での「雇用維持」約束が文書化されていないと、売却後に待遇の変更や雇止めが発生し、「話が違う」とトラブルに発展します。

クロージング後に期待していたインセンティブや役職が与えられず、売主側のモチベーションが低下・離職につながることもあります。こうしたリスクを避けるため、約束事項はすべて契約書の条項として明確に盛り込むことが必要です。

失敗⑫:キーマン条項とアーンアウト条項の設計ミス

キーマン条項やアーンアウト条項で「目標達成」「留任期間」などの条件が曖昧だと、後の評価基準や報酬支払いの判断が難しくなり、買主・売主間で紛争に発展するリスクがあります。条項設計が不明瞭だと、キーパーソンが期待通りに動かず、事業統合が停滞する原因となります。

アーンアウトの目標指標やマイルストーンの定義に解釈のずれがあると、裁判でも不利となる可能性が指摘されています。条項設計には法律・財務の専門家を入れ、指標・達成条件・数値基準・例外条項などを明確化するのが必須です。

従業員と企業文化の守り方

M&Aを成功させるためには、従業員の安心感と企業文化の維持が不可欠です。適切な手順と戦略がないと、組織の根幹が揺らぎかねません。

失敗⑬:従業員への情報開示の失敗

タイミングや伝え方を誤ると、従業員はM&Aが“会社の乗っ取り”のように受け取り、深刻な不安や不信感を抱く恐れがあります。開示が遅すぎると「軽視された」と感じ、キーパーソンを含む離職が加速し、業務に深刻な支障をきたします。

早すぎる公開は機密漏洩につながり、交渉の破談や取引先の離脱といった事態を招きます。公開は法的拘束力が発生した段階で迅速かつ丁寧に行い、立場に応じた内容とタイミングで伝えることが重要です。

失敗⑭:キーパーソンの流出

M&A後、事業の中核を担う人材が不安から離職すると、組織の知識や顧客関係が失われ、競争力が大きく低下します。特にキーマンを放置したまま統合を進めると、組織の機能不全や収益悪化に直結します。

早期の関与とリテンション策(インセンティブなど)を講じないと、シナジーの実現自体が困難になります。経営陣と買い手双方がキーパーソンとの対話を密にし、納得感ある処遇を示すことが流出抑制につながります。

失敗⑮:企業文化の衝突

売り手と買い手で企業文化に大きな隔たりがあると、従業員のモチベーション低下や静かな離職を引き起こし、業務効率がさらに悪化します。トップダウン型とボトムアップ型など、価値観の違いが決定プロセスや日常の働き方に齟齬を生み、軋轢の温床になります。

調査フェーズで文化の違いを早期に認識し、統合計画PMI(Post‑Merger Integration)に文化的調整策を組み込む必要があります。双方の良い文化を尊重した融合戦略を設計し、協働の場や対話を通じて新たな組織文化を醸成することが重要です。

まとめ

M&Aの成否は、契約締結後のPMIにおける「人」と「文化」の扱いに大きく左右されます。従業員との信頼関係を築き、双方向コミュニケーションを徹底することで不安や噂の広がりを防ぎ、離職率を抑制できます。

キーパーソンの流出を防ぐためには早期関与と公平な処遇提示が有効で、これが企業の知識・ノウハウ維持につながりますまた、企業文化の違いをPMI段階で正確に把握し、融合戦略を設計・実行することで、モチベーション維持や生産性向上が期待できます。

 

M&Aのご相談はこちら

M&A・事業承継のご相談ならBIG4出身のM&AアドバイザーのいるM&AHUBにご相談ください。最短翌営業日にご相談可能です。

▶︎M&Aのご相談はM&AHUB

M&A・事業承継のご相談ならM&AHUB
M&A・事業承継のご相談ならBIG4出身のM&AアドバイザーのいるM&AHUBにご相談ください。
\ M&AHUBが全国で選ばれる。 /
3つの特徴をご紹介します
point 01
自社ネットワークで最適なパートナーが見つかる
point 02
BIG4出身のM&Aアドバイザーがサポート
point 03
着手金0+明瞭な価格体系+補助金でコスト削減